簪と友達になって数ヶ月が過ぎた今日この頃、季節は夏を迎えた
そんな訳で三春オバさんに お使いを頼まれたので1人で行って頼まれた物を買い帰って来ると、紫っぽい髪色をした中学生とは思えない程大きい胸部装甲をしている天災が千冬と共に玄関に立っていた
どうやら丁度 学校から帰って来た所らしい
「おかえり千冬姉ちゃん」
「ん?あぁただいま那由多」
一先ず想定外な天災との遭遇で逃げたくなったが、今持っている物を三春オバさんに渡さないと夕飯に有り付けないので我慢し千冬に声を掛けると、振り返って返事を返してくれた
そして俺の存在に気付いた天災はチラッと俺を見たが興味無さそうに千冬へ視線を戻した
その事に一先ず安心し、俺は2人に続いて家に入り台所へ行って三春オバさんに買ってきた物を渡して出来るだけ自然を装い自室へ逃げ込む
「・・・まさかウチにくるとは」
とりあえず本棚から両親から与えられた絵本を取り出し壁を背もたれに読む
天災・・・篠ノ之 束、彼女は一部の人間を除き人を人と思っていないタイプの人間だった筈
つまり現段階では俺は、そこら辺の只の子供と変わらない と言う認識だろう、多分
一夏とマドカは千冬と似ているから興味を持って、お気に入り認定されるだろうけど
未来の平穏の為、2人には天災の相手を任せよう。どうせ俺の言葉は聞いてくれないだろうし
とか考えつつ絵本を熟読して読み終わったので顔を絵本から上げると、天災が目の前に立っていた
うん、驚き過ぎて声すら出なかった俺は、ただただ天災に観察され続ける
お互いに無言で見つめ合う事、数分 天災が口を開く
「・・・お前は何者だ?」
冷たく感情を感じない声で尋ねられ、俺は必死に考える
ここで間違えてたら、即バッドエンドもありえるからだ
「・・・こ、言峰 那由多だけど」
「ふぅん」
俺の答えに彼女は興味無さげに相槌?を打つ
めっちゃ怖いんだけど、この人
「お前の事は、ちーちゃんから聞いたよ。確かに幼稚園児にしては大人びてるね、私を怖がっている割には逃げられる筈なのに逃げないし」
「そ、それはどうも」
なんか軽く興味を持ち始められてるかも知れない、最初から逃げれば良かったかも知れない
「・・・へぇ」
俺の返答を聞いた天災は明らかに先程までと違い、少し顔色が変わる
少しだが俺に興味を持っているらしい
うん、俺はまた間違えたらしい
「君、ちーちゃんが知らないだけで本当は、ちーちゃんが思っているより賢いでしょ?今、自分が置かれている状況も完全に把握しているみたいだし」
やべぇ、二人称が、お前から君に変わったぞー
つか何でバレてんだ?どんな観察眼してんだよ この天災は
あ〜泣きたくなってきた、泣かないけど
「まぁ答えないよね、普通」
そう言い天災は、新しいオモチャを見つけた子供の様な表情をしていた
どうも完全に目を付けられてしまった様だ、諦めて未来の平穏の為に策を練ろう、そうしよう
「またお話ししようね?那由多くん?」
「は、はい」
漸く天災が部屋から去り、俺は深く息を吐く
疲れた、精神的に疲れた、だが逆に好機かも知れない
上手くいけば正しい形で混乱なくISを世界へ送り出せるかも知れない
「・・・論文発表は確か彼女が14の頃だった筈だし」
よし、次の目標は彼女に論文発表の時期を遅らせる事、白騎士事件を起こさせない 又は もっと穏便に済ませさせる事、にしよう
今回は束さんとの邂逅にしてみました