「……大丈夫か?」
「あ、ありがとう、助かった、それよりアンタの仲間は大丈夫かい?」
「気にしないで大丈夫だ、目的忘れて暴れてたのに気づいただけだからよ」
負傷していた村人の処置は無事完了した。
カバ達はナパームとレモンが能力者だと気づいたら鮮やかに逃亡した。
残念ながらカバを逃がしてしまった2人は、体育座りで落ち込んでいる。
いい感じに能力も併用して無双してたんだけどなぁ、楽しくなっちゃったのか、本来の目的だったカバの捕獲を忘れてたっぽいからなぁ。
「ま、明日も頑張ろうや」
「……ちくしょう」
「キャハハ……、諦めましょうナパーム。しょせんただの夢だったのよ……」
シメっぽいな、面倒くさいから放っておこう。
「で、さっきの奴等はいったい誰なんだ?」
「あ、あぁ、アイツらは……」
どうやら、さっきのカバはこのドラム王国の元国王で、以前海賊がこの国を襲ったときに逃げ出したクソ野郎らしい。
海賊が去って復興しつつあるドラム王国を、再び自分のものにするために戻ってきたそうだ。
「……なぁ、あんた達の実力を見込んで頼みがある!どうかワポルの魔の手からこの国を守って欲しい!」
「んー、たぶんルフィ達がいるから行かねぇでも大丈夫だと思うけどなぁ。……まぁ、ここにいてもやることねぇし構わねぇよ」
「本当か!?……ありがてぇ、恩に着る」
「おい、聞いてただろ?っつーわけで俺はちょっくら出るからよ、お前ら筋トレでもしながら船守っといてくれ」
「……もうなんにも言わねぇよ、さっさと行け」
「きゃはは、きゃはは」
うわ、そのうちカビでも生えるんじゃねぇかコイツら?
……なんか昔の俺見てるみたいだ。
さて、さっきの奴等から服奪ってさっさと行くか。
ーーーーー
「……行っちまったな、どうする?レモン」
「……どうするもこうするも、言われた通りにするしかないでしょ。……死にたくないし」
「そりゃそうだ、……筋トレするか」
ーーーーー
ーーー
ー
さて、アイツらの足跡たどって村についたはいいものの、なんか変なことになってんな。
「なぁ、こりゃどういう状況だ?」
「おいおい、お前見てなかったのか?ドルトンがワポル様に逆らってんだよ。……ん?お前誰だ?」
「なるほど、ありがとよ」
「ッ!?」
首筋をトンッってして気絶させる。
海賊を捕獲するために覚えた技術だ。
と、言ってるそばからピンチっぽいな、ドルトンってやつが村人かばって矢に刺さりそうになってやがる。
なんちゃって剃で矢の前に移動、こんだけデカイ矢なら余裕で止められる。
「ッ!?テメェはさっきの!!!」
「君は……、ルフィ君達の仲間の」
「アイツらにシメられただけじゃこりねぇか。まぁ、悪党だもんなぁ」
「また邪魔しやがって!!!お前ら!あのカバ野郎とドルトンを殺せぇ!!!」
「し、しかしワポル様。あの男素手で矢を受け止めましたよ?」
「なにをビビってやがる!?……使えねぇ奴等だ、こうなったら俺様のバクバクの実の力で!」
なんかさっきから地響きみてぇのがしてると思ったら、雪崩か。
ワポル達の後ろの山が動いてるんじゃねぇかってぐらいすげぇ音がしてきた。
「ワポル様!?雪崩です!!!雪崩が向かってきてます!!!」
「今いいところなんだから邪魔を……ってギャーーー!?!?逃げろーーーー!!!」
うわ、あのカバ気持ち悪ぃ。
足が伸びてメチャクチャアンバランスな生き物になりやがった。
しかもワポルと副官みてぇな2人組だけ乗せて他の部下は見捨てやがった。
「マーハッハッハッ!!!俺様が手を下すまでもない!貴様らは雪崩で死ぬのだからな!マーハッハッハッ!!!」
バカみてぇな笑い方すんなアイツ。
しっかし雪崩かぁ、どうすっかなぁ。
……新技試してみるか?
「君も早く逃げなさい!!!雪崩に巻き込まれてしまう!!!」
「いや、アンタらだけで逃げてくれ。……ちょっと試してみたいことがある」
「なにをする気だ!?やめろ!雪崩を甘く見てはいけない!!!」
「集中してぇから、ちょっと静かにしてくれ」
なんちゃって六式をほぼ均一に習得してるなら、なんちゃって六王銃もできるんじゃね?
六式を極めないとできないみたいだけど、そこはシュライヤの才能を信じてみようと思う。
雪崩に対して体を正面に。
両の拳を上下に構えて、目を瞑り全神経を研ぎ澄ます。
雪崩の地響きはすぐそこまで迫ってきている、どうせ巻き込まれてもアイツらが助けてくれるだろ。
地面に踏みつけた足から、腕の先まで練り上げた力が伝わっていくのを感じる。
……あとは思いきってぶちかますだけだ。
拳に雪崩の先が触れる。
「六・王・銃」
ーーーーー
「……ば、バカな」
シュライヤの後ろに立っていたドルトンは驚愕していた。
なにをするつもりかはわからなかったが、雪崩に巻き込まれてしまっては一溜まりもないと思い、いざという時は庇おうと立っていた。
しかし、そうはならなかった。
「雪崩が、……割れた」
おそらく、後ろで逃げていた村人達も驚き目を見開いているだろう。
なにかしらの構えてをしたシュライヤの拳が雪崩に触れた瞬間、雪崩が動きを止めた。
そして、次の瞬間、彼の目の前に迫っていた雪崩が爆発したかのように消え去ったのだ。
「お、おい君、……一体なにを」
閉じていた瞳を開いて、目の前の光景を見たシュライヤは、ニヤリと笑い口を開く。
「……なんちゃって」
ーーーーー
ーーー
ー
まさかうまく行くとは思わなかった。
シュライヤ君マジではんぱねーわ、思い付きでできるとは。
「おぉ、アンタも無事だったか」
「……あ、あぁ。君のお陰でな、ありがとう、2度も助けてもらうとは」
「気にすんな、無事ですむかも賭けだったからな」
さて、アイツらが見当たらねぇけど、どこに行ったんかねぇ。
!щ(゜▽゜щ)