話の前後ぐらいしか目立った変化はないです。
難産だった…
午後から始まる科目 ヒーロー基礎学、その授業が始まる二日前の話。
根津に呼ばれた八木典花は緊張故に少し、汗をかいていた。
「八木典花くん、そろそろ決めてほしいのさ」
「わ、わかっております。ですがその、思い浮かばず…」
「大丈夫、それに忘れたのかい?こちらでも考えていたのをさ。ちゃんと候補の紙は残してあるのさ!えっと、オールライト、ヴィクトリー、ホープ、ブルーライト、フォーサイト、ファインセーフ、他にも候補はあるのさ」
「…候補、増えていませんか?」
「楽しくなっちゃったのでみんなで書きあったのさ!」
「(企画化されているー!!)」
“オールマイト”と言う名は名乗れない、彼女には新たな名前が必要であった。
その名前はここでは彼 八木俊典のモノあり、ここでは彼女 八木典花のモノではない。数枚の紙にヒーローの名前候補、八木典花はヒーロー基礎学の授業でヒーロー姿を一度でもいいから見せてくれと根津校長に言われている。
姿を見せるなら、彼と共にと彼女は思っている。
「さあ、どれか一枚選んで欲しいのさ。君ならどれも似合うと思う、選んで欲しい。君の新たなヒーロー名さ!」
オールライトと書かれた名刺、ヴィクトリーと書いてあるコピー用紙、ホープと書かれた達筆の半紙、ブルーライトと刺繍された和紙、フォーサイトと書いたしこくてんれい、ファインセーフと書かれたチラシ、他は裏返っている様々な種類の紙、紙、紙、恐らく白紙も有るだろう。そこには高そうな紙からチラシの裏とわかる紙まで様々な種類が広がっていた、まさしく何にでもなれると、何にでも名乗れると言うように。
改めて広がる紙を見渡し、一枚を手に取った。
「この名前を、名乗らせてもらいます」
彼女の手に取った、ヒーロー名は。
――――――――――――――――――――――――
1-Aのドアの前から渋く大きな声が響く、めちゃくちゃ元気あるよ!と思う程の声。
教室内がざわつく前にドアは開かれる。
「わーたーしーがー!普通にドアから来た!!」
ドアを開けてさらに響く声、オールマイトがやる一回目のヒーロー基礎学の授業がこれから始まるのだ。1-A全体がざわついている、有名どころが世界的ヒーローだ。誰もが彼を知っている。
鼻歌交じりに入ってきたオールマイトの後ろからヒーローオタクの緑谷出久も知らないようなヒーローも続いてやってきた。
教室はより一層ざわつきを見せたが、そのヒーローは一言も発しなかった。
「ヒーロー基礎学!ヒーローの素地をつくる為、様々な訓練を行う科目だ!単位数がもっとも多いぞ!それでは、早速だが今日はコレ!!戦闘訓練だ!」
BATTLEとか書かれた紙をオールマイトは見せると教室の壁も待ってましたというかの様に動き始める。
それは生徒達が入学前に送った個性届と要望に沿って学校専属のサポート会社がつくりあげた
尚時折だがサポート会社の作り手の趣味が入ることもある、要望を出す時はしっかり書こう。
「着替えたら順次、グラウンド・βに集まるんだ!格好から入るってのも大切な事だぜ!少年少女!!自覚するんだ!!!今日から自分は、ヒーローなんだと!」
グラウンド・βに行く前の少し前の話である。
お昼を取り終わり、八木俊典と八木典花は仕切り一枚隔てて互いにヒーローコスチュームに着替えていた。
「俊典、緑谷少年以外にも、クラスもしっかり、あー爆豪少年も見てくれないか?」
「爆豪少年?」
「緑谷少年の因縁の幼馴染さ、彼は、意外と溜め込む」
「そうは見えないが…」
「どんなに振る舞っていても、高校生さ。まあ!オールマイトがいっぱいいっぱいなら私が見よう!爆豪少年しかり、緑谷少年も、1-Aも1-Bも!むしろ雄英高校全体を!」
「オイオイ!そりゃ無理があるぜ!せめて1-Aだ!私達ヒーローは違うとしても教師としては新人だぜ!?まだひよこ、ピヨピヨだ!それに、1-Aがヤバいんだろ?典花」
「…そうだな、すまない。焦ってるのかもしれない、まずは目先、手に届く1-Aだな。まずは1-Aを守って、育ててあげなくては」
「焦るなよ、キミは一人じゃない、だろ?」
「それはお互い様だ、オールマイト」
グラウンド・βに入る門から遅れてやって来た緑谷出久を見て、彼女の思考は浮上した。恐らく最初の山か、それとも谷だったのか。
「オールマイト、全員来たぞ」
「よし、始めようか、有精卵共!戦闘訓練のお時間だ!!」
生徒達が互いのコスチュームを見たり、オールマイトが緑谷のコスチュームを見て、自らの特徴との一致点に気付き笑いを堪える中、飯田天哉が手をビシッと上げ、 質問をする。
「先生!ここは入試演習場ですが、また市街地演習を行うのでしょうか!?」
オールマイトの答えはこうだ。
飯田の問いの二歩先、屋内での対人戦闘訓練。
ヴィラン退治は主に屋外で見られることもある(故にニュースなどに取り上げられる事も多々あり、騒ぎを聞きつけ野次馬と化した一般市民も寄ってくるぞ!)、だが統計で言えば屋内の方が凶悪ヴィラン出現率が高いのだ。
真に賢しいヴィランは人目に付かない闇に潜む!
今回はそれを想定しての戦闘訓練である。
今回の戦闘訓練は1-A内でヴィランとヒーローに分かれ、2対2の屋内戦。
ただ闇雲に提案した授業では無いのだが設定としては『ヴィランがアジトに核兵器を隠し、ヒーローはそれを処理しようと考えている』というものだ。
勝敗の決め方は制限時間内にヒーローサイドはヴィランを捕まえるか核兵器の回収、ヴィランは制限時間まで核兵器を守るかヒーローを捕まえること。
「ペアの決め方はくじだ」
「適当なのですか!?」
「えっと、それはね…」
「くじならランダムになる筈だ。それに飯田天哉くん、プロになり、その場で何かあったら急遽チームアップすることもある。現場では臨機応変に活動出来なくてどうするんだ?」
「なるほど、先を見据えた計らいだったのですね!確かに臨機応変に対応出来なければ、自身の怪我のもとや救護者への対応などに手間を取り、ヴィランへの対応もとい救護者や自身の命に直結します!」
飯田がそう言って納得してるのを見た名乗らないヒーローはオールマイトにボソボソと小声で叱咤する。
「しっかりしろ!オールマイト!ある意味敵は外だけではない!授業にするんだからしっかり答えられるようにしとくんだ!」
「ご、ごめん!そこまで突っ込まれないと思って!」
「それはわかる!」
「くじを引く前に、一ついいかしら?」
そう言って喋り出したのは蛙吹梅雨だった、その質問はみんなが気になる質問。
「オールマイトの隣にいる先生はなんて名前かしら?」
「確かに、何かあったら先生の名前を呼べないと大変ですものね」
「みんな先生だよね!先生被りして誰が誰だかわからなくなりそう」
八百万や芦戸も同じことを思っていたらしい、他の生徒もざわついている。皆同じ事を思っていたようだ。
声に出してはいないが爆豪はもう一人のヒーローをじっと見ていた。
「(なんでアイツ、こんなにオールマイトと似てるんだ?つかなんで前髪同じように立ってんだ!本人を目の前にだなんてクソデクだけで十分なんだよ!!!)」
「わ、私は…」
「(典花…)」
「私は、オールライト。オールマイトと名前が似てるから良かったらライトと呼んでくれ!実はオールマイトと同じ新人教師なんだ!緊張してしまってすまないね!よろしく!1-Aのみんな!」
彼女は名乗るだけで緊張をしていた。生徒の前だと言うのに。
名前とは一度名乗れば、変わることは無い。
特に影響が大きくなっていけば、変わることは難しい。
自分で名前を決める事を出来なかったを悔やんでいた。
“オールマイト”から彼女は離れることが出来ず、似た発音、似た字面の“オールライト”と彼女は名乗る事となった。
オールマイトは知ってか知らずか、笑って応援をしてきた。
「HAHAHA!そう言うわけだ!オールライト先生と私はある意味、そう、有精卵だ!君達はヒーローの!私達は教師の!新人教師として頑張るから何かわからないことがあったら質問をしてくれ!HAHAHA!」
「…よし!ではくじ引きを始める!」
くじはAからJの10組となった、最初の試合はヒーローサイド Aチーム麗日&緑谷 VS ヴィランサイド Dチーム 飯田&爆豪。
オールマイトが試合の説明をしてる間、オールライトは残りの生徒を地下のモニタールームへと誘導をした。誘導し終わった頃にオールマイトはやって来た。
「来たなオールマイト。さて、君達、よく見てるんだぞ!自ら動き、学ぶこともあるが、見て学べることも沢山ある!四人の動きを見て、考えて、この後の戦闘訓練をどう動くか、次に生かしてくれ!」
モニターを見れば既に戦闘訓練は始まっていた。
ヒーローサイドのコンビは既に侵入は成功、かと思いきや画面内の突然の爆発。爆豪勝己の奇襲だ、彼の先手の攻撃。
「…始まったな」
「爆豪ズッケぇ!奇襲なんて男らしくねぇ!!」
「緑谷くん、よく避けられたな!」
「奇襲も戦略!彼らは今、実践の最中なんだぜ!」
「しっかり画面を見るんだ!少年の反撃だぜ!」
次の瞬間、画面の中の緑谷は爆豪の攻撃を受け止め、その腕を掴んだ。麗日がすごい!と達人の動きのような緑谷に歓喜する。一方爆豪は緑谷に動きを読まれた事に驚いていた。
緑谷出久は日々、成長している。
その下地は、昔からあった。
個性の譲渡、オールマイトの応援、自らの努力により前途ある少年は遅れながらも開花し始めているのだ。
彼はもう、雑魚で出来損ないのデクではない!
「かっちゃん、僕は…“頑張れ!!って感じのデク”だ!」
「ビビリながらよぉ…そういうとこが」
爆豪勝己の導火線は。
「ムカつくなぁあ!!!」
全てを巻き込み爆発をし始めた。
「アイツ、何話してんだ?定点カメラで音声ないとわかんねえな」
「小型無線でコンビと話してるのさ!」
各チーム互いに渡されたのはコンビと話せる小型無線、建物の見取り図、捉えた証明とする為の確保テープだ。尚制限時間は15分、3分のカップラーメン5個分の待ち時間に対しヒーローにはそれプラス、核の場所は知らされていない。ちなみに先生のオールマイトとオールライトには先程から爆豪たちの声は聞こえている。
芦戸はヒーロー側が不利だとオールマイトに言う。
「(そりゃ不利になるさ、実践ならもっと不利!場所がわからない、人がいない可能性だって大いにある!この戦闘訓練は相手がクラスメイトとなってるだけ、捉えようによればほぼ実践!ただこれは)…相手同士がな」
「せーの!」
「Plus Ultra」「あ、ムッシュ爆豪が」
爆豪勝己は冷静に怒っていた。
蹴っても、殴っても、当たらず、避けられ、その上デクは“個性”を使わない。さらに確保証明のテープで確保してこようとする。
そしてまたも読まれる右の大振り。
燃しても燃しても現れる導火線は火が付き、緑谷出久を見る度に、無個性のデクを思い出す度に、爆発する。
無個性の、デク。無個性と嘘を付き、実は派手な“個性”持ちだったくせに“個性”を使わない、デク。
「使ってこいや!俺の方が上だからよお(石っコロが…!!俺の方が、俺の方が上だ!!!)」
爆豪勝己が緑谷出久を探している時、麗日お茶子はハリボテの核と飯田天哉を発見していた。
真面目な飯田天哉はヒーローになる為に悪に染まろうとしていた!
「俺はぁ…至極悪いぞぉおお」
案の定麗日の笑いのツボをぶち抜いていった為、麗日は笑ってしまい、自ら飯田に見つかりに行ってしまった。
麗日に気付いた飯田はただ一人、核のある部屋にいた訳ではない。爆豪が飛び出した時点で麗日が一人この部屋に来るのはわかっていた。そして彼女の個性は触れた対象を浮かす、つまり飯田天哉は一人核のある部屋で片付けをしていた!
「君対策で、このフロアの物は全て片付けておいたぞ!これで君は小細工出来ない!ぬかったヒーロー!フハハハハ、フハハハハ!!」
「様に…なっている!」
「オールマイト、そろそろ気をつけてくれ」
オールライトとなっている八木典花は、オールマイトに忠告をした。根本的にはまだ変わっていない、前の世界と同じだ。
変わったのは、海岸のゴミが多く拾えた事だけだと典花は認識している。
「気をつける?」
「爆豪少年と緑谷少年が絡む戦いはとてもデンジャラスなんだって、あぁ!ほら!」
二人が画面を見る時には爆豪の手は、小手のピンを取ろうとする所だった。オールマイトは急いで話し掛けるマイクをオンにする。
「爆豪少年ストップだ、殺す気か!?」
生徒達には声は聞こえなくとも、その凄まじい音と振動は地下まで聞こえてきた。焦る1-A生徒、いつ助けに行けるようにと身構える典花、そして緑谷出久の心配をするオールマイト。
そんな地下の事はつゆ知らず、貯れば貯まるほど強くなるニトロのような汗は一つではない、それは彼の心も同じなのだ。
爆豪勝己の溜まりに溜まって肥大化した自尊心と。
「“個性”を使えよ、デク。全力のてめェをねじふせる」
緑谷出久への価値観。
「オールマイト先生、止めた方がいいって!爆豪あいつ、相当クレイジーだぜ、殺しちまうぜ!?」
「いや…(妙な部分が冷静なのか、みみっちいのか、なんというかな。とにかく)爆豪少年、次に
そう注意すれば次に先生の二人の耳に入ってきたのは爆豪勝己の殴り合いの宣言、しかし殴り合いと言う割りには前から来たと思えば後ろに飛び、緑谷の背に攻撃をしてきた。
そして得意の右の大振りをし、緑谷の腕を掴み、そのまま個性を使い素早く回転をし、コンクリートの床に緑谷出久を叩き付けた。
「リンチだよコレ!テープを巻き付ければ捕らえたことになるのに!」
「ヒーローの所業に非ず…」
「テープを巻きつけることを覚えてないとか?」
「緑谷もすげえって思ってたけどよ、戦闘能力に於いて爆豪は間違いなく、センスの塊だぜ」
爆豪が足音を出し一歩進む、それに気付いた緑谷は急いで立ち上がり逃げ出す、がすぐに壁へと辿り着き、向かってくる爆豪の方を向く。音声が無くとも生徒達も気付いていた、戦闘能力についてはセンスの塊で、現在圧倒的有利な筈の爆豪勝己の方が余裕が無いことを。
一方オールマイトは音声を聞きながら迷っていた。
「(止めるべき…!!だが、止めて
止めるか悩んでいたオールマイトにやっと切島の声が聞こえた。一瞬の筈なのに、物事は物凄く進んでいるように彼は見えた。
「先生!ヤバそうだってコレ!オールマイト先生!!」
「…ッ!双方、ちゅう…ッ!!」
皆が息を呑んだ、爆豪勝己も緑谷出久も引く気はない目線の混じりと攻撃の動作に、だが緑谷の意志は違った、その拳は天井へと向かっていた。
天井は吹き飛び、その衝撃で窓も割れ、その威力は核のあるへと向かっていた。
一方麗日お茶子と飯田天哉のいる部屋はその衝撃で床吹き飛んでいた。二人は距離を取っていたため離れていたが、そんなことは関係ないと言うような攻撃を麗日はしてきた。
柱を個性で重さを無くし、衝撃で吹き飛んだ床の瓦礫たちを大きく振りかぶってスイングした!
「飯田くん!ごめんね即興必殺!彗星ホームラン!」
「ホームランでは、なくないかー!?」
少しずつ、確実に、絡まった糸が解ける速度で戦況は変わって行った。
爆豪は上を向き、連なり穴が開く天井を見た、その思考は案外冷静で彼は戦況を即座理解した。
飯田は攻撃に怯み、核の側にいながら麗日と核を一瞬忘れていた。
ヒーローサイドは核に触れ、戦闘で満身創痍。ヴィランサイドは核を触れられ、戦闘ではそれ程ダメージを受けてはいなかった。
勝負に負け、試合で負けたのだ。
「ヒーロー…ヒーローチーム、
佇む爆豪勝己のもとにオールマイトが肩に手を乗せ、講評の時間だと言い渡す。
講評も終わり、次のチーム、講評と授業は繰り返すも、爆豪はそれを見てまた焦っていた。
授業内の戦闘も時間も終わり、俊典は緑谷を見に行くといいコスチュームのまますぐに彼は保険室へと向かった。
そして時間は既に放課後、スーツ姿で爆豪勝己が出てくるのを待っていた八木典花、ここで一つ思い出す。
「…そういえば私、あの時爆豪少年に喋りかけたよね?つまり、あれだね…HAHAHA!私別に今日、俊典に合わせて出なくても良かったんじゃないか!そして俊典が爆豪少年に喋りかけるから…スタンバイしなくても、良かったわけだね!」
「かっちゃん!」
「ああ?」
「あれは緑谷少年と爆豪少年!やっぱり彼に任そうかな、私よりかは彼、教師初心者なんだし…」
しかし彼女はここは聞いていなかった。
何故なら、あの時は涙を拭いている爆豪勝己しか見ていなかったから。ここから先は彼女も知らない話であった。
話からは聞いていたが、どんな風に言ったかまでは聞いてはいなかった。
「人から授かった“個性”なんだ」
「…ッ!?」
「…!?」
八木典花と爆豪勝己は時間差でリアクションが被ってそこで典花は我に返った。知っていてもどこまで、どんな感じで喋るのかと慌てていた為に小声で実況する不審なスーツを着た女性と化していた。
「少年、オイオイオイ、少年?そうだね、誰からかは言えない、コミックみたいだね、ろくに扱えないのは仕方ないだろう…!僕の力、か。そうか、この時点で覚悟を決めていたのか、緑谷少年。それが神野に続くのか…」
「こっからだ!!俺は…!こっから…!!いいか!?俺はここで一番に
「…やはり、爆豪少年も見るべきだな」
その後は典花もしたテンポで事は進み“オールマイト”はその日の教師業を終えたのを見届けた。
その日の夜、ヒーロー及び教師 オールライト初日を終えた八木典花は電車を使い、帰宅した。
既にサー・ナイトアイは帰っていたらしく、リビングには夕飯が置いてあった。
「HAHAHA!わーたーしーが!サーの家に帰ってきた!ただいま!」
「おかえりなさい、本日はどうでした?」
「いやあ、あまり前の時と変わらなかったかな」
「そうではなく、ここでは初めてのヒーロー活動だろう?」
「…ひ、久しぶりに凄い緊張したよ、名乗るだけだというのにまだ少し震えが…。ごはんだ、ご飯にしよう!ナイトアイ!夕飯なにかなー!」
「あからさまに話を反らしましたね。ちなみに夕飯はほうれん草と小松菜と油揚げの味噌汁わかめ入り、紅鮭、ひじきの煮物、沢庵、豆腐、ほうれん草のおひたし、それと切り干し大根です」
「すごい和食!いただきます!!んー!味噌汁美味しい!!」
夕飯のラインナップ紹介が終われば早くも食べ始める典花、それを見ながらサー・ナイトアイは今日のことを話し始めた。
「今日は仕事が早くに終わって、書類も全て書き終えて、サイドキック達に早めの帰宅を促されたんだ。家に帰っても暇なので、この通りだ。時間の掛かる料理ばかりしてみたんだが…その、美味しいですか?」
「お惣菜じゃなかった!ああ、凄く美味しいよ!毎日和食でも良い!」
「当たり前だ、別の世界といえぞオールマイト、そしてこれから花咲くことが確定の新人ヒーローであり未だ輝きを失わないヒーロー。それがあなただ。それに…この前根津校長からひと通りあなたについてのことが書かれたレジュメが改めて来たが、やはり胃が心配で…」
内容について典花はわからないが、胃となるとやはり八木俊典との一致、そして不一致、そしてここに来てからの事が書かれているのだろうと手に取るようにわかった。
だが胃はもう典花は平気なのだ、病院でも大丈夫だと言われた。今の所通院はしていない。
それでも心配をするのは腹の傷を見たことがあるからだ。
「大丈夫だ、ほら!こんなに食べれる!それに私は俊典とは違う、何故か臓器は戻って…戻って…あぁ!」
八木典花は“戻って”の単語でまた一つ思い出した事がある。どうやらすっかり忘れていたいたようだ、とてつもなく大切なことを。
「(なんで私、ワンフォーオールを使えているんだ?あ、あんなに覚悟を持ってワンフォーオールとオールフォーワンに別れを心の中でしたというのに…!!)…ッ!!」
「典花さん?」
すっかり、と言うか例えるなら『半年後の真実』だったり、『去年単行本や本誌で死んだ推しが、4期アニメ化で出てくるという事実に喜ぶも束の間、4期で来年か今年確実にまた死ぬという事実にふとした瞬間気付いたような感じ』の絶望と衝撃とうっかりが混ざりあった感情はとてつもなく大きく、典花は箸を落としてしまった。
ここで一つの憶測が典花には過ぎる、まだ何か忘れてないかと。
「どうしました、典花さん」
「ナイトアイ、明日か明後日、夜時間ある?」
「夜?急用がなければ今の所はありますが…」
「恥ずかしい事に私ね、死んだ後からここで生きるのに必死だったみたいで、色々忘れていた事がある。思い出すのとメモ取るの、手伝ってくれないかな?」
「…何かと思えば、手伝うのは当たり前でしょう」
「ごめんね、迷惑を掛ける、サー・ナイトアイ」
「掛けてください、あなたはもう一人ではない」
「…ありがとう、ナイトアイ」
こうして後日、サー・ナイトアイと八木典花の長い夜が始まる。
そこで八木典花は気付く事となる、“サー・ナイトアイ”とサー・ナイトアイは違う事に。
次回、オリジナル路線、私の性癖を詰め込む話。
八木典花の世界の“サー・ナイトアイ”と八木俊典のサー・ナイトアイについてのお話。
サー・ナイトアイは性癖。ちなみにサー・ナイトアイの原作の本名も書きます。
次回は乞うご期待を自分がしたい!
ここまで月日掛けて書いときながら実はまだ【八木典花にどの道を歩ませる】かをまだ決めてないので参考にさせてください。
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