地に落ちた英雄は諦めない   作:風見 桃李

15 / 21
土曜日のあの話に間に合わなかった、悲しい!
既に火曜の朝の四時ですよ!
それと爆豪少年の感じと雰囲気が掴めないぞ!



No.15 ボロボロでも歩みを止めないヒーローへ

雄英高校授業再開の日、八木典花は朝早くから起きていた。朝から病室でガタガタと物音を出し、五月蝿く不審がったナースが病室へと入ってくる。

「八木さーん、入りますよー?って何しているんです?!車椅子なら出しますので動かないでください!」

 

朝の5時、前日の昼から寝ていた彼女は携帯の通知の確認をしていた。

電話は日にち的にUSJの日の見舞い前のホークス一件、昨日は夜掛かっていたらしく根津一件、それと八木俊典名義で登録されているオールマイト十件。

メールは多い順に八木俊典20通、サー・ナイトアイ5通、根津2通、ファットガム2通、ホークス1通であった。

真っ先に根津のメールを見た典花はハッとした。

「今日から再開!?あっいや、そういえば再開していた。あっ、足は…そうだ、動かない。車椅子、車椅子だ!!(なに!?折り畳んであるー!!)」

 

バッと横を見れば折り畳まれてある車椅子、横に広げるだけなのだが如何せん当たりが悪いのか錆びてて固くて広げにくい、何より片腕のみしか使えぬ身。

どうにかこうにかと悪戦苦闘の末路、ナースの入ってくるタイミングであった。

サー・ナイトアイに雄英高校に行くという内容のメールを送り、向かおうとしたが肝心の服が無いというのに気付いた。

「…病院から出れないか。服がないというのは盲点だった」

 

だがここは学校近くの病院、マッスルフォームになり飛べば5分以内には着くだろう。その前にヒビだった足は骨折し、体に負荷がかかり、恐らく授業どころでは無いだろうが。

彼女にとってはそれは、苦渋の決断だった。

携帯を手に取り、早朝からおはようコール同然の電話をする。

「あ、もしもし?おはよう」

『…早朝からなんだ、まだ寝ていたんだが』

「ご、ごめんネ?あのよかったらスーツ、持ってきてくれないかなあとおもって…学校のロッカーにあるよ」

『あの怪我で学校に来る気か?』

「車椅子だが片手は動くし、何より生徒達に動けることを教えてやらないとな」

『それなら、俺が言っときますよ』

「HAHAHA!それには及ばないさ!何より私の所の相澤消太も動いていた、私が居なければならない」

『…それは、未来が、変わらないようにする為か?』

「いや、未来は変わったよ、相澤くん。変わったから行くんだ、そして1-Aの心配を除く為に、私が行く」

『(私が行く、ね。)あー、わかりましたよ。ではそちらには7時には着くようにします』

「あぁ!ありがとう!」

 

そして、時は過ぎ、朝のホームルームの時間帯の1-A教室、皆座ってるが飯田天哉の大きな声が響き渡る。そこに間髪入れずに車椅子に乗り押してもらってる八木典花と車椅子を押す相澤消太が入ってきた。

「みんなー!朝のホームルームが始まる、席につけー!!」

「ついてるよ、ついてねーのおめーだけだ」

「お早う」

「やあ!おはよう!」

「や、八木先生!」

「「「八木先生怪我だらけ!!」」」

「まあ!もしかして八木先生はオールライト先生だったんですの?」

「怪我の位置も同じ!つまり八木先生はオールライト先生だったのですね!!」

「…ん?(おい、まさか)」

 

八百万と飯田の発言で、相澤消太は初めて気付いた。

オールライトとして活動していた際はオールライトと名乗っていた、副担任の八木先生として動いてる際は八木典花として名乗っていた。

オールライトは八木典花と名乗っていないし、八木典花はオールライトと名乗っていない。

つまり1-Aは(一部を除き)八木典花=オールライトと認識をしていなかった。

「(これは、考えもしなかった。俺も当たり前に認識してたな)」

「HAHAHA!あれ?気付かなかった?」

「気付くわけねェだろ!クソがァ!」

「いや、爆豪、先生だよ先生」

「まあ、私の安否がわかった所で、もうそれはどうでも良い!」

「(良いワケねェだろうがァ!!)」

「(ケロケロ、絶対良くないと思うわ)」

 

各々良くないよなあと思いながらも話は進む。

相澤はまだ戦いが終わってないと言う、その戦いとは!

「戦い?」

「まさか…」

「まだヴィランがー!!?」

「雄英体育祭が迫ってる!」

 

安堵ともに教室に歓喜と楽しみの声が響き渡る。

それは実に学校らしい行事、高校一年生の彼等の最初のイベントがやって来る。

「「「クソ学校っぽいの来たあああ!!」」」

「(…クソ?)」

 

ヴィランに侵入されたばかりなのに大丈夫なのか?という生徒の声に対し、逆に開催する事により危機管理体制が盤石と示す考えのようだ。

尚警備は例年の五倍の強化、二倍ではない、五倍だ。

「何より雄英の体育祭は最大のチャンス、ヴィランごときで中止していい催しじゃねえ。ウチの体育祭は日本のビッグイベントの一つ!!かつてはオリンピックがスポーツの祭典と呼ばれ、全国が熱狂した。今は規模も人口も縮小し、形骸化した。そして日本に於いて今、かつてのオリンピックに代わるのが雄英体育祭だ!!」

「当然全国のトップヒーローも観ますのよ、スカウト目的でね!」

資格習得後(そつぎょうご)プロ事務所にサイドキック(相棒)入りが定石(セオリー)だもんな」

「そっから独立しそびれて、万年サイドキックってのも多いんだよね。上鳴あんた、そーなりそう、アホだし」

「くっ!!」

「当然名のあるヒーロー事務所に入った方が経験値も話題性も高くなる。だがそうでなくても活発的なヒーロー事務所も有る事を忘れるな。時間は有限、何であれプロに見込まれればその場で将来が拓かれる。年に一回、計三回のだけのチャンス!ヒーロー志すなら絶対に外せないイベントだ!!」

「そういう事だ、今からでも自分が何が出来て、何が伸ばせるか、何が苦手かとか考えておくといいぞ!」

「ホームルームは終わりだ。俺は八木先生を職員室に送り届ける。飯田後ヨロシク」

「さあ!一限の準備をしたまえ!!」

「いちいち立つな」

 

飯田に小さな間時間を任せて、相澤はそう言いながら車椅子を押して1-Aを出ていった。

体育祭の活気と八木先生への心配、そして八木先生がオールライトと知ってから1-Aは変なテンションでその日を過ごす羽目となった。

一方廊下の二人は言い合いをしそうな雰囲気である。

「このあとしっかり帰ってください」

「…え?!」

「え?じゃない。アンタに会う前に医者に会ったんだ、戦闘行為及び激しい動き禁止と聞いたが?それに片腕、両足、それと…片眼が使えないアンタが居ても何も出来ない。仕事が出来ないなら帰った方が合理的だ」

「デスクワークなら…!」

「オールマイト並みだろ」

「オールマイトよりは出来るよ」

 

そう言いながら頭を上に向け、相澤にぎこちなく笑いかける典花。笑えないのだろう、顔はまだ怪我だらけだ。

相澤は一度立ち止まり、彼女の頭を優しく掴む。ゆっくりと前を向かせると再び車椅子を押して進む。

「比較対象が悪い」

「(ん?今の動作はなんだ?)え、あ、じゃあせめて昼までは居させてくれないか?リカバリーガールに足を治してもらいたいんだ」

「…ハァ、仕方ない。足治してもらったら」

「帰るよ!帰るさ!」

「真っすぐ帰ってくれ」

 

そう言うとぎこちなく職員室のドアを開ける、普段やらない車椅子の補助と不慣れな介護により思わず、力の加減を間違えてしまい、ドアを開けた際に大きな音が鳴り響いた。

「うわ!」

「すみません、車椅子越しに開けるものじゃないな」

「うるっせいYO!何してんだYO!」

「黙れ山田」

キャァァァァ!本名やめてぇぇぇえ!!

「うっさいわよ!マイク!オールライトさんの傷に響くでしょ!!」

「(二人共うるせえ)」

「(元気だなあ)」

 

相澤は個性を使い本名 山田ひざしことプレゼント・マイクのヴォイスを抑える。それでも成人男性の大声の声量である、デカイ。そして声の仕事を生業とし、常に声を張っている、追加要素が多く更にデカイ。

案の定と言うべきか、退院したての典花の頭に響いていた。

「とりあえず居ても昼まで、ちゃんとリカバリーガールに治してもらってくださいよ」

「あぁ、わかってるよ。家にも真っすぐ帰る」

「「(オールライトさん、絶対真っすぐ帰らないな)」」

「車椅子は俺が返しとくから。治して貰ったら絶対帰れ、いいな?絶対、真っすぐ、帰れ」

「わかったって!」

 

プレゼント・マイクとミッドナイトはそのやり取りを見てそう思った、その目線は生暖かい。

無論相澤も真っすぐ帰らないなとは思ってる、だが真っすぐ帰る可能性が作れるなら合理的じゃないが何度も言う。

後ろ髪を引かれるが授業が待っている、相澤は授業の準備の為、早々と職員室を出る。ミッドナイトやプレゼント・マイクもと、次々と教師は職員室を出る。そこには一人ポツンと、車椅子の八木典花のみが残る。

「…はあ、そんなに寄り道するように見えるかなあ」

 

実際の理由は寄り道よりも困った人を助け、最終的に怪我の悪化をすると思われている。あり得なくはない上に助けの声が聞こえれば、真っすぐとそこへ向かうだろう。

そう思われているとは知らず、気を取り直して典花は片手を使い、書類の作成と誤字の訂正をしていく。

時は過ぎて四限は終わり昼休み、仮眠室にはオールマイトと緑谷出久が対面で座っていた。

「一時間前後!?」

「ああ、私の活動限界時間だ。ハイお茶。…無茶が続いてね、マッスルフォームはギリギリ…そうだな、少なく見積もって一時間半くらい維持出来る感じ」

「そんなことに…ご…」

「HAHAHAHA、謝らんで良いよ!全く、似たとこあるよな君と私。それより体育祭の話だ。君まだ、“ワン・フォー・オール”の調整出来ないだろ、どうしよっか」

 

そこで緑谷は少しだけハッとなる、それは脳無に一回撃った時は反動が無かったということ。オールマイトも何が違ったんだろと驚きを見せる。

緑谷は少し思考を巡らす、そして一つの結論に辿り着く。

「初めて…人に使おうとしました」

 

それは無意識のブレーキ、何にせよ一つの進展をした。だがそれだけではまだ足りない、まだまだ足りない。

「ぶっちゃけ、私が平和の象徴として立っていられる時間って、実はそんなに長くない」

「そんな…」

「悪意を蓄えている奴の中に、それに気付き始めている者がいる。君に力を授けたのは私を継いで欲しいからだ!体育祭…全国が注目しているビッグイベント!今こうして話しているのは他でもない!!次世代のオールマイト、象徴の卵…君が来た!ってことを、世の中に知らしめてほしい!!」

「僕が…来たって。でもどうやって…」

「雄英体育祭のシステムは知っているね?」

「っハイ!もちろん!?」

 

雄英高校の体育祭は四つの科、サポート科・経営科・普通科・ヒーロー科が混ざって一年・二年・三年と各学年ごとに各種競技の予選を行い、勝ち抜いた生徒で本戦を競う学年別の総当たり戦。

つまり、一年は一年生で見てもらえる為、一年の中で目立てば全力で自己アピールが出来るのだ!!

「ハア…」

「ハアて!!!」

 

芸人並みに体を張り椅子ごと引っくり返るトゥルーフォームのオールマイト、血を吐きながらその血は弧を描く。

尚漫画*1だと彼は靴下を履いていないのがよくわかるしよく見える。*2

しかしそこに居るのはナンセンス界の期待の新星、ブツブツと言いながら考え込んでしまった。

「ナンセンス界じゃ他の追随を許さないな君は!!!」

「ナンセンス界…!」

「常にトップを狙う者とそうでない者…その僅かな気持ちの差は社会に出てから大きく響くぞ。気持ちはわかるし、私の都合だ、強制はしない。ただ…海浜公園でのあの気持ちを忘れないでくれよな」

「…あ、そうだ、海浜公園で思い出したんですが、一つ質問が」

「ん?なにかな」

 

引っくり返ったままのオールマイト、どうやらそのまま話せという視線なので緑谷はそのまま話し出す。

別に起き上がるのが面倒な訳ではない。

「あの、オールライト先生ってオールマイトなんですよね?」

「ゴハァ!?何で知ってるの!?」

 

血だらけの顔でオールマイトは起きあがる、血を拭きながらだが、明らかに焦っていた。そうと気付かず緑谷は話を続ける。

「八木先生…もうひとりのオールマイトと特訓した日に言われてました。も、もちろん誰にも言ってません!他言無用と言われました!」

「うぅん、なんて言って君に言ったの?」

「えっと、『初めまして、緑谷少年。私の名前は八木典花、オールマイトだ』って、それと空から降ってきたのが八木先生で、平行世界のオールマイトって言うのも」

「(重要性の高い事ばかり言っているー!!)ま、まあ私からも一応言っておこうか、君はいずれ知るかも知れないしな。もちろんこれも他言無用だぜ?」

 

椅子を元に戻して座り直す、真剣な声と表情でオールマイトは話しだす。それに対し緑谷はしっかり話を聞こうと前のめりになり、手は拳を作り、強く握り締める。

「名前は聞いたね?彼女の名前は八木典花、彼女は…オールマイト、だった人」

「だった?」

「あ、いや!ほら、今はオールライトだからね!(あの時、あの時に彼女はオールマイトからオールライトになった。もう彼女は…)」

「あ、なるほど!」

「彼女は、ヒーローオールマイト。折れても立ち直れる心の持ち主だ。オールマイトとしての私と彼女の違う点は、ここのオールマイトは私で、あとは性別と性格とかかな!」

「オールマイト、なんでヒーローってわざわざ付けているんですか?」

「…ここだけの話、ヴィランの可能性をまだ捨ててない人がいてね。私は彼女の事をヒーローオールマイトだと思っているよ。ヴィジランテなら、まだ少しわかっちゃうけど、ヴィランなんてことは決してない!ってね」

「僕は、僕はヒーローだと思います!八木先生がヴィランなんて!」

 

そう言いながら思わず立ち上がる緑谷、思わず八木俊典は嬉しくなる。一人のただの八木俊典として彼女と接した時間が有る、一緒に生活した時間が有る、出会いと認識は驚きに満ちたものだったけれど、そこには共通したものがある。

そして近くで、オールマイトの八木典花からオールライトの八木典花へと変わった彼女の戦いを彼は、“オールマイト”は目撃した。

「…ありがとう、少年」

 

一人でも彼女をヒーローと認めてくれるなら、彼女は何度でも立ち上がれる。

八木俊典が表舞台から消えても、八木典花が居るなら。

「(…典花と会うのが、緑谷少年と会うよりも早かったなら。いや、それはナンセンスな考えだ。むしろ彼女が居るから彼を育てられるとも…どちらにせよ、希望はここにある。緑谷出久と八木典花、そしてヒーローの卵たち)」

 

フッと感極まり下を向くと時計に目が入る、昼休み終了のチャイムまで残り5分であった。緑谷同様思わず立ち上がり、指を指し確認をした。

「(お昼食べた!お茶飲み終わった!よし!)緑谷少年!すまないが私は保健室に行ってくる!典花がまだギリッギリ居る筈なんだ!」

「あ、僕も!」

「よし!ならおいで!」

 

廊下は走らず歩いてね!ということなので早歩きだったオールマイトとその後ろをついていく緑谷出久。

角を曲がろうとするとそこには保健室を出てくる八木典花だった。だがよく見ると彼女の方に誰かが向かってきていた。

オールマイトと緑谷出久は覗くように、それを見る事とした。

「リカバリーガール、ありがとうございます。はい、失礼しました」

「おい」

「ん?ばっ、爆豪少年!?」

「怪我は?」

「け、怪我?足なら治ったよ、腕と目の付近はまだだけどね」

「…あんたは、オールライトなんだよな?」

「あぁ、そうだよ」

 

しかめっ面にプラス、さらに眉間にシワをググッと寄せる爆豪勝己。何を言いたいのか、伝えたいのか察するの事の出来ない八木典花は首を傾げる。

わかりそうなことと言えば、爆豪の視線は腕の包帯と顔の包帯、もしかして心配をしているのでは!?と典花は思った。

「…もしかして(しん)ぱ」

「怪我治ったら俺と戦え!」

「へ?戦え?」

「俺は、まだ弱ぇ。アンタを見て思った」

「えっと、戦えって事は…爆豪少年の師かライバルになれって?」

「アンタがライバルな訳ねぇだろう、アンタは俺が超えるべき壁だ!」

「…壁、ね」

「だがアンタの怪我が治らなきゃ倒すにも倒せねえ、俺は完璧な状態のアンタを倒してえ」

「本当にそうかな?」

「ア?」

「正直言うとね、私は強いよ。怪我をしてても君を往なせるし、右手があるから攻撃もできる。今なら両足も使える、左腕や片眼が使えないからって君に対してのハンデにもならない。それに、ライバルじゃないなら師にしたいんだろ?」

「弟子にしくれや」

「(はっや!態度で示せ的な事言おうと思ったのに!)ま、まあ考えておくよ」

「今決めろや、オールライト!」

「とりあえずおばさんと連絡先を交換しようか」

「なら携帯出せや!」

「リネしてる?」

「しとるわ!とっとと携帯出せや!」

 

「…すごい」

「オールマイト、展開がよくわからないです」

 

隠れてみるんじゃなかったと二人の心の声は一致した。

もしかしたらとんでもない師弟コンビが出来てしまうのでは?とオールマイトは思っていて、緑谷に至ってはオールライトがあの勢いに呑み込まれてしまうのでは?と思っていた。

案の定その二人の考えは八木典花・爆豪勝己師弟コンビが本格的に出来てしまえば、その通りになってしまうのだが。

尚この間の時間は3分未満、オールマイトが平仮名ですごいとしか発言しない訳だ。

 

結局この後チャイムは鳴り、緑谷はオールライトには会えず爆豪より先に教室へ戻った。曲がり角に来た爆豪はオールマイトに気付き、聞いていたなと思っていたのか挨拶より先に別の言葉が出てきた。

「聞いてたんすか」

「…ちょ、ちょっと」

「そうっスか」

「(え、それだけ!?)」

 

爆豪もまた、教室のある方向へと帰っていった。改めて保健室の方向を見ると八木典花が立っていた。

眼と眼が合い、視線が繋がる。ゆっくりと八木典花は八木俊典のもとへ歩き始めた。

「オールマイト、どうかしたか?」

「…病室、行けなくてごめん」

「良いよ、長々と病室に居た訳じゃない。それよりも歩きながら話そう、校舎の外まで良いかい?」

 

そう言われ、オールマイトは頷き、二人は話し始める。

内容はUSJの時の謝り、お見舞い行けなくての謝りなどと謝ってばかりだった。

「謝るなって、もういいって、完全に過ぎた事だぜ?」

「だって君、私や相澤くんの怪我を一人で負ったろ?!きっと相澤くん気付いてるよ、特にその眼の怪我。見過ごす筈が無い」

「参ったなあ…見過ごして欲しい」

「私なら見過ごさないよ」

「ちなみにこれナイショなんだが…」

「ナイショ?」

 

校舎の外と中の境界近く、八木典花は一歩二歩と歩き外に出る、校舎の中でその後ろ姿を見ながら八木俊典は静かにその話を聞く。

それは特大級の“過去”の話し。

「本来あの場で脳無に立ち塞がったのは、立ち塞がれるのはイレイザーヘッドのみ、13号は生徒の近くに居た。腕の怪我と眼の怪我は相澤くんが負うはずだった怪我だ、特に眼は…後遺症が残ると思う。それとオールマイトが負うはずだった大怪我は私負ってないんだぜ?脳無にオールマイトは腹を捕まれ怪我する筈だったんだ、それを両方負ってないんだ」

「…っ?!」

「未来、少しだけど変わったよ…!!」

 

俊典は思わず後ろから抱き着いた。

震えた声で、振り返らずに、ただ真っ直ぐ真っ直ぐ前を向いて言う。彼女のその声が、あまりにも苦しそうで、八木俊典にはその後ろ姿があの日のあの人とダブって見えた。

「(女性は、なんと儚く、なんて強いんだ。だからこそ)次は私も、私もちゃんと一緒に変える。典花、君と同じ所に私も立たさせてくれ。この力、燃え尽きるまで」

「すぐ助けに行って、時間配分忘れるのに?」

「あ、それは…!」

「…私もそうだったよ、だから!」

 

俊典の顔の前に右手の拳をスッと向ける、典花はただ一言、彼に向けて発した。

「二人で一緒に立って進もう」

 

*1
3巻のNo.23を確認だ!

*2
裸足in革靴だ、ここはテストに出ます。




次はオリジナル話、私の中では通称オールマイト会議としてます。
その次に恐らく雄英高校体育祭が始まるぞ!

ここまで月日掛けて書いときながら実はまだ【八木典花にどの道を歩ませる】かをまだ決めてないので参考にさせてください。

  • 恋愛
  • 周りと共に救済
  • その拳で未来を捻じ曲げる
  • 自らを盾として矛として突き進む
  • 全てを失う事により、今救える命があるのならば…
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。