これは話が進んでるのか進んでないのか、作者もわかりません。が必要だから書いているに違いない。
一応お知らせしときますと現在この話は単行本3巻のど真ん中辺りです!
原作は2週間はあっという間に過ぎたと省略、こちらはあっという間には過ぎなかった。
二人で一緒に立って進もうと八木典花に言われて数日後、八木俊典はレンタルルームで一人で黙々と机と椅子などの配置を変えていた。
レンタルルームの収容人数は最大10人、そして本日はサー・ナイトアイと予定を合わした日、つまり話し合いの日。
直接彼と会う時間が取れず、日程調整は諸々電話かメールと味気無い。それでも今日は重要な日だ、彼は緊張をしている。
サー・ナイトアイはグラントリノを呼ぶと言い、もし人を呼びたいのなら今後“オールマイト”や1-Aに関わるのならばそれに関連した人物を呼んでいいとサー・ナイトアイは連絡をしている。
オールマイトが呼ぶのはただ一人。
「…彼と鉢合わせしないでくれよ、緑谷少年」
一方その頃、八木典花はレンタルルームに相澤消太と共に向かっていた。誰も同伴者を付けないつもりでいたが携帯を落とした先に彼が居た。
それもその内容が書いてある画面を開きっぱなしでだ、完全なる事故である。事故であるが内容が内容だった、話しの内容までは見てはいなかったが拾った彼が俺も行きますと言い、渋々日程を教え着いてきたのだ。
「ちなみに、何を詳しく話すんだ?」
「一番最初に言ってた時はオールマ…あー、俊典と未来くんと私の話し合いだったかな。ごめん、ここ普通に道端だから名前で話すね?」
「わかりました、それで3人の話し合いとは?」
「とりあえず話す事は平和の象徴と未来について、あと私」
平和の象徴と未来と八木典花、そこにオールマイトとサー・ナイトアイとオールライト、三人が揃う意味とは?
未来についてだ、話す内容はオールマイトの生死、恐らく三人で変えようとしているか誰が巻き込めるかについてだろうと相澤は考えた。三人で変えようするなら断固として、相澤を連れていこうとはしないだろうと思ったからだ。
無言になった相澤をよそに、携帯を見ながら八木典花は場所の確認をする、が思わず立ち止まる。
「どうした?」
「…グラントリノのメールでの説明だと、ここ突っ切れば近道で三分で着くんだって」
「行けばいい、行きましょう」
「待って!君とこの建物に入るのはあらぬ誤解を受ける!!私は遠回りを希望するよ!」
「大丈夫だ、寧ろ騒いでる時点でロスタイム。それにさっきから視線が向けられている。怪我にも響くだろ、サッと行ってサッと出れば良い」
「そこ、そこ如何わしいホテル!!裏口から表行くとか!ああ、ちょっ!」
そもそも二人の歩いてる所は繁華街の外れ、ヒーローの知り合いは出会さないだろう。捜査などをしていなければの話だが。
周りには露出度の高い服、丈の短いスカートなどを着た若い女性からスーツを着た男性、近くに飲み屋もあるのだろう、売り子なのかそう言って近付いたり声を掛けてくる女性が多い。酒の匂いも昼間から漂う。
そんな空間から相澤消太は早く出たかった。
遠回りしてここを歩き続ける位なら、如何わしいホテルだろうとなんだろうと、この地区から彼は出たかった。何故なら地区に着たら二人揃って視線がこちらを向いていた、後に相澤は捕食者の目が多かったと独りごちる。
「ほら、すぐだろ」
「…今、内装あんなふうになってるんだ。部屋に入った訳じゃないのにチカチカした」
「(目から活力が無くなってんな)ほら、次。次はどこ行けばいいんだ、八木先生」
「あ、あぁ…右に曲がればレンタルルームがあるビルがあるらしい」
「レンタルルーム?」
「俊典が場所を指定したから、恐らく警察関連で防犯のいい所か、守秘義務が強い所でも聞いたんじゃないかな」
「ほぉ…ん?あれは」
「緑谷少年とサーとグラントリノ?」
入口の前で佇む3人、近くにいけば何故佇んでいるのか理由がわかった。あのサー・ナイトアイが居てこの様だ。
何ともお間抜けな話だがこの建物に入るにはパスワードが必要らしい。要するにそのパスワード、3人もいるのに誰も聞いていなかった。
パスワードを入力する物は英数字の書いてあるキーボード、対応文字は平仮名、片仮名、英数字、オマケに変換からの漢字である。
「私とした事が想定をしてなかった。…意外とセキュリティが厳重な所を選んだじゃないか」
「言っとる場合か、サー」
「や、八木先生!どうしたら!」
「ん、典花、お前ならわかるんじゃないか?」
「わ、私!?」
「なんだかんだ、性別や世界は違えぞ好みや思考回路は近いだろ。お前ならなんて決める?」
私服のグラントリノがそう言い、八木典花をしっかりと彼を見つめる。たしかに世界と性別は違えぞ思考回路は近い、じゃなければオールマイトと言う平和の象徴の道は辿らない。好みも近くなければ緑谷出久を後継者としなかっただろう。
「…もしかして。サー、あー未来くん、私が打とう」
「…わかるのか?オールライト」
「今回は皆ヒーロー名伏せるらしいから外ではヒーロー名はやめてくれよ。それと、パスワードはユーモアあると思うよ。パスワードはヒーロー、けどただ片仮名でヒーローと打つわけじゃない」
ポチポチと彼女はパスワードを打っていく、読み方はヒーロー、文字はHERO。
「あんなピンクな繁華街の外れを歩かされた意味はそれかな!エイチとエロ!合わさればHERO!まったくおばさん困っちゃうな!」
ビー!とやけに大きな音が鳴る、不正解だ。
思わず崩れ落ちる八木典花、大恥をかいてしまったとボソリという。思わず背中を擦る緑谷出久、それを半目ながらも憐憫の眼差しで典花を見るグラントリノとイレイザーヘッド。サー・ナイトアイは頭を抱えそうだった。
じゃあパスワードはなんなんだ?と思っていた所に電話の鳴る音が聞こえてきた、携帯の持ち主はサー・ナイトアイこと佐々木未来の携帯だった。電話相手はオールマイトと表示されている、急いで電話に出た。
「はい、佐々木です」
『ささき…あぁ!サーか!久しぶりに聞いたよ!あ、そろそろビルに着くんじゃないかと思って!』
「着いてます、典花さんが大恥をかいてしまったと言って今崩れ落ちた所ですよ」
『えっ!?なんで!?ああそうだ、とりあえずその、パスワード教えるの忘れたから教えようかと…』
「皆!パスワードだ!」
思わずどよめく緑谷とグラントリノ、相澤ははよ教えてくれと言う。そのパスワードの答えとは!!
「八木先生、仕方ないです。僕もわかりませんでした」
「…その通りだ、ヒントもない中、あれはわからない。変化球な答えだ」
「俊典め…」
「けどよかったな典花!4文字という線は合ってて、な!!!」
「笑いながらよかったとか言わないでください!一欠片も思ってないでしょうに!」
上下に小刻みに揺れるグラントリノ、それはそれは大爆笑していた。パスワードの答えはシールド、片仮名だった。
そんな5人はエレベーターでとある階に着く、なんとその階全てが一室、そんなレンタルルームだった。
ベッド、キッチン、ガラス張りのジャグジー、場違いなホワイトボードとシンプルな長机とシンプル椅子。
これホテルじゃないの?と緑谷は目が点になった。
「あ、来た来た!遅かったね」
「と、俊典!パスワード教えてもらってないのに遅いもないだろ!」
「あ、そうだった!それはごめんね!」
「俊典、コイツパスワードの答えな」
「あー!!おやめください!」
「…とりあえず、座ろっか」
オールマイトこと八木俊典がそう言うと各自二組になり座る、右に八木俊典と緑谷出久、真ん中に八木典花と相澤消太、左にサー・ナイトアイこと佐々木未来とグラントリノこと酉野空彦のペアだ。
長机三つはホワイトボードを囲うように三日月型並べてある、ペンも一応三色以上用意してあるようだ。メモも取れるようにボールペンとルーズリーフが机に乗っており、準備担当なのかこの場所を指定した八木俊典の本気が伺える。
「…相澤くんが呼ばれるとは思わなかったよ」
「呼ばれてません、八木さんの携帯をたまたま見て、無理矢理連れてきてもらいました」
「無理矢理て…まあ、君も関わってくるかも知れないね。いいよ!さて、話し合いを始めようか!!」
「相澤くん、もしもの時はよろしくね」
「もしも…?」
八木典花がボソリと彼に向けて耳打ちするも話し合いは始まってしまった。だがその前にと八木俊典は言う、今回はヒーロー名をあえて伏せて言う話し合いだ、名前が出るとなるのは現時点ではオールマイトとサー・ナイトアイのみの予定だ。
「自己紹介をあえてもう一度しようか、私は八木俊典、今回の…今回の議題は私と典花だ」
「改めて私は八木典花です。私達はオールマイトであり、現行彼はオールマイト、私はオールマイトでした。私は一度死にました、死んでそれからここに来た。今回の話し合いは私が来たことによる今のズレの認識、これからの未来の対策、それと…」
「私の認識の違い、佐々木未来と軋視瞳ついてです」
目を瞑り、深呼吸をすると八木典花と佐々木未来はタイミングを合わしたかのように話し始める。
「オールマイトのための」
「オールマイトによる、未来のための会議を始めます」
「(略すとオールマイト会議だ…!!)」
八木典花が立ち上がるとホワイトボードの前に立つ、話すべきは私の事からと言うと黒いペンを取り、その一 八木典花の死んだ時の事と書き始める。
ホワイトボードを前にして、彼女は彼らの方に振り返らずに俯き始める。
サー・ナイトアイは見た事がある表情だった、時折彼女は一人になると見る顔。ヒーローではなく一人の人間の佐々木未来として何度か見たことか。生活を、寝食共にし、ふと現れる迷子のような顔、その背中。
ナイトアイは立ち上がり彼女近くに行き、肩を叩く、それにハッとして顔を上げた典花。ナイトアイは肩から手を降ろし、目を合わした。
「典花さん、目を合わしてくれ」
「未来、くん、す、すまない、今話すから」
「典花さん…大丈夫だ、ここに私がいる。だから少しずつでいい、少しずつで、いいんだ。すまない、貴女には三度死の話をさせてしまう。…準備が出来無ければ他の話からでも」
「いや、今話す、何度でも話すし、ここにも書く。心の準備ができたよ」
未だ治らぬ傷のある顔で、ナイトアイに笑い掛ける。
包帯と傷で口元しか上がらないその笑顔は、あまりにも痛々しい、だがそれでも彼は目をそらさなかった。
サー・ナイトアイは一人で決めたことがある、八木俊典を、八木典花のことを、オールマイトのことを、目を逸らさないと。
「私は死亡当時、神奈川の神野にいました。1-Aの生徒が攫われており、救出に向かうため、何人かのヒーローと共に動いていた」
「いっ、1-Aの生徒が!?」
「そうだよ、緑谷少年、そして君と他数名が助けに行ってる筈なんだ」
「大人しく出来ねぇのか…、除籍だぞ」
「皮肉にも彼らのお陰で私は戦いやすくなった、オール・フォー・ワン以外のヴィランは逃したがね…。そして私は、オール・フォー・ワンと一騎討ちをした。結果は私の勝利。オール・フォー・ワンが瓦礫に埋まる一般人に向けて攻撃をしたからあえてそれを受けたり、ダメージは確実に蓄積されていてね、とどめを刺す際もダメージを食らったよ、腕をその時駄目にした記憶がある」
「腕を駄目にって…私、緑谷少年と同じことするのかい?」
「まあそうなるな!だがそのお陰で勝利し、生き残った、筈だった…」
「死んでしまった、という訳か…」
「一騎討ちの時、個性の残り火も消えたぜ?」
「っ!の、典花!?」
「個性の残り火?」
唯一相澤消太だけがワン・フォー・オールについて知らない中、ストレートに八木典花は個性について言った。
攫われた爆豪勝己の事を言えば、大きく緑谷出久が未来を変えるかもしれない。
それに比べればワン・フォー・オールの残り火なら相対して変わらないだろうと思っていたからだ。
「相澤くん、オールマイトは近い内消えるんだ。あー、その、個性が力尽きて…」
「…良いですよ、今は詳しく言わなくて。わからない中話を聞くのは合理的じゃないが、今回の議題はあんたらだ。俺はただ、それを聞いて、変えてほしい所があるなら防ぐ手伝いをするだけ。それにだ、俺の組の生徒が攫われるんだろ?俺は神野に行けんだろ」
「…感がいいね、攫われた子に関してってのと作戦のために記者会見するんだ。相澤くんはそっちの方だったね」
「俺のやれることは限りがある、だがその眼の恩があるから返しておきたい。なら俺は出来る限りアンタの手伝いをする、それだけだ。そういうことだ、はよ話せ」
「…生き残ったと思ったら結局、個性を無くし、命を失くし、救急車で死んだ。恐らくここに来た、最初の記憶は空だ。とても綺麗だった、澄んでいて、青一色。その次の記憶は、雄英高校だ。…ココ、話す必要なかったかな!?対策関係ないね!?」
「いや、参考にさせてもらおう」
「なんの参考なんだ、未来くん…!」
慌てながら顔を隠し、そう言う八木典花に対してナイトアイは何に使うのか本当に参考にする気のようだ。どうやら彼は、話していた事全て書き込んでいるようだ、ルーズリーフはギッシリ書いてあった。尚緑谷出久もそれなりに書き込んでいた。キミら要点纏めずに何に使うんだ。
「今の会話から言えることは、二つです。一つはオール・フォー・ワンを確実に捕まえるのがそこしか無いと思えること、流れは変えない。もう一つはそれを踏まえて、オールマイトを死なせない事」
「流れ変えてんじゃねぇか」
「いや、変えるのは結果だ。神野区にオール・フォー・ワンを誘き寄せ、オールマイトを生還させる」
「…出来るのか、佐々木くん」
「私の予知を使えば、駄目押しにそれを確定出来る。だがそうなると、その未来はそういう結果で、確定してしまうだろう。アナタがそこで死んでしまう未来ならば、それも…」
「ねえ未来くん、一つ良いかい?未来を変えようとした時、どうやった?」
「未来を変えようとした時?」
内心首を傾げた、未来を変えようと奮闘をした事はある。奮闘をした事は確かにあるのだ、それでも変わらなかった未来、聞いてもらえなかった回避の話。
あのオールマイトですら聞き入れず、話を聞かず、彼を置き去りにして歩き始めた。
ずっと独りでに、個性 予知を使って、未来を視て、道を探っていた。なのにその道はベルトコンベアのようにまるで強制的で、辿り着くところは同じ。
「…独りで、予測と分析を」
足掻いても、抗おうとしても、
予測も、分析も、予知も、知識も、体一つも、未来を変える決定打には成りはしなかった。だが自分が発した言葉で気付いた、独りで、そうだ、一人でやってきた。
「なら二人ならどうだ、三人は?四人は?」
「典花さん、あなたは…」
「私、約束してるんだ八木俊典も八木典花も、生きていける未来をって。言われたんだよ、今度こそあんたも生きなって。相澤くんにだって死んだら怒るって言われた。君も言ったじゃないか、佐々木未来」
名前を呼ばれ、彼の心は沸々と熱を持ち始めた。
視線は交わり線となる、そしてさらに熱を持ち、思わず拳を握った。
「あなたという存在は一人しかいない、替えは存在しないんだって!見てくれよ、予知でも予測でも分析でも、言ってくれよ未来くん。悪いミライなら私が断ち切る、私だけで出来ないなら、巻き込める人を巻き込んで捻じ曲げる。良いミライならさらに良くしていくから。今度は、今度はオールマイトも共に…!」
「違う…!違うっ!今度は私も共に歩むんだ!あなた達は立ち止まってない。オールマイトはずっと一人で歩んできた。次は私が追いつく番だ、私も共に歩くべきだったんだ。足でも体でも、掴んで引き摺られようと、振り払われようと、あなたたちが走ろうと、私もそこに向かって走る、追い付こう。それに今度は…オールマイト、いや八木さん。あなたも、諦めないんですよね」
「…あぁ、私は死なない。私は生きなければならない理由も出来た。師匠として緑谷少年を導き、育てなければならない。佐々木くんとの約束がある。そして私も決めてたんだ、私も典花も生きる未来で生きてみたいなあって」
緑谷出久、相澤消太、八木俊典、三人はいつの間にか立ち上がっていた。声を大きくして緑谷は言いたかった、生きてくださいと。
相澤消太はその空気に飲まれそうになっていた。未体験で今と先が混ざる途方も無い、それは大きな大きな話。
たった一人が死んでしまうだけで、世界が変わるとは思わないだろう。だが生きるか死ぬか、たったそれを先に伸ばすか伸ばさないかでほんとうに世界は変わる。
その一人が生きてみたいと言う、理由が何であれ、未来で生きたいと意思を持って。
「典花が、だってキミがあまりにも…」
『欲 し く な る よ な あ』
「な゛!?」
それは風が吹くように突然の事だった。
目だけは一番最初に反応した相澤、八木典花の体の周りに黒いモヤが見えた。まるで油のようにベットリとした、そんな黒いモヤ。
次に八木俊典が声を発し、皆が彼女を見る頃には人の形となっていた。背筋が寒くなる程、足元がわからなくなる程の畏怖。
『長かった、だがようやく君を拘束できる程に、実体化も出来る』
「んぐっ…!?ん゛ん゛!?」
彼女とそれはダブっていて相澤消太にはそれが何なのか視認出来なかった。頭に響くそれの声は低い、それは彼女より少し大きい、それは半透明、それはヒト…?
「…お、お前は!」
『男のオールマイトか、ははは!僕自身、間近で見るのは初めて見るなぁ!』
八木俊典はわからない筈が無い、どんなに顔が変わろうと、姿の在り方が変わろうと。
彼は平和の象徴が倒すべき巨悪、師匠の仇、そして彼の言い方が正しいのなら、それは八木典花の仇である。
そう理解した瞬間、八木俊典はオールマイトとなった。
「オール・フォー・ワン!」
『面白いなあ、面白いよ。ヤギトシノリ』
「彼女を離せ」
『花がない、だがすぐれている。すぐにそれがしっかりと使えた訳だ』
「もう一度言おう、オール・フォー・ワン。彼女を、離せ」
『…離そうか、代わりに僕とも話してくれよ』
さらに重なり合った黒い人型と八木典花、薄っすらと典花の体は黒いモヤ纏わりついているのが見える。相澤消太は個性を使うがそれは消えなかった。
「消えない!?」
「『不思議な感じだ、一時的とは言え僕の寵愛している物の中に入れるなんて』」
「貴、様ぁ!」
「『怒髪天を衝く、とはこの事かなぁ。君も髪が立っている。さて、話を聞いてくれるかな?男のオールマイト、それと…サー・ナイトアイ』」
「…私も?」
「『参ったよ、どうなるかわからないんだ。だから取り引きをしたくてね』」
「…オールマイト、今は攻撃はしてくれるなよ」
「わかっている、わかって、いるさ」
「『長居は出来ない、単刀直入に言おうか。まず僕は4分割されている、肉体の僕と3つの霊体の僕。肉体の僕は関係ないから実質3分割だ。このようになった僕は俗に言う幽霊でね』」
オール・フォー・ワンが言うには八木典花に取り憑いてる彼、彼女の世界にいるサー・ナイトアイに取り憑いてる彼、そして誰にも取り憑いてない彼が居るらしい。
問題はサー・ナイトアイに取り憑いてる彼だと言う。
「『タイミングはわからないが、サー・ナイトアイともう一つの僕は確実にここに来る。僕は僕を回収したい、その代わり僕は大人しくするか…君達のそれ、オールマイト生存を手伝おう。僕のメリットは僕の回収、君達のメリットは手元に僕がいる、オールマイトが生存する!』」
「お前をタルタロスに収容すれば良い」
「『無理だ、僕は物理的支配や抹消による抑制はされない。ここの僕に会いに行った際に物理的攻撃は効かなかった、確認済みだ』」
「あの幽霊とはお前か!」
「『あぁ、喋ったのか。全く悪い子だ…ん、もう駄目か』」
黒いモヤが八木典花の体から一気に放出され、モクモクとそれは沢山、部屋に充満した。
それは1分も経たずに部屋を埋め尽くしたが一瞬にしてそれは一箇所に集まり、半透明の人型となった。
気を失ったのか八木典花は呻きながら倒れていた。
「うぅ…」
『…ああ、慣れないな。それに霧状になると少し意識が散漫となるのか』
「典花!」
『彼女の生命力を貰っていたからね、疲れて寝てしまったのかもしれない。それにしてもこの個性、もどかしいな。物理的に触ることができない、全て通り抜けてしまう』
オール・フォー・ワンはそう言いながらしゃがむと典花
顔を触ろうとする、しかし空気を切るようにそれはすり抜ける。
そうして自らの手のひらを見て、少し動かすとその視線と手のひらは男のオールマイトへと向かう。
『さて、どうしようか?僕を君たちの手元に留めるか、僕を自由にさせるか』
「…っ」
『僕はすぐに自由になれる、オールマイト』
「(すぐにでも、タルタロスへぶち込んでやりたい。だがNOだ、NOしか答えがない。相澤くんの抹消は確かに効いてなかった、本当に幽霊なら…幽霊なら?)」
オールマイトの顔にたらりと汗が垂れる、判断を間違えてはいけない。敵意はないのは確かだ、攻撃的な雰囲気がないのも確かだ。奴はホントに戦闘をする気はない。
サー・ナイトアイは元サイドキックとして何かを察知した、彼はなにかしようとしている。目線だけ動かすと手で汗を拭いていた、そしてそのまま。
「SMASH!」
汗のついた手で届かぬ拳を振り切った。
つまりあれだ、幽霊なら塩で払おうということ。汗の塩で払おうとしてたのだ、無理がある閃きはそこで閃いて欲しくはなかった。
『…塩は、確かに効くけど。それはなあ』
「お、オールマイト…流石にそれは」
「なりふりかまわすぎだ」
「はあ」
「塩は効くんだろう!?幽霊には!」
『清くないからなあ。それで、抵抗しようとしても無駄だとわかったかい?』
「ぐっ…!」
すり足で一歩、サー・ナイトアイは前に出た。眼鏡を少し上げるとオール・フォー・ワンの方を見て言った、その案を受け入れると。
『良い選択だ、サー・ナイトアイ』
「彼女の世界のオール・フォー・ワンが自らの意志でコチラにいる、我々のオールマイトが生存をする。そしてオール・フォー・ワンはオール・フォー・ワンの片割れを回収する。Win-Winな関係じゃないか、それに話に出てないもうひとりの私、サー・ナイトアイの軋視瞳は私達が回収していいのだろう?」
『勿論だとも』
「…聞くべきことが、彼にはたくさんあるからな」
『では成立だ。ちなみに僕は常に八木典花と共にある』
なんとかオール・フォー・ワンと八木典花を離したいオールマイトは大きな一歩が出そうになる、だがナイトアイの手がそれを邪魔をした。そして冷静にナイトアイは言った。
「悪霊か?人に取り憑いて、彼女を呪っているのか?」
『…信用無いと思うけど、実はわからないんだ。記憶が欠けている』
あるのは自分がオール・フォー・ワンと言う事、名字、オールマイトの彼女と戦ったこと。
無いのは大なり小なり過去の記憶、つまり今のオール・フォー・ワンの記憶は穴あきと言う事だ。だからこそもうひとりの自分と統合して記憶を埋められるのでは?と彼は考えていた。
『少なくとも、僕は呪わない。現実的じゃないからね』
そう言ってニヤリと、オール・フォー・ワンは笑った。
典花さんは体育祭を見るの?その間になにかするの?
どうするの佐々木さん!?3人住まいだったんじゃ!?
次回!恐らく体育祭の時期、まだ3巻から抜け出せない?
実は投稿日と時間は全て0と2、文字数まではムリでした。
更に向こうへ!プルス・ウルトラ!
ここまで月日掛けて書いときながら実はまだ【八木典花にどの道を歩ませる】かをまだ決めてないので参考にさせてください。
-
恋愛
-
周りと共に救済
-
その拳で未来を捻じ曲げる
-
自らを盾として矛として突き進む
-
全てを失う事により、今救える命があるのならば…