地に落ちた英雄は諦めない   作:風見 桃李

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沢山お話しさせたいと思った回です、とりあえず早くから保健室から出たかったのに病院って。
結果シリアスっぽく…なんでだろう。


No.2 オールマイトの長い夜

 

泣いて疲れてしまったのは八木俊典だったようだ。

 

すやすやと眠る八木俊典を膝に寝かせ、頭を優しく撫でる彼女は改めて彼等に顔を向けた。

「このような体勢と服装で申し訳ありません。改めて、そして…はじめましてと言うのでしょうね。私の名前は八木典花、ヒーロー名オールマイトです。ここが時系列的に過去なのか未来なのか、はたまたそれから関係ない所なのかは今の私にはわからないですが、ただ言えるのは二度、オール・フォー・ワンと対峙し勝利した所から来たと申し上げます」

 

「二度戦い、勝利した?」

 

「彼は痩せ細っている、恐らく一度戦った後でしょう。その後もう一度、神奈川の神野区で戦うこととなります。根津校長、その時、無謀にも仲間を救おうと五人のヒーローの卵がいました。その五人のお陰で私は存分に戦えた。その五人とは雄英の生徒です」

「雄英の生徒だと?」

「えぇ、だから心から聞いて欲しい、根津校長、それに相澤くん。来年度の雄英は、来年から日本は荒れ始めます。それに伴いヒーローもヴィランも、どちらも卵として成長してくる」

「新時代、ということかい?」

「実質そうです。私が腑甲斐無いばかりに…」

 

八木典花は俯き、撫でてない方で拳を握る。

疑いはまだ晴れてない、だが彼女がオールマイトだと言うのなら、きっと一人で戦ってきた、腑甲斐無いなんてことはない、この人は悪くないだろう。そう思いながら相澤は握る拳を眺めた。

それを知ってか知らずか根津は明るく話す。

「一つの時代が終われば新たな時代が来るのは必然なことさ!それは八木典花くん、君が腑甲斐無いからではない、当たり前のことなのさ!そしてここもいずれそうなる、次のニュージェネレーションヒーローズにニュージェネレーションヴィランズを任せられるようビシバシ!卵達を鍛えようじゃないか!」

「な、なんというポジティブ!そう、ですね。うん、そうですよね」

「近い未来のお話はここまでさ。君の戸籍は明日作って、そのまま君は一度入院してもらうけど。君どこに住む?服は相澤くん、貸してあげて」

「え?俺のですか?」

「八木典花くんの身長は見た感じ君とあまり変わらないからね、君の服が丁度良いのさ!」

 

相澤は頭を掻くとなら今日は俺の所に泊まれば服も貸せて宿泊もできる合理的だと言った。

彼は続けて喋り続ける。

「それと、同一人物のオールマイトと話し合いとかもした方がいい。退院後はそっちに泊まってくれ」

「その通りだね!さてオールマイト!起きてくれ!」

 

そう言うと根津はオールマイトの頭をバシバシと叩き始めた、しかし眠りが深いのか起きない。

見かねた相澤はオールマイトの前髪の二本を力強く引っ張った。

「痛いっ!あれ?頭皮と頭、痛いな」

「疲れてるんじゃないんですか?」

「なんて白々しいんだ…(あんなに彼の髪を勢いよく引っ張っておいて)」

「寝てる間に話は終わったよ!オールマイト!解散!」

 

そう言うと根津はすぐに保健室を出ていった。

相澤は少しここで待っていてくれと典花に言うと相澤も出ていった。

結局保健室に残ったのは八木俊典と八木典花、そしてリカバリーガールだ。

「戸籍は明日、そして入院か」

「入院するのかい!?」

「身体検査や怪我の具合を見るんじゃないかな。私はオール・フォー・ワンと戦った後死んだ筈なのに生きているからね。生きてるのが不思議だよ」

「そっか、ん?そういえばどうやってここに来たんだい?空から降ってきたけど」

「空!?あ、だからあんなに空が青かったのか、しかし私は救急車で死んだ筈だ。空間移動や転移なら未だしも時空間移動の個性なんて聞いたことが…」

 

ブツブツと言っている典花を見た俊典は緑谷少年が頭に過った。

「もしかして、一緒にいると私もそうなるの?」

「そもそも何故こんなに疲れている、のは戦ったからか」

「…あ、ヘイヘイ!そういえば自己紹介してないぜ?レディ」

「傷は…え?あ、君寝てたよね、自己紹介はしたんだよ」

 

そう言われ瞬時に頭を下げた。どうやら爆睡してまで寝るつもりはなかったらしい。

「それは申し訳無い!…んん゛っ、さて、私は八木俊典だ、ヒーロー名はオールマイト。君は?」

「私は八木典花、ヒーロー名はオールマイトだ。HAHAHA!不思議な気分だよ」

「HAHAHA!私もだよ!それにしてもオールマイトが二人かぁ」

「何ができるかなぁ?」

「全盛期だったら二千人以上は救えるよね」

「救えるねぇ、今だと使用制限あるからなぁ」

「二人で半分かな?」

「それ、悲しいね」

 

二人はスッと傷のあるところを撫でる。

そこは同一人物、思うところは同じようだ。

「「あぁ、内臓があればなぁ」」

 

「無い物ねだりは止めな、オールマイト」

「すみません、リカバリーガール」

「無いものねだり、か(今の私には、何があるんだろうか)」

 

典花は着崩してるコスチューム内に手を入れごそごそし始めると相澤が戻ってきた。

相澤はヒーローコスチュームのままだったが手には袋を持っている。

「相澤くん、コスチュームのままだけど」

「オールマイト、あぁ両方オールマイトか。八木さん、も二人共八木か…」

「典花でいいよ?」

「あ、なら私も俊典で、名字だとどっちかわからないでしょ?」

「あんたはオールマイトだよ。じゃあ典花さんで、あんたのコスチュームでの移動は不味いんですよ。悪いけど俺の着てきた服とマイクから上着パクっ、借りてきた」

 

そう言うと袋を突きだしてきた。典花からみると機嫌の悪い子供に見えたようで生暖かい目で相澤を見た。

相澤は凄く心地よくなかったようだ。

「服は有りがたいけどパクって来たんだ。後でプレゼント・マイクに謝ろうね、私も謝るから」

「アイツなら大丈夫です。それよりも何コスチューム内漁ってるんですか?」

「あぁ、私のコスチュームの胸元にビミョーにスペースがあるから写真持ち歩いているんだよ。写真と言っても、ヒーロー活動時に二枚撮っちゃったので一枚どうぞーって渡されたやつだけどね。サイドキックが居る時の写真なんだ」

 

それを聞いた俊典は慌て始めた。

挙動不審なオールマイトを見た相澤はよくわかっていなかった。

「典花くん、それって、もしかして、まさか!」

「俊典にはサイドキックいた?」

「…いたさ、サー・ナイトアイだろ?」

「Yes!サーとのツーショットさ!お、あった」

 

折り畳んでいた写真を広げるとそこには気持ち若いオールマイトの八木典花とサー・ナイトアイが並んで写っていた。

「…なんで、持ち歩いているの?その、サーとの写真」

「ふふ、なんでだろうね。…私ね、恋でもない、特別な感情でもないんだけど、彼の事が好きなんだ。弟子を除けば最高のファンで、最初で最後の最高のサイドキックだったよ」

 

そう言うと相澤から渡された袋を漁りながら典花は喋る。

彼等と目を合わせないように。

「見ていたいんだ、彼を。どうしようか、あぁ心が挫けそうって、そう思ったときに彼を見ていたいんだ。私は最高のサイドキックに最低な切り方をしたからね。彼のプライドも傷付けた」

「君は、本当に…」

「オールマイトの一つの未来だよ、その具現化が私だ。俊典、仲直りするなら早めにした方がいいぞ?アイツのことだ、どんなに酷くしたってオールマイトの動画は見るし、金はオールマイトグッズに貢ぐ男だぞ。なんとかなる、ぶつかってこいよ」

「…考えておくよ」

「前向きによろしくな。さて、着替えるから少し保健室から出てくれ」

 

典花がそう言うと二人は保健室から出た。

我ながらおせっかいだったかなと典花は思いつつコスチュームを脱ぐ。

一通り脱ぎ終わって相澤のズボンを履き、服を着ようとするとリカバリーガールから待ったが入る。

「服を着るのはちょっと待ちな。その古傷、少し見せてくれないかね」

「いいですよ、やはり気になりますか?」

「当たり前さ、寝てる間に見ようと思ったらあんた起きちまうし、起きて見ようと思ったらあれだろう?一応聞くけど何の臓器が無くなってるんだい?」

「奇跡と言われました。胴体貫通しておきながら神経損傷なし、呼吸器官半壊、胃袋全摘、子宮全摘出、他もちらほら縫われてます。医者が言ってました、生きてるのが、不思議と」

「みんな、止めたんじゃないかい。特に写真を持ち歩くほどのやつなんだろう?サー・ナイトアイは」

「…泣かせてしまいました。グラントリノは、あり得ないと言う目で見られました。根津校長は止まらないんだねと。貴女には、止めても止まらないんだからせめて死ぬなと。たくさん迷惑をかけてしまいました。周りにも、守るべき市民達にも」

 

「信用がないのかい?あんた以外のヒーローは」

 

「そんなことは!」

「だったら迷惑をかけてもいいんだよ、オールマイト。一人で守れないなら二人、三人とたくさん迷惑をかけてもいいんだよ。オールマイトとあんたらは名乗ってるけどね、ヒーローだって人間だよ、全能ではないんだから。あっちのオールマイトに重ねるようで悪いけど、アイツにも気付かせてやんな。一度死んで気付けたことがあるだろう?典花」

 

リカバリーガールが傷痕を触るのをやめると典花は服を着た。

八木典花は死んだが生きている、確かに気づけたことはあった。

「生きているからこそできることが、やれることがあります。彼は死なせません、この体で運命を曲げてやります」

「今度こそ、あんたも生きな」

「え、生きてもいいんですか」

「あんた馬鹿かい、良いに決まってるだろう。なんのために明日戸籍作るんだい。一人が寂しいなら友達作ったり恋をしな、結婚だってしたっていいんだよ。親が恋しいならあたしのところでもグラントリノのところでも来な。世界が変わって身寄りがなくなっただろうけど、心配する奴はいるんだよ」

 

八木典花はその日新たに決意をした。

「私も、八木典花も八木俊典も、生きていける未来を、この体で、開きます。怪我はするだろうけど、必ず」

 

二人が生きる世界を作るため。

「…気を付けなよ」

「はい、では」

 

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

保健室を出ると俊典はいなく、相澤だけだった。

相澤は壁に寄りかかり腕を組んでいた。

「あれ、俊典は?」

「車。オールマイト、今日は車出来たらしいからな。服はそのままでいいから今日はそのままオールマイトの自宅でいいですよね」

「お世話になる身だ、君がそういうなら俊典の家に行くよ」

「…じゃあ、オールマイトの自宅で」

「OK!」

「典花さん」

「ん?なんだい?」

「俺の中で疑いはまだ晴れてないけど。俺にも迷惑、かけていいんで」

 

「相澤くん!君、話を聞いてたね!?」

 

典花は顔を赤くするも相澤は無視して歩き始める。

実は保健室のドア、微かに開いていたのだ。

「当たり前じゃないですか、ずっと保健室の前に居たんですよ?」

「あ、それはごめんね?」

「別にいいですけど。死んだら怒りますよ」

「あ、それ私の所に居た相澤くんに少し似てる、遅刻したらだったけど」

「話反らさないでください、怒りますよ」

「ごめんね?」

 

その後二人は雑談をしつつ駐車場に向かった。

オールマイトの運転はペーパードライバーっぽく二人はハラハラしたが無事相澤を家に届け、彼らも無事帰宅した。

「いやぁ、久しぶりに人を乗せたよ。緊張しちゃって」

「車はしばらく乗りたくないかな」

「ごめんね?」

「ここでは免許ないから私はなんとも…そうだ!戸籍作るし、入院して体に異常がなかったら私、免許と資格取るよ!」

「おぉ!いいじゃないの!」

「運転免許ととりあえず仮免だ、今の状態で人を救うのにも限界があるからね」

「それはそうだけど、君は今休むべきだよ。しっかり休んで、休んでから資格を取ろうね。ヒーロー業は休業、君の仕事は体を休ませること。いいね?」

 

俊典はそう言うと椅子に座っててねと言ってキッチンに向かった。

典花は椅子に座り部屋を見る。一人で暮らすには、広すぎる。なんだか物も少ない気がする。

「…なんか、寂しいな」

「何が寂しいんだい?」

 

振り替えると鍋敷を持った俊典が居た。

次に鍋を持ってくる、夕食を温めていたらしい。

「お待たせ、夕食はおじや予定だったんだ。それで何が寂しいんだい?」

「部屋がね。一人で暮らすには広いって思って」

「あぁ、そうだね、言われると寂しい部屋かも」

 

リビングには必要最低限の家具、家電、そこに少し本があるぐらい。

自室がどうかは知らないが恐らくご飯を食べて、風呂に入り、寝る。

必要最低限の程度にしか帰ってきていないんだろう。

その後二人は会話をせずおじや食べて、風呂も終えた。

問題は就寝時だった。

「そのソファで寝るから俊典は部屋に戻っていいって」

「いやいや女性をそこで寝かせるわけないでしょう!典花、君ならわかるよね?」

 

わかる、凄くわかる。なんせ自らもナンバーワンヒーローをしてきた、性別を偽って、対応だって紳士にしてきた。

ぶっちゃけ老若男女共に人気だった。(サー・ナイトアイ談)

「…わかるよ、ならこうしよう!」

 

典花は俊典を引っ張り俊典の部屋は向かった。

そして俊典をベッドに入れそのまま「待って!それは流石に駄目だよ!いくら君が私でもダメダメ!」

「私は折れないぞ、君もオールマイトなら察してくれないかな」

「んんん!君は私と違って少し男前だね!」

「HAHAHA!そりゃ性別偽ってきたからね、誰よりも男前じゃないと」

 

絵面的には俊典は今押し倒されている、正直自分が女性ならときめくかもしれない。危ない所だった。

よっぽど彼女は、誰よりも男らしく、紳士に、どんなこともその拳で切り開いてきたんだろうと思った。

サー・ナイトアイとのヒーロー活動時のツーショット写真、カメラを向けられた際にナイトアイと肩を組んでいた。

オールマイトの八木俊典より細いがあのマッスルフォームは、いい筋肉、いや、しっかり体が鍛えられていた。

女性は筋肉が付きにくいという、それでいてマッスルフォームといえあの筋肉、あの凸凹がある腕、ホントにいい筋肉!

「なに考えてるか知らないが寝よう、俊典」

「くっ、やっぱり同じベッドなんだね!」

「広いからいいじゃないの。おやすみ俊典、平行世界の私」

「あ、うん、おやすみ典花、平行世界のオールマイト」

 

二人は眠っ、れなかった。既に典花は夢の世界だが俊典はずっと脳内で呟いていた。

「(そういえば今私の服で寝てるってこと頭から飛んでるなぁ。それでいて男前!うん鈍感だろうねぇ、なんで誰も教えてあげなかったのかなー!サーとか!ナイトアイとか!グラントリノとか!!おじさんこれでも男だからね、やっぱり綺麗な人見るとそれなりにそれなりの)」

「ぐぅ、ぅぅ…」

「いびき?違う、汗がスゴいじゃないか…!唸ってる?典花?典花!起きて典花くん!?」

 

俊典は典花をよく見ると丸まって寝ているのではなく唸りながら丸まって痛みに耐えていた。

彼女は腹部を押さえながら玉のような汗を流していた。

俊典は急いで救急車を、そしてすぐに根津に連絡をした。

病院につくと内蔵目視する個性の医者が俊典に話しかけた。

「親族の方ですか?」

「彼女は!彼女は大丈夫なんですか!」

「落ち着いて聞いてください。八木典花さんの内蔵は今あり得ないこととなっています。説明をするので個室にどうぞ」

 

個室に促されると根津とリカバリーガール、そして何故か疲れきってるイレイザーヘッドとプレゼント・マイクがいた。肩から息をして汗を流しているので恐らく足として使われた。

「こんばんは根津校長、そしてリカバリーガール。現在の彼女の容態について説明します。リカバリーガールから先程彼女は内蔵を摘出してる箇所があると聞きました。聞いたところによると過去に人体貫通するほどの傷を負い、そして呼吸器官半壊、胃袋全摘、子宮も無いと。そう言われました。私はリアルタイムで内蔵を見ることができます、先程八木典花さんを見たところ内蔵が戻ってきてます。無い臓器が戻ってきてます」

「それはどういう!?」

「無い臓器が戻ってきてますので再生能力とは違います、説明がしがたいですが誰かの個性に寄るものでしょう」

 

リカバリーガールと根津は顔を合わせ、俊典は考え始めた。イレイザーヘッドもプレゼント・マイクもよくわかってないがあり得ない事態になってることはわかった。

医者が今の状態を確認するために個室を出ると根津は話始めた。

「恐らくここに来たことが関係あるかもしれないね。誰かはわからないけど彼女を死なせたくなかった個性の持ち主はここの時空に飛ばし、彼女の臓器を再生または体内状態を巻き戻してるかもしれないのさ」

「複数個性持ちとしてもそれはあまりにも噛み合わないけどね、それにそんな個性持ちなら届けもある筈」

「よくわかんねぇけど、まさか、ヴィランか?その人助けてぇ奴はよ」

 

「「それだ!プレゼント・マイク!」」

 

「ヴィランなら個性隠すし謎、届けなんてもっての他かもね」

「だったらそのヴィランって誰なんだ?」

 

その時ぼそり、根津は呟いた。オール・フォー・ワンと。

その声は確かに八木俊典の耳に入った。

「オールマイト、君は寝てたから知らないかもしれないね。彼女はオール・フォー・ワンと二度対峙してるのさ。恐らくその場に居たヴィランはオール・フォー・ワンただ一人しかいない、ということなのさ」

 

根津はオールマイトに彼女から聞いた話を話した。対峙したこと、死んだこと、雄英のこと。

リカバリーガールも臓器について説明した。

それを知ってオールマイト、八木俊典は口に手をし絶句をした。

八木典花は、八木俊典のより大きいハンデを背負い戦っていたことを知った。

「個人的推測ですが、恐らく私より体力を使い、かなり酷い状態で個性の使用をしている。彼女が死んだ理由は、アイツとの戦闘の末による、身体的限界。…ヒーローは人を殺さない。私のこの状態ですら血を吐き、常に限界の瀬戸際で活動をしている。それに加え、アイツとの戦闘は、恐らく私でも危ないでしょう。倒されておきながら何故彼女をこの期に及んで救おうなど思ったかは考え付きません。ただ、私が言えるのは、彼女は生きなければならない、二度も死なせるわけにはいかない、逝かせてはならない。待つことしかできないことが私が非常に恨めしいっ!」

 

八木俊典はそう言いながら拳を握り、マッスルフォームへと変身した。医師ではないヒーローの彼らは今、助けることはできないから。

 

数時間が経った。個室に医師は戻ってこない。

プレゼント・マイクはラジオのゲスト出演の仕事為帰り、リカバリーガールと根津も出勤しなければならないので少し早くに個室を出た。イレイザーヘッドも一旦帰ると言うことで個室を出た。

朝になってしまった、個室で寝てしまいすっかりトゥルーフォームに戻っている俊典のもとに医師は戻ってきた。

「起きてください」

「うん?あなたは!」

「おはようございます、八木典花さんは無事です。臓器が勝手に戻っている以上、手の施しようがありませんでしたが先程臓器出現の状態が終わりました。既存の臓器との異常等はありませんでした、出来る検査も全てしました。恐らく全臓器は新しく一新されていて最高の状態です、起き次第退院も可能ですので雄英の根津校長とリカバリーガールにも連絡をよろしくお願い致します」

 

そう言いお辞儀をすると医師は出ていった。

オールマイトの長い夜が終わった。

 




ヒーローの舞台は人を救うこと、医師の舞台は人を救うこと。
同じ舞台だけど違う舞台。
書いていてオールマイトにも手を出せない舞台ってのに気付いた。
あの人は気を付けないとエミヤ家みたいになってしまう…うっ、抑止力、世界の修正力、分霊化…

ここまで月日掛けて書いときながら実はまだ【八木典花にどの道を歩ませる】かをまだ決めてないので参考にさせてください。

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