地に落ちた英雄は諦めない   作:風見 桃李

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ヒロアカのアニメ三期が終わると知って急いで書きました。予約設定で投稿してるのですが今朝4時50分です、番外編も大詰めなので投稿できたら良いな。
そしてサー・ナイトアイがいないのは残念です。
動く彼を見たい。声優は誰でしょうね、四期楽しみです。

サー・ナイトアイは二度死ぬ。
(アニメ本編と予告、またはアニメと漫画)


No.4 八木典花と緑谷出久、後から八木俊典

side 緑谷出久

 

僕はその日、近似感を覚えた。

その日は朝が早くとにかく寒い日だった、受験まで残り約1ヶ月を切ったある日、オールマイトから一通のメールが来た。

 

―――――――――――――――――

Sob no title

From 八木俊典

 

わーたーしーがー!メールを送った!

こんばんは!緑谷少年!

突然なんだが明日は私以外に人が来るから楽しみにしてね!

見た目は私と同じ色だからわかるはずだよ!

 

――――――――――――――――――

 

To 八木俊典

Sob こんばんは!オールマイト!

 

はい!わかりました!

オールマイトと同じ色ですね!

どんな人が来るのかとても楽しみです!

 

――――――――――――――――――

 

オールマイトのメールが嬉しくてワクワクしながらメールを打った、打ち終わり送信した直後、僕は忘れていた。

「あっ、何時に来るんだろう?あ、あれ?よくよく考えたら性別もわからない…オールマイトと同じ色ってどういうことだろう!?あー!や、やっちゃったぁぁぁ!」

 

僕が辛うじてわかるのは明日、海岸の清掃の時に人が来ること、オールマイトと同じ色ということだった。

僕はその後、早く寝て早く起きた。何時に来るかわからない以上は、いつもより気持ち早めに出たかったからだ。

その日は寒かった、震えるほどに。けど海岸についてからそれは寒さの震えから武者震いへと変わったのがわかった。

その人はそのくらいの人だったんだ。

「ひー、寒い!寒いけど頑張らなくちゃ!人はいない?あっ、居た、あれ?あの人」

 

その人は座って、朝焼けの輝く海を見ながら黄昏ていた。

金髪の、女性。澄んだ青と青と間にその人は居た。何故か知らないけど、声をかけないと消えてしまいそうだった。

「あ、あの!」

 

咄嗟に声をかけてしまった。

振り向いた人の目は青く、オールマイトと同じ色の人だった。

その人は立って、僕のことを見た。

「オー、じゃなかった、えっと…」

「…初めてだね、緑谷少年。私は八木典花、オールマイトだ」

 

「へ?お、オールマっ!」

 

僕が声を大きく叫ぶところを彼女は咄嗟に口を手で塞いだ。

この人、手が大きい!身長も高くて手も大きくて金髪碧眼って、まんまオールマイトだ!

「声が大きいよ、緑谷少年。とりあえずおはよう」

「お、おはよう、ございます…あの、あなたがオールマイトってどういうことですか?」

「説明はするけど他言無用だよ?」

「はい!」

「HAHAHA!声が大きいぞ。まず空から降ってきた人、覚えてる?」

 

空から降ってきた人。それはオールマイトと特訓をし始めた最所の頃の話。

あの時はびっくりした、初めて空から人が降ってくるのを見た。後で降ってきた人の安否とかについて聞いたけど、その時はあまり詳しくは教えてもらえなかった。

最近になって言っていたのと言えば『HAHAHA!彼女なら大丈夫だ。彼女は私みたいに強いんだよ!』と言っていた。

「は、はい、覚えてます」

「あれ私ね」

「えぇぇぇ!!もがっ!」

「声が大きい!まぁ平たく言えば、私は平行世界のオールマイト」

「平行世界のオールマイト…す、すごい!アメコミのようにアースがあるんですね!」

「あー、詳しくはわからないけどたぶんそう」

「平行世界のオールマイト、女性化のアースかな?他に誰が女性化しているんだろう、みんな性別反転の世界かな、僕も女の子なのかなぶつぶつぶつぶつ」

「stop!stop!緑谷少年!そこについては色々あって把握してなくて、てかそこまで考えてなかったからまだわからないし何よりそれはこれから、わかったかい?」

「す、すみません!」

「それじゃ、本題に入るよ、緑谷少年!私と昼の鐘がなるまで手合わせだ!」

 

僕は驚いた、さらに平行世界で女性とはいえあのオールマイトだ!手合わせなんて一生に一度出来るか出来ないかというやつだ。

しかしなぜ、今の段階で手合わせなんだろうかと思った。

「て、手合わせ!?僕がオールマイトと!?」

「色々あって私は個性を使わないし、何より一度、戦って感覚を少しでも覚えたいだろ?君に足りない所だぜ?つまり昼の鐘が鳴るまでの実技だ!」

「た、確かに僕は戦闘経験は…(かっちゃんのは戦闘に入らないだろうし…)ないです。わかりました!オールマイト!」

「よし!君の勝利条件はー、これだ!」

 

そういうと女性のオールマイトはやけに長いハチマチを取り出した、そしてそれを頭につけた。ハチマチは風になびきフワフワヒラヒラ動き回る。

「よし、位置的にも長いから届くね、これを取るか触れて欲しい!それが緑谷少年の勝利条件だ!一方私には勝利条件という条件はないに等しい、強いて言うなら制限時間かな?」

「それって凄いハンデじゃ?」

「HAHAHA!そう思うならそう思いなさい。…ではいつでも来なさい、緑谷少年。個性不可以外は他の攻撃手は何でも有りの手合わせ、始めッ!」

 

そう言うと一歩、女性のオールマイトは離れた。

手合わせと言っても普通の手合わせをしても僕には勝ち目はないのはわかる、ならばと出たのがハチマチに触れるか取るか、だったのかな。

ハチマチは緩く結んでいるようで少し引っ張れば取れそうな感じだ。

僕はまず、真っ直ぐ突進をし、パンチをするようにハチマチに手を伸ばす。だけどその手を受けながされて僕は倒れた。

いくら特訓と言っても体力のみで僕は戦ったことがないから動きが遅い、こうなるとヒーローのデータを元に戦うしかない!

「手の軌道が丸わかりだ!ハチマチを取るだけではなく攻撃をしてこいよ!有精卵!」

「くっ!ならこれはどうだ!」

 

「(焦るなよ、焦るな!オールマイト!僅かな時間で良い、将来怪我だらけになる彼の可能性を少しでも、僅かでも減らし、その道を、きっかけを作ることが出来れば良い!!)」

 

 

side 緑谷出久 〆

 

 

同時刻、いつもより早く事務所に出勤した彼の携帯に一通の電話がかかってきた。相手は雄英 根津と書いてあった。

「もしもし、おはようございます」

「やぁ、朝早くに掛けてすまないね!今平気かい?」

「大丈夫です、まだ業務は始まっていませんので」

「君に会わせたい人が居るんだって前に言ったの覚えてるかい?そろそろ来年度の雄英が始まってしまうからね、返事が欲しいんだ。どうする?会うかい?会わないかい?」

「…その人は、性別は違うとしても、オールマイト…でしたね」

「そうだよ、名前は八木典花でヒーロー名はオールマイト。こちらのオールマイトと把握してるだけでも同一な箇所は個性、立ち位置、サイドキック有無と名前、傷の位置など様々あるよ。健康状態も良くなってきたからね、彼女にはそろそろ新しい段階にも入って欲しいんだ。そしてそれはきっと、君のためにもなるよ」

 

根津の声を聞いて、思案する彼は椅子に座り悩んでいた。

彼はオールマイトが好きだ、どうしようもなく好きだ。だからこそその道を違えてしまった。

どうせだ、思いきってしまおう、そう彼は考えた。

「その話、お受けします」

「良かった!じゃあ出来れば雄英受験日までにはお願いするよ、詳細はメールで送るけど、会うだけに収まらないかもしれないからよろしくね」

「は?それはどういう」

「戦いじゃないことは確かさ!それではまたね!サー・ナイトアイ!」

 

そう言うと根津は早々と電話を切った。すでに電話は通じない、ツーツーとなった電話を見ながらサー・ナイトアイは判断を間違えたかと思った。

そして場所は戻り、昼の時刻が近くなってきた海岸。

そこにはぼろぼろの緑谷出久と汗をびっしょりかいた八木典花が居た。そして木陰からちょこんと実は二時間も前から覗いていた八木俊典もそこに居た。

「彼女、確かにパワータイプなんだろうけど、あの身のこなし、私には無いものだな。私より力が劣る分を技のテクニックとスピードで補っているのか?くぅー!私がこの怪我と制限時間さえなかったら、全力で手合わせを申し出した!」

 

緑谷が攻撃をすればそれを流し、躱し、跳ね返し、時には跳躍をして緑谷の頭上を飛び越え着地をする。

約10ヶ月の療養に費やしても尚、彼女の基礎の力は健在だった。

「ヘイヘイ!緑谷少年!もう少し足掻いてくれよ!ずっと直線的な攻撃で私は残念だよ?後三分未満で昼の鐘は鳴る、どうするんだい?」

「ま、まだします!(後三分、ここまで僕はずっと彼女の前後左右真っ直ぐに攻撃も手も伸ばした。つまり今がラストチャンス!)」

 

緑谷は典花の正面から手を伸ばした。

代り映えがない残念だ、そう思い受け流し後ろに倒して終わらせようとした。

それは緑谷出久の待ち望んでた隙とシチュエーションだった。

「うわっ!(後ろに流した!つまりこのままたおれずに体を捻らして、ハチマチに手を伸ばせば!)」

「何!?」

 

キーンコーンカーンコーン。

午前を終わらし午後を告げ、昼と知らせる鐘がなった。緑谷は、ハチマチに手を触れることは叶わなかった。

「そ、そんな…」

「お疲れ様、緑谷少年。この隙を作る為だけにずっと直線的な攻撃で仕掛けてきたの?」

「賭け、でした…僕にはそんなに早く攻撃も動きも出来ないので」

「賭け、ね。(可能性を見させた私もだけど最後のは後数秒あれば触れていた。うん、やっぱり長年のヒーローのデータ収集が役に立っていたりするのかな?)」

「す、すみません!僕やっぱりダメなんですかね」

「「そんなことないさ!」」

 

そう言って声をハモらしてきたのは俊典だった。

緑谷は大きな声を出しそうになるのを堪え、典花はいつから居たんだろうとクエスチョンマークを頭に並べていた。

俊典は前に出てくると二人の肩を叩いた。

「とにかく二人ともお疲れ様!緑谷少年、この調子で行けば良いよ!午後も頑張っていこうぜ!」

「はい!」

「典花は良い動きだったぜ!うん、正直君のヒーロー活動を生で見たかったよ。私にはない動きだ、あの、私はその、力ばかりでね。そこまで細かな動きは出来ない」

「…違うところ、出ちゃったな」

「けど君も私もオールマイトだ、そうだろ?」

 

同じ、そこに安心していた典花は少し不安を覚え俯いた。すかさず俊典はフォローをする。

きっとこれから、少しずつ違う所が出てくるだろう。

俊典は戦い方を見て思った。それでも二人はオールマイト、それは揺るがない事実でもある。

この先の未来、どうなろうと二人は、オールマイトなのだと。

「…そうだな、オールマイトだ」

「元気出たかい?」

「出た、ありがとう」

「よし!じゃあお昼だ!緑谷少年はどうする?食べていく?」

 

そういう彼の手には大きめの袋を持っていた、だが緑谷は前もって家で食べる予定だったらしく家に帰った。

「まあ、そうだよね…ちゃんと日陰の場所も取っておいたんだけど、おじさんの手料理に誰が喜ぶんだって話だよね」

「やめろ俊典、私も傷付く」

「君の外見若いからおばさんじゃないよ…」

「んっ、俊典!この肉じゃが旨いな!」

「そう?」

「旨い!俊典が女だったら嫁に貰ってたよ」

 

このオールマイト二人、そういう所が違うらしい。

俊典は女子力が高く、典花は男らしい。座り方からもわかるのだ、俊典は正座をしているが典花は胡座をかいている、いったい何故こうなってしまったのか。

「嫁ってね…むしろ君が貰われる側でしょ!」

「HAHAHA!私は俊典みたくこんなに美味しく料理とか出来ないよ。辛うじて掃除洗濯と力仕事かな?」

「まぁ、教えてたけどぎこちなかったよね。卵割るし、味は濃いし、指切るわ焼けば焦がすわ…どうやって生活してたの?」

「あー、それを食べてた。それにサイドキック、ナイトアイ居た時はナイトアイが作ってくれてたし、んんー!おにぎり美味しっ!」

「ナイトアイが!?」

「ナイトアイがね。私が生活能力ゼロと気づくや否や『オールマイト、あなたの家に人が一人住めるところありますか?』って言ってきてさ。あるよって言ったら後日荷物まとめて来たよ」

「あ、もしかしてサイドキックとして別れるまで」

「住んでたよ」

 

俊典は今、頭に過った事があった。

共に住んでるから言えることである。

「…一つ気になるんだけど、それ、その、寝る所は?」

「一緒」

「洗濯は?」

「一緒」

「んん!じゃあお風呂!」

「最初はナイトアイ居ても入ってたけど怒られたよね」

「そりゃそうだよ!どんな考えしてるの!?」

「え、えぇ?ね、寝るのはナイトアイ寒そうだったし、安眠できたって言ったのと掃除洗濯はナイトアイが率先してやるし、風呂は帰ってきて入ると居たりその逆もあったり?」

「典花、君さ、その分だと滅多に無いオフもナイトアイと一緒だね?」

「そりゃそうでしょ、苦労かけてるからオフはナイトアイに誘われてオールマイトグッズ買ったり、映画観たり、ランチに、買い物かな?」

 

 

「(デートじゃん…!)」

 

 

八木俊典はもう付き合えば良いじゃんと思ったのは無理はない。しかし平行のサー・ナイトアイは更なる爆弾を持っていた。

「サイドキック辞めても時折来てたみたいだけど」

「ん?なんで?」

「合鍵持ってたから?」

「違うよ!なんで来てたの!?」

「部屋見る限り掃除と洗濯とたまにご飯作りに?あとナイトアイにメールとかよく送ってたんだがメールの返信の代わりの手紙が置いてあったかな。最後の電話は取って貰えなかったけど」

「んんー!バトラーかな!?ここまで行くと筋金入りか何かで怖いよ!!私の所に比べ変な所複雑過ぎ!私はきまずくてね、あまり連絡してないから。住所は教えてても入れた事は無いし。それどころか人を入れるのなんて典花が初めてだよ!」

「そりゃ嬉しいぜ!ま、ここ二、三年はナイトアイ、家にあまり来てなかったみたいだし、何より去年ポストに合鍵返されたし」

「あ、彼返したんだ」

「うん、返された。ナイトアイには色々話してたんだよね、だから来てくれてたんだと思う。…やっぱり美味しいご飯食べたいとか、ヒーロー活動のこととか、あと一人は寂しいなぁとか。…一度死んでしまったけど、今は楽しくして貰ってるし、一人じゃない。俊典たちに恩を返さないとな」

「じゃあ私も典花に返さないとな」

 

典花はなんで?と首をかしげると大分空になった弁当を片付けながら俊典は言った。

「私も一人じゃないからさ」

「私がいる!ってね」

「私もいる!」

「それならあれ、二人で私達が来た!ってやつ?」

 

「「私達が来た!」」

 

「いいね!いつか典花とヒーローするときはそれ言いたい!」

「まぁ活動しない方が平和で良いんだけどね!」

「うーん!正論!」

「「HAHAHA!」」

 

それを5分前くらいから見てたオールマイトオタクの緑谷出久は二人のオールマイト(トゥルーフォーム)が笑ってるのを見てなんて幸せな空間っ!と思いながら将来のためのヒーロー分析ノートNo.13に新しいページに書き始めていた。

 

オールマイト(平行)

身のこなし鮮やか!流石オールマイト。筋肉はない?オールマイトみたいに姿が変わる?まだこれからたくさん考察すべき!

 

「さて、午後も頑張らなくちゃ!」

 

受験まで残り一ヶ月!その日から彼はさらにやる気を出した!海岸清掃以外にも身のこなし方を考えるようにもなった。

月日はあっという間に流れ入試当日の朝六時、緑谷出久は叫んでいた。

「わあああああああああ!!」

 

彼は全てを終わらした。指定された区画以外にも塵を残さずに。

さらにここで僅かながら、本当に小さいが変わったことがあった。

積んだゴミの数が少し減っている。つまりトラックに乗せたゴミの量が増えたということ、彼は本来なるであろう緑谷出久より微弱ながら力と体力が付いた。

 

 

「わあああああああああ!!」

 

 

だが緑谷出久の戦いは、まだ始まってすらない。




ようやく次は受験、つまり一巻のNo.3。
しかし受かってもその間の話で一話埋もれる、雄英生活までは道のり長いですね。シヴィィィ!

ちなみになんとなくイメージ的に原作マイトはナイトアイにご飯を食べさせる(エプロン)、平行マイトはナイトアイにご飯を食べさせて貰ってる(ギャルソンorエプロン)感じです。
まぁ、鈍感なところはマイト達鈍感だろうけど。じゃないと原作はお弁当のフラグ立たないよね…メールあるのに。
そういうところも書けたら良いな。

ここまで月日掛けて書いときながら実はまだ【八木典花にどの道を歩ませる】かをまだ決めてないので参考にさせてください。

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