次は雄英から出れません。
雄英受験日の午後、試験は終わった頃の時間帯。
雄英高校前には二人の人間が立っていた。片方は金髪で青い瞳の女性、もう片方は緑髪で金メッシュ三本の金の瞳で金縁の眼鏡の男性。
二人とも身長が高く、容姿も良いので変に目立っていた。受験を終えた受験生達は彼女等を見ていた。
「ここがこの世界の雄英か」
「違うのか?」
「いや、作りは同じようだ。それに此処の世界に来た時、一度オールマイトにここまで運ばれてる。ゆっくり見る時間はなくて!改めて見たかったんだ。それにしても一度家に戻っちゃってごめんね、返すものあってさ」
「いや、大丈夫だ。時間には間に合ったのだから」
「HAHAHA!そうだね!よーし、それじゃあ雄英に入ろうか!」
一方雄英高校内、校長室。
そこには相澤、オールマイト、根津がこれからの事について話していた。オールマイトは珍しく笑ってはいなかった。
「一先ずは受験のことはお疲れ様なのさ!このあと八木典花が雄英に来次第に個性測定、そして八木典花の今現在のヒーローとしての適合の有無を確認するのさ」
「ヒーローとしての適合の有無とは?彼女が嘘をついていると?疑っているのですか?」
「落ち着いてくれ、オールマイト。そういうことじゃないんだ。彼女はそろそろ現実を見据え始めただろう、と思ってね!これからどうしたいか、まだ腹の中では決まってない筈なんだ。ヒーローなるか一般人に戻るか。彼女からしたらここは少し前の過去。彼女は君がこれからすることを、になるが、やることをなぞるべきか否かを、他にも考え始めなくてはならない。つまり、未来を変えるか変えないか」
オールマイトと相澤はごくりと喉を鳴らす。根津は簡単に言うが未来を変えるか変えないかとはとても大きい所業、しかし八木典花に言われなければ我々は何も知らず道なき道を行くようなもの。
根津は何をしようと言うのか。
「生徒を守るためだ。彼女には変える、変えない関係なくこれからの起こる事を教えてもらおうと思ってる。それと相澤くん」
「はい」
「オールマイトの事に関して微妙に知ってしまっただろうけど、その事に関しては近い未来、伝えられる範囲で教えるから今は我慢してほしい。それは八木典花についても。彼女の事の方が早くに教えられるかもしれないけどね!」
「気になりますがオールマイトさんはNo.1ヒーローです。当然守秘義務は多かれ少なかれあると思いますので大丈夫です。八木典花さんについても同様です、空からの来訪者ですので」
「この事はプレゼント・マイクにもお願いするよ!病院の時、彼もいたからね!相澤くんについては以上だ、すまないが退出をお願いするよ!」
「わかりました、失礼します」
相澤が退出をすると空気は一気に変わった。ピリッとした空気にオールマイトは一瞬何事かと身構えた。
それほどに彼は、根津は本気だ。
「君について本題だ。彼女を雄英教師及びヒーローとして正式採用をする」
「なんですって!?彼女は病み上がりだ!」
「オールマイト、君が言うのかい?その体の君が」
「そ、それは!」
「雄英教師は確定だよ、ヒーローとしては今日次第だけどね。生活も君と違う場所でしてもらう予定だ、許可は取れている」
「許可って、いったい誰のなんですか!彼女の意思は無視なのですか!?校長っ!教師としても!ヒーローとしても!人としても!!」
「君ならどうするんだい?望むんじゃないのか?それはほぼ同等の存在の君がよくわかる筈だ、八木俊典。僕らのオールマイト」
オールマイトは、八木俊典は歯を食い縛り、拳を握った。何も、言えなかった。
教師としても、ヒーローとしても、オールマイトそして八木俊典というヒトとしても恐らく望んでしまうその道を。
根津はわかっていた、彼女のような人なら受け入れるだろうということを。そして今の彼には聞こえてなかった、根津のほぼ同等の存在というよりはワードが。
「それと八木典花をヒーローにするに辺り、彼女にはヒーロー名を改名してもらう。オールマイトは二人もいちゃいけないんだ。わかるね?」
「平和の象徴は一人でなければいけない、ということですか?」
「いや、違うよ?」
「えっ、違うっ!?」
「普通にナンバーワンが二人居たら混乱するだろう?名前も同じで個性も同じ、さらにぽっと出なのだから」
かなり至極当然な事だったのでオールマイトは逆にショックを受けた。
確かに同じヒーロー名で、それがナンバーワンのヒーロー名、さらに人物はぽっと出、日本のみならず世界が混乱する案件だ。
オールマイトとはそれほどの人物なのだ。
「君はオールマイト、全能の名を持つヒーローだ。決め台詞は私が来た!だよね。彼女のヒーロー名の候補としてはいくつかあるんだ!一つはオールライト、大丈夫だと言わせる為のヒーロー名。二つ目はヴィクトリーで古きアメコミのようなヒーロー、あと三つ目がね」
ウキウキと根津は紙を取り出し、ヒーローネームとヒーロースーツの書いてある紙を取り出す、それは三枚どころではなかったのでオールマイトは目を少し、いやほんのり目を反らす。
シリアスな中に根津は楽しみを見つけていた。人のヒーロー名を考えるというのは、とても楽しかったようだ。
ちなみにヒーロー名などはどうやら根津とリカバリーガール考案なのか、名前がしっかり紙に入っていた。
「(あれ、もしかして長話の路線に行ってしまわれた?)ね、根津校長、それこそ彼女の意見を入れてあげてください。特に近接で戦う私たちにとってスーツは重要ですので…」
「うん、言われるとそうだね。動きに支障があっても困るし、怪我を和らげたり、人によってはサポートアイテムともなる重要なことだ。これは保留にしておこう!じゃあ、もう一つ本題だ」
「まだおありで!?」
オールマイトは驚くしかなかった。
未来の話、八木典花の教師及びヒーロー活動の話、住む所も別でさらにこれから個性測定が待ち受けている。根津はまだ何を言う気なのか。
「あるのさ!その名もプロジェクト神野、オールマイトを、君を生かす為のプロジェクトさ。今日からメンバー集めだから頑張って行こう!一応電話はしてあるんだけどね」
「プロジェクト神野?!電話!?」
──────────────
雄英の更衣室にヒーロースーツとインターカムを持って入る女性がいた、八木典花だ。それは空から落ちてきた時と同じスーツ、と同じように作られている新品のスーツ。
何か違うのか眉間にシワを寄せながら着替えていた。
「うーん、何だか違和感、何が違うんだ?ほぼ同じなのに。流石雄英だ!って思うんだけど…マッスルフォームになればわかるかな?」
『八木典花、準備はできたか?早く来い』
付けたばかりのインターカムから声がし、相澤が急かしてきた。
急いで準備をし、本日の雄英受験と同じ会場に向かう。
人は待避しロボットのヴィランが彷徨いている偽の町、巨大なロボットもいるので気を付けよ、という本日の設定を来た時、相澤から言われスーツも渡された。大事なものはナイトアイに渡してある。
「グラウンドβだっけな!」
その会場をカメラを通して画面からモニタールームで見ているのは校長の根津、オールマイト、イレイザーヘッド、プレゼント・マイク、リカバリーガール。
外部からはサー・ナイトアイ、根津に呼ばれたホークス、ベストジーニスト、ファットガム、グラントリノがいた。互いに初対面、八木典花が現れるまでの間のわずかな時間で自己紹介が行われる。
「初めまして、先輩方、俺はホークスです」
「沈ませ屋さんのファットさんや!ちゅーわけでファットガムですよろしくね!」
「私はベストジーニスト、ホークスにファットガム、よろしく。それでその、あなたは?」
「誰だ君は!?」
「ぐ、グラントリノ!HA…HAHAHA!彼はグ「俊」HAHAHA!!」
明らかに笑い声で誤魔化すオールマイト。
あのオールマイトが振り回されているのを見てホークスとファットガムはあの人は何者だろうかと思った。ベストジーニストはどうしたらと考え込み、イレイザーヘッドは合理的じゃないと思った。
先に動いたのはホークスだった、グラントリノに近づき身長差のため少ししゃがみこむ。
「俺はホークスです、おじいさんは何て言うんですか?」
「グラントリノだ。小僧、もう少し鍛えた方がいいぞ」
「あはは、鍛えすぎると重くて、飛ぶのにバランス悪くなるんですよ」
「おじいさん!俺はファットガムです!」
「よろしく、ベストジーニスト」
「え?あ、あぁ、よろしくお願いします、グラントリノ」
「無視せんといてーな!」
「合理的じゃないね?」
「お、落ち着けって!イレイザー!」
下手すると生徒より煩いファットガムに自由なホークスとグラントリノ、そして八木典花は来ないので進まない現状。
プレゼント・マイクはなんとかイレイザーヘッドを宥め、八木典花に連絡を入れることを促す。それがさっきのインターカムのやつだった。
「さて、改めて私は根津、雄英高校の校長をしているのさ。本日は来てくれて感謝をするよ、グラントリノ、ベストジーニスト、ファットガム、ホークス。君たちを呼んだのは他でもない、実力と人柄、そしてこれからに必要からと思ったからだ。画面を見てくれ」
グラウンドβの入り口は一人の人が見えた、画面を拡大するとそこには八木典花、いやこの世界では未知のヒーローとして立っていた。
ヒーロースーツに出で立ち、姿は違えぞまるでオールマイトだとベストジーニストは思った。
「彼女はこの世界のヒーローじゃない」
グラントリノを除く三人は目を見開く、雄英教師ではプレゼント・マイクが驚く、そして根津は言う。
「ここからは君たちを信用して言うことだ、機密処でないモノになるかもしれない。それでもし、それに応えることが出来なそうだったら帰っても大丈夫だ。今なら引き返せるよ」
一旦目を瞑り、ワンテンポ遅れてホークスは喋りだす。その開けた瞳は若くもプロヒーローの瞳であった。
「いや、帰りませんけど」
「おや、何故だい?」
「この世界のヒーローじゃないってことは戸籍も何もかも無いってことですよね。それに、あのカラーリングにスーツは…今は詳しくは聞きませんよ。まぁ言えることは一つ、彼女困ってるってこと、そうですよね?先輩方」
「確かに、この世界のヒーロー、人間じゃないと言うとこはホークスの言う通り彼女は困ってるっていうことです。それに画面越しからでもわかるあの目、意思が強そうな目だ。彼女がパンドラの箱であろうとヒーローであるならば、一人で解決しようとするような人柄かもしれない」
「どういう経緯で来たかわからんけど世界が違うんなら一人は寂しいやろうなぁ、あとで飴ちゃんあげたろな!それと無理せんように見てあげな!」
イレイザーヘッドが動き、根津の隣に立つ。ちらりと根津を見たあとヒーローの四人に向かって問いを投げる。
自らだってプロのヒーロー、なら聞くべきは一つしかない。
「校長、言い方が合理的じゃないんですよ」
「相澤くん」
「空から落ちてきた彼女は多かれ少なかれ困ることはある、そして世界が違うんなら助けるでしょう。ホークス、ファットガム、ベストジーニスト、そしてグラントリノ。率直に聞く、関わる気があるか?あの画面の向こうの、空から落ちてきた来訪者に。地に落ちた英雄に」
根津はどうやら測り間違えていたようだ、現在の現役ヒーローと言うものを。
言い方は色々あれど、彼等は受け止める気があるようだ。そしてそのハイスペックでヒーローの卵達のことも八木典花についても考える。
「ありますね」
「恐らくそのために私達は集められた、信用足るヒーローとして」
「そして困ってたら助けるんがヒーローや!」
「まぁなんだ、ひとりは大変だろうからな。見てやらんでもない」
「(どうやら心配はなかったようだ、これなら卵たちも、もしかしたら受け入れるかもしれない。そして彼女も進めるかもしれない)」
「校長、そういうことらしいですよ」
「ありがとう相澤くん!よし、では二人とも配置についてくれ!」
プレゼント・マイクとイレイザーヘッドは外に出た、そして数分後個性ヴォイスの大きな声が室内にも聞こえた。イレイザーヘッドは耳栓してサラに手で耳を塞いでるのでギリギリ平気だ。
「≪YEAHHH!!初めましてリスナー!俺はプレゼント・マイク!準備OK?Yes or No!?≫」
「HAHAHA!懐かしくなる騒がしさ、相変わらずだなぁ。初めましてだー!そしてイエース!!」
「≪OK!では確認だ!人は待避しロボットのヴィランが彷徨いている町カミーノ!巨大なロボットもいるので気を付けろよ!?あんたの勝利条件はただひとつ!全てのロボットの制圧だ!簡単過ぎたら条件は追加!さて、最後にリスナーへ我が校の“校訓”をプレゼント!かの英雄ナポレオン=ボナパルドは言った!『真の英雄とは人生の不幸を乗り越えていく者』と!!“更に向こうへ!Plus Ultra!!”それでは八木典花!良い受難を!Staaaaaart!≫」
テンション爆上げ右肩上がり元気モリモリのプレゼント・マイクの長い話が終わり、八木典花は体から煙を上げ、そして走り出した。
筋肉は膨張をし、垂れていた二本の前髪はピンと立ち、少しブカブカのヒーロースーツはその姿に合うような物となった。その姿、纏うものは先程とは違う。
金色に光り伸びた髪にはスーツが更に似合った、強く光る青の瞳は向かってきたロボットを拳と共に貫く。
「さて、何からしようかな!っと!考えてる場合じゃないね!TEXAS SMASH!!」
技、そして姿、そことなくわかっていてもその動揺は外の彼等も中の彼等も同じだった。確信してた者さえ動揺はしてしまう。
一語らなくとも零でわかるそのパワーに、その戦い方に、その正体に。
「おいおいイレイザーヘッド、ありゃ…」
「…他言無用だ、そして詳しくは俺も知らない。言ったろ、マイク(しかし、マジでありゃオールマイトだな。来年度は荒れるな)」
「テキサススマッシュ、か。(疑ってたわけでは無いんだけどね、彼女は本当にヒーローオールマイトなようだ。ヴィランのオールマイトじゃなくて良かったのさ。町もビルなどは損傷が低い、個性測定も恐らくあれだと完全に同じ個性だ)」
「あれが彼女の、マッスルフォームか…」
グラントリノはオールマイトの所まで行くとオールマイトは気付いたらしくしゃがみこんだ、よく見るとオールマイトの足が震えている。
そしてグラントリノは指摘をする。
「俊典、アイツの戦い方お前そっくりだな」
「ちょ、グラントリノ、オールマイトですっ…!」
「今更なんだ、それに聞いとらんぞアイツら」
「そうですけど…!それに彼女、あのオールマイトは恐らくロボットだからあのような戦い方なのかもしれません」
「まぁ加減せんでいいからな。それにあの姿、まるでヤングエイジと呼ばれる姿ソックリだな!おーおー、次はミズリー、カロライナ、ニューハンプシャー、オクラホマ。何処行ってもお前は力ゴリ押しなんだな」
「うっ、なんかすみません」
「ふむ、言うまでもなかったのさ。やはり簡単すぎたみたいだね?」
「そうみたいですね。あの人が誰と言わなくても、別世界の誰とまでわかりそうですよ」
「何処行ってもナンバーワンは強いんやなぁ」
「根津校長、プレゼント・マイクが言っていた条件の追加は確定のようですね。ロボットの制圧は彼女には簡単過ぎるようだ」
ベストジーニストが根津にそう言うとそのようだねと言い、今まで喋らなかったサー・ナイトアイに話しかける。
条件は最初っから根津の中で決まっていたらしい。
「サー・ナイトアイを要救助者としてグラウンドβに派遣させるのさ!相手はロボ、彼はロボの前では無個性さ!しかしプロヒーローで怪我もしにくいから」
「故に要救助者としては適正、ですか。わかりました。…すまないが、オールマイト」
「な、なんだい!」
「彼女からの預かり者なんだ、私の代わりに預かってほしい」
オールマイトの近くに行きオールマイトの手に渡したのは一つの写真、オールマイトの彼女と平行世界のサー・ナイトアイが写っている。
それは唯一無二の彼女の持ち物。オールマイトもこの写真の大切さを知っている。
写真を優しく持ち、頷き返事をするとサー・ナイトアイは外に出た。そしてβに送るのはホークスとなり彼も外に出る。
サー・ナイトアイは上からホークスに両手を捕まれる状態で浮いている。
「このように空を飛ぶのは初めてだな」
「眼鏡、気を付けてくださいよ。では手を離すんで気をつけてくださいね!」
サー・ナイトアイは耳を塞ぎながら落下する、このあと何があるかなんて分かりきっている。ホークスも耳を塞ぎながら戻るがその前に発せられる。だがそれでも声がでかいと二人は思った、流石個性ヴォイス。
「≪YEAHHH!!条件PLUSだ!要救助者を空から追加!そしてそろそろ来るぞ!≫」
落下しながらナイトアイの目に写ったのはビル並みのロボットだった。そして耳を塞ぎ、空から落ちてるナイトアイを目を見開きながら思う。
「(今攻撃されたら流石に不味い!私は前衛向きではないからダメージがもろに来る!そもそもだ!落下でダメージが高いだろう!)」
「≪キタキター!YEAHHH!!巨大ギミック!≫」
「ナイトアァァァイ!」
ナイトアイの下から飛んでくるのは彼の好きなオールマイトではなく、平行世界のナンバーワンヒーロー オールマイトだ。
彼を抱き抱え、道路に着地すると彼の瞳を見て言う、あの台詞を。
「大丈夫だ、サー・ナイトアイ。私が来た!」
平行世界といえ、性別は違えぞオールマイト。思わず嬉しくなり、口を塞ぎながらありがとうと言う。
出来ればボイスレコーダーを録りたかったと思うのは重度のオールマイトファンの為仕方ない。「ナイトアイはここに居なさい、私はあの巨大ロボットを倒してくる」
「ま、待ってくれ!体は平気なのか!」
「HAHAHA!私はオールマイトだ!ロボットぐらいにやられたりはしないさ!」
「違っ、そうでは!」
「おっと!まだ小さなロボットが来るか!」
少し話している内に路地からロボットたちが現れ、あっという間に囲まれた。だが沢山のロボットを倒してから時間は過ぎている。
だから巨大ロボットも現れた、なら終盤になり集まった最後のロボット達だ。
「これは多すぎるな…すまないがナイトアイ、少し力を貸してくれるか?」
「…えぇ、オールマイトの為なら」
「オールマイト、ね。全く彼が羨ましい!おばさん妬けちゃうな!すまないが直線上に蹴散らしてくれ!」
「あなたはおばさんではないだろう!了解!オールマイト!」
ナイトアイはポケットから超質押印を出し、ロボットを蹴りながら、直線上に集めては投げていく。
オールマイトも同じようにロボットを蹴り、殴り、投げては同じように集めた。
「ナイトアイ!下がってくれ!」
「了解!」
ナイトアイは少しばかり、いやかなり嬉しかった。
ヤングエイジのような姿をした、平行世界のオールマイトと、その隣に立ち、背を任せられ、例え受験のような舞台だとしても共に戦えてることに。だから油断をしていた、すぐ後ろの影もビルだと思っていた。
「TEXAS SMASH!!」
直線上になったロボットを一気に飛ばした平行世界のオールマイト、ナイトアイはそちらに向かおうとする、だが目の前に瓦礫が降ってきた。
あと少し、ずれていたら直撃だった。そう思うとナイトアイは冷や汗を流した。
「(しまった、浮かれすぎていた!だが何処から…)」
「≪HEY!サー・ナイトアァァイ?!後ろと上をよく見ろよ!≫」
「後ろと上?」
振り替えればギミック、巨大ギミックは二体居た。
目の前に巨大ロボット、後ろには瓦礫、さらに後ろにも巨大ロボット。サー・ナイトアイはもう逃げれない。
目の前の巨大ロボットは足を上げ、ナイトアイは踏まれそうになる。だがその場に居るヒーローは誰だ?
「踏ませるかァァァ!」
オールマイトは直ぐ様、ナイトアイの後ろの瓦礫を持ち上げ、後ろのロボットに投げた。
巨大ロボットの足元にはSMASHをし、道を塞ぐロボットの残骸、そして胴体に瓦礫が当たり時間稼ぎをする。そして彼の腕を掴み、彼を見ずにロボットを真っ直ぐ見ながら言う。
「しっかり捕まってなさい」
「は、はい!」
ナイトアイは直ぐ様捕まれてる腕はそのまま掴み、空いてる方は体にしがみついた。
オールマイトは一瞬で空に跳躍し、手を振り上げ、大きく叫ぶ。それと同時に軽く竜巻が起こる。
「DETROIT SMASH!!」
巨大ロボットは一瞬でスクラップと化した。
彼女はいったい何処まで元に戻っているのかと、画面から見ていた根津はそう思った。
しかし、近くで見ていたナイトアイは知っている。
「オールマ、いや典花!やはりあなたは!」
「すまないがビルに降ろす。もう片方の腕を使いたい」
「体が、腕が持たない!」
力は戻っているように見えた、だがまだ体は、力に耐えるほど戻ってはいなかった。
当たり前だ、リハビリしかしていない、鍛えてはいない。衰えて尚、常人よりは鍛えられている体、だがその彼女の腕からは血が流れ、色は変色していた。
「試しに100%以上で打ったからだ。どこまで思い切れるわからなかったからな。次は100%にしてみる」
ナイトアイをビルに降ろすと彼女はすぐに、巨大なロボットに向かおうとする。
それをナイトアイは再びしがみつき止めようとする。そうでもしないとナイトアイより小さいと言っても(ただし個性使用時に筋肉が膨れ上がり通常より大きく見え、それに加え)力があり引き摺られてしまう。
「待て待て!待つんだ!オールマイト!仮想ヴィラン相手に、それもギミック相手に何故そこまで本気を出す!?」
「私の力、知っているだろう?」
「ワン・フォー・オールのことか?」
「そうだよ。私はね、私の代で力を蓄えすぎた気がしてね。どの代よりも、それこそ…お師匠よりも。そして私は中々その力を試す場がないんだ、ナチュラルボーンヒーローさ。私の力は物理的、試すなら今しかないんだよ。味方を怪我させるよりは、中途半端な体であろうとも、自らを怪我してでも試す方が、良い!」
そう言うとビルから跳躍で去った。大きな背は、すぐに小さくなった。彼女は普通に跳躍したのだろうが足元は少し、ヒビが入っておりもしかしたら本人自身、調節が出来てないのかもしれない。
「だから、それが駄目だと…全く、やはりすぐには変わらないか」
サー・ナイトアイの目の前で、巨大ロボットはひしゃげ、風は渦を巻き、遅れて聞こえる平行世界のオールマイトの声。
「DETROIT SMASH!!」
画面からではなく、モニタールームに戻らずその目で見ていたホークスは思う。
ヒーローのみならず、我々はナンバーワンに頼りすぎていたのかもしれないと。空で浮きながら彼は独り言ちる。
「無茶苦茶じゃないですか、あの力。…いつになったらヒーローが、暇を持て余す世の中になるんでしょうか?ねぇ、空から溢れ堕ちた地に落ちた英雄さん」
息をついてから彼は、二人を回収するために地に向かう。
次回、八木典花は叱られるのが目に見えてきた。
実はエンデヴァー出そうとしたんですけどエンデヴァーは不味いかなと思い結果、ベストジーニストになりました。
人選としてホークスは若手のホープで慧眼ありそう、そしてホークスだけに炯眼。
ファットガムは人柄と実績で、悪い噂はないだろうと。
ベストジーニストはほら、かっちゃんのやつ。
グラントリノはオールマイト関連。
そして巻き込まれていくプレゼント・マイク。
エンデヴァー起用予定の理由は平行世界のオールマイトだったら事情もバレてそうでその上で少し仲良いかなぁ?と思ったけど原作は歩み寄るまでに時間がかかったからまたの機会にしました。
ちなみに事情は恐らくバレてない。
ここまで月日掛けて書いときながら実はまだ【八木典花にどの道を歩ませる】かをまだ決めてないので参考にさせてください。
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