《sideユウキ》
ボクはシノンと分かれた。あとは人気の無い場所でゲームの姿に変身する。
木綿季「リンク・スタート!」
その言葉を口にすると、髪が紫色に染まり、妖精の翅のような物が背中から生えて、紫を基調とした動きやすい格好に変わる。その姿は、まさにALOで名を馳せた、『絶剣』である。
ユウキ「やっぱり、こっちの方がシックリくるな」グーパー、グーパー
ボクは体の調子を確かめてから隠蔽スキルを発動させながら、背中の翅を羽ばたかせて立体駐車場に向かう。
ユウキ「ここなら誰もいないよね」
そのまま駐車場からショッピングモール内に入るが……。
ユウキ「うげ~、モンスターがウジャウジャいるよ」ゲンナリ
ユウキ「仕方ない、地道に倒していくしかないか」
左腰に差している愛用の『黒耀剣』を抜いて、モンスターに向かって走り出す。
ユウキ「いっくぞぉぉぉ!」ダダダダ
ユウキ「セイッ!!」ガシャン!
ユウキ「ヤアッ!!」ガシャン!
ユウキ「テヤッ!!」ガシャン!
何体も何体もモンスターを倒していくが一向に減っている感じがしない。
ユウキ「もう、切りがない……。あっ、そうだ!」
ボクは攻撃を止めて、モンスターのタゲを根こそぎ自分に当てて、モンスターたちを一ヵ所に集めながら動き回る。
ユウキ「鬼さん、こちら!手の鳴る方へ!」
ユウキ「よし、大分、集まったかな……それじゃ、一気に決めるよ!」
ボクは片手剣ソードスキルの構えを取り、後はシステムアシストに任せて、それを放つ。
ユウキ「テイッ!!」
右に回転して勢いをつけながら左から中段に水平に横一閃する、片手剣ソードスキルの《ホリゾンタル》を放つ。それにより、ソードスキルの攻撃範囲内にいたモンスターは一斉にポリゴンへと変わる。
ユウキ「う~ん、スッキリした!」ニコニコ
それから、どんどん奥に進んで行きながらモンスターを蹴散らして行く、一階のフードコートにたどり着くと何か虫の卵のような大きな物を見つけた。
ユウキ「これがモンスターたちの巣なのかな?」
ユウキ「そうだったら、ここで潰しちゃうのがセオリーだよね」
剣を抜いて卵を攻撃しようとすると……上からデカいクモ型のモンスターが降ってきた。
ユウキ「うわああ、なにコイツ!?」
名前を見ると、クイーン・イビル・スパイダーと書かれてあった。
クイーン「キシャアアア!!」
ユウキ「コイツがここの親玉ってわけか……なら、手を抜かないで全力で倒さないと!」
クイーン「キシャアア!」ペッ!
ユウキ「うわあっ、汚い!?」バッ!
クイーンは口の中で何かをクチャクチャと練り、それをボクに向かって吐き飛ばしてきた。それを躱わして吐き出された何かを確認すると飛ばされた物がテーブルに当たり、テーブルがドロドロと溶け始めた。
ユウキ「あれって、まさか溶解液なのかな……。アレに当たったらひと溜まりもなさそうだな」
クイーン「キシャアア!」
ユウキ「セイッ!!」ガキンッ!
クイーン「キシャア!?」
ユウキ「まだまだ、セヤアアア!!」
クイーンの通常攻撃をパリィで弾き、そのパリィで仰け反ったクイーンに片手剣ソード《ホリゾンタル・スクエア》を放つ。これにより、クモの特徴である八本足の内、四本を切り落とした。
クイーン「ギャアアアア!?」ジダバタ
クイーンは足を切り落とされたことに激怒したのか、その場でジタバタと暴れ出した。
ユウキ「ジタバタと赤ちゃんみたい……でも、こんな赤ちゃん嫌だな……ボクは」
クイーン「キシャアアア!」
暴れ終わるとボクに視線を向けて殺気立つ。
ユウキ「今度は激情化したのか……。なんか色々と忙しいボスだな」
クイーン「キシャガアアアア!!」ドスドスドス!
ユウキ「激情化し過ぎて攻撃が単調になってるよ」
クイーンは激情化で頭に血が登っているのか何の策も考えずにこちらに突進してきた。
ユウキ「ボクもゲームなら、もっと相手をしてても良いんだけど、今はそうも言ってられないんだよね………。だから、次で決めるよ!」ダダダダ
ボクはクイーンに最後の止めを刺すために正面から向かい撃つ。
クイーン「キシャガアアアア!!」
ユウキ「ボクのオリジナルソードスキル、マザーズ・ロザリオ!!」キュピーン
ユウキ「喰らえぇぇぇぇぇ!!」
ボクはALOで編み出した、ボクだけのオリジナルソードスキルをクイーンに向けて全力で放つ。これはあっちの世界で生前の最期に親友である彼女に継承した、計11連撃からなるオリジナルソードスキル《マザーズ・ロザリオ》。
クイーン「キシャァァァ!?」ガシャン!
ユウキ「ふぅ~」
ユウキ「次はこの卵だね」
クイーンを倒したことにより卵を守護するモンスターはいなくなり、あっさりと卵を破壊することができた。
ユウキ「あと、残りのモンスターの殲滅だけかな」
ボスを倒し、卵を破壊し終わったボクは、ショッピングモール内に残っているであろうモンスターを一匹ずつ倒しながら逃げ遅れた人がいないか探していると此方に近づいてくる足音が複数聞こえた。
ユウキ「あれは…………アスナ?」
足音の正体を確かめるために隠れて観察すると髪が栗色で腰の辺りまで伸びており、お姫様みたいな顔立ちの女性と子供二人がショッピングモールの出口へと走っていた。
ユウキ「間違い、アスナだ!でも、今はまだ会えないんだよね……。そうだ!ボクだってバレなきゃ平気だよね。よし、決まったら即行動だ!」
ボクはアイテムストレージから全身が隠れるようなマントを取り出す。
ユウキ「うん、これならバレる心配もないね」
マントを被りアスナのサポートをしに行こうとすると……。
「お姉さん、危ない!?」
アスナ「え?」
ユイ「ママ!?」
アスナが物陰に隠れていたモンスターに気付かずに攻撃を受けようとしていた。
ユウキ「やらせないよ、ハアアア!!」
ボクはアスナに迫るモンスターに向けて片手剣ソードスキル《ヴォーパルストライク》を放ち、ポリゴンへと葬る。
─────ガシャン!
アスナ「へ?」
ユウキ「大丈夫だった、アスナ?あまり、気を抜いてると危ないよ?」
モンスターを倒して、アスナの方に振り向いて言葉をかける。
アスナ「あっ!助けてくれてありがとうございます。でも、なんで……私の名前を?」
ユウキ「あっ!そっか、今はまだ言っちゃいけなかったんだっけ。ボクったらおっちょこちょいだな」アハハハ
ボクは自分のちょっとしたミスに自分がおっちょこちょいだと分かり、笑ってしまった
アスナ「ッ!! アナタ……その剣!」
ユウキ「やっぱり、これを見ちゃったら気づいちゃうよね。今はまだ一緒には居られないけど、大丈夫…また直ぐに会えるから」
アスナ「まさか、アナタもしかして!」
ユウキ「またね、アスナ」ニコ
アスナ「待って!ユウ………
アスナがボクの名前を呼びながら手を伸ばすけど、今はまだ一緒にいられないから、名前を呼び終える前に煙幕魔法を放って姿を消す。そして少し離れた所から大きな声で……。
ユウキ「大丈夫だよ、直ぐにまた会えるから!!」
とアスナにメッセージを残す。
ユウキ「本当にすぐだからね、アスナ」
ショッピングモール内のモンスターを全部倒した後、人気の無い場所でログアウトしてから詩乃と別れた場所に向かう。
詩乃「お帰り、木綿季」
木綿季「ただいま、詩乃」
詩乃「それじゃ、結果報告といきましょう。私の方はハチマンが大分削ってくれてたお蔭で一発で仕留められたわ。木綿季は?」
木綿季「ボクの方はイベントボスぽいっのを倒したよ、あとは卵みたいなやつも壊したよ」
詩乃「卵?多分、そこがモンスターの出現ポイントだったのね」
木綿季「それとちょっと失敗もしちゃいまして……」
詩乃「失敗?」
木綿季「ボクがこの世界にいることがアスナにバレちゃった…………ごめん」
詩乃「それなら心配いらないわよ。どうせ、私もハチマンにバレてるだろうし」
木綿季「なら、いいんだけど」
詩乃「それじゃ、私たちも帰るわよ」
木綿季「うん!」
こうして、『絶剣』と『冥界の女神』によるショッピングモール事件のサポートは幕を閉じた。