和人たちが帰ってからは洗い物やバーベキューコンロの炭などの後始末をする。
八幡「コンロの炭はこれでよし」
コンロの中に入れていた炭を水がヒタヒタになるまで水を吸わせたダンボールの上に丁寧に平たく置いて行き、その上からジョウロでまんべんなく水をかけていく。
それを四、五回繰り返す。そして、炭が燻っていないかを確認して平気であれば炭とダンボールを大きなゴミ袋に入れる。
明日奈「お疲れ様」
八幡「サンキュー」
季節は冬だが、やはり熱した炭を扱っていたので額に汗が滲む。
そこに明日奈が手拭いを渡してくれる。
八幡「ふぅ~。親父たちは?」
明日奈「お父さんたちなら、久しぶりの休みだから八幡くんのお家で二次会をやるって行っちゃったよ」
八幡「そうか……。まあ、彰三さんも京子さんも普段忙しいんだし、たまにはお酒でスカッとしてもいいだろうな」
明日奈「まあ、母さんは大丈夫だとして、お父さんがね……」
八幡「なるほどな」
明日奈の父である、彰三さんは明日奈を大層可愛いがっているのだ。その所為で須郷の奴に騙されたりしたのである。だから、うちの親父と娘の自慢話でケンカにならなければいいが……。
八幡「俺たちも明日は学校だし、風呂に入って寝るか」
明日奈「そうだね」
八幡「それじゃ、明日奈からどうぞ?」
明日奈「…………」
八幡「明日奈?」
明日奈「あのね、八幡くん」
八幡「どうした?」
明日奈「えっとね……」
八幡「ん?」
明日奈「その……一緒にお風呂に……入りませんか?」
八幡「はあ?」
八幡「あ、明日奈さん。今、なんと……?」
明日奈「だから、一緒にお風呂に入りませんかって言ったの!何回も言わせないでよ…………。私だって恥ずかしいんだから。///////」
八幡「お、おう。(恥ずかしいなら、言わなければいいのに)」
明日奈「八幡くん、今、恥ずかしいなら言わなければいいのにって思ったでしょ?」ジトー
八幡「なんで心の声が読めるんだよ…………」
明日奈「奥さんパワー?」
八幡「あー」
と納得してしまう俺ガイル。
明日奈「それでどうなの?」
八幡「そうだな…………なら三人で入るか」
明日奈「三人?」
八幡「そっ、三人。ユイ、ちょっと出て来てくれ」
携帯に向かって言うと画面にひょっこりとユイが現れる。
ユイ『なんですか、パパ?』
八幡「三人でお風呂に入らないかと思ってな、どうだ?」
ユイ『私もパパとママと本当のお風呂に入ってみたいです!』
八幡「なら決まりだ。明日奈もいいだろ?」
明日奈「そうだね、ユイちゃんとも一緒に入りたいかな」
八幡「それじゃ、ユイ。こっちに出て来てくれ」
ユイ『はい!』
と、まあ、こんな感じで三人家族でお風呂に入ることになり。現在、俺たちは風呂に入っているのだが………。
明日奈「八幡くん、痒いところとかない?」シャカシャカ
八幡「ああ、大丈夫だ」
明日奈「了解」シャカシャカ
自分以外の誰かに頭を洗ってもらうのって気持ちいいよな。床屋とかで髪を切ってもらってる最中もそうだが、シャンプーしてもらう時も気持ち良くて眠くなるんだよな~。なんでだろう?
明日奈「ユイちゃん、見て見て」
ユイ「あっ、ソフトクリームです!」
明日奈「次は…………」
何故かシャンプーから俺の髪の毛で遊び始めた。これって髪の短い俺じゃなくて、髪の長い明日奈が普通はやるんじゃないの?しらんけど。
八幡「あの~、そろそろ人の頭で遊ぶの止めていただけません?」
明日奈「あはは、ごめん、八幡くん」
ユイ「ごめんなさい、パパ」
明日奈「それじゃ、シャンプー流すから目を閉じてね」
八幡「ん」
シャワーでシャンプーを流してもらい少し待つ。
明日奈「いいよ」
明日奈から返事が来たので頭をワシャワシャと掻き髪の水気を飛ばす。
八幡「それじゃ、次は明日奈だな」
明日奈「うん、よろしく。ユイちゃんはママが洗ってあげるからね」
ユイ「よろしくです」
俺が明日奈の頭を、明日奈がユイの頭を洗うため、順番からして俺、明日奈、ユイの並びで頭を洗う。幸い、俺たち三人が並んでも風呂場はそんなに狭くないのだ。てか、うちと広さはそこまで変わらないよね?でも、なんで三人も入れんだ?まあ、気にしても仕方ないか。
八幡「こんなもんかな」
八幡「それじゃ、お湯を掛けていくから二人とも目を瞑ってろよ」
「「はーい」」
明日奈とユイの頭に優しくシャワーでお湯を一、二分程度、掛けていく。それと今更だが、明日奈の体には白いバスタオルを巻いてもらっている。でないと、子供の前でミニ八幡がデカ八幡になって、二人の前にヤッハロー!してしまうからである。しかし、今でも、かなり耐えるのに必死である。
八幡「…………」ゴクリ
明日奈「どうしたの?」
八幡「いや、なんでもない」
明日奈の真っ白なうなじがなんとも…………。はっ、(゜ロ゜)!!
ヤバい、今、俺はナニを考えた!?
子供の前で性欲の化け物になるわけにはいかんのだ!
煩悩退散、煩悩退散、煩悩退散。
明日奈「八幡くん、本当に大丈夫?」
明日奈はユイの頭を洗いながら、こちらに聞いくる。
八幡「ああ、大丈夫だ、問題ない」
明日奈「八幡くん………それ、一応フラグだからね?」
八幡「大丈夫だ。それじゃ、頭を洗っていくぞ」
明日奈「よろしく」
シャンプーを手のひらで泡立てててから明日奈の髪の毛を目に泡が入らないようギリギリのラインで優しく撫でるように洗っていく。
明日奈「八幡くん、髪を洗うの上手だね」
八幡「昔、小町が髪を伸ばしてた頃によく俺が洗ってたからな」
明日奈「小町ちゃん、昔は髪を伸ばしてたんだ」
八幡「ああ。今度、アルバムを見せてもらえば、その中に一枚くらいはその頃の写真があるだろう」
明日奈「なら今度、見せてもらおうかな八幡くんの幼い頃と一緒に」
八幡「えっと………それは勘弁してもらいたいな」
明日奈「ええ、いいじゃない?」
八幡「昔の俺の写真を見ても、そんな良いもんじゃないぞ?」
明日奈「それではいいの。自慢の旦那さんの子供時代を見てみたいと思うのは奥さんとしては普通なんだよ?」
八幡「そんなものか?」
明日奈「そんなものだよ」
八幡「明日奈がそう思うならそれでいいか」
その後は普通に体を各自で洗い。三人、湯船で「あ“あ“~」とか「はあ~ん」とか「はふ~」と口から声がもれた。
八幡「やっぱり、風呂はいいもんだな」
明日奈「そうだね~」
ユイ「気持ちいいです~」
俺はタオルを頭の上に、明日奈とユイはタオルをターバンのように巻いて、湯船に浸かる。湯船も風呂場と同じで三人が並んで入っても大丈夫なくらいデカイ。
本当、マジで、俺の実家と同じくらいの大きさの家なのになんでこうも内装のデカさが違うの?
ユイ「パパ、それはご都合主義ってものらしいです」
八幡「ユイ、さすがに俺の心の声を聞くのはあまりしないでくれ。それとメタイぞ」
ユイ「パパ、メタいってなんですか?」
八幡「それはだな……」
明日奈「ユイちゃん、メタいって言うのはね。メタ要素、またはメタ発言と言うんだけど…「明日奈、その先はダメだ」……ええ」
八幡「その先は禁句だ」
明日奈のメタ発言の説明を止めてからは、普通に風呂を出てリビングで湯上がりの飲み物でゆったりしている。
八幡「ん?」
テーブルに置いておいた俺の携帯が点滅しているのに俺は気が付き確認してみると、どうやら由比ヶ浜からのLINEみたいだ。
☆結衣☆
やっはろー!ヒッキー。明日なんだけど、ゆきのんが陽乃さんのことでお礼がしたいみたいのだから、明日の放課後、皆と一緒に奉仕部に来てくれたら嬉しいな
(´・ω・`)
と由比ヶ浜から来ている。取り敢えずは明日奈に説明してから和人たちにも伝えればいいか。
八幡「明日奈」
明日奈「なに?」
八幡「これを見てくれ」
明日奈「どれどれ………いいんじゃないかな?キリトくんたちに連絡して明日の放課後に皆で行くの」
八幡「明日奈がいいなら和人たちに今から電話してみるよ」
明日奈の賛同をもらい、明日の放課後に奉仕部の部室に雪ノ下さんを救出したメンバーで向かうために和人たちにも連絡をすることにした。
─────Prrrrrrr
─────ガチャ
和人『もしもし、八幡?』
八幡「ああ、俺だ。夜分に悪いな」
和人『いや、大丈夫だ。それでどうした?』
八幡「由比ヶ浜から雪ノ下が明日の放課後に奉仕部で俺たちが先日のショッピングモール事件で雪ノ下さんを救出したお礼をしたいらしいんだが」
和人『分かった。八幡たちが行くなら俺たちも行こうかな。里香とスグには俺から伝えた方がいいか?』
八幡「じゃあ、頼んでいいか?」
和人『まかせろ。それじゃあ、切るぞ?』
八幡「ああ、また学校でな」
和人『ああ、また学校で』
そう言って和人との通話を切る。
明日奈「キリトくんたち、なんて言ってた?」
八幡「俺が行くなら和人たちも行くってさ」
明日奈「そっか。なら、明日のためにも、寝ないとね?」
八幡「そうだな。ところでユイは?」
明日奈「あれ?そういえば……」キョロキョロ
八幡「あっ」
明日奈「あっ」
キョロキョロとリビングを見回していると、揺りかご椅子の中で揺られながらユイは一人で夢の中にいた。
ユイ「すぅ~、すぅ~」ZZZZ
明日奈「流石に眠くなっちゃったよね」
八幡「流石にな」
ユイを抱き抱えて寝室に向かい、ユイをベッドの真ん中に寝かせる。
八幡「おやすみ、明日奈」
明日奈「おやすみ、八幡くん」
寝る前に明日奈には普通にキスを、ユイにはおでこにキスをしてから寝る。明日奈も俺とキスをしてからユイのおでこにキスをし眠りはじめた。
明日も良い一日でありますように、と柄にもなく願ってしまうほど今日も良い一日だった。