仮想と混ざりあったリアル   作:黒牙雷真

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祝杯と冒険の話

《side八幡》

 

 

バタバタと慌てていた明日奈が準備している最中に俺も歯を磨いて顔を洗ってから二階に戻り、制服に着替える。準備が終わると玄関で明日奈を待つ。

 

 

明日奈「ごめん、待たせちゃった?」

 

八幡「いや、俺も今さっき準備ができたところだ。それと明日奈」

 

明日奈「なに?」

 

八幡「それは?」

 

 

俺は明日奈が手に持っていた。バスケットケースを指差ししながら明日奈に質問をした。

 

明日奈「これ?これはね、放課後に皆で食べようと思って昨日のうちに作って置いたの」

 

八幡「え、昨日のうち?昨日は俺と一緒に寝たはずだよな?」

 

明日奈「途中でトイレに起きたんだ。その時に作ってたの」

 

八幡「そんなことして大丈夫なのか?」

 

明日奈「うん。体調には、何の影響も出てないよ」

 

八幡「なら、いいが」

 

明日奈「それじゃ、行こう」

 

八幡「わかった」

 

八幡「ユイ。パパとママはこれから学校に行くから携帯に入ってくれ」

 

ユイ「わかりました」

 

 

ユイは一度、その場でナビゲーションピクシーに姿を変えてから俺の携帯に入って行った。

その後は玄関の鍵を閉めて、二人で自転車に乗り、学校に向かう。

その途中でバスから降りてくる、和人と理香と合流した。

 

 

和人「おっす、八幡」

 

八幡「おお」

 

理香「相変わらず、ぬぼーっとしてるわね」

 

八幡「人はそうそう変わらん」

 

明日奈「でも、初めて出会った頃よりは捻くれが少なくなってるよ?」

 

八幡「そうか?だったら、それは明日奈が側に居てくれるからじゃないか?」優しい眼差し

 

明日奈「八幡くん……」キュン

 

理香「和人、回りに甘い空気が漂っているのを感じるのは私だけかしら?」

 

和人「大丈夫だ、理香はおかしくない。原因はあの元攻略組最強の夫婦だから」

 

理香「そう、なら安し………これって安心していいのかしら?」

 

和人「俺に聞かれも分からないぞ」

 

 

その後、学校に着き。昇降口で外履きから中履きに履き替えて教室に向かう。すると、周りからの視線を感じた。すると葉山がこちらにやって来た。

 

 

葉山「比企谷、この動画に映っているのは比企谷で間違いないよな?」

 

 

葉山が手に持っている携帯を見ると、そこにはショッピングモール事件の動画が載せられていた。

しかし、その時の事件は情報規制されているはずなのに、何故か動画がアップされている。鬼瓦さんは、信頼できる人なのだがな……。どこかで洩れてたのか?

 

 

 

八幡「ああ、間違いない。前に俺たちが昼休みに抜けてから帰ってこなかった時があったろ?」

 

葉山「ああ」

 

八幡「その時だ」

 

葉山「そうか、ありがとう」

 

八幡「それじゃ、俺たちは自分の席に着かせてもらうぞ」

 

葉山「ああ」

 

 

俺たちは自分の席に着き、それぞれ、HRまでのんびりと過ごす。俺はライトノベルを読み、明日奈は理香と一緒に女子トークを、和人は携帯で新しいゲームの情報を探している。

そして、HRになったがこれと言って連絡はなし。あるとしてもこの頃、物騒になっているからそれの注意くらいだ

 

 

 

そして、一限目は世界史の授業。

 

 

「ええ、この重農主義の主な目的は、フランス農業の再建と国家の財政基盤の整備によって………」

 

 

と先生が重農主義なるものを説明している。俺は空をボケーと見ながら、黒板に書かれている文字をノートに書いていく。

 

隣にいる、明日奈はしっかりとノートに黒板に書かれて文字を写しながら、先生が言っている細かいことまでノートの端っこにメモしていく。

 

そして、前の二人なのだが………。

 

 

和人「……」コクン、コクン

 

 

和人は昨日、深夜まで夜更かしをしていたのか又は自分の興味がない授業なのか時折、頭が船をこいでいる。

 

また、理香の方は……。

 

 

理香「ニシシシシ!」ニヤニヤ

 

 

理香は世界史とは違う教科のノートを丸めて、それを和人の耳に当たるか当たらないかの距離で定めて、そのまま丸めたノートに…………。

 

 

理香「ふぅ~」

 

和人「あはんっ!?」ビクビク

 

 

やりおった……。こやつ、なんちゅうことを授業中にやるんだ。その所為で和人のなまめかしい声が教室内に響いた。

 

 

「桐ヶ谷、どうしたいきなり?」

 

和人「い、いえ。なんでもありません!」

 

「そうか?それと、あまり男子が出していい声じゃないから気をつけろよ?そっちの趣味の人間に狙われるぞ?」

 

和人「は、はい……」

 

理香「ぷくくく」クスクス

 

明日奈「ぷ……ぷぷ」クスクス

 

八幡「………………」

 

和人「お前ら……」

 

八幡「なんだよ、和人。俺は笑ってねぇぞ?」

 

和人「八幡……。お前も、太ももをツネッテ笑いを我慢してるのは分かってるからな?」

 

八幡「そ、そうか……ぷふっ!」クスクス

 

和人「我慢しなくていいからって、笑い出すなよ!」

 

「桐ヶ谷、授業中だ。少し、静かにしろ」

 

和人「す、すみません」

 

 

二限は俺にとっては苦痛である、数学だ。和人は世界史と違い、真面目に受けている。

三限は英語だ。これは普通に受ける。なんせ、就職したら必要なスキルになるからだ。

四限は現国文のため、真面目に受ける。受けてないとアラサーによって、右拳がファーストからラストまでの三連活用が俺のボディーにクリティカルヒットするからだ。

 

 

 

 

そして、昼休み………。

 

 

明日奈「はい、八幡くん。あ~ん」

 

八幡「あ、あ~ん」パクリ

 

明日奈「どう?」

 

八幡「美味いよ」モグモグ

 

明日奈「それだけ?」上目遣い

 

八幡「んぐっ!?あ、明日奈が食べさせてくれるからいつもより美味いよ」

 

明日奈「本当!やったー!」

 

 

和人「…………」

理香「…………」

 

理香「ねぇ、和人」

 

和人「なんだ、理香?」

 

理香「この二人は今朝から何なの?」

 

和人「分からん。ただ、一つだけ言えることは」

 

理香「言えることは?」

 

和人「ブラックコーヒーが甘く感じるということだ」

 

理香「本当にね。そうだ!」

 

和人「ん?」

 

理香「和人、その……」

 

和人「なんだよ?」

 

理香「あ、あ~ん。//////」

 

和人「ッ!?」

 

理香「早く食べてよ。これ意外と恥ずかしいんだから!//////」

 

和人「あ、ああ。あ~ん。//////」

 

理香「どう?」

 

和人「理香が食べさせてくれたから凄く美味いよ」

 

理香「………ありがとう。//////」

 

 

(((リア充爆発しろ!!)))

 

 

 

甘い空間を作っているのは俺と明日奈だけでなく。和人と理香も作っていることを本人たちは気付いていない。

その所為か周りの人達はブラックコーヒーをがぶ飲みしている。また、この日の総武高内の自販機にはブラックコーヒーが全て売り切れた、そうな……。

 

 

 

 

昼休みの後は睡魔との死闘をしつつ、放課後まで頑張った。こんな俺を褒めてくれ、明日奈、ユイ、小町。

 

 

明日奈「よく頑張ったね、えらいえらい」ナデナデ

 

八幡「明日奈……」

 

雪乃「んんっ!!そろそろいいかしら?」

 

八幡「悪い」

 

明日奈「ごめん、雪乃」

 

 

現在、俺たちは昨日の由比ヶ浜からのメールの通りに奉仕部の部室に足を運んだ。そして、今日は奉仕部の活動は休みにして、雪ノ下の家で雪ノ下さん救出のお礼パーティーをしてくれるそうだ。

 

メンバーは俺、明日奈、ユイ、和人、理香、直葉、雪ノ下、由比ヶ浜、一色、それと今回の役者の一人である雪ノ下さんだ。

 

 

いろは「すみません。遅れました」

 

雪乃「仕方ないわ。生徒会の仕事をしてから私たちのパーティーに参加するんですもの」

 

結衣「それじゃ、皆が揃ったことだし!ゆきのんのお家にレッツゴー!」

 

 

由比ヶ浜の音頭で奉仕部の部室を出て、昇降口で中履きから外履きに履き変えて自転車を取り正門に皆で向かうと、既に雪ノ下さんがいた。

 

 

陽乃「ひゃっはろー!みんな」

 

結衣「あっ、陽乃さん!」

 

いろは「どうもです。はるさん先輩」

 

八幡「うっす」

 

明日奈「こんにちは、陽乃さん」

 

和人「どうも」

 

理香「どうも」

 

直葉「こんにちは」

 

 

皆、それぞれが雪ノ下さんに挨拶を済まして、由比ヶ浜の音頭で雪ノ下のマンションに向かうことになった。

 

そして、着きました雪ノ下のマンション。それと何故か、雪ノ下さんによって召喚された、我がスイートマイエンジェルシスターこと小町ちゃんと珪子か来ている。

 

 

八幡「何故、小町が居るんだ?」

 

小町「それは陽乃さんにお呼ばれされたからであります!」ビシッ

 

 

あざとくも可愛いく、ビシッ!と敬礼をする小町ちゃん。そして、律儀な珪子はという…………。

 

 

珪子「私も来ちゃって大丈夫だったでしょうか?本当はご迷惑とかでは…………」

 

八幡「大丈夫だ。コイツらはそんなことを思ったりしないから」

 

珪子「なら、良かったです」

 

結衣「それじゃ、皆。グラスは持った?」

 

 

「「「うん!(おう!(ええ!(はい!)」」」

 

 

結衣「じゃあ、ヒッキー、乾杯の音頭をお願い」

 

八幡「えっ!?俺がやんの?」

 

理香「当たり前でしょ?」

 

明日奈「そうだよ。八幡くんが最後まで陽乃さんを探して、ボスから助け出したんだから」

 

和人「ということらしいぞ。八幡」

 

明日奈「八幡くん」

 

理香「八幡」

 

珪子「八幡さん」

 

直葉「八さん」

 

雪乃「比企谷くん」

 

結衣「ヒッキー」

 

いろは「先輩」

 

小町「お兄ちゃん」

 

陽乃「八幡くん」

 

 

 

八幡「ああああ!もう、分かったよ。そんじゃ、雪ノ下さんの無事を祝って、乾杯!!」

 

「「「乾杯!!」」」カチャン

 

 

グラスを交わした後は皆、それぞれがジュースやらお菓子やら食い物やらを食べていく。俺はSAOで慣れたとはいえ……。やっぱり、隅でのんびりと食べていく。

 

 

陽乃「八幡くん」

 

八幡「どうしたんですか?雪ノ下さん」

 

陽乃「もう、陽乃でいいのに」

 

八幡「流石に今の俺でも名前呼びはハードルが高いので」

 

陽乃「そっか……。でも、本当にありがとう。君がいなかったら、私は今、この場には居ないと思うから」

 

八幡「そっすか。なら、良かったです」

 

陽乃「ありゃ?やけに八幡くんが素直だ。君、本当に八幡くん?私が知ってる八幡くんはもっと相手からの感謝を素直に受け取らない子だったような気がするけど?」

 

八幡「流石ですね。今の俺は、雪ノ下さんが知っている。『比企谷八幡』であって、そうでない」

 

陽乃「どういうことかな?」

 

 

雪ノ下さんは俺の発言の後に真剣な目をしながら聞いてきた。

 

 

八幡「そうですね…………。雪ノ下さん、貴女は……パラレルワールドを信じますか?」

 

陽乃「パラレルワールド、ね……。」

 

 

雪ノ下さんは、その片手に持つ、ジンジャーエールが入ったグラスを揺らし、中に入っている氷をカラン!と音を鳴らしながら次の言葉を放った。

 

 

陽乃「前の、あの事件に巻き込まれる前の私なら、何をそんな漫画のような話を……。って言いながら笑うだろうけど。今は笑えないし、信じるしかないよ」

 

八幡「そうですか」

 

陽乃「それで、パラレル幡くんは、あの化け物について何を知ってるのかな?」

 

八幡「それを話す前に一つお願いがあります」

 

陽乃「今はそのお願いを聞いてあげる。なんせ、パラレル幡くんには、この命を救ってもらったからね。お姉さんの体で叶えられるお願いなら何でも一つだけ叶えてあげる」

 

八幡「パラレル幡って…………。それじゃ……今後、雪ノ下や由比ヶ浜、一色をあの化け物について行動をするのを止めてもらえますか?」

 

陽乃「一応、その願いは分かった。けれど、何故か聞いていい?」

 

八幡「わかりました。それについても話しますし、それに俺たちがどんな世界からやって来たのかもね」

 

陽乃「分かった」

 

 

雪ノ下さんとの話を一度切り上げて、明日奈たちのところに向かい。明日奈たちに俺たちの本当の意味での全てを話すことを提案した。皆、渋い顔をするがみんな了承してくれた。

 

 

八幡「みんな、少しいいか?」

 

雪乃「何かしら?」

 

八幡「祝いの席で、こんな話をするのは悪いとは思うが、俺たちの本当の意味での全てをこの場で話したいと思う」

 

結衣「それって前に、あすなんたちが私やゆきのんに話してくれたこととは違うことなの、ヒッキー?」

 

八幡「多少は同じだが正直、お前たちにも隠していることがある」

 

雪乃「隠していること?」

 

八幡「これは俺が"消えることのない、十字架を背負っている"ということに繋がる」

 

 

「「「!?」」」

 

 

結衣「ちょっと待て!ヒッキーが背負ってる十字架って……」

 

いろは「どういうことですか!?」

 

小町「そうだよ、お兄ちゃん!?」

 

雪乃「……そういうことね」

 

結衣「ゆきのん!?」

 

雪乃「由比ヶ浜さん。比企谷くんが前に奉仕部の部室で話してくれた時に、SAOのクリアには最終ボスを倒す必要があると言っていたのを覚えているかしら?」

 

結衣「うん、覚えてるよ」

 

雪乃「もし仮に、それがSAOを作り、比企谷くんたちと約10000人のものプレイヤーがデスゲームに幽閉される切っ掛けになった人物が最終ボスだとしたら。比企谷くんが言っている、消えることのない十字架の意味が分かるのではないかしら」

 

陽乃「つまり、八幡くんは皆を救うために、その手を血に染めたってこと?」

 

八幡「…………」

 

小町「お兄ちゃん……」

 

八幡「ごめんな、小町。こんな、人殺しの兄ちゃんで……」

 

小町「お兄ちゃん、一つだけ聞かせて。お兄ちゃんが人を殺したのは誰かを守るため?」

 

八幡「さっきも雪ノ下が話したが、俺は誰かを守るために人を殺したかと聞かれたら。迷わずYESで、その理由は明日奈や和人、理香、珪子のためだと俺は言う」

 

小町「そっか……。それだけ聞ければ、小町は満足だよ。人を殺したとしてもお兄ちゃんは、小町の大好きなお兄ちゃんなんだって、分かったから」

 

八幡「小町……。ごめん、それと、ありがとう」ポロポロ

 

小町「どういたしましてだよ、お兄ちゃん。あっ、今の小町的にポイント高い!」

 

八幡「本当だな」

 

 

俺はやっと小町に今まで隠していたことを話せて、胸の引っ掛かりが無くなり。そして、小町がこんな人殺しの俺を受け入れてくれたことに涙を流した。

 

 

陽乃「それじゃ、八幡くんたちが本来居た、世界の話を聞かせて?」

 

八幡「わかりました。あれは、総武高の入学式の日に事故で入院してから1ヶ月くらいのことです」

 

 

そうして俺たちは皆に語りだした。SAOの存在した世界の出来事を……。

 

 

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