仮想と混ざりあったリアル   作:黒牙雷真

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バカな発言野郎

 

 

 

細剣使いの女性プレイヤーと別れたあと、俺たちは《トールバーナ》の街の中にある。ローマの劇場のような場所で複数のプレイヤーと同じように階段椅子に座り、攻略会議が開かれるのを待つ。

 

 

???「は~い。今日は俺の呼び掛けに応じてくれてありがとう!SAOトッププレイヤーのみんな!」

 

キリト「おい、ハチマン。あそこ」

 

ハチマン「あ?アイツはさっきの……」

 

ディアベル「俺はディアベル。職業は気持ち的に、ナイトやってます!」

 

 

ディアベルと名乗る、リア充野郎が笑顔で自己紹介とネタをブチかました。そして、そんなネタを野次馬が笑かす。

 

 

「ははは」

 

「本当は勇者って言いてーんだろ!」

 

ディアベル「さて、こうして最前線で活動しているみんなは言わばSAOのトッププレイヤーだ。そんなみんなに集まってもらったのは言わずもがなだよな」

 

 

ディアベルの最後の言葉で劇場にいる。プレイヤー全員に緊張が走る。

 

 

ディアベル「俺たちのパーティーが今日、第1層のボス部屋に到達した。ついに俺たちの力でボスを倒し、第2層への扉を開く時が来た」

 

ディアベル「ここまで一ヶ月もかかったけど………。このデスゲーム、そのものをいつかきっとクリアできるんだってことをみんなに伝えるんだ。それが今、この場にいる俺たちトッププレイヤーの義務なんだ。そうだろ、みんな!」

 

 

義務ねぇ……。なら、今この場にいないトッププレイヤーは、『義務に反した罪人』と言っているようなものだが。そこをアイツは分かって言ってのか?

 

 

???「ちょお待ってんかナイトはん!」

 

ハチマン「あ?」

 

キリト「ん?」

 

 

いきなり、劇場の一番外側の席から大きな声で関西弁の男がディアベルに言い、そのまま階段を何段か飛び越えながら降りて行く。

 

 

???「仲間ごっこする前に、こいつだけは言わしてもらわんと気がすまん」

 

ディアベル「積極的な発言は大歓迎さ。でもまずは名乗るのが先かな……?」

 

キバオウ「フン!ワイはキバオウってもんや」

 

キバオウ「そして、こん中に五人や十人はおるはずや、出てこい!元ベータテスターの卑怯者ども!正直に名乗り出い!」

 

ハチマン「…………」

 

 

何だ。ただの自己中野郎か……。

 

 

キバオウ「この一ヶ月間、おんどれらがなんもかんも独り占めしくさったせいで死んでいった2000人にワビ入れぇや!そしてズルして貯めこんだ金やアイテムを全部差し出せ!」

 

 

キバオウの発言で周りがザワザワと騒ぎだす。まったく、こんなことに何の意味があるのやら。こんなことをしてないで早く攻略会議の続きをしてくれませんかね。

 

仕方ない、潰すか。

 

 

ハチマン「発言してもいいか?」

 

キリト「ハチマン?」

 

ディアベル「ああ」

 

ハチマン「俺の名前はハチマンだ。でだ、キバオウさんよ、アンタはこのゲームの中で今ベータテスターが総勢何人生きているか考えたことがあるか?」

 

キバオウ「そんなん考えたことがあらへんわ!」

 

ハチマン「だろうな。だってアンタは一方的にベータテスターを悪く言っているんだからな。それと今生きてるベータテスターは300人も居れば良い方だ」

 

キバオウ「なんやと?」

 

ハチマン「だってそうだろ?このゲームは死と隣合わせにも関わらず、アンタはベータテスターに死んでいった人に謝れと言った。それとな、アンタ、自己責任って言葉を知らないのか?こんな言葉は今や幼稚園児でも理解できるぞ?」

 

キバオウ「ぐっ………」

 

ハチマン「他には、ベータテスターにアイテムを全て吐き出させて、自分たちで使って仮にゲームをクリアしたとしよう。その時にアイテムを吐き出させて所為でそのベータテスターが死んだら、いったい誰が責任を取るんだ?」

 

キバオウ「…………」

 

ハチマン「十中八九、キバオウさん、アンタだよ。アンタの発言がなければ死ななかったかもしれないと死んでいったベータテスターの親族に言われるぞ」

 

ハチマン「アンタがあの時、あんな発言をしなければ。アンタがあの時、いなければ。アンタさえ、早く死んでいれば、とな」

 

 

キバオウは俺の説明で自分がやったことの重大さを今さらになって気付き、顔を青く染める。

 

 

キバオウ「…………」マッサオ

 

ハチマン「それでもアンタはさっきの発言が正しいと自分でも思うか?」

 

キバオウ「……わ、わいが間違っとりました。すみません」

 

 

キバオウは心が折れたのか劇場のプレイヤーに向かって頭を下げた。

 

 

ハチマン「俺からは以上だ」

 

 

俺は自分の思ったことを言い切り席に座る。また、俺の次にスキンヘッドの黒人が名乗りを上げた。

 

 

???「俺も発言いいか?俺の名前はエギルだ」

 

エギル「キバオウさん、アンタがさっき言いたかたのは、つまり元ベータテスターが面倒を見なかったからビギナーがたくさん死んだ。だから、その責任を認めて賠償しろと、そういうことなんだな?」

 

キバオウ「そ、そうや。でも、あのアンちゃんに自分の間違いを気づかされて、今は十分反省しとる……」

 

エギル「ならキバオウさん、仮にアンタがベータテスターだとしたら、自分が生きるために何を独占する?『ウマい狩場』か?それとも『ボロいクエスト』か?」

 

キバオウ「な、何を言うとんのや……?」

 

エギル「おい、さっきの兄ちゃん!アンタなら、何を独占する?」

 

 

エギルとか言うオッサンが俺に話を振ってきたので返答する。てか、今までコミュ障の俺がスムーズに話せているだと……!?気が付かなかった。

 

 

ハチマン「俺か?俺なら経験値よりも、金よりも、情報を独占するね。だって、そうだろ?情報さえあれば、どんなトラップや、どんなモンスターにだって対処できるんだからな!」

 

エギル「俺もあの兄ちゃんと同じで、『情報』を選ぶ。このガイドブックは俺が新しい村や街に着くと必ず道具屋に置いてある」

 

 

エギルのオッサンは腰に巻いてあるポーチから一つのガイドブックを出した。

 

 

エギル「それも無料配布だ。みんなも世話になったろ?」

 

キリト「なっ!」

 

ハチマン「おい、キリト。お前、まさか‥‥‥‥」

 

キリト「はい、そのまさかです‥‥‥」

 

ハチマン「はぁ~」アタマイタイポーズ

 

エギル「しかし、いくらなんでも情報が早すぎると感じた。俺はこのガイドブックに載っている情報を提供したのは常に俺たちの先を行っている、元ベータテスターたち以外にはあり得ないと思っている」

 

エギル「いいか?情報はあったんだ。それも俺たちビギナーにとって、これ以上のギフトはない。確かにたくさん死んだ。しかし、それは彼らが他のMMOと同じ物差しで計り、退くべきポイントを見誤まったからだ。さっきの兄ちゃんも言っていたじゃないか、自己責任だと!」

 

エギル「一方でガイドブックの情報を学んだ俺たちは、まだ生きている」

 

ディアベル「キバオウさん、元ベータテスターがボス攻略に力を貸してくれるなら、これより頼もしいものはないじゃないか。そろそろ本題に戻っていいかな?」

 

ディアベル「それじゃ、まずは6人のパーティーを組んでくれ」

 

キリト「なっ‥‥‥‥」

 

ハチマン「キリト、頼む」

 

キリト「お、おう」

 

ハチマン「俺はあの細剣使いを勧誘してくる」

 

キリト「まかせた」

 

 

俺は席を一度立ち、細剣使いの方に向かう。

 

 

ハチマン「なあ、アンタ。よかったら、俺たちとパーティーを組まないか?周りはあらかた組み終わってるみたいだし」

 

細剣使い「分かったわ」

 

 

俺と細剣使いのプレイヤーがパーティーを組みと細剣使いの名前はアスナと言うらしい。

 

 

ハチマン「なあ、最初に聞くがパーティーを組むのは初めてか?」

 

アスナ「ええ」

 

ハチマン「なら、最初に言っておくが視界の左上にパーティーメンバーの名前が表示されるからな」

 

アスナ「Hachiman?」

 

ハチマン「ああ、よろしくな。Asuna」

 

アスナ「よろしく」

 

 

アスナとパーティーを組んだあとは、ディアベルが第一層のボスやその取り巻きについて説明した。また、俺たちのボス戦での役割は取り巻きの排除。

 

うん、楽でいい。

しかし、アスナはそれにご立腹のようだ。

 

 

キリト「これからどうする?」

 

ハチマン「どうするもなにも、アスナはパーティーを組むのは初めてなんだそうだ」

 

キリト「ってことは、スイッチもPOTローテも分からない?」

 

アスナ「スイッチ……?ぽっとろー……って……何?」プルプル

 

キリト「Oh……Jesus」

 

 

ハチマン「取り敢えず、フィールドにいくぞ」

 

 

 

フィールドに出て、アスナにスイッチとPOTローテの実演をして見せてから、実際にやってもらった。アスナは案外要領が良く、あっという間に覚えてしまった。

 

 

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