仮想と混ざりあったリアル   作:黒牙雷真

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黒猫団壊滅

サチが俺の部屋に来て寝る用になってから、もう一ヶ月も過ぎた。その間、サチは何故かいつも俺と行動を共にするようになった。

 

 

サチ「ハチマン、頭撫でて」

 

ハチマン「はあ?」

 

サチ「だめ、かな?」涙目+上目遣い

 

ハチマン「ダメ…………じゃないです……」

 

サチ「やったー!」

 

 

そして、その度に黒猫団の男連中から…………。

 

 

ケイタ「へぇ~」ニヤニヤ

 

テツオ「ほほう」ニヤニヤ

 

ササマル「これはこれは」ニヤニヤ

 

ダッカー「これはまた」ニヤニヤ

 

ハチアス「なんだよ…」ジトー+ナデナデ

 

サチ「えへへ」(*≧∀≦*)

 

ケイタ「別に~、なあ?」

 

ササマル「そうだよ。別になあ?」

 

ダッカー「ああ。別になあ?」

 

テツオ「そうそう。別に」

 

ハチアス「う、うぜ~」

 

サチ「えへへ」(*≧∀≦*)

 

 

 

その、何とも言いがたいケイタたちのウザさも日が経つにつれ減っていき、そして、今日はついに目標額に到達したギルド資金を持って、ギルドハウス向けの小さな一軒家を売りに出している不動産仲介プレイヤーの元に出掛けた。

 

 

ケイタ「それじゃ、行ってくる」

 

 

俺、サチ、ササマル、ダッカー、テツオの五人はすっからかんに等しい現在のギルドメンバー共通のアイテム欄のコル残額を眺めては笑いながら宿屋でケイタの帰りを待っていた。

 

 

ササマル「マイホームを買うってさ、こんなに感動するもんなんだな」

 

ダッカー「オヤジくせぇんだよ」

 

 

「「「アハハハハ」」」

 

 

テツオ「なぁ?テツオが帰ってくるまでに、迷宮区でちょっと金を稼がないか?」

 

サチ「あっ!家具を買うの?」

 

テツオ「みんな、それぞれ自分の部屋に私物を置きたいだろう?」

 

ダッカー「じゃあ、ちょっと上の迷宮区に行こうぜ」

 

ハチマン「いつもの狩場でいいだろう?こんな時まで俺は働きたくない」

 

ササマル「上なら短時間で稼げるから直ぐに終わるよ」

 

ダッカー「俺たちのレベルなら安全だって。それにハチマンが居るじゃんか」

 

テツオ「そうだな」

 

ササマル「ハチマンが居れば安全だって」

 

 

この時、俺は喧嘩になってでも、みんなを止めるべきだったと後悔するのはそんなに遅くはなかった。

 

ダッカーたちの勢いに負けた。俺とサチはダッカーたちと共にいつもよりも上の階層の迷宮区で資金を稼ぐことになった。

 

 

テツオ「ダッカー、スイッチ!」

 

ダッカー「任せろ、スイッチ!」

 

ダッカー「オリャアアッ!」ガシャン

 

 

テツオのスイッチでダッカーと立ち位置を入れ替わり、隙のできたモンスターにダッカーがラストアタックを決める。

 

 

ダッカー「どんなもんよ」

 

テツオ「お疲れ」

 

ササマル「ナイス、ラストアタック」

 

 

それから、何回か安定した戦闘を繰り返し迷宮区の奥へと進んでいく。

 

 

ダッカー「やっぱり、俺の言った通りだったな。俺たちなら余裕だって」

 

ササマル「もう少しで最前線に行けるかもな」

 

ダッカー「あったぼうよー」

 

そんな会話しているとダッカーが何かに気付いてようだ

 

ダッカー「おっ!」

 

 

ダッカーはそのまま、迷宮区の壁に触ると、それにより何かのギミックが起動し、ダッカーが触れた壁から隠し部屋への扉が出現した。

 

 

ハチマン「…………」

 

 

こんな所に隠し扉?ここは既に攻略組の連中が探索したはず……。なのに、何故か隠して扉が存在する。俺の考えは二つ。

 

 

1、攻略組が見逃した

 

2、宝箱でプレイヤーを誘き寄せ、モンスターハウスに嵌めるトラップ

 

 

そんなことを考えているとダッカーが扉を開く。すると中には宝箱があった。

 

 

ハチマン「ッ!?」ゾワリ

 

ダッカー「おっ!トレジャーボックスだ。ウッヒョー!」

 

ササマル「アハハ」

 

テツオ「アハハ」

 

ダッカー、ササマル、テツオの三人はトラップがあることを警戒せずにトレジャーボックスへと近づいていく。

 

ハチマン「ま、待て!それは……」

 

 

俺の叫びは虚しく、ダッカーはトレジャーボックスを開けてしまう。そして、次の瞬間。

 

 

────ビー!ビー!ビー!ビー!

 

 

部屋の中の明かりは緑色から赤へと変わり、俺たちが入ってきた扉は独りでに閉まる。隠し部屋の左右の壁が開き、中からは大量のゴーレムやドワーフが現れ、モンスタートラップが作動する。

 

 

ハチマン「クソッ、トラップだ!みんな、転移結晶で逃げろ!」

 

ダッカー「転移、タフト!」

 

ダッカー「え……?転移、タフト!」

 

サチ「クリスタルが使えない……」

 

 

そう、サチの言う通り、何度もダッカーたちは転移結晶で脱出を試みるが転移結晶が発動しないのだ。

 

ハチマン「クリスタル無効化エリアだと!?」

 

俺たちが慌てている間にドワーフたちは、こちらに向かって突撃してくる。

 

 

ハチマン「全員、二人一組で背中合わせで防御しろ!」

 

 

「「「おう!(うん」」」

 

 

ハチマン「セヤアアッ!」ガシャン

 

 

 

─早く……─

 

 

 

ハチマン「ハアアアッ!」ガシャン

 

 

 

─もっと、早く……─

 

 

 

ハチマン「デリャアアアッ!」ガシャン

 

 

 

─でないと、みんなが!─

 

 

 

ハチマン「リャアアアッ!」ガシャン

 

 

 

─みんなが死んでしまう!─

 

 

 

ダッカー「うわっ!?」

 

 

ダッカーはモンスターの怒涛の攻撃を捌けずに吹き飛ばされてしまい、ドワーフたちに囲まれしまう。

 

 

 

─やめろ─

 

 

 

ダッカー「ああああ……。うわあああ!?」ガシャン

 

 

 

─やめろくれ! ─

 

 

 

テツオ「うわあああああ!?」ガシャン

 

 

 

─頼むから!やめてくれ!─

 

 

 

ササマル「テツオ!チクショー」

 

 

ササマルはゴーレムに向かって怒りのソードスキルを放つが、ササマルの武器は槍。ゆえに突き攻撃が主になる。そのため、ササマルのソードスキルはゴーレムには悪手となり、そして…………。

 

 

ササマル「うわああああ!?」ガシャン

 

 

 

─俺から、こいつらを奪うのは……─

 

 

 

ハチマン「この野郎!」ガシャン

 

 

 

─お願いだから!─

 

 

 

サチ「くううう!?」

 

 

サチは何かと棍棒でゴーレムの攻撃を耐えていた。

 

 

ハチマン「サチ!」

 

 

俺はサチに向かって走りだし、そしてサチに手を伸ばす。

 

 

ハチマン「サチ、手を!」

 

サチ「ハチマン!」

 

 

 

─やめてくれ!─

 

 

 

サチもゴーレムの攻撃を捌いた、その後、俺に向けて手を伸ばすが、サチの背後から…………

 

 

ハチマン「サチィィィイ!」

 

ハチマン「!!」

 

 

ゴーレムがサチの背中に一閃。そして、サチのHPが…………。

 

 

サチ「◯◯◯◯◯、◯◯◯◯」ガシャン

 

 

ゼロになった。

 

 

ハチマン「あ、ぁぁ………ぁぁ」

 

ハチマン「~~~~ッ!!」

 

 

 

サチがガラスの破片となり目の前で消えたから、俺は声にならない叫びと怒りに任せて、ゴーレムとドワーフたちを皆殺しにしていった。

 

 

ハチマン「返せよ!」ガシャン

 

 

 

ー斬るー

 

 

 

ハチマン「あいつらを!」ガシャン

 

 

ー斬る、斬るー

 

 

 

ハチマン「あいつらは!」ガシャン

 

 

 

ー斬る、斬る、斬るー

 

 

 

ハチマン「あいつらは、俺の!」ガシャン

 

 

 

ー斬る、斬る、斬る、斬るー

 

 

 

ハチマン「俺の本物なんだ!」ガシャン

 

 

 

ー斬る、斬る、斬る、斬る、斬るー

 

 

 

ハチマン「だから、返せよ!」ガシャン

 

 

 

ー斬る、斬る、斬る、斬る、斬る、斬るー

 

 

 

ハチマン「返せよ!今直ぐ、返せよ俺の本物を!」ガシャン

 

 

 

ー斬る、斬る、斬る、斬る、斬る、斬る、斬るー

 

 

 

ハチマン「返してくれよ…………」ポロポロ

 

ドワーフたちを倒し終わると、俺はその場です膝から崩れ落ち、そして…………。

 

 

ハチマン「俺は、俺は!」ポロポロ

 

ハチマン「ああああああ!!」ポロポロ

 

 

現実なら、喉が潰れてもおかしくないほど、その場で泣き叫んだ。

感情が少し落ち着いたところで、色々と最悪な状態で街に戻る。

 

 

 

 

 

 

 

 

街に戻った俺は………ケイタにみんなが死んだことを伝えた。

 

 

ケイタ「へぇ?」

 

ハチマン「…………」

 

ケイタ「悪い、ハチマン。もう一度、言ってくれないか?」

 

ケイタ「もしかしたら、僕の聞き間違いからもしれないから」

 

ハチマン「俺の所為で、みんなを死なせてしまった。謝って、許されないのは分かってる……。けれど、すまない」

 

ケイタ「どうして、あいつらが死ぬんだよ!」

 

 

ケイタは俺の肩を勢いよくつかみ、前後に揺らす。

 

 

ハチマン「…………」

 

ケイタ「なんで、ササマルが!ダッカーが!テツオが!サチが!」

 

ケイタ「死ななきゃいけないんだよ!」

 

ハチマン「すまない……」

 

ケイタ「ねぇ、ハチマン」

 

ハチマン「な、なんだ」

 

ケイタ「なんで、君は生きてるの?みんなが大量のモンスターに囲まれて死んだのに、なんでハチマンだけ生きてるの?ねぇ、なんで?」

 

ハチマン「それは…………」

 

ケイタ「やっぱり、あの噂は本当だったんだ」

 

ハチマン「噂?」

 

ケイタ「ビーターが何処かの中層ギルドに加入したって噂」

 

ハチマン「!?」ビクッ

 

ケイタ「そのビーターはね?盾無しの片手剣使いで、灰色を基調とした装備に、腐った目。これって、もしかしなくても、ハチマンのことでしょ!」

 

ハチマン「…………」

 

ケイタ「騙してたのか?俺たちことを騙して、陰で嘲笑ってたんだろう!」

 

ハチマン「ち、違う!」

 

ケイタ「何処が違うんだよ!僕たちにビーターだと言うことを黙って、騙して!僕らの信頼を返せよ!」ポロポロ

 

ハチマン「…………」

 

ケイタ「返せよ!返せよ!ササマルを、ダッカーを、テツオを、サチを!僕の大切な仲間を返せよ!」ポロポロ

 

ハチマン「…………」

 

ケイタ「ビーターのお前が、僕たちに関わる資格なんてなかったんだ!この人殺し!」

 

ハチマン「ッ!?」

 

 

その言葉を最後にケイタも黒猫団のみんなを追うかのように街の外周から飛び降りて、その命を絶った。

 

 

ハチマン「ケイタ!」

 

 

それを止めようと手を伸ばすが、後一歩が届かずにケイタを…………俺以外のギルド【月夜の黒猫団】を全員、死なせてしまった。

 

 

 

ハチマン「あ、あああ、あああああ」

 

 

この時が俺が、この、SAOに来て初めての絶望を味わった瞬間だった。そして、俺は最前線に復帰し、ひたすらモンスターを狩り続けた。死に場所を求めるかのように…………。

 

 

 

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