ボスを倒して、51層の転移門をアクティベーしてから宿を探す。宿を取るとボスとの戦闘の疲れでベッドに倒れ込んでしまう。
ハチマン「あーーー、至福の時だーーー」
ハチマン「ずっと、こうしていたい」
ハチマン「やっぱり、将来は専業主婦が一番だな」
それから、ベッドでゴロゴロしているといつの間にか眠っていたようで、キリトとアスナからのメッセージに気が付いたのは18時だった。
ハチマン「ん?キリトにアスナか……」
メッセージの内容は第2クォーターポイントを無事に攻略できた。祝いの宴をしようという誘いだった。なので、俺は…………。
ハチマン「無視」
これでよし。あとは深夜に、『ごっめ~ん寝てた』とか『ちょっとダンジョンに潜ってた』とか返して置けば大丈夫だ。こう返されたら、向こうも責めることは出来まい。
ソースは俺。
リアルで勇気を振り絞り、ネットゲームの女性プレイヤーにメールしたら、大体がこれで、あとは返信がなかった。
ハチマン「さすがに腹が減ったな。食材も無いし、どこか食いに行くか……。そうだな……35層でチーズケーキをデザートにするか」
そして、俺は部屋を出て35層に向かうのだが……。俺はこの時、宿で普通に食べれば良かったと後悔する。
ハチマン「大分、人が集まってきたな……」
と呑気に転移門までの道のりで考えていると目の前に、黒と白を基調とした二人組と鉢合わせてしまった。
ハチマン「あっ」
キリト「あっ」
アスナ「あっ」
ハチマン「…………」ダラダラ
アスナ「…………」ゴゴゴゴ
キリト「…………」ビクビク
ハチマン「えっと…………こんばんは?」ダラダラ
アスナ「ええ、こんばんは」ゴゴゴゴ
キリト「よ、よう……ハチマン」ビクビク
アスナ「ところで、ハチマンくん」
ハチマン「ひゃ、ひゃい……!? にゃ、にゃんでしょうか……あ、アスニャサン」ビクビク
アスナ「あ?」ギラン
ハチマン「ヒィィィ!? あ、アスナさん」ビクビク
アスナ「何で、私とキリトくんのメッセージに返信がないのかな?ねぇ?」ゴゴゴゴ
ハチマン「そ、それは……アレがアレでアレな訳で……」アセアセ
アスナ「そう…………。単に面倒くさくって返信をしなかったと」
ハチマン「なんで、分かるんだよ。エスパーなの?」
アスナ「それじゃ、私たちと一緒に来てもらうわよ」
ハチマン「何処へ?」
アスナ「今日の宴の場所」
ハチマン「はぁ~、押してダメなら諦めろだ」
ハチマン「わぁったよ、行くよ」
こうして、右にアスナ、左にキリトで二人からガッチリとマークされ、逃げることもできない。
そして、着きましたのは51層の大きな飯屋。
クライン「おう、ハチマン!待ちくたびれぜ」
ハチマン「いや、元々俺はここに来る気はなかったんだが……」
アスナ「やっぱり、来る気なかったんだ」ジトー
キリト「まぁまぁ、今は飯にしようぜ?二人とも」
アスナ「そうね。私もさすがにお腹が減ったわ」
ハチマン「俺も」
俺はクラインに流されるまま、席に座ろうとするが断固として一番隅っこで暗い場所にした。ボッチには『ワイワイ!』、『キャッキャ!』、『ウェイ、ウェイ!』できるはずもなく、極力目立たないようにこそっりと一人で楽しむ。
ハチマン「あーー、ナンチャンってMAXコーヒーが美味い」
キリト「隣、いいか?」
ハチマン「ああ」
キリト「ふぅ~、一息つける」
ハチマン「あっちに混ざらなくていいのか?」
キリト「さっきまで混ざってたさ。そういう、ハチマンはどうなんだよ?」
ハチマン「俺か?俺はボッチだから、いいんだよ。あそこのリア充連中と相容れないからな。リア充よ、砕け散れ」
キリト「ここはバーチャルゲームの中だけどな」
ハチマン「なら、なんて言えばいいんだ?」
キリト「バー充とかバチャ充とか?」
ハチマン「語呂悪いな」ゴクゴク
キリト「確かに……」ゴクゴク
50層の攻略から二週間が過ぎて、現在の最前線は52層。そして、現在俺はいつものことながらベッドの上でぐうたらと小説を読んでいる。
この世界には娯楽と言うものが不足している。なので、俺が持っているような小説もかなり稀少価値が高い物なのだが、俺は金に物をいわせて購入したのだ。
ハチマン「あーー、働かないって最高だな……。」
ある程度、小説が良い所までいくとキリトからメッセージが届いた。なんでも、『聞きたいことがあるから来てくれ』と書いてある。
返信に『メッセージじゃダメなのか?』と送ると『大事なことだから顔を合わせて話したい』と来た。
その文面を見たとき、何処からともなく、『キマシタワー!!』と腐女子の雄叫び?が聞こえ、背筋がゾワゾワと嫌な感覚に襲われた。
ハチマン「はぁ~、面倒くせぇなー」
クリスマスの時、キリトに助けられたため渋々と言った感じでキリトの下へ行く。行き先は第50層の《アルケード》にある中華街の中のエギルの店だ。
あっ、ついでにいらなくなった装備の買い取りもしてもらう。
ハチマン「う~っす」
エギル「おう、ハチマンか。今日はどうした?」
ハチマン「何処ぞのホモに呼ばれたから来た」
キリト「誰がホモだ!?」
ハチマン「え~、だってよ~、この文面見たら、なぁ?」
俺は先ほどホームでキリトとメッセージのやり取りをしていたメッセージの内容をエギルに見せる。
エギル「キリト、お前…………」
キリト「な、なんだよ」
エギル「そっちの趣味があったのか……。ま、まぁ、そっちの奴等ならお前さんの顔が好みの奴もいるだろうが……クラインとか」
キリト「だ・か・ら、違っての!!」
ハチマン「で、大事な話ってなんだよ?せっかくの俺の休日を……」
キリト「ああ、それなんだが。エギル、上を借りていいか?」
エギル「ああ、構わない」
キリト「サンキュー」
ハチマン「あっ、エギル。コレとコレとコレとコレをキリトの話が終わるまでに鑑定して置いてくれ。値段はエギルに任せるから」
エギル「いいのかよ?」
ハチマン「ああ。どうせ、それは俺には使えないしな」
俺はエギルに最前線のモンスターから偶々ドロップした、細剣、片手根、盾、斧をエギルにトレードで渡してからキリトの話を聞きに二階に上がった。
ハチマン「んで、話ってのは?」
キリト「ああ、取り敢えずはコレを見てくれ」
キリトはシステムメニューを出して、操作してからスキル画面を出した。
本来、常識的なルールとして、他のプレイヤーのレベル・スキル・装備などのステータスを見るのはご法度なのだが…………。
ハチマン「本当に見ていいのかよ?」
キリト「ああ。俺はハチマンなら信じられる」
キリトは真顔でそう言ってのけた。
ハチマン「真顔で言うのは止めろよな?マジで、そっちの気があるように思えてくるから」
キリト「俺は普通に女の子が好きだよ!!」
ハチマン「分かった、分かったよ」
キリト「本当に分かってるんだろうな?」
ハチマン「大丈夫だ、問題ない」
キリト「なら、話を戻すが……。ハチマンはこのスキルを見たことあるか?」
ハチマン「どれどれ……《二刀流》?見たことないな」
キリト「一応、ハチマンのスキルも見てくれよ。もしかしたら、ハチマンにも出てるかもしれないから」
ハチマン「分かった」
俺も念のためスキルを確認すると、そこには《二刀流》と書かれていた。しかし、少しノイズが走っている。
ハチマン「はぁ?」
キリト「どうした?」
ハチマン「いや、本当に俺の方にもキリトと同じ《二刀流》スキルがある」
キリト「ハチマンにもあるのか……。なんで、出現したか分かるか?」
ハチマン「いや、俺も心当たりがない」
キリト「なら、ヒースクリフのようなユニークスキルなのか?」
ユニークスキル、それはヒースクリフが持つ《神聖剣》のような一人のプレイヤーにしか出現しないスキルなのだが…………。
ハチマン「だったら、なんで俺とお前、二人に出てるんだよ。おかしいだろう?」
キリト「そうだよな……。あああああ、分からねぇ!」ガシガシ
キリトはこの、《二刀流》スキルが出た原因が解らず頭を両手でガシガシと掻き始めた。
ハチマン「俺たちよりも、そっちの専門知識がありそうな奴に聞くとしますか……。あまり、やりたくはないが……」
てな訳で、ソードアート・オンライン随一の情報屋さん、鼠のアルゴさんにお越しいただきました。
ドンドン、パプパプ~!!
アルゴ「で、話ってなんダ?」
ハチマン「スキルの情報を買いたい。値段はかなり奮発する」
アルゴ「ほっほ~、それはそれハ。分かった、何でも聞いてくレ」
キリト「じゃあ、早速。アルゴは《二刀流》、っていうスキルを知ってるか?」
アルゴ「二刀流?いや、初耳ダ。で、それがお前たち、二人が聞きたかったことなのカ?」
ハチマン「ああ。もしかしたら、《神聖剣》のようなユニークスキルの可能性があるからな。だから、《二刀流》スキルを俺たちが持っていることを伏せながら他の情報屋とかに情報を集めてくれないか?」
アルゴ「う~ん、分かっタ。できるだけ、やってみル」
ハチマン「それと何処かインスタントマップが出るクエストとか無いか?」
アルゴ「ああ、それなら…………」
ハチ×キリ「「あのクソ鼠がああああああ!!」
キリト「なんだよ、これ!なんだよ、これ!」
ハチマン「マジで、ふさげんなよ!! 」
ハチ×キリ「「なんで、こんな大量にPOPするガチムチゴキを倒さにゃならんのだ!!」」
アルゴに《二刀流》スキルとインスタントマップが出るクエストを聞いて、多額の依頼料と口止め料を払い、俺たちは最前線から5層くらい下の層にある、クエストを受け、インスタントマップで《二刀流》の練度上げに挑んだのだが、そこには…………。
キリト「ねぇ、マジでアレ!なんてジョウジくん!?ねぇ、なんてジョウジくん!?」
ハチマン「無駄口を叩かずにとっとと切り殺せよ!?」
Mr,G「じょうじ」
Mr,G「じょうじ……!」
Mr,G「じょうじ!!!」
またもや、ジョウジ擬きが大量にPOPし、こちらに突撃してくる。けれど、今の層は最前線よりも5層も下なので俺とキリト、二人がいれば安全なのだが、いかんせん数が多いため安全と言うよりも…………。
ハチ×キリ「「グロい、キモい、ウザイ、近寄るんじゃねぇ!!クソゴキ共がああああああ!!」」
Mr,G「じょうじ」
Mr,G「じょうじ」
Mr,G「じょうじ」
ハチ×キリ「「じょうじ、じょうじ、うるせぇぇぇんだよ!このクソ、ジョウジくん擬きがあああああ!!」」
それから一、二時間ほどジョウジくん擬きを倒し終わった俺たちは地べたに這いつくばっている。
ハチマン「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」
キリト「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」
ハチマン「な、なぁ、キリト……」
キリト「な、なんだ……」
ハチマン「俺……今日初めて女子がなんで、ゴキをあんなに嫌うのかを理解した。不衛生な昆虫とかは分かるんだが…………ああも、目の前でカサカサ、ワラワラと大量に出てこられると死の恐怖とは違う何かで恐怖を初めて感じたよ」
キリト「それは同感だ。リアルで母親や妹が台所でゴキを見つけて、『キャアーッ!!』とか『イヤァァァ!!』って悲鳴をあげて、なんでゴキなんかにそんな悲鳴をあげるんだ?と思っていた過去の俺を殴りたい」
ハチマン「だから……」
キリト「リアルに還ったら……」
ハチ×キリ「「母親と妹に謝ろう」」
ハチマン「それで、キリト。熟練度はどこまで上がった?」
キリト「えっと、さっきの戦闘でもう250まで上がってるよ」
ハチマン「俺の方は230だ」
キリト「若干俺の方が多く倒したのか」
ハチマン「多分な」
キリト「練度が上がったのはいいが、俺の武器コレクションがぁぁぁぁ……」
ハチマン「俺も今までの予備が全部オシャカになるほどだったしな。もっと、耐久値が高い剣じゃないと《二刀流》を最大限に活かせないぞ、これ」
キリト「俺としては50層でボスドロップした。エリシュデータと同等の性能がある剣が欲しいな~」
ハチマン「俺もそれくらいは欲しい」
キリト「でも、今は……」
ハチマン「ああ……」
ハチ×キリ「「街に戻ったら、絶対にあのクソ鼠をシバく!!」」