56層、《パニ》の村の岩を掘って作られた建物の中に多くのトッププレイヤーがある作戦のために集まっていた。
ザワザワ
ザワザワ
ザワザワ
ある作成とは迷宮区を解放するキーを持つ、フィールドボスを倒すために良い案が無いかを話し合っていると、《血盟騎士団》副団長のアスナがとある案を出した。
アスナ「フィールドボスを村の中に誘い込みます」
ザワザワ
ザワザワ
まさかのその案に再び、プレイヤーたちはざわめきだし、その案に否を唱えるプレイヤーも出た。
それは《黒の剣士》ことキリトだ。
キリト「ちょ、ちょっと待ってくれ。そんなことをしたら村の人たちが…………」
アスナ「それが狙いです。ボスがNPCを殺している間にボスを攻撃、殲滅します」
キリト「NPCは岩や木みたいにオブジェクトとは違う。彼らは……」
アスナ「生きている、とでも?」
キリト「…………」
アスナ「あれは単なるオブジェクトです。例え、殺されようと、またリポップするのだから」
キリト「俺は、その考えには従えない」
アスナ「今回の作戦は私、《血盟騎士団》副団長のアスナが指揮を取ることになっています。私の言うことには従ってもらいます」
キリトとアスナが睨み合っている中、一人のプレイヤーが、またまさかの発言をする。
ハチマン「悪いが俺はこの作戦から降りる」
キリト「ハチマン!?」
アスナ「ハチマンくん!?」
ハチマン「やりたくもないものをやっても時間の無駄だ。俺は帰る」
そう言って俺は帰ろうとするが…………。
アスナ「待ちなさい!」
ハチマン「あ?」
アスナ「何を勝手に帰ろうとしているの!?」
ハチマン「だって、指示を聞かない奴はいらないだろう?お前の指示を聞く奴らだけで勝手にやってくれ。だから、ここにいても時間の無駄だからな。他にもフィールドボス討伐に参加しなくても攻略には貢献できるし。じゃあ、そういうことで」
キリト「おい、ハチマン!置いて、行くなよ」
アスナ「貴方まで!?」
後ろで鬼が騒いで居るが無視をして村から出て、『軍隊蟻の洞窟』へ向かう。
ハチマン「にしても、キリトよ」
キリト「なんだよ?」
ハチマン「何でお前らはいつもケンカしてるんだ?」
キリト「ケンカじゃないよ。ただ、俺とは馬が合わないんだろうな?」
ハチマン「それにエギルから聞いたぜ。俺が第1層でやらかした後に、お前がアスナに…………
キリト『君は強くなれる。だから、もしいつか、誰か信頼できる人にギルドに誘われたら……断るなよ』
…………って言ったのをよ」
キリト「ああ、あれか……。ああは言ったけど、まさかトップギルドで、【攻略の鬼】になるとはな……」
~あれから月日が少し経ち……~
第59層、《ダナク》の主街区とフィールドを繋ぐ、長閑な一歩道の左右に黄緑色の天然芝の上で攻略組最強のダメージディーラーのコンビが大きな木の下で一人はうたた寝を、もう一人は本を読んでいた。
キリト「ハチマンさんや、ハチマンさん」
ハチマン「なんだよ」ペラペラ
キリト「この気象はこの世界やリアルでも滅多に訪れない、最高の気象じゃあ、ありませんか?」
ハチマン「そうだな…………。こんな最高の気象設定なら外に出て、何処か静かな場所で本でも読んでいたいな…………マッカンウマ」ゴクゴク
と呑気にそんな話をしていると先日、キリトと揉めた、【攻略の鬼】がやって来た。
???「なにしてんの?」
キリト「なんだ、アンタか……」
ハチマン「なんだ、アスナか……」
アスナ「なんだ、じゃないわよ!攻略組の皆が必死に迷宮区に挑んでいるのに、なんでアンタたちはのんびり昼寝なんてしてるのよ」
キリト「…………」
ハチマン「…………」
アスナ「いくら、ソロだからって!もっと、真面目に……」
ハチマン「アスナ、俺は前にも言ったはずだ。『やりたくもないことをやっても意味がない』と……」
アスナ「…………」
ハチマン「それに俺たちは昨日までずっと迷宮区に潜って、マッピングを約8割も終わらせている」
アスナ「なっ!?まだ、迷宮区が解放されてから4日しか経ってないのに……」
ハチマン「それなのに、真面目に攻略してないと言えるのか?」
アスナ「…………」
ハチマン「だから、勝手に見かけだけで人を判断するなよ?まぁ、お説教はこれで終わりだ」
アスナ「ごめんなさい……」
ハチマン「そんじゃ、次に何で俺たちが昼寝してるかだが、今日はアインクラッドで最高の季節で、さらに最高の季節設定、らしい」
アスナ「らしい?」
ハチマン「ソースはキリトだ」
キリト「だから、こんな日に迷宮区に潜っちゃもったいない」
アスナ「さっきのことは謝るけれど……アナタたち分かっているの?こうして1日無駄にした分、現実での私の時間が失われているのよ!」
「「だが(でも)、今、俺たちが生きているの、このアインクラッドだ。リアルじゃない」」
アスナ「…………」
アスナが何か納得したような顔をすると何処からか優しい微風が俺たちの身体を撫でる。
キリト「ほら?日差しも風もこんなに気持ち良い」
アスナ「そうかしら?天気なんていつも一緒じゃない」
ハチマン「アスナ、見かけだけで判断するな。お前もキリトと同じよう寝転がってみろよ?最近、まともに眠れてなさそうだし」
アスナ「なっ!?」
ハチマン「ストーカーでは無いぞ。俺は昔からボッチだから人の表情や仕草を観察するのが趣味だったんだ。だから、それでお前が眠れていないのが分かった」
アスナ「自慢できる趣味ではないわね」
ハチマン「うっせ」
アスナ「なら、ハチマンくんの言葉通りにしてみようかしら」
そう言ってアスナも芝の上に寝転がるのであった。
しかし、それだけなら良かったのだが…………
~それから1時間後~
キリト「ん、んん……」ノビー
キリトはうたた寝から起きたのか体を伸ばし、眠気を覚ます。そして、辺りを見ると…………。
キリト「なっ!?」
アスナ「すぅ~、すぅ~」ZZZZ
キリトが見た物は…………相棒の隣で丸くなりながら相棒のコートの端を摘まみながら寝ている、【攻略の鬼】だった…………しかし、それを相棒は気づいていない様子。
ハチマン「…………」ペラペラ、ゴクゴク
ハチマン「…………」ペラペラ
キリト「…………。(まさか、本当に気づいていないのか?ハチマンの奴……)」
キリトはまさかの相棒の本に対する集中力に驚いていると…………昼の攻略から帰って来たプレイヤーがハチマンたちを見て、笑いながら主街区へ歩いていた。
「おいおい、見ろよ。こんな時間からお休みかよ?」
「お気楽な奴も居たもんだ」
「何処のどいつだ?まったく……」
「「「フッハハハハ」」」
キリト「本当に寝ちまうとは……」アタマイタイポーズ
アスナ「すぅ~、すぅ~」ZZZZ
ハチマン「あー、やっと読み終わった」ゴキゴキ
俺はようやく、読んでいた本が読み終わったので肩を動かし、体を解す。その最中、左側のコートが少し引っ張られる感覚に襲われたので左を見ると…………。
ハチマン「は?はぁぁぁぁあ!?」
ハチマン「え、ちょっ、え!?な、なんで!?」
さっきまで隣にいなかったアスナが隣で丸くなりながら俺のコートの端を摘まんで寝ていることに驚いているとキリトが状況の説明をしてくれた。
キリト「やっと気付いたのかよ……」
ハチマン「き、きききキリト!これは、どういう…………」
キリト「多分、いつの間にお前の隣で丸くなって寝落ち的な………てか、何で気が付かないんだよ!」
ハチマン「いや…………読書に集中すると、たまに周りが見えなくなるんだよ」
キリト「だからって…………はぁ……」
ハチマン「で、どうしよう、コレ」
キリト「どうしようも何も、ガードをするしかないだろう」
ハチマン「ですよね…………」