仮想と混ざりあったリアル   作:黒牙雷真

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串刺しの男

俺たちは悲鳴が聞こえた方へ走りだす。そして、広場に出るとそこには…………

 

 

ハチマン「!?」

 

キリト「!?」

 

アスナ「!?」

 

 

男性「ぁぁぁぁ……」

 

 

一人のフルプレート装備の男性プレイヤーが教会の様な建物の二階から縄で宙吊りにされており、また、プレイヤーの胸には刃が刺々しい片手長剣のような短槍が深々と刺さり込んでいて、ダメージを受けている時の赤エフェクトが出ている。

 

 

キリト「早く抜け!!」

 

男性「ぁぁ……ぁぁ……」

 

 

男性プレイヤーはチラリとこちらを見てから、我を取り戻したのか胸に刺さり込んでいる短槍を必死に抜こうともがいているが、先ほどの恐怖で脳がうまく働いていないのか剣が抜けないようだ。

 

 

ハチマン「アスナは二階から、キリトは俺と受け止めるぞ!」

 

 

「「了解!」」

 

 

俺の指示でアスナは全力疾走で建物の二階へ行き、俺たちは男性プレイヤーを受け止める用意をする。

しかし、男性のプレイヤーの様子が…………

 

 

男性「ああ……ぁぁぁぁ」

 

 

男性は先ほどまで必死に短槍を抜こうとしていたが、目線が何処かに向いた瞬間、『死にたくない!』と表すかのようにもがきだす。

 

しかし…………

 

 

 

 

 

ガシャンッ!!

 

 

 

 

 

 

 

フルプレート装備の男性プレイヤーの身体はポリゴンとなり…………消滅し、男性の胸に刺さり込んでいた短槍は地面に突き刺さった。

つまり、その男性プレイヤーは死んだのだ。

 

 

ハチマン「…………」

 

キリト「…………」

 

 

圏内でプレイヤーが死ぬだと……んな、バカな!!

圏内でプレイヤーが死ぬとしたら、プレイヤー同士の完全決着デュエルしかあり得ないはすだ。

 

俺と同じことを考えていたのか、キリトは広場に集まっていたプレイヤーたちにデュエルのWINNER表示を探すよう叫ぶ。

 

 

キリト「みんな!デュエルのWINNER表示を探してくれ」

 

 

広場にいるプレイヤー全員でWINNER表示を探すが見当たらない。WINNER表示が見当たらないことに焦っていると二階のベランダのような所からアスナが声を掛けてくる。

 

 

アスナ「二階には誰もいないわ!」

 

ハチマン「誰もいないだと……」

 

キリト「駄目だ、30秒経った……クソッ!」ゴン

 

 

キリトは目の前で人が殺されたことの怒りを建物の壁にぶつける。すると紫の色の《破壊不能オブジェクト》の表示が出現する。

 

 

ハチマン「俺たちも中に入ろう」

 

キリト「ああ」

 

 

俺たちは地面に突き刺さった、今回の凶器を回収し、アスナと合流するために建物の中に入り、二階へと階段を上り、一番奥の部屋に行く。

その際、ずっと索敵スキルを発動させておく。

 

 

キリト「これはどういうことだ。これは?」

 

ハチマン「どんな、手口か分からない」

 

アスナ「普通に考えれば、デュエルの相手が被害者の胸に槍を突き刺して、ロープを首に引っ掛けて窓から突き落とした。ってことになるのかしら?」

 

キリト「でもWINNER表示が何処にも見当たらなかったんだ」

 

ハチマン「俺も確認している」

 

アスナ「あり得ないわ!圏内でダメージを与えるには、デュエル以外の方法は…………」

 

ハチマン「考えたくはないが睡眠PKやポータルPKの様な物の、新しいPK手段か……」

 

 

「「「…………」」」

 

 

俺たちはひたすら、今回の手口を考えてるが答えが見つからない。

また、外の広場にいるプレイヤーが不安に駆り立てられているのかざわめきだす。

 

 

アスナ「どちらにしても、このまま放置はできないわ」

 

キリト「ああ」

 

アスナ「もし、圏内PK技の様な物を誰かが発見したとなるのなら、外だけでなく、街の中にいても危険、ということになってしまうわ」

 

ハチマン「そうだな」

 

アスナ「戦線を離れることになっちゃうけど、仕方ないか」

 

 

アスナは小さくため息を吐いたあと、俺たちの方へ近付き、手を差し出してくる。

 

 

アスナ「なら、解決までちゃんと協力してもらうわよ。言っておくけど、昼寝の時間なんてありませんから」

 

キリト「してたのはそっちの方だろ」

 

アスナ「────ッ!!」

 

 

キリトがアスナと握手する際、キリトの手からゴキゴキとエグい音が聞こえ、キリトは声にならない叫びをあげた。

 

 

キリト「~~~ッ!?」

 

ハチマン「…………。(バカだ。バカが居る)」

 

 

 

 

《圏内事件》の解決をするために握手を交わしたあと、俺たちは広場にいるプレイヤーの中に、フルプレートの男性プレイヤーが殺されるまでの一部始終を見ていた人がいないか探すことにした。

 

 

キリト「すまない。さっきの一件を最初から見ていた人。居たら話を聞かせてほしい」

 

 

キリトの発言で皆、自分の周りにそういったプレイヤーがいないか話始めた。

プレイヤーたちが話してる中、群衆の中から一人の女性プレイヤーが出てきた。

 

 

アスナ「ごめんね、怖い思いをしたばっかりなのに。貴女、お名前は?」

 

女性「あの、私……ヨルコって……言います」

 

キリト「あっ……もしかして、最初の悲鳴も君が?」

 

 

キリトはヨルコと名乗る女性プレイヤーの声を聞いて、悲鳴の張本人に見つけたようだ。

 

 

ヨルコ「は、はい。私、さっき……殺された人と……ごはん食べに来ていたんです。あの人、名前は《カインズ》っていって、昔、同じギルドに居たことがあって」

 

ヨルコ「でも、広場ではぐれちゃって。周りを見回したらいきなり、この教会の窓から彼が……グスッ……グスッ」ポロポロ

 

 

ヨルコは必死に俺たちにカインズの一部始終を話すが、我慢が限界になったのか泣き出してしまった。

そんな彼女をアスナは背中を擦りながら続きを話す様に促す。

 

 

アスナ「その時、誰か見なかった?」

 

ヨルコ「一瞬なんですが、カインズの後ろに、誰かが立っていた様な気がしました」

 

アスナ「…………」

 

 

アスナは俺たちに『君たちも見なかった?』という目を向けてくるが、それを俺たちは首を横に振り、否定の意を示した。

 

 

アスナ「その人影に見覚えはあった?」

 

ヨルコ「…………ううん」

 

 

ヨルコはアスナの問いに首を振りながら否定を示した。

 

 

ハチマン「先に謝っておくが、カインズという男が殺される様な心当たりとかあるか?」

 

ヨルコ「いいえ」

 

ハチマン「そうか、改めてすまなかった」

 

 

その後、俺たちは広場に居るプレイヤーたちに情報がないか聞いて回ったが何の収穫もないまま陽が沈んでしまった。

なので、俺とアスナは念のためヨルコを護衛しながら宿屋まで送ることにした。

キリトは大手ギルドの連中や情報屋たちに今回の事件のことで危険勧告するために別行動だ。

 

 

ヨルコ「すみません。こんな所まで送ってもらっちゃって」

 

アスナ「気にしないで、それよりも明日、またお話を聞かせてくださいね」

 

ヨルコ「はい」

 

 

ヨルコさんと別れた俺たちは転移門でキリトと合流してから今後のことについて方針を話し合うことにした。

 

 

キリト「さて、どうする?」

 

アスナ「まずは手持ちの情報を検証しましょう。あの、スピアの出所が分かれば、それから犯人を追えるかもしれない」

 

キリト「となると鑑定スキルがいるな。お前、上げて………る訳ないよな?」

 

アスナ「当然、君たちもね。ていうか、その"お前"っていうの止めてくれない?」

 

キリト「あ……ああ……。じゃあ……」

 

ハチマン「はぁ~」

 

 

また、キリトとアスナの痴話喧嘩が始まりそうなので、今の内に俺のフレンドリストに乗っている数少ないプレイヤーの中から鑑定スキルを持っていそうなプレイヤーに連絡を取る。

 

おっ、帰ってきた。

で、返答は…………OKね。了解っと。

 

 

ハチマン「お前たち、痴話喧嘩をしてないで鑑定スキル持ちの所へ行くぞ?」

 

キリト「痴話喧嘩なんてしてない!」

 

アスナ「痴話喧嘩なんてしないわよ!それに私は……ゴニョゴニョ」

 

ハチマン「え?なんだって?」

 

アスナ「何でもないわよ!バカ、ボケナス、ハチマン!//////」

 

ハチマン「ハチマンは悪口じゃねぇだろう」

 

 

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