仮想と混ざりあったリアル   作:黒牙雷真

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罪のイバラ

白黒コンビの痴話喧嘩を仲裁し、とばっちりを受けたあとは第50層にある、リアルの秋葉原のような人がごった返す道を歩きながら目的地を目指す。

 

 

キリト「おい、ハチマン。鑑定スキル持ちって、アイツだよな?」

 

ハチマン「そうだ。多分、お前が考えている奴だと思うぞ。って、アスナは?」

 

キリト「あれ?」

 

 

さっきまで俺たちの後ろを付いてきていたはずの彼女がいない……。

辺りを見回しながら、アスナを探すと…………斜め左後ろの露店から何かの串焼きの様な物を頬張りながら左手にはアスナが口にしている串焼きが数本入った入れ物を持ちながら、こちらに帰ってくる。

 

 

アスナ「はい!」

 

キリト「くれるのか?」

 

アスナ「元々、そういう約束でしょ?」

 

ハチマン「有難いけど、アスナ。何処かに行くなら、一声掛けてからにしてくれよ。ここは道が入り組んでて、迷うから」

 

アスナ「ご、ごめんなさい」

 

ハチマン「分かればいいさ」ナデナデ

 

アスナ「あっ…………」

 

ハチマン「わ、悪い!つい、妹を撫でる癖で……」

 

アスナ「ううん……平気。(やっぱり、ハチマンくんの手、大きくて、温かい……これって、もしかして……)//////」

 

 

アスナからもらった串焼きを食べながら歩いていると俺たちの目的地である、鑑定スキル持ちのプレイヤーショップの前に着くと、扉が開き、中からため息を吐きながら一人のプレイヤーが出てくる。

 

 

???「毎度!また、頼むよ?兄ちゃん」

 

 

「あ~あ……」

 

 

キリト「相変わらず、アコギな商売をしているな」

 

ハチマン「本当、お客様には優しくない商売だな、エギル」

 

エギル「うるせぇよ。安く仕入れて、安く提供する。それがうちのモットーなんだよ」

 

キリト「後半は疑わしいものだ」

 

エギル「何を人聞きの悪いことを、それで何を鑑定してほしいんだ?ハチマン」

 

ハチマン「それなんだが……」

 

 

俺が鑑定してもらう物の話をしようとすると入り口からアスナが入って来るのをエギルは発見し、それを見た瞬間…………。その、剛腕な腕でカウンターの方へキリトだけが引き摺り込まれる。

 

え?俺?ステルスヒッキーで気配を消して回避しましたが、何か?

 

エギルが落ち着いたあと、二階でエギルに57層の事件を話した。

 

 

エギル「圏内でHPがゼロに?デュエルじゃないのか?」

 

キリト「WINNER表示を発見できなかった」

 

ハチマン「俺も一緒に探したから間違いない」

 

アスナ「直前までヨルコさんと歩いていたなら睡眠PKの線も無いしね」

 

キリト「突破的デュエルにしてはやり口が複雑過ぎる。事前に計画されたPKなのは確実と思っていい。それでコイツだ」

 

ハチマン「エギル、頼む」

 

エギル「あいよ」

 

 

キリトが示したコイツとはエギルの店の二階にある俺たちの居る部屋の中にあるちゃぶ台の上に置かれている、今回の事件に使用された凶器。

それをエギルは慎重に手に取り、システム欄を出して鑑定をする。

 

 

エギル「プレイヤーメイドだ」

 

キリト「本当か?」

 

アスナ「誰ですか?作成者は?」

 

エギル「《グリムロック》……聞いたことがねぇな。少なくとも一線級の刀匠じゃねぇ。それに武器自体も特に変わったものはない」

 

アスナ「でも、手がかりにはなるはずよ」

 

キリト「うん」

 

ハチマン「一応、武器の固有名も教えてくれ」

 

エギル「えっと…………《ギルティーソーン》、罪のイバラ、ってところか……」

 

ハチマン「ギルティ……罪、有罪…………まさか?」

 

アスナ「何か分かったの?」

 

ハチマン「いや、ずっと気になっていたんだが、何故、あのPKは人目に付く広場で行われたのかなって」

 

キリト「言われてみれば……」

 

ハチマン「だから、凶器の固有名で何となく、あの場に居た誰かに見せしめか、または次はお前だって意思表示じゃないかなって思ってよ」

 

アスナ「だとなると次に狙われるのは……」

 

キリト「十中八九、ヨルコさんだろうな」

 

ハチマン「そうなるだろうな」

 

 

それから少し重たい雰囲気になり、俺はギルティソーンを手に取り、そして…………。

 

 

ハチマン「フッ!」

 

 

────ザクッ!!

 

 

キリト「ハチマン!?」

 

アスナ「ハチマンくん!?」

 

エギル「ハチマン!?」

 

 

俺は何の躊躇も無く、グローブ越しの手にギルティソーンを射し込んだ。

 

 

キリト「バカ!お前、早く抜け!!」

 

 

キリトは俺のギルティソーンを持つ腕を掴み、ギルティソーンを引き抜かせる。

 

 

アスナ「バカバカバカ!なんで、そんな無茶なことをしてるのよ!!」

 

ハチマン「いや、だって実際に試してもみないことには…………ッ!?」

 

アスナ「その武器で実際に死んだ人がいるのに、これでもしも君が死んだら…………私、嫌だよ」ポロポロ

 

 

アスナはギルティソーンを射し込んだ俺の手を両手で割れ物を扱うかのように優しく包み込んでいた。

また、彼女の瞳には怒りと悲しみの色が見えて取れ、目の端には涙も貯めていた。

 

 

ハチマン「悪い、軽率だった」

 

アスナ「今度からそういう無茶は止めて。そして、コレはエギルさんが預かっていてください」

 

エギル「お、おう」

 

 

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