カインズ「キリトさん、アスナさん、ハチマンさん。この男の処遇は私たちに任せてもらえませんか?」
ハチマン「俺は構わない」
キリト「分かった」
アスナ「私もお任せします」
俺たちの返事を聞いた、カインズさんはシュミットと共にグリムロックを挟んで並び、腕を肩に回して主街区へ連行して行った。
最後にヨルコさんが俺たちに一礼をしたので俺たちも一礼する。
やがて、俺たちの背中の方から朝日が登り始めるとアスナが口を開く。
アスナ「ねぇ?」
キリト「ん?」
ハチマン「あ?」
アスナ「もしも、君たちなら仮に誰かと結婚した後になって相手の人の隠れた一面に気付いた時、君たちならどうする?」
キリト「え?ラッキーだった、って思うかな。だ、だってさ、結婚するってことはそれまで見えていた面は好きになってる訳だろう?だから、その後に新しい面に気付いて、そこも好きになれたら…………に、二倍じゃないですか?」
アスナ「ふ~ん。ハチマンくんは?」
ハチマン「俺は…………」
俺はどうなんだろう?今まで好きになった奴らは一人を除いて俺の勘違いな訳だし。もしも、もしも仮にサチが生きていたら俺は…………。
ハチマン「…………」ポロポロ
キリト「ハチマン!?」
アスナ「ハチマンくん、何で泣いてるの!?」
ハチマン「え?」ポロポロ
俺は自分の顔に手を当てた。無意識に涙を流していたようだ。
まさか、まだ吹っ切れていないのか、俺は?
ハチマン「えっと、気にするな。それで新しい一面についてだよな?」ゴシゴシ
アスナ「う、うん」
ハチマン「俺は…………」
俺は言葉が欲しいんじゃない。
アイツらみたいに言葉を口にしなくても理解して欲しい訳でもない。
全て知っていて欲しい。けれど、これは他人から見たら強欲で傲慢なのかもしれない。
しかし、それでも俺は知っていて欲しい。知らないのはとても怖いから、だから、もしも、仮に俺のことを好きになってくれた人には、俺という『比企谷八幡』としての俺を知っていて欲しい。
だから、俺は…………
ハチマン「その人の一面を新たに知って、安心していたい。だから、俺は……『本物』が欲しい!」
アスナ「そっか…………。見つかると良いね。その『本物』って物が」
キリト「そうだな」
アスナ「あー、なんか色々とあってお腹空いちゃった」
キリト「俺もだな」
ハチマン「俺も流石に腹が減った」
アスナ「2日も前線から離れちゃったわ。明日からまた頑張らなくちゃ」
キリト「ああ、今週中に今の層は突破したいな」
ハチマン「まぁ、それくらい…………ッ!!」
アスナがそのまま歩きだしたので俺は止める。
ハチマン「…………」クイクイ
アスナ「なによ?」
何故、止めたのかを聞いてきたので指で示す。
ハチマン「…………」指さし
アスナ「ん?」
アスナ「!?」
俺たちが見ているグリセルダさんのお墓の横に黒いローブを纏い、黒髪で、優しい目をした。一人の女性がいた。
俺たちは何かの見間違いだと思い目を擦るとさっきまでお墓の横にいた女性は居なくなっていた。
アスナ「ねぇ、二人とも、フレンド登録しようか」
キリト「え?」
ハチマン「は?」
アスナ「今までしてなかったでしょう?攻略組同士、連絡が取り合えないのは不便だわ」
キリト「でも、俺たちはソロだし」
ハチマン「それに俺はボッチだし、目が腐ってるし」
アスナ「別にパーティー組めなんて言ってないでしょう。それに少しは友達を作らないと」
キリト「そ、そうか?別に不便は……」
キリトが『不便はない』と言おうとしたがアスナが言い終わる前にキリトの背中を叩いて止める。
アスナ「ご飯を食べるまでに決めて置いて。じゃあ、まずは街に戻りましょうか」
キリト「あ、ああ……」
ハチマン「うっす」