クラディール「ご覧下さいアスナ様!私以外に護衛が務まる者など居ないことを証明しますぞ!」
とクラなんとかさんは、狂喜からなのか厨二病のようなことを口にしながらごちゃごちゃとした如何にも展覧会とかに出すような両手剣を構える。
ハチマン「ちょうどいいや。コイツを対人戦で試して見たかったんだよな」
アスナ「試す?」
キリト「まさか、ハチマン。あの剣を出すのか?」
ハチマン「……」ニヒリ
キリト「はぁ~、どうなっても知らないからな」
キリトは俺がすることが分かったのか頭イタイポーズを取る。俺はそれを無視してアイテムウィンドウを開き、ストレージから《インスティンク・ファング》を取り出して、《リースンモンスター》と取り替え装備する。
アスナ「なんか、禍々しいね」
ハチマン「見た目はこうだが、なかなか性能は良いんだぜ」
アスナに返答したあと、デュエルのため、右手には何も持たずに《インスティンク・ファング》を左手に持ち構える。
アスナ「えっ、左手?」
アスナはどうやら、俺が武器を左手に持っていることに少し驚いているようだ。それもそのはず。普段の俺は剣を右手に持ち、左手はアイアンピックなどの投擲武器を持つからである。
互いに準備が終わると5mほどの距離を取って向き合い、デュエル開始のカウントを待つ間に周囲には次々と野次馬が集まる。
「おいおい、見ろよ。《灰の剣士》とKOBのメンバーがデュエルだとよ!!」
その一声でいっそう野次馬の集まりが良くなる。
そんな奴らを余所に俺は目の前に表示されているカウントが減っていく度に周囲の音がシャットアウトされていき。残ったのは、相手をいかに楽して制圧するかという思考と、自分の心音だけ。
ハチマン「すぅー、はぁー」
深く深呼吸をしたら、目の前にいる標的、クラディールを観察する。両手剣を中段やや担ぎ気味に構え、前傾姿勢で腰を落としている。これにより俺の記憶から出てくるのは突進系の上段ソードスキル。
なので、俺は構えを解き。バスケのアニメに出てくる青い髪のガングロ野郎のような前傾姿勢で腰を少し落として両腕を脱力させた構えをする。
それを見た、クラディールは勝利を確信したようにニヒッと不気味な笑みを浮かべる。
クラディール「………」ニヒ
ハチマン「…………」
やがて、カウントが一桁になり、そして…………ブザーと共に【DUEL!!】と表示された。それを見たクラディールは俺の推測通りに両手剣用の上段突進ソードスキルの《アンバラッシュ》の構えをした。
なので、俺は前に出ずに後方へ飛ぶ。
ちなみだが、ソードスキルにはブーストと呼ばれる技があり。これは助走を付けてソードスキルを放つとソードスキルの射程距離を少しだけ伸ばしたり、威力を少し上げることができる。
それで何が言いたいかというと、助走が無いのにソードスキルを放ってもシステムによって設定された距離しかソードスキルは伸びないので、射程範囲外に出れば当たらないのだ。
ゆえに…………
ハチマン「フッ!」ザク
クラディール「なっ!?」
ソードスキル発動後の硬直で隙ができ、簡単に仕留められる。
そして勝ったのは俺な訳だ。
ハチマン「ソードスキルに頼り過ぎたな。そこがアンタの敗因だ」
クラディール「くっ………!」
ハチマン「どうした、もう一回やるか?」
アスナ「ハチマンくん、その必要は無いわ」
ハチマン「へ?」
アスナ「クラディール、血盟騎士団副団長として命じます。本日を持って護衛役を解任。別命があるまでギルド本部にて待機、以上」
クラディール「なに…………!?」
アスナがクラディールにそう命じるとクラディールは恨みのこもった目付きで俺のことを睨んでから転移門で血盟騎士団のギルドホームが《グランザム》へと転移して消えていった。
ハチマン「…………」
アスナ「……ごめんなさい、嫌なことに巻き込んじゃって」
ハチマン「気にするな。こんなのはまだましな方だ。リアルの方がもっと嫌なことがあるからな。それより、アスナの方こそ平気なのか?」
アスナ「ええ。今のギルドの空気は、ゲーム攻略だけを最優先に考えてメンバーに規律を押し付けた私にも責任があると思うし………」
ハチマン「それを聞いて働くのは間違ってると改めて理解させられたわ。やっぱり、将来なる職業は専業主夫だな」
キリト「これだから、捻ねくれ者は。えっと、今の訳すとだな。『あまり根を積めるなよ』ってハチマンは言いたいんだよ」
アスナ「え?」
ハチマン「…………」プイッ
アスナ「…………フフッ。じゃあ、お言葉に甘えて今日は楽させてもらおうかな。前衛よろしく、二人とも」
キリト「なっ、なんで俺まで!?ハチマンだけでいいだろう!」
ハチマン「ふざけんな、キリト!俺はさっきデュエルしたばかりだぞ!?」
反乱のデュエルを終えた俺たちは三人で迷宮区に繋がる道を歩いて行く。