仮想と混ざりあったリアル   作:黒牙雷真

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進出する軍とボス部屋

迷宮区へと続く森の中を歩いていると梢の隙間から差し込む朝の光が金色の柱をいくつも作り出し、森林浴をしている気分になる。

 

 

アスナ「それにしても君たち、いつも同じ格好だよねぇ」

 

 

言われてみれば、50層辺りからキリトとコンビを組んでたりしているためか防具が壊れたりしていないのであまり気にしたことがなかった。

 

 

キリト「い、いいんだよ。服にかける金があったら少しでも旨い物をだなぁ………」

 

ハチマン「旨い物って、それを買う前に武器とかで金がとんでだろが、お前は」

 

アスナ「その黒ずくめと灰ずくめは、何か合理的な理由があるの?それともキャラ作り?」

 

ハチマン「いや全然。強いて言うなら、このコートには隠蔽率が上がる効果があるのと派手なのは好まないだけだ」

 

キリト「そ、そんなこと言ったらアンタだって毎度おめでたい紅白………」

 

 

キリトが言いかけながら、俺たちは互いに癖で何気なく周囲の索敵をする。するとモンスターの反応はないが複数のプレイヤーの反応があった。

 

 

ハチマン「キリト」

 

キリト「分かってる」

 

アスナ「なに、どうしたの?」

 

ハチマン「後方からこっちに二列縦隊で向かってくる複数のプレイヤー反応があるだよ」

 

アスナ「え?」

 

キリト「取り敢えず、そこら辺に隠れてやり過ごそう」

 

ハチマン「ああ」

 

アスナ「そうね」

 

 

直ぐに俺たちは道を外れて土手を登り、自分たちが伏せれば完全に隠れてられるほどの茂みに移動する。すると、アスナが何か思い出したようだ。

 

 

アスナ「あ………どうしよう、着替え持ってない」

 

ハチマン「時間がない。アスナ、文句は後で聞く」

 

アスナ「え?」

 

 

俺はシステムウィンドウを出し、今装備しているコートを外してからアスナの頭からかける。

 

そして、俺は何故か知らないが未だに意識を集中するとシステムから認識されない、ステルスヒッキーと隠蔽スキルを使い、後ろから向かってくるプレイヤーたちを観察する。

 

 

アスナ「………来た」

 

キリト「………」

 

ハチマン「………」

 

 

少しすると曲がりくねった小道の先から約12人のプレイヤーたち全員が黒鉄色の金属鎧に濃緑色の戦闘服。そして、その集団の中で一際目立つ大きな盾を装備しており赤い襷を右肩にかけているプレイヤーが居た。

 

 

ハチマン「《軍》の奴か………」

 

アスナ「だとなると、あの噂は本当だったんだ」

 

キリト「噂?」

 

アスナ「うん。ギルドの例会で、《軍》が方針変更して上層エリアに出てくるらしいって」

 

ハチマン「元々、あそこはあのバカ(キバオウ)が25層の時に壊滅寸前までさせてから組織強化がメインだったんだよ」

 

アスナ「けれど、それがギルド内部で不満が出て来て、大人数で迷宮に挑むよりも少数精鋭で戦果を出してクリアの意思を示すっていう方針になったみたいなの」

 

ハチマン「その第一陣がアイツら何だろうよ」

 

キリト「へぇー、なるほどな。てか、アスナはともかく何でハチマンがそんなことを知ってるんだよ?」

 

ハチマン「昔にも言ったが、この世界は情報が命だ。攻略がない休み日は情報収集に徹してるんだよ。お前みたいに毎回、モンスターと戦ってる訳じゃないんだよ」

 

 

迷宮区へと入った俺たちは三人でローテーションしながら、数回ほどモンスターを撃破していき。昨日、俺とキリトが引き上げた場所までたどり着くことができた。

 

そして、現在はアスナが前衛でスケルトン型モンスターである《デモニッシュ・サーバント》と戦闘中である。俺とキリトは後衛でスイッチを待っている。

 

 

デモニッシュ「フルルグルルルル!」

 

アスナ「…………」

 

骸骨は異様な雄叫びを上げながら、ソードスキルのモーションを取り構える。

それを見たアスナは直ぐにソードスキルを回避ができるように構える。

 

 

 

デモニッシュ「グルルルルアッ!」

 

 

骸骨が放ったのは垂直四連続技ソードスキル《バーチカル・スクエア》だ。それをアスナは冷静に全て見切り、綺麗な左右へのステップで《バーチカル・スクエア》を避ける。

 

《バーチカル・スクエア》を躱わすと骸骨は四連撃最後の大振りを避けられたことにより体制を崩す。

 

それを現アインクラッド最強ギルドの副団長であるアスナが逃すはずもなく。直ぐ様、細剣上位ソードスキルである《スター・スプラッシュ》を放つ

 

 

アスナ「ハッ!セヤッ!タァッ!」

 

 

本来、デモニッシュ・サーバントの様なスケルトン型やゴーレム型のような硬いモンスターは斧や棍などの打撃系攻撃が有効打なのだが、それを何とアスナは手数の多さでカバーしているのだ。

 

 

アスナ「セヤアアアッ!!」

 

 

やがて、最後の《スター・スプラッシュ》の一撃を決め。一度、飛び退き。相手の出方を観察する。

 

 

キリト「手練れが一人増えるだけでこうも違うとわ」

 

ハチマン「俺も働かなくて済むから楽でいい」

 

 

そんな俺の声が聞こえたのかいなか、アスナから指示が飛んでくる。

 

 

アスナ「ハチマンくん、スイッチ行くよ!!」

 

ハチマン「へぇーい」

 

 

破棄のない声でアスナに返事をする。するとアスナは得意技である、細剣の基本ソードスキル《リニアー》を意図的に骸骨が持っている左手の金属盾にヒットさせて、仰け反らせる。

 

それを見た俺は、アスナの前に踊り出て骸骨に七連撃片手剣ソードスキルの《デットリー・シンズ》を放ち、骸骨をポリゴンへと葬る。

 

 

ハチマン「ふぅ~」

 

アスナ「ハチマンくん、ナイススイッチ」

 

ハチマン「あれは、俺じゃなくてキリトでも良かったろう?」

 

アスナ「ん~。私的には、ハチマンくんが良かったからハチマンくんにスイッチを頼んだんだけどな~」

 

ハチマン「俺のどこがいいんだか」

 

アスナ「そうだな~。その変則的なバトルスタイルでどんな状況にも対応できる適応力かな?」

 

ハチマン「誉めても、MAXコーヒーがラーメンしか出ないぞ」

 

キリト「俺はラーメンが出るなら嬉しいけど」

 

アスナ「ハチマンくんが作るラーメンって、そんなに美味しいの?キリトくん」

 

キリト「ああ。ハチマンは何でもリアル時はラーメンを求めて電車を使う程、ラーメンが好きだって前に言ってたからな」

 

アスナ「あの、働きたくなくて、将来なりたい職業が専業主夫の………あのハチマンくんが…………?」

 

ハチマン「ねぇ?そんなに俺のことをディスって楽しい?」

 

 

そんな他愛のない話しをしながら、また数回ほどモンスターと戦闘をしてから一歩道に入るとモンスターがパッタリと出現しなくなった。

 

 

ハチマン「おい、キリト。この道」

 

キリト「多分、そうだろうな」

 

アスナ「なに、どうしたの?」

 

ハチマン「アスナ、この一歩道に入ってからモンスターと遭遇したか?」

 

アスナ「ううん。そういえば、まったく遭遇してない…………って、ことは!」

 

ハチマン「この先がそうなんだろよ」

 

キリト「74層、フロアボスの部屋」

 

 

それからほどなくして、俺たちが思っていた通り。この一歩道の終着点にはフロアボスの扉があった。

 

 

アスナ「どうする……?覗くだけ、覗いてみる?」

 

キリト「……ボスモンスターはその守護する部屋からは絶対に出ない。だがら、ドアを開けるだけなら多分…………だ、大丈夫なはず」

 

アスナ「ハチマンくんはどう………思う?」

 

ハチマン「覗くことに関しては賛成だ。フロアボスを確認しないことには作戦が立てられん。ただ、何かしらのイレギュラーがあるかもしれないから転移結晶を持った状態がいいだろう」

 

アスナ「うん」

 

キリト「分かった」

 

 

俺たちはアイテムポーチから転移結晶を取り出し。何時でも緊急脱出できるように備えてから俺とキリトでボス部屋の扉に手を付ける。

 

 

キリト「いいな………開けるぞ……」

 

ハチマン「おう」

 

アスナ「うん」

 

ハチ×キリ「「せーの!」」

 

 

 

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