仮想と混ざりあったリアル   作:黒牙雷真

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三度目のプロポーズ

サイゼリアで食事を終えた俺たちは明日奈の要望で家具屋に来ている。

 

 

明日奈「八幡くん。三人で寝るなら、どのくらいの大きさのベッドがいいかな?」

 

八幡「それより、こんなデパートにそんなサイズが売ってるのか?」

 

ユイ「パパ、ママ。凄く大きなベッドを見つけました!」

 

 

ユイが指で示した方を見ると、映画とかでよく見る、クイーンサイズと呼ばれるデカさのベッドが存在した。

 

 

八幡「ほ、本当にあるとは……」

 

明日奈「八幡くん。このベッド、凄くフカフカだよ!」

 

ユイ「フカフカです!」

 

八幡「お店の品物であまり遊ぶなよ?」

 

二人「は~い」

 

八幡「値段はと……はぁ!?」

 

 

俺はあまりの高額な値段に度肝を抜かれた。アニメなら目玉が飛び出ているだろう。

 

 

八幡「一、十、百、千、万、十万…………20万だと」

 

明日奈「八幡くん、どうしたの?」

 

八幡「これを見てくれ」

 

 

俺は明日奈にクイーンサイズベッドの値段の書いてある板を指で示す。

 

 

明日奈「なっ!?」

 

八幡「買えなくはないが、今後は節約だな」

 

明日奈「あまり無理をしなくていいからね?普通に敷き布団を床に敷いて三人で寝ればいいし」

 

八幡「いや、俺も男だ。だから男を見せる」

 

明日奈「もう、変なとこで意固地なんだから」

 

八幡「すみません」

 

店員「はい、なんでしょう?」

 

八幡「えっと、このベッドを一つ欲しいんですが」

 

店員「か、かしこまりました。少々、お待ちください!」

 

 

店員はそう言って慌てて裏方に行き、店長らしき人を連れてきた。

 

 

店長「お客様、こちらのベッドをご所望で宜しいですか?」

 

八幡「はい。あと支払いなんですが、電子マネーでも大丈夫ですか?」

 

店長「はい、大丈夫です。また、5千円以上のお買い上げのお客様には無料で配送などをサービスしておりますが、いかがいたしますか?」

 

八幡「そうだな…………。明日奈、どうする?」

 

明日奈「それじゃ、他の家具も見て良いのがあったら、それもお願いしようかな」

 

八幡「では、お願いします」

 

店長「わかりました。君、すぐに配送の手続きをしてくれ」

 

店員「わ、わかりました!」

 

店長「では、お支払はこちらになります」

 

八幡「わかりました」

 

 

それから明日奈が家具屋の中をゆっくりと物色して行き、ベッド以外に何個か家具を選び、合計が25万円になった。

マジで、ご都合主義で助かったと思った。

 

 

八幡「すまん、ちょっとトイレに行ってくるから待ってくれ」

 

明日奈「うん、分かった」

 

 

約30分程度だろうか、明日奈には悪いが嘘をついて、あるものを隠れて購入した。

 

 

八幡「悪い、待たせた」

 

明日奈「ううん。でも、ユイちゃんが寝ちゃったみたい」

 

ユイ「すぅ~、すぅ~」ZZZZ

 

八幡「流石にはしゃぎ過ぎたかな。明日奈、ユイを背負うから乗っけてくれ」

 

明日奈「分かった」

 

八幡「よっと。それじゃ、集合場所に向かうか」

 

明日奈「うん」

 

 

集合場所である千葉駅の改札前に行くとホクホク顔の理香と財布を持って項垂れて膝をつく和人、それを慰めている直葉が居た。

 

 

八幡「どうした、お前ら?」

 

和人「俺の財布が…………」ガックシ

 

理香「フフン♪」ホックホック

 

直葉「あははは、なんと言っていいやら」

 

 

直葉の説明を聞くと……和人はあの後、理香に捕まり買い物の支払いは全て和人が払うことになり財布の中からお札が全ていなくなったそうな。

 

 

八幡「和人、お前は知らんだろうが携帯のおサイフケータイにかなり金が貯まってるはずだぞ?」

 

和人「え?」

 

 

和人は携帯の契約におサイフケータイが入っていたらしく、おサイフケータイの残高を確認して……。

 

 

和人「嘘だあああああ!?嘘だと言ってくれぇぇぇ。これを知っていたら、お札が消えることはなかったのに…………」

 

八幡「まあ、いいじゃねえか。まだ、金はあるんだしよ」

 

和人「いや、よくない!俺が汗水垂らしてバイトした努力の結晶が…………」ガクリ

 

八幡「ど、ドンマイ」

 

和人「同情するなら、お札をくれぇぇぇ」

 

理香「悪かったわよ。今度、何かで埋め合わせするわよ」

 

和人「本当か?」

 

理香「本当よ」

 

和人「なら、理香の手料理の激辛フルコースメニューがいい」

 

理香「アンタ、相変わらずあの料理好きね」

 

和人「ああ!あのガツンッとくる辛さが美味いんだよ」

 

理香「流石に最初は私もアンタの味覚を疑ったわよ」

 

和人「それを言うなら、八幡の『なりたけ』で頼む、あのメニューもだろ」

 

八幡「はあ?『なりたけ』のギタギタの何が悪い!」

 

和人「だってよ………」

 

理香「確かにアレの背脂の量は乙女の天敵よね」

 

明日奈「え?理香はそうなの?」

 

理香「まさか、明日奈……アンタ」

 

明日奈「うん。私は普通に大丈夫だよ」

 

理香「まさか、明日奈があのギタギタを食べるとは………」

 

明日奈「ん~、最初は無理だったけど何回か行くうちに食べれるようになってたな」

 

理香「恐るべし、攻略組最強の夫婦」

 

八幡「じゃあ、そろそろ電車が来るから行くぞ」

 

 

 

千葉駅から最寄りの駅で降りて、解散する。

 

 

八幡「それじゃ、また明日な」

 

和人「ああ、また明日」

 

理香「八幡。明日奈のこと、ちゃんと送ってくのよ」

 

八幡「分かってるよ。それに明日奈の家は俺の家の隣だ」

 

理香「それなら安心ね。あっ、でも送り狼になるんじゃないわよ?」

 

明日奈「理香!もうぅぅぅぅ。///////」

 

八幡「お前な……」

 

理香「ニシシシシ、じゃあね」

 

直葉「八幡さん、明日奈さん。また学校で」

 

明日奈「うん、皆も帰りに気をつけてね」

 

 

そうして和人、理香、直葉と別れ。俺たちは夕陽が背中を照らし、目の前には俺たちの伸びている影を見ながら家に向かって歩く。

 

 

明日奈「なんか、こういうの良いね」

 

八幡「何がだ?」

 

明日奈「八幡くんがユイちゃんをおんぶして私が隣で一緒に家に帰るのが。なんか、本当の家族になれたみたいじゃない?」

 

八幡「そうだな。そう言われるとそうかもな ……。遊び疲れたユイを俺が背負って、明日奈が夕飯の食材を持って隣で同じ歩幅で家に帰る…………良いな、本当」

 

明日奈「でしょ」

 

八幡「なあ、明日奈。そこの公園で少し話さないか?」

 

明日奈「別にいいけど、どうしたの?」

 

八幡「たいしたことじゃないんだがな」

 

 

近所にあったのに、俺たちが寄った公園は初めて入った気がした。公園内に入ると大きな花壇があった。

 

 

明日奈「うわ~、この公園には花壇があるんだね」

 

八幡「なんか、47層のフローリアみたいだな」

 

明日奈「そうだね」

 

 

俺はユイをベンチに寝かせて、明日奈の元へ近寄る。

 

 

八幡「なあ、明日奈」

 

明日奈「なに、八幡くん?」

 

八幡「えっとだな…………」ガシガシ

 

明日奈「ん?」クビカシゲ

 

八幡「そのだな…………。SAOで俺は一度、本当に死のうと思った。あの時、生きる意味が、理由がなくなったと思った。大切な妹の小町でさえ、あの時の俺は頭になかった 」

 

明日奈「うん……」

 

八幡「でも、明日奈が新たに、俺に生きる意味を、生きる理由をくれた。だから、今の俺は明日奈が居たからこそ、ここに存在して、生きているんだ」

 

明日奈「そんな……私はただ、あの時は八幡くんに死んでほしくなくて……」

 

八幡「分かってる。だから、改めて言う」

 

明日奈「…………」

 

八幡「結城明日奈さん」

 

明日奈「は、はい」

 

八幡「これからも俺の生きる意味で、生きる理由で、あり続けてください。あなたが生きている限り、俺も全力であなたの隣で生きていきます。だから、この世界でも俺と、結婚してください!」

 

 

俺は片膝をついて懐から小さな箱を手に載せ中身を明日奈に見せる。

 

 

明日奈「八幡くん、これ…………」

 

八幡「所謂、婚約指輪です…………。あっちの世界では渡したけど、こっちの世界では、まだ渡してなかったから」

 

明日奈「嬉しい………。比企谷八幡さん、その申し出、謹んでお受けします」ポロポロ

 

 

明日奈は嬉しさのあまり嬉し涙を流しながら笑顔で俺の三度目のプロポーズを受けてくれた。

一度、立ち上がり、指輪を明日奈の左手薬指に嵌める。

 

 

八幡「愛してる、明日奈」

 

明日奈「私もだよ、八幡くん」

 

 

俺たちは互いに愛の言葉を口にした後、ゆっくりと顔を近づけ、やがて二人の距離はゼロになった。

 

 

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