「どういうことなんだ」
「俺にもわからん」
彼女はつい先程うちに着任したクリーブランド。自分達以外に誰もいない学園の惨状を見て「なんで艦船が誰一人としていないんだ?」と言ってきたから正直に答えたまでだ。うちの艦船は全員作業員や知らない一般人に寝取られたと。
「ね、寝取られたって…大問題じゃないか!それで、その…寝取った側はどうなったんだ?」
「勿論全員警察にしょっぴかれた。言い方は悪いが君たちは軍の備品だからな…まあ窃盗のようなものだ」
「そんな…で、でもまた一からやり直せば…!」
「君のように上からの温情でうちに着任した子は何人もいた。一週間と経たず寝取られたが」
「えっ、寝取った側は捕まったんじゃ…」
「当然いなくなった作業員達も補充がされる。で、作業員も艦船も補充されては寝取り寝取られで警察に連れていかれる」
「かける言葉が見当たらないよ指揮官…」
「クリーブランド。俺だって君の着任は歓迎したい。でもどうせ寝取られると思うと素直に喜べないのだよ」
「わ、私はそんな軽い女じゃないぞ!」
「みんなそう言って寝取られていった。現に寝取られた艦船は戻ってきてないしな。正直深い関係に行くまでに寝取られるから『寝取る』という言葉が正しいのかもわからん」
「…ごめん」
「謝るな。君は何も悪くないんだから」
暗い雰囲気になってしまったがこれはもうどうしようもない。誰もいない理由を説明する都合の良い嘘が思いつかなったのだ。
「そうだ、君と一緒にレンジャーを着任させると聞いていたんだが…一緒じゃなかったのか?」
「へ?私も聞いてないけど…」
「何?……じゃあもう駄目だろうな。最短記録だ」
「最短記録って…ま、まさか…!」
「ああ。十中八九寝取られた。クリーブランド、ここの学園までどうやって来た?」
「車だよ。送迎してもらったんだ」
「じゃあ大方運転手だろう…」
「ま、まだそうと決まったわけじゃないじゃないか!」
「どうかな。いずれにしろ明日か明後日には答えが出るはずだ」
「…私ここでやっていける自信がなくなったぞ…」
出撃することができないので当然なんの仕事もない。クリーブランドを適当な部屋に割り当て、部屋の鍵を渡してやった。
「…くれぐれも寝取られないように」
めちゃくちゃ失礼な注意をクリーブランドにしてしまったが、彼女は乾いた笑いで返事をしてくれた。
俺は指揮官としてはまだ新米だ。当初は所属する艦船も二十人ほどだった。それがある日全員寝取られたのだ。それも一人一人別の人物に。あまりに現実離れな話だったのでショックはほとんどなかったが、後からじわじわと精神的にやられたものだ。しかしこう毎回のように寝取られると感覚が麻痺してくる。今やすっかりEDだ。クリーブランドはいい子なのだろうが…彼女もあまりもたないだろう。やることもないのでつまらないラジオを聴いて時間を潰し、幼児が寝るような時間に布団に潜ったのであった。