働かなくても金が入り、悠々自適に生活する。大人も子供も、男も女も、世界中の誰もがこんな生活を夢見ることだろう。
俺は今その生活を現実にしている。
普通の不倫や浮気なら慰謝料は高額でも三百万程度だ。だが相手が艦船なら話は違う。言わば軍事兵器の窃盗なので目が回るような金額の慰謝料を請求される。その慰謝料を数十回も支払われるのだ。働くことが馬鹿らしくなるほどの貯金が俺にはある。
豪遊の限りを尽くすことができる!と言いたいところだが、一度に失ったものを考えると全然嬉しくない。金の稼ぎ方というのも考えものだ。無駄にでかいテレビ、見てて落ち着かなくなるほどのソファ、味覚がおかしくなるほどの高級肉を買ってみたが、金が減っている気がしない。
「クリーブランド、なんか欲しいものあるか?」
「またその質問?もう何も欲しいものなんてないよ…」
「だよなぁ…」
最初は盆栽好きなクリーブランドに色々と買ってあげたのだが、もう一人じゃ管理しきれないらしい。
「なぁ指揮官、そんなにお金が余ってるなら建造でもしたらいいんじゃないか?」
「バカ、建造なんかしてみろ。すぐに寝取られてまた山のような慰謝料になって返ってくるぞ」
「でももう作業員は三人だけじゃないか。それより多く建造すれば…」
「建造したってレベル1スタートだぞ?10になる頃にはいなくなってるだろうよ」
「大丈夫だって!私がついてるんだから!」
「…勝手にしろ」
クリーブランドの手により、ロドニー、テネシー、オーロラ、シュロップシャーが建造された。この時点で不安しかないが、とりあえず彼女達を近海に出撃させた。
戦闘の方は問題なかった。だが俺は知っている。セイレーンより恐ろしい存在を。
「し、指揮官…」
真っ青な顔のクリーブランドが帰ってきた。大体予想がつくが一応聞いてみよう。
「……どうした」
「…オーロラとロドニーが漁師に連れ去られた…」
「……そうか…」
「わ、私は止めたんだ!でも…!」
「言うな。艦船は一般人に手出ししてはいけないからな…」
「……二人もあんなにホイホイついていくとは思わなかったんだ…」
漁師に寝取られるのはここじゃ珍しいことじゃない。しかもここら一帯の海は禁漁区。密猟の罪と合わせてとんでもない請求が行くことだろう。
「…それで?テネシーとシュロップシャーは?」
「うん。二人は少し負傷したから修理を……あっ!」
自分のミスに気づいたのか、クリーブランドがドッグへ向かおうとする。
「待てクリーブランド。もういい。手遅れだ」
「……ごめん。私が建造しようなんて言ったから…」
「謝るな。君は何も悪いことなんてしてないじゃないか」
クリーブランドは泣いた。寝取られることには慣れたが、彼女に申し訳なくなって俺も泣いた。
ビデオレターはすぐに届いた。顔を確認し次第、上層部に郵送。うちで働く作業員はついに一人になった。
また、ここの地域内であまりにも艦船との不倫による逮捕者が続出しているので、不倫による罰則が強化される条例が出た。それが意味することは一つ。
俺の臨時収入が二倍になった。