ベルカの魔王   作:ガトリング・ゴードン

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やっぱりクオリティは低いですが、第2話。


今回は、主人公一家のオリキャラ達が一通り出ます。




唯の説明回みたいに思えてそうでない、と言う話

 

 

ウォーダン・クロスヘイムの朝は早い。

 

 

執事を自称する以上、他の家族達よりも遅く起きる事は厳禁だと、彼は考えている。

 

 

故に、誰も目を覚ましていない早朝4時前には起床。

 

 

寝床を出てまずやる事は、自分で調達した執事服を着込む事。

 

 

次いで、自身がバイブルと仰ぐ漫画が飾られた本棚へ一礼。

 

 

因みにそのバイブルとは、悪魔で執事なセバスチャンが主人公のアレ、である。

 

 

物音一つ立てずに自室を出て厨房へ向かい、「ウォーダン用」と書かれたエプロンを身に付け、冷蔵庫を開き、朝食の準備を始める。

 

 

日本へ越して来たのだから和食に慣れよう、と家長が言っていたので、今朝から和食だ。

 

 

よって、白米に味噌汁や焼き魚、と言った純和食が今日の朝食になる。

 

 

既に米は、昨晩の内に研いで炊飯ジャーに入れてタイマーをセットしてあるから問題ない。

 

 

ウォーダンにとっても和食は未知の領域である為少し尻込みするが、それで執事が勤まるだろうか? いや、ない(反語)。

 

 

まあ、失敗する訳にもいかないので、ちゃんとレシピに目は通すが。

 

 

 

 

―20分後―

 

 

 

 

「早まり過ぎたか・・・・・・」

 

 

 

額に手を当てて悔やむ、ウォーダンの姿がそこにはあった。

 

 

ウォーダンの眼前には、既に焼き魚と味噌汁が完成していた。

 

 

初めてする料理ジャンル故に、テンションが少し振り切っていた様だ。

 

 

焼き魚は美味そうな匂いを立てながら時折パチッと脂の爆ぜる良い音がするし、味噌汁は味噌の良い香りを立てて此方の食欲を刺激してくる。

 

 

どこからどう見ても、立派な和食だ。

 

 

失敗はしていない、しかし問題は別にあった。

 

 

現時刻は、未だ5時にもなっていないのだから。

 

 

明らかに早過ぎる、これでは皆が起きてくる頃には、朝食はすっかり冷めてしまうだろう。

 

 

それは、非常に宜しくない。

 

 

折角美味そうに出来たのだから、美味である内に食べて貰いたいものだ。

 

 

 

「致し方ない。

ちょっと勿体ない気もするが、【停止】」

 

 

 

ほんの一言、たった一単語。

 

 

ともすれば、唯の吐息の様にさえ聞こえたソレは、明確な変化をもたらした。

 

 

炊飯ジャーで炊いている最中の白米以外の、朝食の全てが止まったのである。

 

 

温度も、匂いも何も感じられなくなっている。

 

 

 

「これでよし、じゃあ次は洗濯に」

 

 

 

 

―更に30分位後―

 

 

 

 

ウォーダンが洗濯を終えて戻ってきた頃、リビングに一人の男と女がいた。

 

 

二人とも、歳の程は20歳に届いてはいまい。

 

 

男は180cm位は確実にあるだろう高身長、肩位まで伸びた金髪、中性的な顔立ち。

 

 

間違いなく、美青年と呼ばれる類の人種であった。

 

 

 

「あ、おはよう」

 

 

「はい、おはようございます、おぼっちゃま。

口元に牛乳がついています」

 

 

「えっ? あぁ、ありがとう」

 

 

 

ごしごしとビン牛乳の名残をパジャマの袖で拭う姿を差し引いても、なお。

 

 

レクター・テスタロッサ、当家の長男。

 

 

ウォーダンが全力で守り抜かねばならない人間でもある。

 

 

 

「朝食は?」

 

 

「主食以外出来ておりますし、まだ他の方々が」

 

 

「では、起こしてきましょうか」

 

 

 

徐にドアの方へ向かう女。

 

 

リニス、特に姓は無い。

 

 

その理由は割愛。

 

 

 

「いや、いいさ。 今起きた」

 

 

「おはよう、レクター、ウォーダン」

 

 

「おや、おはようございます」

 

 

「おはよう、父さん、母さん。

朝っぱらから、母さん抱き上げて来るとか、見せ付けてるの?」

 

 

「羨ましいだろう?」

 

 

「や、やだもう、レイリーったら・・・」

 

 

 

レクターの茶々を、ドヤ顔全開で返す父親と、父親に抱かれつつそれを受けて真っ赤になって照れる母親。

 

 

その激甘加減を見せられ、レクターとリニスの口の中が甘ったるくなったのは、至極当然の結果であった。

 

 

因みにウォーダンはと言うと、笑うのを必死に我慢していた。

 

 

黒髪と金の瞳を持つ父親レイリー・テスタロッサと、その妻プレシア・テスタロッサ。

 

 

二人とも多く見積もっても20代半ばのバカップルだが驚くなかれ、実は既に40を過ぎつつある熟年夫婦なのだ。

 

 

 

「ウォーダン、今日の新聞は?」

 

 

「今持っている物がそれだ、お前の席に置いておく」

 

 

「ありがたい」

 

 

 

レイリーと話す時のみ、ウォーダンの口から敬語が消える。

 

 

因みにこれは、差別している訳ではなく、レイリーとウォーダンは生まれた時からの付き合いである為、遠慮がないだけである。

 

 

 

 

―そして約30分後―

 

 

 

 

「おっはよー!!」

 

 

「お、おはよう・・・」

 

 

「おはよう、二人とも」

 

 

 

勢いよくリビングへ飛び込んで来たのと、その後ろに隠れる様にリビングに入ってきた、2人の女の子。

 

 

見た目は完全に双子だが、実際には先に来た方が2歳も年上であったりする。

 

 

アリシア・テスタロッサ、そしてフェイト・テスタロッサ。

 

 

そして、二人の後ろから更に大型犬がのそのそと歩いて来る。

 

 

 

「アルフもおはよう、よく眠れたか?」

 

 

「ふぁー、うん。 ぐっすり」

 

 

 

レクターが話しかけた犬が喋ったが、その事に驚く人は誰もいなかった。

 

 

どうやら、彼等にとって犬が喋るのは何ら珍しいことでは無いらしい。

 

 

 

「【解凍】、では皆。 既に御飯も炊けた事ですし、朝食にしましょうか」

 

 

「よし来た、皆席に付け・・・・・・よし、それじゃあ。 いただきます」

 

 

「「「「「「いただきます!」」」」」」

 

 

 

各々が自分の眼前に盛り付けられた食事に口を付け始め、舌鼓を打ち、自然と話も弾む。

 

 

その光景は、何処にでもあるもので。

 

 

だからこそ、その話の内容はかなり違和感があるものになった。

 

 

 

「父さん、新しい術式を作ったから、後で見てくれないか?」

 

 

「分かった、但し学校から帰って来てからだ」

 

 

「了解」

 

 

「むー・・・お兄ちゃんとフェイトばっかりずるい! 私も早くデバイス欲しいー!」

 

 

「アリシア、貴女の魔法体系はちょっと特殊だから、専用の物が必要なのよ。 レイリーとリニスに頑張って貰ってるから、ね?」

 

 

「ホントに?」

 

 

「はい、その通りですアリシア。 あのデバイス『フォーチュンドロップ』が完成すれば、貴女も魔法の勉強が出来る様になりますから、もう少し待っていて下さい」

 

 

「んー、なら我慢する」

 

 

「いい子だ、後で飴をやろう」

 

 

「やたっ!」

 

 

「(お子様だねぇ・・・あー、肉食べたかった)」

 

 

 

魔法、現代日本でそんな事を口にすれば、確実に病院のお世話になることだろう。

 

 

それも、心の方の。

 

 

だが、その言葉は誰一人として違和感だと思っていない。

 

 

即ち、この家族間で魔法とは、当然のもの。

 

 

それもその筈、何故ならばこの一家は地球人ではない。

 

 

少し語弊があるかもしれないが、少なくとも地球出身者は一人もいない。

 

 

全員が全員、魔法と呼ばれる技術のある世界からこの世界へと移住してきた移住民なのだ。

 

 

 

「ふむ、それはそうと。 転入したばかりだが、友達はできたか?」

 

 

「うん、中々興味深い友人が出来たよ」

 

 

「へぇ、レクターがそんな顔をするって事は、剣絡み?」

 

 

「・・・何故そうなる? 当たってるけど」

 

 

「ほら、当たった。 レクターはいっつもそんな感じでしょ」

 

 

「赤ん坊の頃から、ベルカの騎士を題材にした映画が大好きだったしな」

 

 

「解せぬ」

 

 

「私はまだだよ! でもフェイトは出来たって! 妬ましいね!」

 

 

「えぇっ!? お、お姉ちゃん!」

 

 

「こらこらアリシア、フェイトをいじめるな」

 

 

「ぶー、だってー」

 

 

「アリシアはちょっと置いといて、何人できたんだ? 沢山か?」

 

 

「う、うん、3人もできたよ」

 

 

「そうか、それは良かったな。 目指せ友達100人、頑張れよ」

 

 

「うんっ!」

 

 

 

ニコニコ笑うフェイトが可愛いのか、レイリーも釣られて笑う。

 

 

プレシアはそんな様子を羨ましそうに見ており、リニスは呆れていた。

 

 

 

「ところで、そろそろ8時が近いですが」

 

 

「おや、もうそんな時間か。 急ごう」

 

 

 

それでも会話が止まらない辺り、この家族の仲の良さは際立っていると言えよう。

 

 

それから10分もした頃、漸く全員が食べ終わり、それぞれの準備をしに自分の部屋へと戻って行く。

 

 

それを見届けてから、ウォーダンは一人ごちる。

 

 

 

「明日の食事はどうするかね、また和食か、それとも今度はまた別の国の料理を」

 

 

 

既に、翌日への思いで一杯の様だ。

 

 

 

「行ってきます!」

 

 

「行ってらっしゃいませ、おぼっちゃま」

 

 

 

まず、制服に着替えたレクターが家を飛び出す。

 

 

自転車に乗っている訳でもないのに、凄まじいスピードで疾駆するその姿は、どこか爽やかさを漂わせていた。

 

 

 

「ウォーダン! 私達のお弁当は!?」

 

 

「キッチンのカウンターの上に乗っていますよ」

 

 

「お姉ちゃん、あったよ! はい!」

 

 

「よぉーしよしよしよしよし! 流石は私の妹! ナイスよ!」

 

 

「え、えへへ」

 

 

「それじゃ、行ってきまーす!」

 

 

「行ってきます!」

 

 

「はい、行ってらっしゃいませ」

 

 

「二人ともー!! 車だけじゃなくって、自転車やベビーカーにも気を付けるのよー! 何かあったらすぐに連絡してねー! ママがすぐ飛んで行くからー!!」

 

 

「だいじょぶだってばー!!」

 

 

 

次に寸劇を繰り広げつつ、見た目だけ双子が過保護な母の声を後に家を発つ。

 

 

確かに、プレシアだったら飛んで行くだろう、物理的な意味で。

 

 

そう思い、心中一人含み笑いするウォーダンであった。

 

 

そして。

 

 

 

「それじゃ、行ってくる」

 

 

「行ってらっしゃい、あなた、ん」

 

 

「行ってきます、ん」

 

 

「相変わらずお盛んで何より」

 

 

 

行ってらっしゃいのキスと言う新婚行為をしつつ、レイリーを送るプレシア。

 

 

もう結婚してから20年近く経つと言うのに、見ている方が恥ずかしい限りだ。

 

 

 

「散歩がてら、買い物にでも行きますか」

 

 

「手伝いましょうか」

 

 

「いや、いい。 リニスは奥様を頼む」

 

 

「わかりました」

 

 

 

平和な時は何時までも続いて欲しいが、あの甘ったるい行いだけは何時までも続いて欲しくないと思う、ウォーダンなのであった。

 

 






誤字脱字報告があれば、お願いします。


次回では、この世界がどう言う世界かを多少説明できればいいかな、と思います。
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