「イシュ、イシュ」
「なんだ」
ズカズカと歩いていくイシュを追いかける。
すごい堂々とした歩き方のせいか、妙に高圧的な雰囲気のせいか、人が避けて行ってくれてるのが幸いだけどもうちょっとペースを落としてほしい。追うのが大変だ。
「そっちは街門じゃないですよ。兵士さんの待ってる街門はあっち」
「……そうか」
自信満々に進んでいくけど道をよく間違える。
イシュからしたら見知らぬ街で、看板の文字もかつてとは全然違うから読めないのも仕方ないけど。
「……そんなに前を歩いていかなくても」
「先導者として当然だ」
「迷子になりそうじゃないですか……」
「むぅ……」
ついていくと決めたけど、さすがに変な方向に進まれたら止めなくちゃなんだ。だからそんなふうにどこか恨めし気に見ないでほしい。
「それに街門にすぐに行かずに、ちゃんと準備してから行くようにって言われてるじゃないですか。だからまず必需品を買いに行きましょうよ」
「必需品? この時代の常識を我はまだ知らぬ。なんであれ早々に済ませよ」
常識とはまた違うかもしれないけど、冒険者の必需品は大事だろうし。
私の数少ない知り合いの冒険者からは絶対大事と言っていたアレを買いに行く。
たしか取り扱ってるのは……
「文具屋だと……」
店前で呆然としているイシュを無視して中に入る。
このメリー文具店はタルシスの隠れ名店なのだとあの人が言っていたのだ。品ぞろえはいいが知名度が低く、客足はないことはないが、決して多くもない。
そんな事前情報通り、客の入り数はまばらだし、内装も綺麗でなかなかいい。
「イシュ、どうしたんですか」
「どうしたもこうしたもあるか。我は冒険の必需品を求めて武具店にでも行くと考えていたが、文具店だと?」
「だって武具店には置いてないし」
えっと、どこにあるかな。
探しているのはノートとペン。あとインクだ。
どれも安物で妥協はしない。下手に安いのを買うと後に後悔するのだと聞いた。
ノートも高めでかつ実用的なのが2冊必要だ。表紙は黄ばんでいるものがいいらしい。皮表紙に防水加工がされている証拠なのだとか。やや粗い加工のせいで黄ばみ、訳アリ品として値段も少しまけられてるのが多いとか。
「ただの買い物ならば我は付き合ってられぬぞ」
「違うってば。冒険なら地図とか必要だもの」
「地図だと……」
行くのは自然が作りだした迷宮。
そして出会うのは未だ不明な点が数多い魔物。
そのどれもをしっかりと記録していけば、どんどんと楽になる。
そういえばイシュは古代のすごい人だし、そんなメモとかって必要ないのかな。
「イシュは……あ、いや、やっぱりなんでもないです」
「なんだそれは」
考えたら街中で何度も迷子になりかけてるんだった。
地図なんて不要! なタイプじゃない。いや、ある意味では地図なんて不要! 読めないから! ってタイプか。
となると、地図は私が描いていくことになるか。
ノートとペン、インクを無事手に入れて、メリー文具店から外に出る。
「それじゃ次は雑貨店に行きましょう!」
「今度は何が必要なのだ……」
「鞄ですよ鞄。できるだけ頑丈で、たくさん入るやつ」
「知識はかさばりなどせぬ」
「素材はかさばります」
必要なものはあとちょっとで揃うのだ。
それまでもうちょっとだけ我慢してほしい。
あとは鞄といくつかの医薬品のみ。
今度は探すのに手間取ることはないと思う。メリー文具店では悩みに悩んで50分くらいいた気がするし。
それにしてもちょっと楽しい。
外に出てこうしていろんなものを見れるなんて。まあ、少し汗ばんで暑苦しいがローブをまくるわけにはいかない。その点だけ野暮ったいけど。
まぁ楽しむのもほどほどにして早く買い物を終わらせないとね。イシュが怒ってしまうし街門で待たせてる兵士さんにも申し訳がないから。
よーし、手早くがんばるぞー。
結局、買い物に夢中になり過ぎたあまり、準備を終えて街門についたのは日が暮れかけてのことだった。
「ほんっとうにごめんなさい! お待たせして本当にごめんなさい!!」
「あはは……いいよいいよ……。冒険の準備は大事だしね……」
兵士さんの疲れ切った雰囲気がより申し訳なくさせてくる。
ずっと立ってたのだろうか……来たときも立ちっぱなしで意識失ってたし……
「それじゃあ……あ、それでは、これから森の廃鉱に行くわけですが、準備などは大丈夫ですか?」
疲れのためか崩れていた口調を仕事モードに切り替えたようだ。大変そうだ。
「はい」
「さんざん準備をしたからこんな時間になったのだ。問題ない」
ではどうぞ、とそばにある気球艇に乗るよう促される。
乗り込んでから兵士さんが、そういえば、と思いだしたように聞いてきた。
「辺境伯がギルド名を聞き忘れていたので聞いておいてほしいと言っておりました。お二人のギルド名をお願いします」
ギルド名。そんなの当然。
考えてなかった。
いや、私が考えるのはおかしいか。だってイシュがリーダーだし。
私ことアルメリアは、イシュについていく実験動物なのだ。たまにお手伝いする実験動物なのだ。
「ギルド名か。なんでも構わぬ」
「え、あ、えっと。私が決めるの?」
「他に誰がいる。そこの兵士に決めさせるわけにもいかぬだろう」
突然振られても……
ギルド名はこれからその名称で呼ばれるものだから、ちゃんとしたものじゃないとダメだし。かといって名前負けしちゃう感じもいやだし。っていうか咄嗟に出てくるものじゃないでしょうこういうのって……! せめて他のギルド名がどんな感じなのか知ってから決めたい……!
「じ、実はまだ決まってないので、決まってから報告でいいですか……」
「わかりました。ではそのように伝えておきます」
なんとかこの場は凌いだ……
イシュが決めておいてくれたらよかったのに……
隣にいるイシュを盗み見ると、それはもう楽しそうに空の景色を見ていた。
こうして見ると、見た目のせいもあってごく普通の女の子に見えるんだけどなあ……
だけど、口を開けば…………このギャップにも慣れてきたけども……
「お、あの気球艇はワールウィンドさんのじゃないかな」
兵士さんの口調が砕けて、飛んでいる気球艇を指さす。
「ワールウィンド? あの気球艇のことか? 我らの行先から飛んできたように見えるが」
「タルシスで今のところ最も優れた冒険者だよ。彼の功績で気球艇も発展したんだ。それにしても、廃鉱に何か用事でもあったのかな……」
「ほう。冒険者でありつつ、技術者でもあるのか。……アルメリア、汝は何をしているのだ」
今日購入した大きい鞄を頭に被ってしゃがみ込む私を、珍獣のようなものを見る目で見てくるイシュ。
いいじゃないか。隠れたくなっただけなんだ。誰だってそんな時があるのだ。
気球艇はどんどんと近づいてくるようだ。
すれ違いざまに会話を行うのが聞こえた。というか、ややスピードが落ちてる。すれ違いざまと言うよりちょっと普通に会話する気だ。
「やあ、ご苦労さん。新しい冒険者の案内かい」
「ワールウィンドさん、お疲れ様です。はい、虹翼の欠片を取りにです」
「そっか。もう少し早ければ廃鉱を俺も案内したんだけど、ちょっとタイミングが悪かったかな」
「何かされていたのですか?」
「ちょっと落とし物を探しててね。もう見つかったからタルシスに向かうところなんだ。じゃあ俺はこれで」
「はい! お疲れ様でした!」
ワールウィンドさんと会話しちゃった。と浮かれてる兵士さん。
そんな人気者なんだろうか。そういうイメージはあまりないけども。
「……あの男も冒険者なのだな?」
「そうだよ! 見た目は胡散臭い感じだけど……あ、これは内緒でお願いしますね。でも実力は凄まじいんだ」
「……とても冒険者には見えなかったがな」
イシュが何かひっかかってるようだが、まぁ見た目は完全に胡散臭いおっさんだしね。ややこけた頬に無精髭、やる気のなさそうな目で基本ニヤけている男性だ。そう思うと冒険者っぽさは全くない。
見た目の胡散臭さで言えば、辺境伯もかなりのものだけど。
「もうすぐ森の廃鉱につきますよ。数は多くないですが魔物も出る廃鉱です。充分に注意してください」
森の廃鉱。
虹翼の欠片と呼ばれる鉱石が見つかり、近頃はこうして冒険者の試練に使われている小さな森。
虹翼の欠片が見つかる前は完全に廃れてしまっていたらしく、その時から魔物が棲みだした森だとか。
気球艇を森の入口、少し開けた場所につけ、兵士さんは座り込んだ。
「立ちっぱなしはさすがにもう疲れたからね」
「ご、ごめんなさい」
「あ、いやこちらこそごめんね。虹翼の欠片を持って来たら声を掛けてくれ。それまでここで休んでるよ」
もう日が暮れてしまった。
お昼頃に辺境伯から手配されていたと考えたら、およそ7時間近くこの人は立ちっぱなしだったのだ。
なら休ませておこう。
地図にこの場所を簡易に描きこみ、よしいこうとイシュに声を掛けようとした。
もう隣にはいなかった。
「もう出発しちゃってるの!? マイペースすぎない!?」
「ははは、大変だね。ま、気を付けて行ってくるんだよ」
「ありがとうございます! では!」
幸いにも道は一本道。
すぐに合流はできた。できたけど、そりゃ仲間ではないけど、実験のテストをするための被検体ならもうちょっと、被検体として連れていくためにこう……
そんな文句が出そうになったがやめた。
イシュは何か夢中で小川に手をひたしている。
「何してるんですか」
手を洗っているわけではなさそうだ。
ただ手を小川につけているだけだ。何か気になるものでもあったのだろうかと尋ねてみた。
「……以前の我は、今回の我を人の感性に近づけるため人格データを少し変更した。だからだろうな」
「?」
「温度を感じれぬ。水に触れていても、人ならば冷たいと思うものであろう。それを感じれぬのが少し残念に思えてしまう。何故かは我にもわからぬ」
イシュの体は機械。
正直機械というのはよくわかっていない。とても複雑な絡繰りのようなものという認識でいる。
その体になったことを、後悔しているのだろうか。
「何を呆けている。はやくいくぞ」
「あ、はい」
地図を描きながら森の中を歩く。夜だけども幸いにして今日は晴れ。月明かりが道を照らしてくれている。
一応ランタンは持ってきているけど、使う必要はなさそうだ。
「時に汝、戦うことはできるのか」
隣から地図を覗きながらイシュが聞いてきた。
「実戦はしたことないけども、一応ルーンマスターだから大丈夫です。本を読む時間はいっぱいあったんで」
「ルーンマスター? 本?」
イシュはよくわからないといったリアクションだ。ちょっと珍しい。
あ、生きてた時代が違うから別の名称なのだろうか。
「えっと、ルーン……印で、大気中の元素に働きかけて戦うやつです。今の時代はルーンマスターって言うんですよ。もしくは印術師とも言いますね」
「……汝は何を言っているのだ?」
え、ルーンマスターの説明ですけど。
しかし伝わっていないようだ。でも他にどういえばいいんだろう。
「む?」
あ、丁度いいタイミングで魔物が。
百聞は一見に如かず。言うよりも見せる方が確実だ。
どこを見ているかわからない目で魔物は草をかじっている。
その大きさは子犬ほどの大きさ。しかし子犬と違って気持ち悪い。というか不気味だ。
「バッタ……か? 随分と大きいが」
「バッタの魔物ですね」
初めて魔物を見るが本当に大きい。
バッタとはいえ魔物だ。草を食べてるあたり、草食だろうけど人間を襲ってくるらしい。
「それじゃあ私が印術であの魔物を攻撃しますんで、ちょっと見ててください」
「だから印術とはなんだと……まぁいい」
草とか食べてるし、火球の印術でいいかな。というかまだ火球しか使えないけど。
印を描き、杖の先に火の球が宿る。
あとはこれをうまく……
「あたれっ」
「……は?」
「やった、あたった!」
初の実戦。不意打ちとはいえいいスタートじゃないか。
火の球はバッタに当たった途端に小規模な爆発を起こし、その攻撃力によってバッタは動かなくなった。いや、虫っぽくピクピク動いている。死んだ……よね……
「これ、倒しましたよね? 大丈夫ですよね?」
「あ、ああ……いや待て。今のはなんだ」
「へ?」
イシュはいったい何にひっかかってるのだろうか。
今のって火球の印術のことだよね? 何って印術としか。
「火の球がどうして杖から出たのだ……」
「? そりゃ印術で」
「わけがわからぬ……まるで魔法ではないかそれで……は……」
「いえ、術ですけど」
魔法とは違うのだ。
というかイシュに魔法とか言われたくない。イシュの体の方がよっぽど魔法染みている。
「魔法とは理解できない科学を指す……我が理解できない? これも世界樹の影響なのか……? 進化の過程か? しかしハイ・ラガードの冒険者はこんなことしていなかったが、それぞれの地の世界樹によって近くの人間の影響が異なるのか……?」
「もしもし? もしもーし?」
「……わ、我は全盛期の体と違い、この体は性能が格段に落ちている。演算能力もだ。だからその術の解析ができないのは今の我だからであって……」
「イシュー?」
なにやらブツブツ言ってるけどまぁいいや。
なら今のうちにバッタのこともメモしておこう。
廃鉱に出てきたってことは新種ではないだろうけど、しっかりとメモっておかないと。名称は……バッタの魔物、じゃ恰好がつかないしなあ。まあ新種じゃないんだ。名称については街に戻った時に誰かしらに聞けばいい。
簡単な絵を描き、メモも書いた後にバッタの死骸に近づく。
魔物は脅威そのものだが、資源ともなり得る。
よって魔物が出現する場所は、二極化されがちだそうだ。
魔物の被害によって壊滅させられるか、魔物の資源によって発展するか。
とりあえずとしては使えそうなのは……全然わからない。
どこが資源になるのだろう? 食べるとか? 普通に嫌だ。嫌すぎる。
……バッタと言えば脚力だ。
ならばやたらと逞しいこの後ろ脚をもぎ取るしかないか。
「イシュ、バッタの脚斬ってくれない?」
「う、うむ」
あ、正気に戻っている。
まだちょっと混乱しているのか割と素直に聞いてくれた。
「これもお金になるかもだからね。ちょっと気持ち悪いけど……」
「改めて、我は今の時代の知識は皆無だからな。任せる」
なんだか素直になったものだ。
なんであれ、少しは私も戦えることがわかってもらえたのであれば幸いだ。
時折遭遇するバッタを焼いたり斬ったりしながら森の奥へ奥へと進む。
苦戦することが今のところ全くない。イシュの動きがその自信満々な態度を裏付けるくらいにすごいのだ。
そんな順調に進んでいると立て看板が一つ、月明かりに照らされていた。
「看板……」
「何が書いてあるのだ」
「えっと『警告。この先は、廃鉱のこわい魔が住んでる場所。勇気と蛮勇を履き違えちゃダメだよ。死んじゃうよ』って」
「随分砕けた内容なのだな」
私なりにアレンジしました。
まぁ嘘は何一つ入れていない。実際そういう内容の文章だ。
「わざわざ書かれるほどだ。バッタなどとは比べ物にならぬ相手なのだろう」
「そういえば……駆け出しの冒険者はよく狒々に襲われて引退するはめになるって」
「ヒヒ?」
もしや狒々も伝わらないのだろうか。これは困った。
「……狒々とはそれのことか」
「え?」
イシュが示す場所は木の影になっていてよく見えない。
よく目を凝らしてみると、確かに何かがいる。
これは……まずいのでは?
「イ、イシュ……え? イシュ?」
ズカズカとイシュはその何かがいるところへ歩いていく。
そんな刺激したら危険なのでは。
「何を怯えている」
「いや、あぶないって看板にも!」
「死体がか?」
「……え?」
イシュが木の影から狒々の魔物の死体を引きずりだしてきた。
確かに死んでいる。
「なんで……?」
「見たところ、他の冒険者によってやられたのだろう」
「他の冒険者……? でも私たち以外なんて……あ! ワールウィンドさん!」
さすがベテランだ。
廃鉱の魔を簡単にやっつけたのだろう。あのすれ違った時の雰囲気からして苦戦したという感じはなさそうだし。
狒々の死体はその体に大きく斬られた痕がある。
いや、これは斬られたというより……
「どうやったらこうなるの……」
「まるで抉られたかのようだな。あの男がそれほどの怪力を持つように見えなかったが……」
こんなの剣で出来るものなのか。
まるで内側から爆発でもしたかのような傷跡。死んでから時間が経ってるためか、虫が集っている内側が気分を悪くさせる。
「行くぞ。あの男の戦った結果など我らにはどうでもよい。虹翼の欠片とやらを探さねばならぬ」
「はい……」
狒々の死体をイシュは茂みに向かって投げ、さらに奥へと歩み始めた。
しばらくして、やっとと言うべきか、奇妙な地面を見つけた。
そこは夜のおかげが、やや光っていることに気づけた。
「あ、あれ! あれ!」
「虹翼の欠片とはあれのことか」
正直言うともうへとへとだ。だけどようやく今回の冒険のゴールが見えた。
あとはあそこから鉱石を掘りだすだけだ。
「やっと……! あ……」
ゴールが見えた喜びの余りそのまま走りだしそうになって、そして気づけた。
「今度のは生きているようだな」
「狒々の魔物……それも2頭も……」
光っている地面からそれほど遠くない位置に2頭。
思い思いに動いているのか、水浴びをしていたり、毛づくろいをしていたりしている。
見つからないように掘りだすなんて、できるのだろうか。
「……」
大丈夫。魔物とはいえ生き物だ。そのうちどこかへ行く。それまで耐えればいいだけだ。
「……」
大丈夫だ。このままじっとしていれば。なんか隣で誰かが動きだした音が聞こえた気がするけど大丈夫だ。
うん。わかってた。
「時間が惜しい」
イシュが待たないことなんてわかってた。うん、知ってた。
狒々達に無用心に近づいていく。
当然狒々もそのことに気づき威嚇し始めた。
イシュはその威嚇を見ても、慌てることなく、むしろ鬱陶し気に
「知性の欠片もない獣ごときが我の邪魔などできようものか」
そう言って、剣を片方掲げた。
「美しき陽光によって焼け死ぬがいい」
掲げた剣の刀身が炎に包まれる。
そしてそのまま……
そのまま……
…………何もしない。
「……? 炎が飛んでいかぬ……?」
「何やってんの!?」
そのまま斬りつけるんじゃないの!?
炎が飛んでいかないって印術じゃないんだからそりゃそうでしょう!?
「出力が落ちているからか? 思えば身体能力のテストしかしていなかったが……」
「イシュ!!」
狒々が何かブツブツ言っているイシュに飛び掛かった。
そしてその両腕を振り上げて、同時に叩き付けたのだ。
「イシュ!?」
「凍雨と雨氷」
え、なんであの人平然としてるの?
普通に死んでもおかしくないでしょう。今の。機械の体だから?
「これもダメか……」
今度は刀身が冷気に包まれたのか、氷を纏いだした。
狒々から攻撃を受けているのにも関わらず、何事もないかのようにまた剣を掲げだす。
「雷鳴と我が身」
刀身が雷を纏いだす。
しかしそのまま『これもダメか』とぼやいている。
っていうかさっきからその技名なに?
「剣に帯びさせる程度の出力になっているとは……」
今度は両方の剣を掲げ───
「山行水行」
凄まじい勢いで振り下ろした。
その攻撃の勢いを狒々の筋肉では止めることができなかったのか、そのまま一頭が切り裂かれた。
「やはり体が小さくなると届かぬ範囲が出てくるな」
何が起きたのか混乱しているもう一頭の狒々を、イシュは愚痴りながら斬った。
「さて、虹翼の欠片とやらを探すか」
廃鉱の魔……あっさり倒しちゃった、この人……
その後、虹翼の欠片と呼ばれる鉱石っぽいのを見つけ出し、ついでとばかりに狒々の素材として皮を剥ぎ取ってから、入口で待っている兵士さんの元へと戻ったのだった。
バッタの魔物:グラスイーター
狒々の魔物(FOE):彷徨う狒々
今更ながら山行水行はバーローのラスボス時の技のひとつ。
なお私は世界樹2は新のリメイク版しか知らないので、能力は新準拠です。新2要素なしというのはストーリーモードのことです。
山行水行は本来列攻撃ですが、モーションを見る限り巨体を利用しての列攻撃に思えたので、今の体では単体攻撃です。そしてただの超大振りです。
美しき陽光、凍雨と雨氷、雷鳴と我が身
これらは本来対象が全体の遠隔属性攻撃ですが弱体化にともないただ属性を纏うだけです。なんかこう、バーロー科学の力で纏わせてるだけです。
出来ることと言えばファーさんのフレイムセイバーみたいなのとかそんなん。リンク性能はなし。
アルメリアの能力ですが、見た目と同じでルンマスです。
火の印術が得意です。そんだけ。