世界樹と巨神と上帝と   作:横電池

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57.神話の後継者達

 

 

 

 

 

 

 冥闇に堕した者と天の支配者だったモノとの戦いが始まった同時刻。

 

 

「黒竜の足止めはあいつがしているのか……」

 

 

 帝国の黒い飛行船からローゲルは双眼鏡を覗き込み、変化していく絶界雲上域の様子を見ていた。

 

 戦場の様子は、西にズレ始めた巨人、それよりさらに西を陣取れる飛行船。水道橋の麓にイクサビトの集まり、木偶ノ文庫近くにはウロビトの集まり、水道橋の上にはアルメリアとウィラフ。

 それぞれの配置の近くにはいくつもの気球艇が飛んでいる。

 

 状況をひたすらに乱す危険性が高かった竜には、どういうわけかローゲルの嫌いなイシュが止めている。

 

「ローゲル卿。飛行船四隻全て、配置につきました」

「そうか、ありがとう」

 

 これですべての配置は完了した。

 おおよそ予想通りの各種族の配置、しかしローゲルに取って予想外だったのは周囲に浮かぶ気球艇の存在だ。

 

「なぁ、君。飛んでいる最中に飛行船から気球艇へ移動ってどう思う?」

 

 軽口のようにローゲルは隣の兵士に尋ねた。

 

「滅茶苦茶な話ですね。やはりそういう意図なのでしょうか」

「まぁあの娘が考えそうなことだ。きっと斬り込みだけでなく、その後も戦えって意味だろうな」

「随分と厳しい話ですね」

 

 帝国の軍艦、飛行船の周囲に飛ぶ気球艇はご丁寧に梯子や節を作ったロープを垂らしている。

 この船一つあたりの乗組員数は知らないのだろうに、なんとか全員いきわたりそうな気球艇数。

 

 船の装備については知らないはずなのに、やろうとしていることは気づかれた。

 

 ローゲルの脳裏には世話をしてきた少女の姿が思い浮かぶ。いつもやることが出鱈目だ。

 

「しかし本当に無茶苦茶な要求だよな……」

「ですが神話を再現するんです。これくらいはできなくては話にならないという意味かもしれませんね」

「手厳しいことで」

 

 少し笑い合った後、騎士としての表情を整えて拡声機を使用する。

 

 

【帝国所属の各飛行船に告ぐ。これより衝角戦法をとる。相手は巨人、近づけば呪いに蝕まれることだろう。だがタルシスの連中からの要求はまだまだ戦え、だそうだ。飛行船の軌道を整えたら飛行船は放棄、周囲の気球艇へ各自移動せよ。攻撃開始は一分後だ。それまでに準備を整えろ】

 

 

 衝角、船首の角を使った体当たりによる攻撃。

 物資乏しい帝国としては消費の少ない戦法として有効なものだ。大砲と違い、弾や火薬を消費せず、そして衝角にあたる部位には砲剣のドライブ技術を使用した固定武装。つまりは低コストの必殺技。しかし放送した通り、相手は巨人。近づけば乗員への呪いによるカウンターがある。仮にウロビトの結界があったとしてもこの高さまでは届かないだろう。

 

 元は帝国が撒いた種。危険であろうと決死の覚悟で挑むべきだと、自分たちの負い目につけいった発想でもあったが、周囲の気球艇の目的を考えるに救出だ。その指示を出したのはあの少女。

 ならばそれに従うべきだ。ローゲルは帝国騎士だったが、今は、一応、あまり気は進まないが、おそらく、ニーズヘッグに所属しているのだから。

 

「ローゲル卿、時間です」

「ああ」

 

 飛行船と巨人、そして水道橋の中心部は一直線上に並んだ瞬間でもあった。

 

 

【各艦、衝角ドライブ起動。目標、伝承の巨人。第一から順に攻撃を開始せよ】

 

 

 

 加速していく帝国の飛行船団。

 その先は宣言通り、巨人の体へと向かっていく。

 

 一つ目の飛行船、黒い船体が瘴気に包まれ、呑み込んでいく。しかし進路は変化しない。

 攻撃に使われる衝角部位は赤熱した輝きを持ちだしていた。

 

 飛行船までも植物に変えることはないことに安堵する。迫る飛行船は巨人に接触、右上半身に衝角ドライブによる大きな爆発が襲う。

 

 その爆発は巨人にたたらを踏ませた。大きなダメージを受けているようには見えない。しかし倒れるほどのものではない。

 

 飛行船による攻撃は四波まである。

 

 

「全員呑まれるな! 俺たちを蝕んできた呪いをここで打ち砕くためにも!!」

 

 

 ローゲルは大声で騎士たちを奮い立たせ、続く第二波を送りこむ。

 

 再び迫る第二の飛行船。

 

 

 

 

 二度目の爆発が起きたとき、武に長けた種族が動きだした。

 

 

 

 

 イクサビトの戦士、モノノフたち。

 水道橋の麓にて、戦士の集団は巨人の足元へと進軍を開始していた。

 

 その先頭を走るはイクサビトを率いる頭、キバガミ。

 

 鍛え上げられた種族たちを鼓舞するかのように強く吠える。

 

 

「我らイクサビトが磨き上げてきた武の力はこの日のためにある! 過去より続く、忌まわしき巨人との因縁をここに断ち斬ろうぞ!」

 

 

 近づくことによる呪いを恐れず、頭の吠え声に呼応するように全員が雄たけびをあげる。

 いかに丈夫なイクサビトであっても呪いの影響は受ける。彼らもそのことは知っている。しかし引くことはなかった。

 

 呪いの瘴気は巨人の顔から噴出している。足元となれば多少は薄れているというのもある。だがそれよりも、彼らは純粋に仲間を信じて行動していた。

 地にいるからこそ、智の種族の結界はより強く、呪いに対抗すると。

 

 

「帝国の軍艦が上を崩しておる! ならば我らは巨人めの足を切り崩せ! 彼奴めの巨体を支えるその足に、我らの牙を深く捻じり込め!!」

 

「装飾のように地上まで垂れさがっている部位はどうされますか!」

 

「斬れ!!」

 

「御意!!」

 

 

 巨人の肩のあたりから垂れ下がる服のようなもの、それも斬る。

 相手は神話の怪物。すべてを草木に変える呪いの魔物。足ではない部位も足に変化しかねない。すべての可能性を考えて、確実に自身の役目を果たす。

 

 土煙と雄たけびをあげながら彼らは接敵する。

 集団の一部の者の体からはすでに草木に変化しつつある者がいた。されど怯まない。

 

 深く、深く斬り込んでも巨人が倒れる様子は見せない。

 倒れることはなく、代わりとばかりに巨人の足からいくつもの大きな双葉の茎が生まれた。

 

 双葉の茎は意志を持つように揺れ出し、刀を振るうイクサビトを刻まんと動きだす。

 

 倒れることのない巨人、足元ですら反撃してくる攻撃範囲、体を蝕みつつある呪い。

 状況に希望は見出しづらいものだ。

 

 キバガミが暴れ回る双葉の茎を根元から斬り落とす。

 

 状況を覆さんと咆哮をあげ奮い立たせる。それと同時に、上空で三回目の爆発音が響いた。

 

 

「皆、臆するな! 足元にいる我らへ攻撃を向けたということは我らの牙が響いているということに他ならぬ! 四肢のいずれかでも動かぬ者は下がれ! 五体満足に動ける者は引き続き奴を喰らえ!」

 

 

 白刃一閃、伸び寄ってくる蔦を斬り落とす。

 

 

「最大の敵は巨人にあらず! 我らの内に棲む絶望よ!」

 

 

 垂れ下がる装飾と足にイクサビトが広がり、何度も刀を、金棒を、鎚を振るう。

 逃げるように巨人の片足が浮いた。

 

 その瞬間を逃さぬように、残った片足にキバガミが吠えて喰らいつく。

 

 

「ぬおおおおおおおおお!!」

 

 

 ──────渾身の斬撃と共に、四度目の爆発音が上空から響いた。

 

 

 巨人が足に、上半身に、傷を負う。

 それによって大きく巨体がふらついた。

 

 まだ、倒れていない。

 

 

 ──────今度は巨人の首元で、五度目の、それまでと比べると小さな爆発音が発生した。

 

 

 爆発と同時に首元から落ちていく人影は帝国騎士ローゲルだ。

 

 最後まで飛行船に残り、接触と同時に巨人へと飛び移ったのだ。四度目の爆発で駄目だったときのために、五度目の爆発は砲剣のドライブによって引き起こした。

 

 

「ははっ───案外うまくいくもんだ」

 

 

 落ちながらローゲルは巨人を見続けた。

 

 度重なる上半身での爆発、イクサビトの武が集中した足元、巨人自身の重量。

 それらが合わさり、バランスを崩して尻もちをつくように倒れこむ巨人の姿。

 

 巨人の足元からはキバガミの指揮をとる声が聞こえる。

 

 

「皆の者、倒れる巨人に巻き込まれるな!! 動きが収まり次第、戦えなくなった者は近くの気球艇に乗せよ! 戦える者は引き続き武器を手に取れ! 奴をこの地から動かせるな!」

 

 

 巨人が倒れる。それによって──────山をも越える巨人の顔の位置は、水道橋の高さとついに並んだ。

 

 

「……さて、俺も次の行動をしなくちゃ、なァ!?」

 

 

 落ちていくローゲルは途中で軌道が変わる。

 彼は捨て身の行動に出ていたわけではない。呪いに関してはほぼ捨て身ではあったが。

 

 決め顔で呟いている最中に、腰に巻いていたロープが張ってしまい恰好がつかない台詞となってしまった。

 

 ロープの先はタルシスの赤い気球艇。

 

 まだ彼は戦い続ける。

 

 

 

 

 巨人が倒れたと言っても、それは一時的なもの。

 

 足へのダメージと爆発の衝撃が重なったことによる転倒だ。

 よって、巨人が立ち上がればそれで全て水の泡と化す。

 

 巨人は、彼女は立ち上がろうと地に片手をつけた。

 

 

 ──────しかし、立ち上がることは叶わなかった。

 

 

 巨人を中心に大地が光り輝く。

 

 その陣は今までより大きく、上空からか水道橋の上から見てなくては、見慣れた者も何かわからないと思える規模だった。

 

 木偶ノ文庫近くで集まっていたウロビトの集団。

 その集団の力を合わせた、特大の方陣。

 

 地脈の力を利用し、生命の気を絡ませて地に縫い止めるもの。

 

 

「全員念を振り絞れ! この好機を逃せばシウアン、巫女を取り戻すことは叶わぬと知れ! シウアンと共にいることこそ私の悲願! そのために力を尽くせ!!」

 

 

 慣れない大声を張り上げて方陣師をまとめるウーファン。

 ほんの僅か本音が漏れてしまったが本人は気づいていない。野暮な突っ込みを入れる余裕も誰にもない。

 

 地面に触れている足、尻、片手はウロビトたちの方陣によって自由を奪われた。

 

 しかしまだもう片方の手、右手は自由に動く。

 巨人は再び起き上がろうとするも、動けない。彼女はすぐに行動の方針を変えた。

 

 方陣によって動けないのであれば、その方陣を破壊するまで。

 

 左手さえ動けば方陣を破壊することなど容易に可能。

 彼女の手は怪しく動きだした。

 

 

「ウロビトの術を、侮るな! 全員発動せよ!」

 

 

 ウーファンの合図とともにウロビトたちが方陣とは別の術を起動させる。

 

 すると巨人を包むように黒い霧が現れた。

 それは世界樹を喰らおうとしていた邪竜の使っていた靄と似ているようで異なる。

 

 ウロビトたちの、覚えていたが扱えなかった古の術式、幻豹黒霧。

 

 かつて起きた聖樹の護りにて使われた、巨人を封じるための結界術。

 

 霧に包まれた巨人は闇雲に右腕を払う。まるで何かが見えているかのように、何もない空間に攻撃を放つ。

 方陣を破壊するということも忘れ、黒い霧が見せる幻に敵意を向けて暴れだす。

 

 地面にその凶刃を向けるだけで逃れることができるというのに、ただ闇雲に暴れ地に縫い止められた巨人の姿。

 

 

 これで水道橋の前に完全に縫い止めることが叶った。

 

 

 近づいてくる赤い気球艇、その乗員の顔ぶれを見てウーファンは指示を出した。

 

 

「皆、このまま巨人を地に縛り続けてくれ。私はシウアンを迎えに行く」

 

「ウーファン、前から思ってたんだがお前はもう少し子離れをした方がいい」

 

「行ってくる」

 

「───ああ、行って来い。ここは我らに任せろ」

 

 

 同胞に見送られ、ウーファンはウィラフの赤い気球艇へと乗りこんだ。

 

 そこにいる顔ぶれはいつものメンバー、というには数が足りない。

 

 先に乗っていた面子を見渡してから、ウーファンがひとこと。

 

 

「あの馬鹿は私たちを行使しすぎではないか?」

 

「俺も同じ意見だよ、本当に」

 

「だが素直に助力を乞うのも重要よ。特にこれほどの獲物が相手となればなおさらのこと」

 

 

 ローゲル、キバガミの返しを受けて水道橋の上、巨人の顔の正面にいる少女の元へと気球艇は飛び立った。

 

 

 巨人の顔を地に近づけ、縫い止める。

 そこまでやってようやくスタートライン。

 

 彼らの最終目標は巨人から巫女と心臓を剥がすこと。それを成すための条件は整った。

 

 ウーファン、キバガミ、ローゲルは水道橋の上で待っていたアルメリアと合流する。

 

「ローゲルさんとキバガミさんはイメチェンでもしたんですか?」

 

 合流後の第一声はなんとも気の抜けたものだった。

 自身の緊張を解すための言葉なのだろうが、もう少し他にないのかと呆れたため息が何人かから漏れる。

 

「ま、たまにはね。とはいえイメチェンは失敗だから元に戻すつもりだよ」

「拙者も同じく、いめちぇんというのは失敗だ」

「貴様ら、そんな話に乗らなくていい……それよりイシュはどうした?」

 

 ニーズヘッグのリーダーであるイシュの不在、それについてウーファンが尋ねる。

 ローゲル、キバガミはすでにアルメリアから事情は聴いているが、彼女だけは知らないからだ。

 

「イシュを巨人とは戦わせません。私たちだけでやります」

「……何か考えがあってそういう結論に至ったのだろうが……」

 

 アルメリアの返答にやや難しい顔をしてウーファンは続けた。

 

「貴様、何か意固地になっていないか?」

「そんなこと───!」

 

 反論をかき消すように巨人の叫びが響く。

 未だに幻と戦っているとはいえ、いつまでも持つわけではない。

 

 暴れ回り、そのバランスを崩したのか今度は左手までも地面につけた。

 その瞬間方陣がさらに輝きを放ち、その手までも縫い止める。

 

 これで両手両足が封じられた。

 

 巨人を討つための、更なる絶好のチャンスの襲来。

 

「話をしている暇はないな……今は全力で事に当たるしかないか」

「です!」

 

 暴れる巨人の顔に巫女と心臓がある。

 顔まで行かないといけない。気球艇では途中叩き落されるか、呪いによって地に堕ちるか。

 

「でもアルメリア、巨人の顔にどうやっていくつもり?」

 

 ウィラフが疑問をぶつける。

 彼女の頭の中には目ぼしい方法が浮かばなかったため、現状この戦場の指揮をとるアルメリアへ尋ねた。

 

 いくら顔の高さが水道橋と同じとはいえ、すぐそばに配置されているわけではない。

 

 

「キバガミさんの馬鹿力の出番です」

 

「磨き上げた武ではなく、単純な力を求められるとはな……」

 

 

 キバガミは肩周りの動きが阻害されないように鎧を外した。肩の調子を確かめるようにぐるぐると腕を回す。

 

 この場では唯一、常識的な考えを持つウィラフが確かめるように声を掛ける。

 

 

「え、まさか……投げてもらうつもり?」

 

「はい」

 

「いやいや、考えはわかるけどよく見て! あいつの顔周辺は今瘴気だらけだから! 投げて近づいてもすぐに死んじゃうよ!」

 

「それなら大丈夫です。軍艦の爆発とローゲルさんで確信を得ましたし」

 

「何を!?」

 

 

 アルメリアの言葉に、そういえば、とばかりにローゲルが続く。

 

 

「熱や爆発によって瘴気はある程度散っていたな。おかげで俺も首元まで行ってもこの程度で済んでいる。そういうことだろ?」

 

「はい。私の爆炎の術式と、凶鳥烈火で道を焼き開きます」

 

「そこに拙者がお主らを投げ込めばいいと」

 

「私も足場さえあれば、巨人の力を利用して強固な結界を作れるだろう」

 

 

 みるみるうちに方針が固まっていく。ウィラフもまた、自身が巨人の顔まで行く腹を括る覚悟を固めた。

 もともと危険な稼業だ。そんな稼業の中、整えられた道が作られている巨人の顔の前に恐れてはいられない。

 

「私も気合入れなくちゃね……!」

 

 そんな気持ちを固めた彼女に対し、アルメリアは、

 

「あ、ウィラフさんはお留守番です」

「え」

「私たちがシウアンを剥がした後、巨人から離れるために気球艇を飛ばしてほしいですから」

「あ、うん」

「じゃあキバガミさん、炎を出すんでお願いします!」

 

 なんだか釈然としないウィラフだった。

 

 そんな彼女は置いておいて、アルメリアが術式を起動する。起動する術式は、凶鳥烈火。燃え盛る火炎の壁を持って相手を焼き払う攻撃的なもの。かつてローゲルとの戦いに用いられた術式。

 ローゲルとの戦いでは使えたが、一人で碧照の熊と対峙した際は使えなかった術式でもある。しかし今なら使えるという確信がアルメリアにはあった。

 

 ───本当に感情の昂ぶりに左右される術式だなんて。

 

「たえええええ!」

 

 今のアルメリアの胸中は強い使命感に満ちている。

 だからこそ火炎は応えるように放たれた。

 

 気持ちの昂ぶり、その大きさに比例するように炎はより強く、より大きく、業炎となり翼を広げて焼き進む。

 

「と、もう一個ぉおお!」

 

 ダメ押しのように爆炎の術式を放つ。

 瘴気に満たされた巨人の体に業炎が道を作り、爆炎が道を押し広げた。

 

「キバガミ、私から投げろ! 瘴気が拡がる前に陣を作り確保する!」

「承知!」

 

 キバガミはウーファンの首根っこを鷲掴みにした。

 

「ちょ、ちょっと待て、もう少しマシな投げか───」

「頼んだぞ! ウーファン殿!!」

 

 思っていた投げ方と違ったのか、抗議しようとしていたがキバガミは全力で投げた。

 

 投げ飛ばされたウーファンは巨人の左肩に着地した。

 首をさすりながらも杖を巨人に突き、集中しだす。

 

 後に続くはずの二人もまた、思っていた投げ方と違っていたので若干引き気味だった。

 

「次はローゲル殿だな! さぁ拙者に任せよ!!」

「お、おう。お、お手柔らかに───ぐぉ!? おおおぉぉお!?」

「拙者の分まで頼んだぞ!!」

 

 重鎧であっても関係ないとばかりに豪快に投げ飛ばした。

 確実に少しハイになっているキバガミは続いてアルメリアの首根っこを掴む。

 

「ひっ……」

「アルメリア殿、拙者はお主の願いを汲めぬやもしれぬ」

「へ? それはどういう───うきゃぁあ!?」

「頼んだぞ!!」

 

 真剣な顔と落ち着いた語りから不意打ちのようにぶん投げられた。

 投げられたアルメリアは、やっぱりキバガミも変人だという認識を固めた。

 

 

 一連の流れを見ていたウィラフは自分が投げられないことに少しほっとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 




 

次回三人称ではなくアルメリア視点です。

4のラスボス戦闘曲『神話の後継者』は名曲。

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