エスバットと名乗った女性、アーテリンデさんは、私たちのリアクションを見逃すまいとじっと見てくる。しかし特に反応できないので困る。
ひょっとしてすごく有名なギルドとかなんだろうか。世間知らずなのは許してほしい。
「……やっぱり知らないみたいね」
「うっ……諸事情で長く引きこもってたんで……」
「別に責めてるわけじゃないのよ。もしも知ってたら性格悪い人たちって感じただけだから」
すごーく引っ掛かる言い方だ。さっきの追放云々とか、爺やさん、もといライシュッツさんとのやり取りから、やっぱりハイ・ラガードで何かやらかしたのだと想像してしまう。
「それで? 世界樹の何が知りたいの?」
「気をつける点とか、用意してた方がいいものとか、ですかね?」
「……」
思ってた質問と違ったのだろう。そんなことを知りたかったの? とばかりの視線である。
「まあいいわ。特別に用意しなきゃいけないものは特にないわね。強いて言うならハイ・ラガードは防寒着かしら。世界樹の中に雪降る階層があるもの」
「冬の階層ですね」
銀嵐ノ霊峰みたいなものだろう。
「そうよ。世界樹の中ではまるで季節が変化したかのように、階層ごとに大きな違いがあるの。って偉そうに言っても、あたしたちは三階層までしか知らないんだけどね」
「魔物もその階層に適応したのが出てきたりですか?」
「……」
「そうね」
火の印術が活躍する階層と全く活躍しない階層がありそうだ。
にしても、魔物という言葉を出した途端、なんだか空気が重くなった。重たい空気を出している原因はライシュッツさん。いや、彼だけでなくアーテリンデさんからもどこか重苦しい雰囲気を感じる。
魔物の話題は避けた方が良さそうだ。
そんな感想を浮かべていると、トテトテと軽やかで可愛らしい足音が近づいてきた。
見るとそこには黒いもふもふ。これは……
「子犬?」
黒い毛並みの子犬だ。短い手足でトテトテと近づいてくる。かわええ。
「子犬じゃなくて狼よ。まあ子供だから子狼かしら」
「こんなに可愛い狼が……ってアーテリンデさんたちの子ですか?」
「一緒に旅をしている仲間よ」
子狼はアーテリンデさんの足元まで来ると、靴をがじがじとあまがみしだした。やんちゃだ。
「こら、やめなさい」
重たかった空気が弛緩されていく。いつか犬を飼ってみたいかもしれない。辺境伯に犬の飼い方を今度暇なときに聞いてみようか。
「甘えたざかりなんですねぇ。なんて子なんです?」
「親は落ち着きのあったらしいんだけど……名前はクロガネJr.」
「ジュニア……」
親の名前はクロガネですね。わかりやすすぎる。
「……この子の親が所属していたギルドはね、第一階層で散ったわ」
「……」
「話の続きをするわね」
重たい空気とはまた違う、張りつめた空気でアーテリンデさんは話しだした。
「気をつける点、当然それは死なないこと」
それは当然だ。どうせなんとかなる、なんて楽観視はできないものだとわかっている。
「タルシスでの冒険でも死なないのは当然でしょうけどね。死んだら終わりなんだから」
「はい」
「でもね、ハイ・ラガードの世界樹では……死んだらそこで終わり、ではないの」
死んだら終わりじゃない。
その言葉はなにも知らなければ意味不明に思えたかもしれない。だけど私は知っている。すでに聞いている。
世界樹で死んだ人の体をイシュの城に連れていき、
「樹海で命を落とした者は、天の支配者の元へ連れていかれる」
永遠の命を作るために実験を受けて、魔物となる。
「そこで……永遠の命を与えられる。死ぬこともできず、かといって人として生きることもできず、理性を亡くした魔物となって……」
魔物という単語で空気が重くなった理由がよくわかった。
この人たちは、イシュの行為による被害者だ。
「人間だった頃、とても優しかった人が、近づく者を殺す魔物にされた……」
「我らはその方を救うことができなかった……」
行き当たりのない怒りと、やりきれない哀しみを浮かべながら語る彼らは、実際に仲間が魔物にされたんだ。
「にわかには信じがたい話よね……だけど本当のことなの」
「汝の知り合いか」
イシュが確認の言葉を掛ける。
「ええ……あたしの姉は、とても優しい人だったわ。人が傷ついたら自分も同じように痛がるような……そんな人だったの」
何も言えない。
この人の姉を魔物にしたのはイシュだ。それを教えることなんて私にはできない。
私は何も言えないまま、話はまだ続く。
「さっき追放されたって話はね、あたしたちが人を殺したからなの」
「え……」
死んだら魔物にされるとわかっていながら、人を殺した?
どういうことか理解が追いつかない私に、アーテリンデさんとライシュッツさんは話を続ける。
「魔物にされた姉さんが、冒険者に傷つけられるのを見たくなかった。あの優しかった姉さんが、人を傷つけるところを見たくなかった。だから、そうなる前にあたしたちは姉さんに誰も近づけないようにした」
「彼女が汚れる前に、我らの手で人を殺めた」
私は何も言えない。
イシュも何も言わない。
「だからあたしたちは犯罪者なの」
「……我らは許されぬことをした。お嬢様が旅をされているのは償いのためでもある」
「償いになり得ているかはともかくね……」
何を言えばいいかわからない。私は誰の味方になればいいのだろう。当時のイシュは狂っていたのだと言っても、この人たちにはそんなの関係ない話だ。魔物にしたという事実は変わらない。
「汝らは、天の支配者を憎く思わぬのか」
「イシュ……?」
何を言うつもりだ。
何を考えてそんな発言を。
「……憎くて当然でしょう? 叶うのなら、あたしたちの手で殺してやりたいくらいよ」
「だが天の支配者は討たれた。我らの手は憎しみを晴らすこともできず、ただ罪の償いをするのみだ」
アーテリンデさんとライシュッツさんの返答。
この人たちは、イシュが死んだと思っている。憎い相手が目の前にいるとは思ってもいない。
「汝らの憎き天の支配者、それは我だ」
イシュは彼女たちの勘違いを、自分から訂正する発言をした。
「イ───」
なんでそれを言っちゃうんだ、という思いを込めて名前を呼ぼうとしたが息が止まってしまった。
さっきもイシュは銃を突き付けられた。今度はそれだけではとどまらなかった。
「もう一度、くだらぬことを言うようであればその眉間に風穴ができると心しろ」
ライシュッツさんの銃口から硝煙が上がる。
放たれた銃弾は、座っているイシュの足の先、ほんの僅かにズレた場所に撃ちこまれていた。
「爺や、宿の人に迷惑をかけることはよしなさい」
「……」
「喧嘩っぱやくて困ったお爺さんよね、本当に」
アーテリンデさんは従者の暴走に困り眉で笑っているが、目は全く笑っていない。
「あなたも気をつけてね? 冗談でも触れちゃいけないコトってあるんだから」
「我は真実を言ったまで。汝の姉を冬の階層の魔、スキュレーにしたのは我だ。天の支配者である我から汝らに告げるべきことがある」
「……っ!」
再度告白するイシュに、アーテリンデさんが短刀を抜いて動く。
我慢の限界を迎えた動き、今度は威嚇なんかじゃ止まらない。
「待ってください!」
「……! 放しなさい!」
咄嗟に彼女の腕を掴むことができた。けども少し気を抜けば、即座にイシュへ刃が突き立てられるほどに力が込められている。
アーテリンデさんはなんとか止めれたけど、ライシュッツさんの方は……!
「我は警告した。己の愚かさをあの世で悔いるがいい!」
──────発砲音が食堂に響く。
あっさりと、ためらいなく撃った。
「……この街にももういられないわね」
「申し訳ありません、お嬢様」
この人たちは本当に人を殺してきたんだろう。ここまで命を奪う引鉄が軽いほどに、慣れてしまっているのだろう。
普通の相手になら殺人となったこの状況で、もう次の行動を考え始めている。
普通の相手になら。
「我には、汝の言うあの世に赴くことができない」
「馬鹿な……」
「……どういうこと」
眉間に銃弾を撃ち込まれたイシュは立ち上がる。
イシュが普通の人間と同じと思っていたエスバットの二人は呆然としたが、すぐに我に返ったのか再び攻撃を始めようとした。
「待ってください! イシュの話を聞いてください!!」
「人間に見えるけど、人間じゃないのね。本当に天の支配者なのだとしたら、なおのこと話なんて聞く理由がないわ」
イシュは剣を構えはしていないけど、アーテリンデさんは持ち手の長い剣を構えだし、ライシュッツさんも両手に銃を構え距離をとった。
下手に身を挺して妨害しようものなら、蜂の巣にされるか刻まれるか。そんな殺伐とした空気が漂う中、
「みなさん、困りますよ~。ここで暴れられたら他のお客さんに迷惑なんですから」
「うひっ……」
殺伐感とは無縁の雰囲気を出す喋り方をしながら、やたらと大きすぎる包丁を手にした女将さんが返り血まみれの姿で微笑んでいた。
……また血抜き失敗したんだろうか、あの姿。
「我はこの者たちに話があるだけだ。店に迷惑をかけるつもりはない」
「そうなんですかー。でも武器を使ってするお話なんてないと思いますよ?」
「我は見ての通り武器は構えておらぬ」
「イシュさんはそうですねー」
のほほんと話しながらゆっくり歩いてくる女将さん。口調からは毒気を抜かれそうなおっとり具合なのに、その姿は不気味で怖い。
口調に毒気を抜かれたのか、お店に迷惑を掛けるのは良くないと思ったのか、アーテリンデさんたちも動きを止めていた。
「ですがイシュさんも武器を構えちゃうかもしれません。本当にお話だけならみなさん、一度私に危ない物は渡してくれませんか?」
「え、ちょっと……」
「我が銃に触るな」
「困るんですよー。わんちゃんも怯えちゃってるじゃないですか。大人の喧嘩する姿なんて教育に良くないですよ」
見るとクロガネJr.は尻尾を股に挟んですっかり縮こまっていた。庇護欲をくすぐるその愛らしい姿に私も喧嘩を止めなくちゃという謎の使命感が強まる。
もっとも、その使命感は出るのが遅すぎたのか、アーテリンデさんたちもクロガネJr.の姿を見た後、ゆっくりと武器を女将さんに預けだした。
お話が終わったらちゃんとみなさんにお返ししますねー、と言い残して女将さんは厨房の方へと引っ込んでいった。
「……」
「……」
女将さんがいなくなった後、全員椅子に座り最初と同じように話しをする状態となっている。あくまで見た目だけは最初と同じだが、雰囲気は最悪な状況だ。
「……本当に天の支配者だって言うのなら、何をあたしたちに言うつもり?」
武器は手元にないけども、ピリピリした空気は続いている。クロガネJr.は足元でじっと固まってしまっていた。
「汝らが憎む天の支配者は我だ。我は永遠の命を研究するために、人間を何人も魔物に変えてきた」
「……」
もしも武器があったら、再び発砲騒ぎになっていた気がする。
「それで、何が言いたいの。あたしたちに謝罪でもしてくれるってわけ?」
「我は汝らの姉を、魔物に変えられた者たちを解放するために行動している。それまで我は汝らに討たれるわけにはいかぬ」
「解放?」
「世界樹の遺伝子が混ざったがゆえに、魔物たちは不死となっている。完全に死なすためには世界樹に作用する力が必要不可欠だ」
「……」
「もうじきあの者たちを死なすことができる。しばらくしたのちに、ハイ・ラガードへ赴くが良い」
「……要するに」
イシュの話を聞いて、アーテリンデさんは一度静かに目を瞑った。
「姉さんをあんな姿にしたお前の話を信じろって? 仇討ちはせずに見逃せって?」
「誰がそんなことを言った。我は信じろとも見逃せとも言っておらぬ」
「……!!」
ガタンと音を立ててアーテリンデさんが勢いよく立ち上がる。
今にも掴みかかりそうな怒りに染まった表情は、直接私に感情をぶつけているわけじゃないのに怖いほどだ。
小さく足元から獣の鳴き声が聞こえた。
クロガネJr.が不安そうな声をあげたのだ。
「……。じゃあ何が言いたいの。姉さんを魔物に変えて、あたしたちを国からいられなくさせて……」
「汝は何を言っている。確かに我は汝の姉を魔物に変えた」
「……だったらっ!」
「だが汝らのその後に、我は何も関与していない。汝らが人を殺めたのは、汝ら自身が選んだ結果だ。そこに我は関係ない」
「───貴様ァ!!!」
ライシュッツさんが怒鳴り、イシュに向かって拳を振るう。それをイシュは顔で受け止めるも仰け反ること一切せず、何も気に留めずに話を続ける。
「貴様は……貴様は! 貴様の行いでどれほどの者が苦しんだと思っている!?」
「我が汝らの仲間の死体を使い魔物に変えた咎は、責められることを甘んじて受け入れよう。我が作り上げた魔物によって起きた被害についても同じだ。だが、汝らの殺人は汝らの咎だ。そのことにまで我を持ちだすな」
厳しい言い方だ。理屈は、いや、冷静に聞けば正論にも思える。イシュにとっては一切の人情を挟まずに、淡々と事実との因果関係を言ったまでのことなのだろう。
だけどそんな風に誰もが割り切れるわけじゃない。この人たちは、姉が魔物に変えられなければ、そんな選択肢すら出ることはなかったんだ。選択肢を作った責をイシュに求めているのだ。
「……ライシュッツ、座りなさい」
「貴様は……!」
「ライシュッツ!」
「……はっ」
「結局、何が言いたいっていうの」
アーテリンデさんが改めてイシュに聞いた。
それを受けて、迷いのない返答。
「我の邪魔をするな」
机を拳で叩く音が食堂内に響く。クロガネJr.の驚いた声ももはや気にしていない。
「我の邪魔をすればするほど、汝の姉は魔物でいる時が長引く。これは汝のためでもあるのだ」
「どれほど身勝手なことを言ってるかわかってるの? 天の支配者の言葉を信じて何もするなって?」
「信じずともよい。我は汝がどう思おうと、魔物を解放することに変わりはない」
決定事項とでも言うように、異論を許さない雰囲気で言い放った。
その態度がますます彼女たちの神経を逆なでしている。
「我から汝らに告げることは以上だ」
「……」
アーテリンデさんもライシュッツさんも、何も言わないがひたすらに怒りを堪えている。その証拠とでもいうように、彼女たちの拳は血が滲みそうなほどに握り込まれていた。
やがて、アーテリンデさんは静かに席を立つ。
「ハイ・ラガードにはそのうち行くわ。あの国ではあたしたちは犯罪者だから、頻繁には行けないけどね」
クロガネJr.を抱きかかえ、もう話を切り上げるつもりなのだろうか。没収された武器以外の荷物を纏めだす。
纏めながら私に目を向けて、小さな謝罪を行った。
「……アルメリア、だったかしら。殺気立って悪かったわね」
「いえ、そんな謝らなくても……」
「優しいのね、あたしたちは殺人者なのに」
「そんなこと……」
「いいのよ。無理に否定しなくても。あたしたちは許されないことをした。ハイ・ラガードで牢に入れられてもおかしくないほどに。遺族から殺されても文句が言えないほどに」
この子は別だけどね、とクロガネJr.を撫でながらアーテリンデさんは言った。
クロガネJr.は安心しきっているのか、気持ちよさそうに目を閉じて撫でられている。
「しばらくこの街にいるわ。他に何か知りたいことがあったら訪ねなさい。その時は、あなた一人で来てくれると嬉しいわ」
「はい……ありがとうございます」
私一人でという理由は、聞かなくてもわかる。
最後までライシュッツさんは怖い顔だった。あの人、付き人というより護衛なのかな。柄が常時悪い……
二人……クロガネJr.を入れたら三者? まあとにかくアーテリンデさんたちがいなくなり、食堂には私たちだけ。
聞きたかったことだけでなく、込み入った話まで聞けてしまった。イシュが暴走していた頃の被害者の話だなんて……
そしてイシュの暴露……
「戻るぞ。ここにシウアンが来ていないのならば、これ以上いる意味はない」
「き、切り替え早いですね……」
「ハイ・ラガードの冒険者はもう去ったではないか。あの者たちがいないというのに、いつまでもここにいる意味はない」
「いや、さっきの話にこう、思うところとか……いや、やっぱりいいです。そうですね、帰りましょう」
何も思うところがないのなら、それでいいかもしれない。あの話は突き詰めればイシュの悪事の結末話だ。さらにもとを正せば千年前の人たちがイシュを連れていかなかったせいだとも思うけど。
とにかく、私も切り替えることにする。
うん、シウアンが会いに来てるらしいんだからそっちだそっち。
とりあえずセフリムの宿にはいないみたいだし、やっぱりいるとしたら年齢が近そうなベルンド工房かな。
ベルンド工房にはシウアンの姿はなかった。
その代わりにというわけじゃないけど、いたのは顔に包帯を巻いた不審者だった。
「アルメリアにイシュじゃないか。君たちがここに来るなんて珍しいね」
不審者が親しげに話しかけてきた件。
「……ここにもシウアンはいなさそうですね。戻りましょうか」
「うむ」
「無視はよしてくれないか……シウアンならついさっき、君の家に行ったが」
不審者はまるで知り合いのような感覚で話しているけど本当に誰かわからん。
「えっと…………どちらさまでしょうか?」
「……それはひどすぎないかい。俺だよ俺。ローゲルだよ」
ローゲルさん?
そう言われたら声はそれっぽいけど……
「その包帯はなんでまた?」
「ん? ああ、そうか。顔が隠れてしまってたのを忘れてた。この包帯には訳があってね……」
「汝の話などどうでもよい。アルメリア、シウアンの場所まで行くぞ」
「はーい」
「まあ待ちなよ」
ローゲルさんがなんかついてきた。そんなに語りたいのだろうか。この人暇なの? 包帯について聞いたのはこっちだけどそんなに興味があったわけじゃないし、イシュじゃないけど私もその話はどうでもいい。
「なんですか?」
「シウアンと会うんだろ? それなら俺も一緒に行くよ」
「え、なんでです?」
シウアンと会うのに何故ローゲルさんが一緒に来るのか。やっぱり実はロリコンなのでは、とかつての疑惑が脳裏によぎる。
「なんでって、シウアンはニーズヘッグに依頼したいことがあるらしいからな。それなら俺も一緒にいた方がいいだろ?」
「え? なんでです?」
「いや、一緒に聞いた方が手間が省けるじゃないか」
「?」
シウアンが私たちに何か頼みごとがあるということは知ってる。しかしなんでそこでローゲルさんが出るのだろう。
「とにかく、同じギルドなんだから俺も行くよ」
「え?」
「…………え?」
同じギルド? ローゲルさんと私たちが?
「そ、その反応はさすがに酷すぎると思うんだが……同じギルドだろう!?」
「初耳ですけど」
「なっ!?」
あ、ひょっとして私が知らない間にイシュと仲良しになって同じギルドに、とか……ないな。まあ一応確認しとこ。
「イシュ、ローゲルさんって同じギルドなんです?」
「ありえぬ」
「な、何言ってるんだ! 煌天破で一緒に───」
「それこそ何を言っている。あれは汝の持つ情報を得るために連行しただけだ」
「んな───!?」
ああ、なるほど。勘違いか。
ということはニーズヘッグのメンバーはイシュ、私、シウアンとウーファンだけのままのようだ。
「ていうかローゲルさん、帝国騎士に戻ったんじゃないんですか?」
ギルドの所在勘違いはこの際置いておいて、帝国騎士に戻ったのならどっちみち冒険者ではないのでは。
「……理由はどうあれ殿下に剣を向けたからな。そのまま騎士を続けるわけにはいかない」
「無職……」
「冒険者にまた戻っただけだ。まあ引き留められはしたんだが、勝手に君たちのギルドを抜けるのは悪いと思って……たんだけどなぁ……」
「抜けるも何も、ギルドが違いますからね」
「容赦のないことで……」
事実なんだし仕方がない。
というか、勘違いしてなかったら騎士のままだったのだろうか。数時間の間一緒に戦っただけで、そこまで重きに持たれるとは。
「今からでも皇子に頼んだらどうです? 騎士に戻してって」
「そんな簡単に戻れたら騎士が軽く見られてしまう。ま、ギルドに入れてなくても俺のやることは変わらないさ。騎士としての立場ではなく、何にも属さない立場から殿下を助けるってね」
声音から、もしかしたらカッコつけているのだろうか。しかし顔がやっぱり包帯で隠れているせいで怪しさがひどい。ただでさえ包帯がなくても胡散臭いタイプなのに。
「それよりその包帯はなんなんです?」
「それよりって、まあいい。これはまあ……ケジメみたいなもんかな」
「はい?」
ケジメで顔を隠すとはいったい。
「巫女誘拐の件で……ギルド長にぶん殴られて腫れ上がってね」
「あー……それなら仕方ないですね」
ギルド長のパンチなら腫れあがるか。でも包帯巻きの人には悪いけども、もっと痛めつけられてもおかしくなかったのではないだろうか。
見たところ包帯は顔だけのようだ。首から下は騎士の鎧、ではなく冒険者時代と同じラフな格好になっている。背中に砲剣を隠さず背負っている点を除けばだけど。
「まあ殴られたからって、はいおしまいって訳にはいかない。贖罪のためにも今後は恥じることない生き様をするつもりだ」
恥じることのない生き様。アーテリンデさんたちのように人助けの旅とかするつもりだろうか。皇子のことを考えると活動範囲は狭いかもだけど。
とりあえず、
「ギルド勘違いは恥じる点ではないんです?」
「忘れろ……」
エスバットの方たちは仲間になるわけじゃないです。彼らの登場は最終章に向けての準備になればなぁって感じです。
ちなみにもし仲間にしたらバッドエンド一択です。
っていうか街NPC全然出ないね? と言われそうですが、出すと世間話で長くなりそうなので……
世界樹2を知らない人のために、ネタバレ全開エスバット紹介
エスバット。
世界樹2のライバルギルドであり、ボス敵。
ドクトルマグスとガンナーという編成。
仲間が魔物にされてしまい、その人物が誰かに傷つけられることも誰かを傷つけるところも見たくない。じゃあその「誰か」が近づく前に殺せばいいじゃないという思想を持ったギルド。
主人公ギルドのことはそれなりに気にいってくれていたのか、襲撃前に何度も忠告を行う面がある。
他のギルドにはおそらく忠告もなく闇討ちだった可能性。スキュレー戦を生き延びた人物の傷には銃創があったあたり、魔物との戦闘中に背後から射撃したとか。
理由はあったとはいえ、被害者のことを考えると賛否両論なギルド。
世界樹Xではアーテリンデのみ登場。
すごいきょぬーになってた。何故かベオウルフ関係者なクロガネJr.と旅をしている。
どうでもいいけど、ライシュッツさんの一人称が「我」なせいでバーローとかぶり気味。