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「眼福です!」
「いやぁ、これ以上無いほど絶景だなグヘヘヘヘ」
今の俺の前には部活動をする女子を見てだらしなく鼻の下を伸ばしている変態が2人いる。
こいつらのこの行動はここ駒王学園に入学する以前からのもので、思春期に到達する以前から至っていたというどうにも救い難い事情を抱えた馬鹿である。
「見て!松田と元浜が危険な視線でこっちを見ているわ!即時撤収よ!」
「「「「「「はい!」」」」」」」
という女子たちからは忌避される2人であるが、俺にとっては唯一無二の親友なので縁を切ろうと思ったことはない。
まあ、一緒にいることで巻き添えを喰らうことはあるがそれは別段気にするほどでもないからね。
「失敬な!これは男にとって何物にも代えがたい行動だぞ!男がこのような行動をしないことはないのだ!」
「くっそぉ!もう少しでスリーサイズがわかったのにぃ~!」
…何言ってんだかこいつらは。世の男性が全員お前たちみたいにそういうことを表に出す奴ばかりじゃないからね?
自分で言うのも何だが俺もそこに属する人間のはずだ。いや、確かにそういうことに興味が無いわけじゃないよ?むしろあるよ。
でもこいつらみたいに年がら年中四六時中、周囲に垂れ流しているような奴らとは比べものにならない。可愛いもんだよ本当に。
「畜生!おいイッセー、お前も加われよ!」
「そうだぞイッセー!お前がいれば百人力いや、千あるいは万人力だ!」
「…俺、お前らほどそういうことに興味ねえから加わる気ないんだけど…」
「「甘い!」」
全く同時に同じ言葉を発してきてさすがの俺も狼狽える。
「それでも貴様は男か!?『男たる者女の尻を追い続けるが吉』という格言あるだろうが!」
「どこの格言だ!?聞いたこともないわ!」
「やかましいイッセー!貴様には女体の素晴らしさがわからんのか!?そこまで言うなら興味が無くなるか新しい『扉』を開けてから言いやがれ!」
シュビ!っと音が聞こえるように鋭く俺を指さす元浜に俺は脱帽するしかない。
いや、本当にこいつら何言ってんの?
下手したら「少年院へGO!!無料片道切符」が無料配布されるような次元に至っている気がするんだよねこいつら。
通報されないのが疑問に思えてくるほどに。
俺の前では坊主頭の松田の上からピンクの光が降り注ぎ松田を包み込み、その松田に対して信仰者のように崇めている元浜という眼を逸らし現実逃避したくなる光景にため息をつく。
こんな奴らだが根はとても良い。優しいし困っていれば手を差し伸べ、哀しみや苦しみがあれば3人で共有して和らげてくれる。
こんな変態を外に出さなければ女子とも仲良くなれるというのにもったいないという言葉に全てを捧げたくなる。
そんな2人を俺は若干冷めた視線で見守り、草むらに寝転び眠気に全てを委ねた。
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「あのぉ、駒王学園に通っている兵藤一誠さんですよね?」
それからどれぐらい経った頃だろうか。
五限目が終わりいつものように2人と一緒にいた後、夕焼けが夜空に変わり始めるぐらいに暗くなり始める季節のある日の帰り道。
俺はいつもの通学路を何も考えず帰っているとふいに後ろから声をかけられた。
後を付けてくる「人」がいるのには気付いていたけどさすがにここまで可愛いとは思ってなかったよ。
「第三者目線」だったら見てきたけど「本人目線」だったらそりゃ驚くわな。だって誰もが羨むような容姿とプロポーションだもん。
清楚な中にもどこか色気が僅かに漏れているが何故か幼く見えるという不思議な顔立ちに綺麗な金色(こんじき)の瞳をしている。
腰に届くとまでは言わないがそれでも長く漆黒ではなく夜空のように澄んだ色の黒髪。
大きいと小さいという言葉のちょうど中間地点にあると思われる胸の大きさ。女性らしいというより未だに変身段階と思われる腰のくびれ。
そして太くも細くもなく健康体と思われる足のふくよかさ。
全てが完璧な美少女が駒王市屈指のお嬢様学校の制服を着ながら、頬を染め瞳を麗せて名前を呼んでいる姿はあの変態2人組の言葉を借りるとしたら「眼福物」だ。
「そうだけど君は?」
「すみません!相手の名前を確認しておきながら自分の名前言わないの失礼ですよね。私は天野夕麻といいます。率直ですが兵藤一誠さん、私と付き合ってくれませんか?」
「え?何?めっちゃ可愛いじゃん。やば、もろタイプ」
「え?え?…////」
まさかの俺の大胆告白に予想外のことで頭がショートしたのか顔を真っ赤にして俯いてしまった。
いや、それ俺も一緒だからね!?だってこんな可愛い子に告白されたら口から出ちゃうじゃん?本心だよ本心!口から流れるように出たのは本心だからだよ!
「…じゃあ、返事はO.K.ということですか?////」
「え、う、うん。よろしく」
「は、はい…////」
それっきり俺も夕麻も顔を真っ赤にして何も話せなくなった。仕方ないでしょそこまで褒められたら嬉しいだろうし俺も告白されて嬉しかったんだからさ。
「あの、よかったら明日デートしませんか?まったくそういう経験がないですけど頑張りますので」
「いや、俺もないからお互い楽しもうよ」
俺の言葉は半分嘘である。「この世界で」は初めてなのだ。さすがにそのことが注釈付きで発せられていることなどわかるはずもなく嬉しそうにでも微かに同情をはらんだ光が瞳の中にあった。
「でも明日っていってもそんなに見れないけどいいの?」
「はい、失礼ですけど最初は短いほうがお互いに気にせずデートできるかなって思って」
「ありがとうその気持ちだけで十分だよ。また明日」
「はい!」
とても素晴らしい笑顔で嬉しそうに駆けていく彼女を見送ってから俺は家の方角に歩を進めた。
『ドライグ、どう思う?』
【罠でしょうね。どうにも本心から付き合いたいと思っているようには見えなかったもん】
『あれ拗ねてる?』
【それは貴方次第。私は寝るお休み】
嫉妬した会話を強制終了させられた。
俺の腕に宿る「ドライグ」は相棒だ。「原作」の場合この時点では兵藤一誠はこのことを全く知らないが俺は知っている。何故かって?それは俺が「転生者」だからだよ。
小説とかでよくあるよね転生したら〇〇の世界だった~とかさ。それが自分の身に降りかかるなんて全く思わなかったよ。
二十歳で死んだ俺は神様に頼まれてここに兵藤一誠として生まれ変わらされた。
なんでも俺にはここで生きる才能があるとかで容赦なくされたんだよね~。
チート級というか「最上級悪魔と同等の魔力と身体能力」という特典と「ドライグを使いこなせている」という特典、「この世界の知識あり」という特典を強制的に渡されて兵藤一誠という人間に生まれ変わり今に至るというわけだ。
「ドライグ」が男性ではなく女性になっているのが唯一の疑問点だがそこはあまり追求しない方がいいだろう。だって聞いたとき眼を逸らしてすんごい形相で睨んできたんだもん。
今思い出しても寒気がするよ。伊達に神様やってる人じゃねえわ。
「ドライグ」との初対面は今から1年間という最近のことだ。最初に出会ったときは誘惑するようにタオルで隠しただけの様子で俺の前に現れたんだけど真顔で見つめ返したら怒られたのよね~。
今思うと謎だわあれ。後々わかったんだけど今までの奴らはその様子を見た瞬間襲ってきたらしい。勘違いしたんだろうね「その服装」に。
てか「あれ」って服装って言うの?まあいいや。それで何もしなかった俺に感動(感銘?)した「ドライグ」は俺に色々教えてくれたわけよこの世界のことを。
知らない部分は俺の記憶容量じゃ不可能だったから綺麗に削除しておいたよ。
ついでに言うと「ドライグ」には偽の記憶をいれこんである。俺が独学でここまでの境地に至ったという記憶をね。
本当はそんなことしたくなかったんだけど俺が「転生者」だってことやチート級のものを持っているって知ったら精神崩壊起こすかもしれないもん。
歴代の赤龍帝の宿主は一から鍛え上げた人だから受け入れられないからね。
まず独学で禁手を使わずとも「最上級悪魔」の実力に至るとか純血でも何百年とかかるかもしれないのになれているのは「才能」の一言で片付けることにしている。
どうせいつか全てを打ち明けなきゃならないときが来るだろうからね。
おっと、みんなに俺のことを説明してたら家に着いたようだ。明日は夕麻とデートだから早めに寝ることにするよおやすみ。
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そして翌日、松田と元浜に断って夕麻の学校の校門前で待っていると嫌でも視線を向けられる。
そりゃ、お嬢様学校の前の校門に市内屈指の進学校である駒王学園の制服を着た生徒がいたら軽く騒ぎになるよ。
唯でさえ男子生徒と関わりが無い女子校よりさらに関わりが無い学校なんだからそうなるよ。
【大人気ねイッセーは】
不満爆発の「ドライグ」は俺に語りかけてくる。相棒は暇さえあれば俺を誘惑してくるので気が抜けないのが現状だ。
もとはドラゴンなんだぜ?そんな人が人間である俺を誘惑してどうすんのさって聞いたら具現化したドライグに「種族は関係ない」って真顔で言われたよ。
ぐうの音も出ないとはこのことだ。確かに人間と堕天使の間に生まれた先輩とかいるからね言葉は正しい。
でもね、「ドライグ」は伝説なんだぜ?そんなのとあんなことやこんなことがあったらヤバいっしょ。
少しばかり物思いにふけっていると待ち人来たり。夕麻が満面の笑みで駆け寄ってきて俺の左手に指を絡めて腕に抱きついてくる。
積極的な行動に少し驚くが嬉しいので引き剥がすようなことはしない。
「夕麻は人気者なんだな」
俺の言葉通りお嬢様学校の生徒たちがすごく噂しているのが聞こえるし、夕麻の名前がところ構わず飛び交っている。
「人気者になりたくてなってるわけじゃないですけどこればかりはどうしようもないです」
「まあ、いいじゃないか。可愛いんだから仕方ないさ」
「か、可愛い…///」
うん、敵だとしても素の反応は満点だ。
ショートしている夕麻の背中を軽く叩いて夕焼けに染まるショッピングモールに向かって歩き始めた。
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夕麻とのデートは至極満足のいくものだった。普通のカップルのようにプリクラを撮ったりお揃いの服やアクセサリーを買って楽しんだ。
歩いているといろんな視線をもらうがそれは夕麻に向けられているのがほとんどなのでさほど気にしなかった。
俺は前世でのカップルのような買い物をする夕麻に少々驚いていた。「人間」でない彼女が普通の女子高生のように振る舞い本心で喜び嬉しそうにしているのが嬉しかった。
でもそれは訪れるんだよな。俺がどれだけこの時間が続いてほしいとどれだけ願っても来ちゃうんだよね。
俺と夕麻は3時間ほどのデートを終えて誰もいない公園で一休みをしていた。公園のベンチに座った後から夕麻は黙り込んでしまった。
おそらく俺を殺すか殺さないかの狭間を彷徨っているのだろう。
彼女にとっての居場所を失うか俺を失うかのどちらかで葛藤しているのだ。俺には自分の居場所を選ぶのだと「原作」を読んでいるからわかる。
でもこの3時間での夕麻の表情は本当に満たされているような感じでありそれを失うのが辛いのだとわかっている。
繋いだ左手に伝わる熱と震えていることで板挟みで苦しんでいるのがわかる。
「イッセーくん、お願いがあるんだけどいい?」
ついにこのときが来た。
「何?夕麻」
「…私のために死んでくれる?」
「いいよ」
「え?」
まさかの二つ返事で許可されるとは思っていなかったらしく唖然としている。
「何か理由があって俺を殺すんだろ?いいよ夕麻のためなら『悪魔』にでも魂を売るさ」
敢えて「悪魔」という単語を使ったが俺が「悪魔」の存在を知っていることを知らない夕麻は頷いた。
背中から黒い羽が生え左手に持った光の矢が俺の腹部を貫いた。
「ごめんね、ごめんね…」
夕麻は本当に申し訳なさそうに涙を流しながら俺の腹部に光の矢を突き刺している。愛した女性の手で殺されるのなら文句はないよ。
どうせ「あの人」が助けてくれるんだからさ。
泣き顔を見られたくないのか両手で顔を覆って空を飛んで消えていく夕麻をベンチから崩れ落ち、仰向けに空を見上げていた俺の視界の端に映った気がした。
腹の痛みは不思議にもそれほど感じなかった。刺してもらうために人間程度まで体の機能を下げた俺の体は今にも消えそうな灯火だ。
「本当に面白そうな子。どうせ死ぬなら私が拾ってあげる貴方の命。私のために生きなさい」
どこからか声が聞こえ鮮やかな紅の髪が視界に映りこんだが「悪魔」に転生するために一度死ぬことにした。
うん、レイナーレ可愛いよね現実にいたら速効告るわ作者は。
ということでハイスクールD×Dを書き始めた作者です。これだけの作品を書いていると更新どうなるんだろうとか内容霞んでいくんじゃないかと焦っています。