鈴木園子はゼロの夢を見るか   作:ルナ子

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すみませんm(__)m前編ですm(__)m
それから、話の都合上、原作トリックや犯人のネタバレ等ありますが、大丈夫です、よね?(^_^;)




ラベンダーの追憶 (前編)

――当日。

 

あたしは件(くだん)の埠頭に来ていた。

(あたしが一番か。ん?あれ?)

集合場所にショートにボーイッシュな格好のあの人を発見。

(越水さん、だよね。何か、カッコいい)

実はあの話、メッチャ、印象に残ってるものだったりする。

(あんな事件なんかにしないで、普通にやって欲しかったな、探偵甲子園)

あたしは意を決して話し掛けた。

「すみません。『女子高校生探偵選手権』って、あっ」

「うん、ここであってるよ。ぼく、一応女子だから」

それだけでは分からない、と思ったのかサングラスとヘッドホンを外してくれた。

(うわあ。やっぱ美形だわ)

「ごめんなさい。とってもカッコよく……あ、その」

(どうしよう。アガッてきた)

コナンくんや蘭、といった主役やレギュラー陣とはまた違った緊張感。

(それに、ここであたしが間違った対応をしたら、越水さんの運命が変わってしまうかも)

友人の復讐のため、とはいえ、あんなことは絶対にさせない。

まずはフラグを潰さないと。

「あ、……もしかして、ピアスですか?」

原作では、校則が厳しいのになぜかピアスの穴をあけている、という矛盾を隠すためにヘッドホンをして隠していた越水さん。

なので、サクッといかせて貰います。

(あれ。何か落ち込んじゃってる!?)

何か話題を――

「あの、ちょっといいですか?」

「何かな」

「あの、ピアスの穴って、洋服に付いているタグの、プラスチックの紐みたいなとこ切ったの、使えば服装検査のとき、凌げるって聞いたんですけど」

その話って本当ですか?

そこまで言ってあたしは深く後悔した。

(何言ってる、自分)

『ピアス』で頭の中、検索かけたらそれ位しか出て来なかったんだもの。

(ううっ、泣きたい)

「はあ!?」

(きっと越水さんも呆れて……)

「く、あははっ!!きみ、面白いね!!」

(って、ええっ!?)

「ふぇっ!?」

「ぼくは越水七槻。よろしくね」

「あたしは……住吉園子です。よろしくお願いします。越水さん」

(ふう、もう少しで『鈴木』って言うとこだった)

「七槻でいいよ。園子ちゃん」

(えっ)

思いもよらない言葉にあたしは一瞬、思考停止。

そんな年上の人を、と言いかけてストップ。

(あっぶな。今は高校生なんだよね)

「え、いえ、その、――やっぱり初対面ですし」

「七槻でいいってば」

(ええっ、押さないで下さい)

戸惑うあたしに構わず、越水さんはにっこり笑って、

「七槻」

(ううっ、そのスマイル、ある意味凄い破壊力です)

「……七槻さん」

(うわあ。あの越水さんを名前呼びしちゃった!って落ち着け、自分!)

軽くパニクっていると、新しい声がした。

「やあ、キミ達も名探偵?」

(世良さん!助かった~~)

この時のあたしは本当にそう思ったのだけど、それが甘かったと気付かされるのはすぐのことだった。

「こんにちは。その質問にはそうだよ。と答えておくよ。よろしくね。『ライバル』さん」

「言うねぇ。ボクは瀬野真純。東の代表で選ばれたんだ」

「ぼくは越水七槻。南の代表だよ」

(凄い。何か話のテンポが。何か、世良さん、ノッてる?)

と、ここでふたり分の視線を感じたあたしは、

(しまった!あたしの番だった!!)

「あたしは、北の代表っ、すみません、で来ました。住吉園子です!よろしくお願いします!」

「よろしく。七槻君、園子君。ボクのことは真澄でいいよ」

「それじゃあよろしく。真純ちゃん」

「へ?『ちゃん』なの?」

「そうだよね。園子ちゃん」

(え、あれ?この流れだとあたしも名前で呼ばないといけないって展開!?)

脳裏に蘭の顔が浮かぶ。

(仙台と今回、ハブにしちゃって、でもって世良さんを名前呼びなんてした日には……)

「あ、よろしくお願いします。瀬野さ、」

「真純」

とってもいい笑顔の世良さんが訂正してきた。

「えっ、えと、あの……」

「だから真純でいいってばッ」

「えっ」

「言ってごらん、ま・す・み!」

「うっ、……ま、」

「んん?」

(イヤ~~!!何この笑顔!!絶っ対面白がってる!!)

「ううっ、七槻さん~~」

思わず、越水さんの後ろに避難してしまった。

「あ、こら!何で七槻君だけ!」

「まあまあ。園子ちゃんにはいきなり名前呼びは、ハードル高いみたいだよ」

(ううっ、越水――じゃなかった。七槻さん優しい)

「何で七槻君は違うのさっ!大体園子君もひどいよっ!ボクがど……」

あ、咳き込んだ。

って、世良さん、もしかして貴女も『大根』ですか?

「大丈夫?」

「ああ。ボクも真純って呼んでね」

(いやそんな。涙目になられても)

「園子ちゃん、ほら」

(うわあああっ!!七槻さん、その優しさは罪!!帰ってからの心配が!!)

……この流れを変えるのは最早自分には不可能。

「……真純、さん」

(やっぱり、帰ってからもこれ、『継続』なんでしょう、そうなんでしょう)

脳裏にある黒髪美少女が空手道着を着て大○神となっ……、それ以上想像してはいけない。

そんなあたしの気持ちとは裏腹に、

「やったぁっ!!」

「ひゃあっ!」

ハイテンションな世良さんがハグしてきた。

 

……帰ってからが、メッチャこわいんですが。

 

 

 

その後、高校生探偵助手の安室、じゃない『安藤くん』が来たり、何故か楓が居なかったり、いろいろあったけれど何とか島へ到着。

(そう言えば、あたしが事件の話した時、微妙な空気、流れたような……何だったんだろ、あれ)

あの話は頭の中の『事件簿』に入っていたモノで、工藤くんもコナンくんも関わって来ないレアケースだったので、話したのだけど。

(ちょっと、話的に暗かったかな)

解決したのは在校生で、あまり表には出なかった事件なので、話すには丁度良かっ……。

(ちょっと待って)

何で『表に出て来ない事件』をあたしが知ってるの!?

「もうすぐ着くって。どうしたのさ?」

「何でもない、ですよ。……せ、真純さん」

ぎこちない受け答えをしながら、島へ上陸した。

 

 

この島は、元々どこかの富豪が所有していたのだけれど、何とかショックだったかバ○ルだったかで手放したのを鈴木家で買い取ったらしい。

(って、ウチの所有だったんですかっ!?早く言ってよ。てか、どんだけなの、鈴木家……)

「凄いな。見渡す限り、ラベンダーだよ」

(うん。そうだね。『出来ればラベンダーがあるところで』って条件は付けたけど、ぶっちゃけ植木鉢でもいいや、と思っていた自分が……)

「園子ちゃん?」

「何でもないです。行きましょう」

とそこで奥村さんが振り返って、

「ああ、そう言えば、管理人に注意されていたんだ。何でも、丁度今の時期、区画整理とかであちこち掘り起こしたりしているからラベンダーがある場所には立ち入らないで欲しいんだそうだ」

「ラベンダーがあるとこ、って」

「ほとんど全部ですよね」

「まあまあ。今回の撮影では屋内がほとんどだから」

大丈夫だろう、と続けた奥村ディレクターに、

「ふうん、それじゃあ、大掛かりなトリックは無し、ってことかな?」

「なるほど」

「ということは……」

(うわあ、皆早い)

「待った待った!これ以上はダメだよ。続きは中へ入ってから」

そう言われてあたし達は、島を埋め尽くすラベンダーを横目にコテージへ向かった。

 

 

「それじゃ、東西南北の女子高校生探偵が揃ったところで自己紹介といこうか」

(まあ、厳密にはひとり、足りませんけどね)

「TVカメラ、回ってないけどいいのかな?」

「スタッフの方もいませんね」

あたしも頷いていると奥村ディレクターは、

「TVクルーや進行役のタレントは明日の朝に来る予定になっているんだ。今、こうして来て貰ったのはなじんでもらうためなんだよ」

(うん。台本通り。さすがに数日でそこまではーーもしかして『鈴木家』の力使えば……まさか、ね)

七槻さんの方をそうっと窺えば、傍目にも分かるくらい、厳しい表情をしていた。

(あたしの原作知識も捨てたもんじゃない、ってことかな)

この話は何度も読んだものね。

主に『何で越水さん、犯人なのよ!』と憤りながら。

「じゃあ、ぼくから。名前は越水七槻。高校三年生。生まれは福岡。一応、南の代表になっているけど、まだ駆け出し中で100件程度しか事件を解決していないから、お手柔らかに頼むよ」

「ボクは瀬野真純。高校二年生さ。生まれは……うん、海外なんだけど、こっちで育ったから、東の代表、ってことで。解決したのは300件程かな。よろしくね」

「あたしは住吉園子。高校二年です。生まれは仙台で、ずっとそこなので、北の代表ということで。解決したのはそんなに多くないです。たぶん、80件位かと。よろしくお願いします」

(この辺りの台詞は各々で考えることにしていた。お互い初対面なんだから、少しはリアリティー持たせようって)

「西の代表、西園沙織さんの助手をしています、安藤透です。今年で高校二年になります。お嬢様が解決した事件は400件程です。よろしくお願いします」

何とか顔合わせも終わり、部屋に案内して貰えることになった。

「夕食は、今キッチンで高野さんが作っているから、出来上がったら呼びに行ってもらうから。それから、明日の録りの君たちの服装をチェックしておきたいから、夕食は女子高校生探偵に相応しい格好でよろしく」

 

 

割り当てられた部屋に入るとあたしは大きく息を吐いた。

(やっとここまで来た)

この後、夕食の席に現れない奥村ディレクターが割り当てられた部屋で、ロープで縛られた上に昏倒させられている、という密室殺人未遂事件のトリックを解き明かす大役が待っているけれど。

もちろん、この密室トリックはラベンダー屋敷に使われたものと同じである。

(このタイミングで解きに行くと、多分あたしが狙われる)

原作では、引っ掛かった『北の高校生探偵』が怒りMAXの七槻さんに……。

(うん、怖すぎて誰にも当てられないや)

あたしがそう話すと案の定、皆から反対意見が出た。

「それならボクがやるよ!ジークンドー、甘くみるなよ!」

「でしたら僕の出番ですよね」

「ごめんなさい。これはあたしがやらないといけないことだから」

(ここまで巻き込んだのはあたしの我が儘。それにきっとここで逃げたら、越水さんを説得することなんてできない)

あたしがあまりにも頑なだったため、こっそりあたし抜きでやろう、なんて案も上がっていたらしい。

(ちょっ、それ、本末転倒だからっ!!)

その後、ようやく完成した博士作のカメオブローチ型通信兼発信器(明かりも付くので停電も平気、ってどこから突っ込んだらいいか分からないや)が配られ、あたしはそのスイッチをONにしたまま、越水さんと対峙するように、とくどいくらい念を押されてしまった。

(そんなに信用ないかなあ)

ちなみに安室さん、じゃなくて安藤くんが掛けている眼鏡、あれも博士が作ったもので、コナンくんと同じようなレーダー機能も付いていたりして。

(最初に眼鏡を出したとき、ほんとはあたしが掛けたかったのよね。そっちの方が変装になるし、何かカッコいいじゃない、って思っていたのに)

ソッコーで安藤くんに決定、ってどうゆうことですかね?

 

 

制服(セーラー服です。わあ、懐かしい)に着替えて待っていると、程なくしてノックの音。

「どうぞ」

「夕食の支度が出来ましたのでダイニングの方へどうぞ」

そう話す高野さん(彼ももちろん高崎一族です)の後ろには、『安藤くん』と『瀬野さん』じゃなかった、『真純さん』の姿が。

「はい」

合流して越水さんの部屋へ。

(確か原作だとここで支度に手こずりながら、『ぼくの高校、規則厳しくて……』と、やっちゃってピアスの穴隠すのに苦労することになるんだよなあ)

高野さんがノックするのを固唾を飲んで見ていると、

「もうそんな時間!?」

(あれ?原作通り?)

「のんびりしすぎちゃったよ。……これでよし、と」

(ん?『校則』のくだりが抜かされた!?)

「じゃあ、行こうか」

その後は何事もなくダイニングへ。

「うっわ――」

「凄いご馳走!」

「これ、みんなオジさんが作ったんだ!」

「はい」

(うん、高野さんは調理師免許持ってるものね)

と、ここでまた台本通りの台詞。

「あれ?ディレクターの奥村さんはどうしたのさ?」

「先ほどノックをした時には返事をなさらなかったので、もうこちらへ来られていると思ったのですが」

「……彼の部屋に案内して貰えますか?」

 

 

「奥村様、お食事の用意ができました」

ノックにも反応がないのを見て、真澄さんが、

「鍵掛けて熟睡中かな?」

とノブに手を掛けると、

「ん?」

思わず、というふうに引っ込めた手には赤いものが。

「ドアノブに血がついている!」

「合鍵は?」

「ありません。他の皆さんの部屋と同じように、内側からロックできるようになっているだけです」

(ここであたしの出番)

「あたし達の部屋と同じなら、窓もあるはずよね?」

「それじゃあ、外から中の様子を!」

そう叫んで『安藤くん』が駆け出そうとしたとき、真純さんがドアに体当たりを始めた。

(ホントはやっちゃいけないんだけどね。現場のこと考えると。でもできるだけ、原作に近い流れを維持したかったから)

原作では服部くんだったな。

(西の名探偵、って言ったら彼だけれど、演技力皆無な上に、ソッコーでコナンくん、連れて来るよなあ)

「ちょっと」

さすがに呆れた様子の七槻さんが止めに入るけど、遅かった。

そして開いたドアの向こうには、手足を縛られて床に転がる奥村ディレクターの姿が。

「奥村さんっ!?」

真純さんが奥村さんに駆け寄るのを確認して、あたしは窓際へ移動。

「窓の鍵は閉まってますね」

「ドアの鍵も掛かっているみたいだよ」

七槻さんの言葉を聞いて、あたしは振り返りながら、

「それでは、これは密室殺人ですか?」

「彼が絶命していたら、ですけれどね」

奥村さんの傍らにひざまずいていた『安藤くん』がそう言ったとき、うめき声が聞こえた。

即座に縄が解かれ、皆から質問が降りかかる。

「どうしたの?」

「一体何があったのさ?」

奥村さんは少しぼんやりした表情で、

「ドアをノックされて出てみたら、誰もいなかった。誰かの悪戯かと部屋に戻ろうとしたら、後ろから薬を嗅がされて……」

そこまで答えたときだった。

「女子高校生探偵選手権……第一問!」

ドアの辺りでこちらを伺っていた高野さんが、それまでとは打って変わった真剣な表情でそう告げた。

「この密室の謎を解き明かせ!」

「「「「え?」」」」

「解けた者はその推理を書面にして私の元へ。その推理が真実なら、二回戦進出、及びこの島からの脱出を認める!」

「つまり戦いはもう始まっていたということだね」

「それではどこかに隠しカメラでも設置されているんでしょうか」

あたしは何気なく見えるよう窓の外に目を向けてから、決定的な台詞を口にした。

「解けました。密室トリック」

「「「え?」」」

更ににっこり笑ってみせて、

「実践してみせましょうか?」

「もう解けたんだ!」

「凄い自信だね、園子君」

「そこまで言うのでしたら、是非見せていただきたいですね」

「なりません!そんな事をすれば他の方達にもトリックが分かってしまいます。ですからその推理を書面にして私の元へ――」

「大丈夫です。別に目の前でやる訳じゃないですし」

そこでひと呼吸おいて、

「これが決勝でも、結果は同じだと思いますけど」

「園子ちゃん?」

あたしの急な態度の変化に七槻さんは戸惑っているみたいだった。

(だって原作のあの台詞聞いてみたい、って服部くんいないから無理かあ)

「まさかとは思いますがそのトリックとは、奥村さんが部屋に鍵を掛けたあと、自分で自分を縛ったというものではないでしょうね?」

「まさか。もしそうだったとしたら、縄を解いた真澄さんが気付かないはずがないじゃないですか」

そこで皆を見渡して、

「たとえ、彼女が無能な探偵だったとしても、ね」

(ふっ、いきなりの宣戦布告)

「なんだと!?」

「確かにあれは……」

(ごめん。普通ならあんなことしないのにやらせちゃって。あんまりこっちサイドが仲良しこよしでも、七槻さんに警戒されちゃうからね)

安藤くんが眼鏡を軽く直しながら、

「あの場合、まずは窓の外から部屋の中の状況を把握してから扉を破るか、窓ガラスを割って入るかを決めるべきでしょう。もし、奥村さんが扉に寄り掛かって亡くなっていたのなら、扉を破った時点で、死体も、その周辺に残されていた証拠も消し飛んでしまうでしょうね」

「あの時は――」

「とにかく、これから二階のあたしの部屋を密室にしてくるから、皆は夕食を食べながら待っててもらえる?」

と、そこで振り返って、

「一時間位は掛かると思うから」

「一時間?」

それを聞いた安藤くんが頷く。

「なるほど。高野さんが僕達を部屋に案内し終えてから、縛られて見付かるまでの時間も丁度その位ですね」

「それだけ手間のかかるトリックなんだね?」

と七槻さん。

「そういうことかしら?」

さらっと流してあたしは続けた。

「念のために。このトリックは粗暴な探偵の行動は想定外ですからね」

と笑みを作るのも忘れない。

(ごめん。真純さん)

すると、ドアを閉める直前、

「ぼくは好きだな。君みたいな……」

 

(あああっ!!メッチャ聞きたかったのにっ!!ドアの音で途切れた~~!!)

 

 

 

軽く落ち込みながらジャージに着替え(カメオブローチ型通信兼発信器は襟の裏に付けました)、黙々と仕掛けを施す。

(窓枠を外したら、ネジをプライヤーで短く切って)

落ちないように気を付けながら外へ出て、窓枠の接着面にボンドを塗ってくっつけて。

(何とか、できた)

幾らかほっとして、下を見ると予想より地面が遠い。

(気のせい。気のせい)

残念ながらここから飛び降りるほど、運動神経よくないので、鉤爪のついたロープを引っ掛けて、びくともしないことを何度も確認してから、ゆっくり降りる。

(うっ、下、見ちゃダメ!)

『コナン』のキャラって結構皆、軽々とやっているけど、普通はこんなものだよね。

遅いし、今の自分が凄いみっともない格好なのは分かってます。

(誰もいなくてよかった)

ぎこちなく着地して、ロープを回収。

(できた……)

後はダイニングに戻るだけ、と体の向きを変えた時だ。

「こんばんは。黒幕さん」

拳銃のようなものを構えた七槻さんがいた。

 

「随分と手の込んだことをしてくれるじゃない?一体どこで調べたか知らないけどね」

お嬢様の気紛れで首を突っ込まれても困るな。

「気紛れなんかじゃないです!!あたしは――」

(あれ、今何か……)

心の隅を何かがよぎったような気がした。

「園子君!!」

「園子さん!!」

駆け付けて来たふたりを見やって、七槻さんが軽くため息をついた。

「ほらね。ナイト達のご登場だ」

「そんなんじゃありませんっ!!」

「どこが?君って常に守られる側なんじゃないの?」

反論しようとしたその間に、七槻さんが距離を詰めた。

「おっと。動かないでね」

「「なっ!」」

あたしのこめかみに、銃口らしきものを当てた七槻さんが牽制した。

あたしは、無駄だと思ったけど一応言ってみた。

「……止めて下さい」

「お姫様はおとなしくしていてね」

そう告げると七槻さんはあたしを盾にするように、じりじりと後ろへ下がる。

そこにあるのはラベンダー畑。

「いけません!」

切羽詰まったような叫びが安室さん達の後方からした。

「え、」

足が、宙に浮く。

「なに、」

ラベンダー畑とばかり思っていたそこにはいつの間にか空間があった。

「園子さんっ!!」

「園子君!!」

「「お嬢様!!」」

 

 

皆の声を遠くに聞きながら、あたしと七槻さんは奈落の底へと落ちて行った。

 

 

 

 




読了ありがとうごさ……物は投げないで下さい~~((゚□゚;))
自分でも何でここまでにしたのか分からな――ファッ、赤○さん並の狙撃っ!!


……まさか、消しゴム(直径二ミリ)にやられるとは――バタリ(何かが倒れる音)。



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