砂糖は人類の宝? よし、お前は今日からオレの親友だ!   作:みーごれん

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プリン2

「というわけで自分で持ってきました。報告書っス」

「ああ。確かに受け取った」

 

 護廷十三隊の報告書は基本一番隊舎の総隊長に集められ、隠密機動では総司令に届けられる。そこから更にお上の見聞を求められるものは、彼らから四十六室へ届けられる。といっても基本は遣いのモノに運ばせるのが通例だが。

 そして今回躑躅守(つつがもり)が就いている任務は四十六室からの案件。よって報告書は最終的に四十六室に至るモノ。概要はそいぽん(ポン太)に見せたし、そのまま彼は四十六室に来た。死屍累々の会議室を過ぎて、四十六室の居住区で人影を発見。近寄ったら東仙要だった。

 

 ()く斯く云々(しかじか)で突っぱねられた書類を持ってきたと告げると、眉を寄せつつ受け取って貰えた。そのまま書類を読むような態勢になる。

 

 ……あれ、見えてないんじゃなかったっけ。

 

「東仙隊長って、普段どうやって書類の処理をやってるんスか?」

「ああ、これだよ」

 

 そう言って東仙は自身の掛けるグラサンに触れた。

 なんでも技術開発局製のグラサンで、目の前で翳せば文章を耳元で音声出力してくれるらしい。

 

 あまりに字が崩れていると読み取れないらしいが、そこは副隊長の檜佐木修兵がフィルター的な感じで頑張っているらしい。あの69(ロック)な入れ墨は中々イタイ人っぽく見えるが仕事は出来るんですね――そんな寒いギャグで目の前の人物がコメントをくれるとは思えない。黙っとこ。

 

 兎も角。

 なん……だと……

 完全に趣味で掛けてるのかと思ってた。

 技術開発局凄いな。正直忍び込むたびに違法行為が目に付くから碌なとこじゃないと思ってたけど、こういうのは素直に偉いと思う。違法行為は止めてほしいがな。そろそろポン太にでも報告しようかな。まあそれはいつでもいいか。

 

「…………躑躅守、これは私でもやり直しを命じるぞ」

「東仙隊長厳しいっスね~!」

 

 一枚目の書類は日付と担当名があり、報告欄には一言、“異常なし”とだけ書いた。だって十番隊長は何の面白みも無くひたすら仕事。副隊長はやってくる席官やら他隊の副官やらと駄弁って時間を潰してるだけ。任務に関係ある会話は一切無かった。

 二枚目はその翌日の報告書だ。書いてあることは今日の報告書である三枚目と同じ。“同文”のみ。

 

「四十六室に提出される書類で“同文”なんて書いていいわけがないだろう! 毎日どれだけの書類が届いていると思っている⁉」

「しょうがないじゃないっスか! こちとら自分の名前書くだけで書類書く気削られまくってんのに、真面目に書けると思います⁉」

 

 躑躅守という字が一体何画在ると思っているのか。四十八だぞ⁉ 下の名前も謎に画数多いやつだし。まだ“守”が“森”じゃなかっただけマシか。

 

 躑躅守の逆ギレに一瞬言葉を詰まらせた東仙は、“私は部下に恵まれていたのだな……”と失礼なことを零してから溜息を吐いた。

 

「兎も角、藍染様にまでこのような報告をするわけではないだろう」

「いえ、本当に何も無いんスよ。全く、全然、これっぽっちも。なんならべろんべろんに酔い潰れた副隊長の小言でも、眉間の皺が無くなるくらい熟睡してる隊長の寝言にも、処刑関連のワードは出てきませんでした」

「何故そんなことまで知っているんだ……」

 

 やだなあ、ヒかないで。

 隠密機動相手にプライベートなんてものが通用すると思わないことだぜ。

 調べようと思えば東仙氏のドレッドヘアがいつ、どこで、誰にセットしてもらったかとか、襟巻なのかマフラーなのかよく分からない首元のオレンジの奴を何処で買ったのかとか、何なら特定の日の書類三枚目の百番目が何の文字かまで分かる。

 三個目は労力のわりに情報の価値が無さすぎて全くやる気になれないけど。

 

「まあそれはいいじゃないですか。全く動きが無いって言うのは藍染隊長的にはどうなんスかねえ」

「それは私の知るところではない。貴様も任務に集中していればいい」

「了解っス。……ところで」

 

 打って変わって顔を引き締めた躑躅守の前に東仙の黒い手袋を嵌めた手が差し出され、躑躅守が言葉を止める。

 ピリリとした緊張感の中、東仙が口を開いた。

 

「分かっている。だが今少し時間が欲しい。意外と奥が深いのだな――洋菓子というものは」

 

 その言葉に躑躅守は、ぱあぁっという効果音でも付きそうなくらい破顔した。

 

「そうなんスよ! 和菓子は和菓子で小宇宙って感じなんスけど、洋菓子ってなるとそのジャンルの広さたるや圧巻で! こっちでは菓子というと基本餡を使ったものですけど、向こうはあの手この手で形も何も全部違ってて!」

「形は私には分からんが、作り手の執念と努力を垣間見たよ」

「流石東仙隊長!」

 

 

 

 そこから小一時間……

 

 

 

「東仙隊長、交代の時間や――うわ」

 

 四十六室占拠のシフト交代でやってきた市丸は、熱心に何か語り合う東仙と躑躅守の姿を見た。嫌な予感がして踵を返そうとしたのも空しく、肩をガッチリと掴まれた。

 

「良い所にいらっしゃいました、市丸隊長……」

「な、何や、躑躅守はん……」

「“しょぉとけぇき”に乗せる果実は何が良いかという話っス。東仙隊長は王道の苺らしいんスけど、折角なら趣向を凝らして……」

「いや、その何たらってのをボクは知らんからなァ。何とも言」

「ならご説明します!」

 

 以下略。

 後に藍染まで巻き込まれ、延々と男四人で菓子の話を続けた。

 その光景を思い出して躑躅守が一言。

 

 

 “誰得だよ”

 

 

 お前が言うなという話である。

 

 




 因みに藍染参戦時

藍「やあ、ギン。御苦労様。交代の前に要を――おや、もう居るんだね。躑躅守君もとは珍しい」
躑「あ、藍染隊長! お疲れ様っス! ところで隊長の一番好きな和菓子は何スか?」
東「あんみつなどという軟弱なものは認めんぞ躑躅守!」
市「干し柿は譲れへんわ」
藍「…………何の話だい? 菓子なんて、栄養となってしまえば何を食べても同じだろう?」
躑「⁉ 本気で言ってますか⁉ 駄目ですよそんなんじゃ! 栄養は食事でとって、+αで食べるのが菓子ってもんっス!」

 …………以下略。


本文短い。
あまりにも短いですが、もう一作を投稿した後だと寧ろ丁度良かったり。
はい、完全に作者の都合ですね。
次話は早めに出します。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました!
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