テラーストーリー・オブ・ナイト   作:バルバロッサ・バグラチオン

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お久しぶりです。何とか1月中に投稿できました。

今回は今までとは違うタイプの怖い話です。
後、以前の話に出てきたキャラが出てきます。

それでは、どうぞ。


第十三話 封印されし忌まわしき記憶

池本大輝は、ごく普通の高校生。だが、一つの事を除いては。

 

それは、マフラーといった首に巻かれる物に異様に拒絶してしまう事だ。

テレビでマフラーやネクタイが映ると、速攻でチャンネルを変えたくなる、結婚式や葬式でネクタイを見ると眩暈がして倒れるといったひどい有様。

 

しまいには、高校受験の際に、第一希望であった地元のトップクラスの私立高校のパンフレットに載ってたブレザーの写真を見て、激しい嫌悪感と吐き気を覚えた。

そう、ネクタイに目に止まってしまった時点で。

 

その影響もあって、泣く泣くブレザーではなく学ランを制定してる公立の高校へと進路変更せざるをえなくなった。

 

自分が何故か首を巻く物に対して恐怖を感じるのかと、両親や兄に聞いても「知らない方がいい。」との一点張り。それでも何とか食い下がるものの、しつこいと怒鳴られる。でも大輝は感じていた。絶対何か真実を隠してるのだと。

 

ようやく事実が明らかになったのは大学1年の時で、ゼミを通じて仲良くなり恋人関係になった結城麻衣のおかげである。

彼女の父が精神科医をしてると知って、真相が明らかになると希望を持ち早速連絡を取り、病院へと向かった。

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麻衣の父親である信介は、大輝から今までのいきさつを聞くとおそらく精神的な事だろうと言い、ある手段を提案してきた。

 

 

それは催眠によるもので、いわば退行睡眠によって明らかにするのだ。相当の覚悟が必要かもしれないと信介に念を押されたものの、大輝は受け入れる事にした。

 

退行睡眠によって一部始終をテープに録画する事になり、数時間が過ぎた。

 

誘導睡眠により、ほとんどのやり取りを覚えていない大輝は解けた後に、信介に問いかけたら辛辣な表情で「やはり言わなくては。」と答えた後、「いいですか、池本さん。私から言わせてもらうと相当のショックを受けるでしょう。思い出さなくてもいい部類に入ります。あなたの心を抉る様な闇を与えるものですから。」と真剣な表情で語る。

 

それでも諦めずに「はい。」と返事をした大輝はテープを譲り受けた。

 

 

自宅に帰宅した後、誰もいない事を確認し大輝はテープを再生するのだった。

 

15歳→12歳→9歳と退行催眠を行い、ようやく真相に辿り着いたのは6歳。

 

「大輝くん、貴方はマフラーやネクタイといった首に巻かれるのは嫌いですか?」

 

「もちろん、嫌いだよ。」

 

「どうして?理由を教えてくれないかな?」

 

「・・・。やだ。」

 

「どうして?理由は?」

 

「だって、怖かったんだものの。」

 

「大丈夫、私がそばにいるから。ありのままはなしてごらん。」

 

「あのね…」

 

6歳になった自分が語った事により、封印された記憶を思い出した大輝。

 

ある夏の日。父の地元である鳥取に家族と共に訪れていた大輝。

自然豊かな田舎にすっかり溶け込み、都会暮らしの大輝はたまらない環境だった。

 

狭いアパートでの部屋と違って、実家が純和風で土地が広い事に心が満たされていった。

 

そして何よりなのは、街角にあった駄菓子屋。

コンビニやスーパーとは異なる雰囲気に惹かれていき、店主のおばさんとすっかり打ち解けて仲良くなった。

 

躾が厳しくて厳格な性格の母と比べて、穏やかで温厚である正に正反対の性格であるおばさんにすっかり懐く様になった大輝。徐々に親しくなり、ほぼ毎日駄菓子屋に通い続けていた。

 

そんなある日、昼過ぎにいつもの様に店を訪れた大輝。

店内に入ってみたが、いつもとは違っておばさんがいない。

 

(あれ? 何かおかしいな?)

 

不審に思った大輝は、悪いとは思いつつ勝手に奥の部屋と上がった。

 

(おばさん、昼寝をしてるのかな?)

 

存在がバレない様に、足音を立てない様に忍び込んで行きコッソリと襖を開けたら異様な光景が広がっていた。

 

 

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そして、おばさんの背後には人相の悪い男がカッと目を見開き、力強く締め続けている。

その男を見て、ハッとした大輝は見覚えがした。

 

そう、その男は全国各地で二人組で連続強盗殺人を犯して全国指名手配されているひとりである沼田一成本人だったのだ。

 

思わず悲鳴を上げた大輝は急いで逃げ出す。

 

「チッ、ガキがいやがった!見られたには見逃す訳にはいかんな!殺してやる。」

 

威圧感のある声で、沼田が追いかけてくる。

 

店から飛び出しかのごとく、極限状態になった大輝は近くにあった納屋に入り隠れ込んだ。

急いで藁の中に潜り込んで、息を殺す。

 

数分後にバンと強く扉が開かれる。沼田が来たのだ。

 

「ここにいるかもな・・。必ず探し出してやる。」

 

殺気が籠った荒げた声をっ出した沼田は側にあったフォークを持ち、大輝が隠れている藁の山へと突き刺し始めた。

 

どうにかフォークから身を避ける大輝。いよいよフォークが足をかすり、もう終わりかと思ったその時、

 

「やばい! パトカーが近づいて来た。逃げるぞ沼田。」

 

焦る表情で、もう一人の指名手配犯である戸坂和博が沼田に迫る。

 

「畜生、もう少しでガキを仕留めるとこだったのに!まあ、いいか警察に捕まるのは勘弁だしな。」

 

沼田は戸坂と共に急ぎ足で納屋から立ち去る。

 

彼らがいなくなった後でもビクビクしながら固まっていた大輝は、現場に駆け付けた警察官達によって無事に保護された。

 

その後事件のショックで大輝はかなりおかしくなってしまって、ほとんど口を開かなくなる、夜中に突然大声で泣き出したりといった手に負えない状態となった。

 

1年後。あの忌まわしき事件は大輝の中では封印されたのだ。極度のストレスとトラウマによって心が破壊されるのを防ぐために自ら決めたのだった。

 

そして、()()()()()()()()()()()()使()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

事の真相を知って、パニック状態になる大輝。思い出した気持ちのショック、後悔、トラウマの元となった犯人を憎む気持ち、恐怖とかの色んな感情が溢れ出して大泣きしてしまった。

 

 

 

数日後、大輝はまた信介が勤める病院に向かう事に決めた。

 

カウンセリングによってトラウマを克服して前向きに生きようと心に決めて。

 

 

 




いかがでしょうか。今回は心霊的要素を排除したいわゆる「人間の方が怖い」
というメインテーマにして、意欲的に書いておきました。

次回もどんな話になるか、楽しみに待ってください。
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