テラーストーリー・オブ・ナイト   作:バルバロッサ・バグラチオン

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すいません、先月に投稿すると言ってましたが仕事とやら色々と所用があって遅れてしまいました。申し訳ございません(土下座)こんな駄目作者で・・。
いつもより短めですが、それでも良ければ。
何かおかしな所があれば、伝えてくれると嬉しいです。


第五話 鏡の中の杏ちゃん

それは暑い夏の日。小学4年生である少年宮下直樹は両親が海外でしばらく仕事する事になったので、母方の祖父母らに預けられる事となった。

 

都会育ちの直樹にとって祖父母らが住んでいる田舎は正に刺激的な環境であった。

周りに同年代の子供はいなかったものの、都会にはない自然、生物、空気の良さは今までにない体験を味わい、ずっとここにいたいと思ったくらいだ。

 

そんなある日、古い田舎造りである祖父母の家の縁側にて、扇風機をつけっぱなしにしながら寝そべっていた直樹の目にある建物が留まった。

 

南西の隅にある蔵。最初に来た時にあまり気にしなかったものの、外での遊びに飽き始めた時から段々と興味を持ち始めた。

 

一体中には何があるかな? 好奇心旺盛な直樹は祖父母が農作業に出かけていて、家にいるのは1人きりという最高のタイミングという状況の中、蔵にコッソリと侵入するのだった。

 

 

蔵の中は古い道具、小物とかが納められていた。

それらをオモチャの様に遊んでいた直樹にある物が目に入る。

自分の背丈よりは少し高いだろう。何かが布に覆われている。

興味本位で布を取るとそれは大鏡であった。

 

おそらく年代は古いには間違いものの、サビや曇りはほとんど無かった。綺麗に自分の姿を映っているのを暫く眺めていると、背後に女の子がいるのに気が付いた。

 

「こんにちは。ねーねー、君は誰なの?」

見知らぬ色白のロングヘアーの女の子に話しかけられて直樹は驚く。

背後を振り向くと自分以外にいない事に恐怖感に囚われる。この世の者ではないのは確かである。

 

「ぼ、僕の名前は・・・・。宮下直樹。」

恐る恐る直樹は答える。悪霊ではない事を信じるしかない。

「直樹くんか。私の名前は武井(あん)。宜しくねー。」

杏は人懐っこい笑顔で語る。

 

(そんなに悪い霊では無さそう。しかし、この子はどこかで?)

直樹は考えている内に、遂に答えにたどり着いた。

(あっ、この子はお母さんの唯一だった妹だ。)

祖父母の家の居間に置かれてる仏壇に飾られている女の子の遺影とソックリである事を確信した。

 

武井杏。彼女は直樹の母親の妹である存在。とても人懐っこく明朗活発な性格だったが、肺炎により自分と同じく10歳の若さでこの世を去った。

その子が目の前にいる。最初は恐怖感を覚えながらも徐々に妙な親近感を感じてしまう。

そして自分の生い立ち、住んでいる都会についてなど色々と話していき打ち解けていった。

直樹の話題に杏は興味深々になり、満面の笑みをうかべる。

 

そうして二人で盛り上がっていると、もう夕暮れ時。そろそろ祖父母らが農作業から帰ってくる。

「杏ちゃん。もう時間だから戻るね。また明日来るから。」

「うん。またまた色々と話し聞かせてねー。」

直樹は祖父母らにこの事をバレたらマズいと思い、慌てて大鏡に布を被せて家へと戻った。

 

それから毎日、直樹は一人切りになった状況を見計らって蔵に行き、杏とお喋りして楽しいひと時を過ごした。

虫取りや川遊びに比べて、正に杏との会話は刺激的な体験でもあった。

そんなある日、いつもの様に会話をしていると杏が切り出した。

「こっちに来て遊びに来てよー。杏ひとりじゃ寂しいしー。」

直樹はゾクッとした。いくら何でも杏のいる鏡側の世界にどうやって行くのだ?もし行けたとしても戻れる保証はあるのか?

不安な気持ちに駆られる。

「こっちの世界に来る方法知ってるよー。たくさん遊ぼうよー。」

今までと違う邪悪な笑みを浮かべる杏を見て、直樹は戸惑いを隠せない。

「ごめん、用事があるから今日は早めに帰る。」

その場しのぎで、いつも通り大鏡に布を被せて蔵から出る。

 

その夜は中々眠れなかった。

鏡の中にどうやって入る? もしは入れても、元に帰れる保証はあるのか?

深く考える度に不安な気持ちになり、恐ろしくなってしまう。

次の日から蔵に入るのを止め、杏に会うのを止めた。

しばらくして、両親が海外での仕事を終え帰国したので直樹は祖父母の家を後にするのだった。

 

 

 

 

 

それから15年後。25歳になった直樹は幸せの有頂天に立っていた。

一流企業に就職して、恋人である利乃との婚約を済ませ来月には結婚式を挙げる予定だ。

ある日の事、早めに仕事を終えて住んでいるマンションの地下駐車場に車を停めていた。

停車したあと、部屋に行こうとした後ふとバックミラーを見ると、杏が映っていた。あの時と変わらぬままで。

驚いて後ろを振り向くが、後部座席には誰もいない。

「お久しぶりー。直樹君。あの日以来待ってたのにー。そんなに驚く事無いでしょ。」

直樹の方は、恐怖に慄く。ジッと見つめてくる杏にどう対応するか頭が混乱してくる。

「ねえー。私ね、直樹君に会えなくてずっと寂しい思いを過ごしてきたんだよー。こっちに来て遊ぼうよー。」

杏はニッコリと笑い、手を伸ばしてくる。

「駄目だ!杏ちゃん。俺はもう行かない、行けないんだ!」

キョトンとした顔立ちになる杏。

直樹は声を荒げながら、言い続ける。

「俺には、大切な存在がいるんだ。だから・・・。杏ちゃんとは相手にしてる暇はない!」

すると杏は、今までになかった邪悪の籠った不気味な笑顔を浮かべる。

「仕方ないよね・・・。直樹君は私とは違う存在なのだから・・・。だったらその大切な存在とやらを消してあげちゃうからー。」

ハッとする直樹。気が付くと杏は消えていた。

 

 

マンションの部屋に着いた。先ほどの杏と出会った事に戸惑いを隠せない。

大切な存在となら消すとは一体?まさか!

そういえばいつも定時通りに帰る利乃が帰ってこない。嫌な予感がする。とその時、ポケットの中に入れてる

スマホから着信音が鳴る。

電話を取ると「もしもし、宮下直樹さんでしょうか。こちら警察です。先程1時間前、宮下利乃さんが横断歩道を歩いている最中、信号無視した乗用車に撥ねられ即死したとの事でー。」

ショックでへたり込む直樹。近くにあったウォールミラーを見ると何と、杏が映っていた。

 

「直樹君。君が言ってた大切な存在とやらを抹消したよー。案外簡単やったー。」

ウォールミラーに映っている杏に向かい、直樹は青ざめた顔で怒鳴る。

「何て事を。俺の大切な利乃を・・。許さねえ!」

杏は反省もしない様子で、悪意の笑みを向ける。

「これで邪魔者をいなくなった事やし、これからはずっとこっちの世界で二人っきりで永遠に遊ぼうー。」

するとウォールミラー越しに、杏の両腕が伸びてきて直樹の両肩をガッシリ掴むと10歳とは思えない怪力で引きずりこんでいくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 




最初の時からペースが落ちちゃってますな自分。次こそはペース上げたいのだ。
鏡って何か得体のしれないのが映りそうで怖いです。夜中に見るとより一層恐怖感が増してきます(笑)

それでは次回にご期待って事で。
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