命を燃やす勇者達   作:naogran

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羽波病院。

看護婦「はい、少しチクっとしますよ?」

注射器で、友奈の腕にチクっとした。

友奈「っ。」

バーテックスとの戦い後、友奈達勇者部一同は検査の為入院する事になった。


第六話「終戦!明日に期待して!」

男性キャスター『昨日起こった、工事中の高架道路が落下した事故に関する続報です。』

 

共用スペースにタケル、マコト、夏凜、そして眼帯を着けた風が居る。

 

タケル「樹海が枯れたせいで、また事故が起こったみたい。」

 

風「お、友奈も診察終わったのね。」

 

友奈「はい!きっちりバッチリ血を抜かれ・・・って、風先輩その目は!?」

 

風「フッフッフ、この目が気になるか?これは先の暗黒戦争で魔王と戦った際・・・」

 

夏凜「左目の視力が落ちてるんだって。」

 

風「ちょっと!ちょっと!折角魔王との戦いで名誉の傷を負ったニヒルな勇者って設定で語ってるのに!」

 

マコト「風、今のお前の言葉、中二病にしか思えないぞ。」

 

風「何で中二病なのよ!」

 

友奈「視力が、落ちてる・・・?」

 

風「ん?そうね。」

 

友奈「もしかして、バーテックスから何か・・・」

 

風「違う違う。戦いの疲労によるものだろうって。勇者になると、凄く体力を消耗するらしいから。この目も療養したら治るってさ。」

 

友奈「そうなんですか!」

 

風「何たって私達、一気に7体もバーテックス倒しちゃったからね〜!体も疲れちゃうのよ。」

 

 

 

しかしタケルとマコトは、真面目な顔をしている。

 

タケル「満開を使ったお陰で・・・」

 

マコト「ああ、体の一部が抜かれた・・・」

 

 

 

友奈「ん?タケルさん、マコトさん、どうかしたの?」

 

タケル「いや、何でも無い。」

 

マコト「こっちの話だ。」

 

そこに東郷と樹が戻って来た。

 

友奈「ん?あ!東郷さん!樹ちゃん!」

 

東郷「私達も検査終わりました。」

 

風「樹〜、注射されて泣かなかった〜?」

 

樹は何も言わずに首を横に振った。

 

風「ん?どうしたの?」

 

東郷「樹ちゃん、声が出ないみたいです。勇者システムの長時間使用の疲労が原因で、すぐに治るだろうとの事ですが・・・」

 

風「私の目と同じね・・・」

 

友奈「えっと・・・すぐ治るなら大丈夫だよね!?お医者さんもそう言ってるんだし!」

 

風「ええ、そうね!」

 

タケル・マコト「・・・・・」

 

友奈「そうだ!私達バーテックスを全部やっつけたんだよ?お祝いしないと!」

 

アカリ「お待たせ〜!」

 

カノン「買って来た〜!」

 

御成「大量ですぞ!」

 

 

 

 

お祝いとして、アカリ達がお菓子やジュースを買って来たのだった。

 

夏凜「随分沢山ね。」

 

御成「友奈殿に頼まれて来ましたもので。」

 

友奈「お祝いが豪勢にやらないと。はい皆!飲み物を持って下さ〜い!」

 

全員がジュースを持つ。

 

友奈「では、勇者部部長から乾杯の一言!」

 

風「あ、私!?え、えっと・・・ほ、本日はお日柄も良く・・・」

 

夏凜「真面目か!!」

 

友奈「堅苦しいのは抜きで!」

 

風「それじゃあ、皆よくやった!勇者部大勝利を祝って、乾杯!」

 

全員「乾杯!」

 

乾杯してジュースを飲む。

 

夏凜「ふぅ〜、やっぱり目的を達成した後のジュースは格別ね!」

 

御成「仕事の後のジュースは美味ですな〜!」

 

アカリ「御成、あなた何もしてないじゃない。」

 

カノン「あははは。」

 

しかし友奈は何か違和感を感じたが、気にせずジュースを飲む。そんな友奈に対し、東郷とタケルとマコトが疑問を抱いた。

 

風「そうだ!皆に渡したい物があった!えっと・・・はい。それから・・・」

 

ダンボールからスマホを出して、友奈達に配る。

 

夏凜「それは?」

 

風「新しい携帯。前に使ってたのが回収されたでしょ?」

 

東郷「はい。この病院が来た時に。」

 

風「あっちの携帯は、メンテナンスとかで戻って来るのに時間が掛かるから、暫くその携帯を使って?」

 

友奈「わぁ〜!新品だ〜!」

 

東郷「あれ?あのアプリをダウンロード出来ませんね。」

 

風「ああ、あのSNSアプリは使えなくなってるの。あれ勇者専用のだから。私達の戦い、終わったんだし。」

 

友奈「そっか、勇者になる必要無くなりましたもんね。」

 

風「でも、SNSなら他にもあるから、そっちに登録すればちゃんと連絡取れるし。」

 

友奈「あの、牛鬼は?」

 

風「ごめん、アプリが使えないからもう精霊は呼び出せないんだ・・・」

 

友奈「そうですか・・・ちゃんとお別れしたかったなぁ・・・」

 

 

 

 

廊下。タケルとマコトと友奈と東郷が居る。

 

友奈「退院は明後日だって。早く学校に戻りたいな〜。病院に居るのって退屈〜。」

 

東郷「くすっ、私は検査にもう少し長い時間が掛かるみたい。」

 

タケル「そうなんだ。」

 

友奈「一緒に退院出来たら良いのに・・・」

 

そこで、マコトが口を出した。

 

マコト「友奈。」

 

友奈「ん?」

 

マコト「お前の体に、何か違和感を感じないか?」

 

友奈「え?」

 

マコト「お前が共用スペースでジュースを飲んでいた時に、様子が可笑しかったんだ。」

 

友奈「マコトさん鋭いな〜。」

 

マコト「俺だけじゃない。タケルと東郷もお前に疑問を抱いてる。」

 

友奈「え?」

 

タケル「友奈、何かあったのか?」

 

東郷「何処か具合悪いの?」

 

友奈「いや、大した事じゃないから・・・」

 

東郷「話して?」

 

 

 

 

友奈「味、感じなかったんだ・・・ジュース飲んでも、お菓子食べても・・・」

 

 

 

 

タケル「それって、味覚障害と一緒だよね?」

 

友奈「味覚障害?」

 

マコト「料理や飲み物の味を感じなくなる障害の一種だ。バーテックスとの戦いの疲労が原因だろう。」

 

友奈「う〜ん・・・多分大丈夫だよ!ほら、風先輩の目と同じじゃないのかな?すぐに治るって!でもお菓子の味が分からないなんて、人生の半分は損だ〜。」

 

 

 

 

夕方。タケル達がそれぞれ帰って行った。

 

 

 

 

 

 

夜の羽波病院の東郷の病室。東郷がノートパソコンから音楽を流した。右のイヤホンを外して左に付けると。

 

東郷「っ!」

 

何かを感じてイヤホンを置いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後の讃州中学校。東郷を除いた友奈達が復学した。

 

 

 

 

勇者部。

 

風「あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜。」

 

扇風機の風に当たってる。

 

アカリ「風ちゃん子供みたい。って、まだ子供だったね。」

 

友奈「結城友奈、来ました〜!」

 

風「あぁ、お疲れ〜。」

 

友奈「あれ?風先輩、眼帯が・・・」

 

風「ふふ〜ん。どうよ?これ。」

 

友奈「・・・・・超格好良いです!!」

 

風「ウッフッフッフッ!ふ私もイケると思ってたんだ〜!」

 

マコト「調子に乗ってるな。」

 

タケル「だね。」

 

風「所で、夏凜は?」

 

友奈「あれ?来てないんですか?」

 

カノン「そうみたいなの。」

 

風「ムムム?サボりか?後でバツとして、腕立て1000回とかやらせよう。」

 

タケル「それって体罰か何か?」

 

友奈「夏凜ちゃんだったら出来ちゃいそう・・・」

 

樹がスケッチブックに何かを書く。

 

風「否定出来ない・・・サプリを決めながら、朝飯前よ!って言って、・・・ん?」

 

樹『かりんさん、何か用事があったんでしょうか?』

 

風「そうかもね。」

 

友奈「そのスケッチブックは?」

 

御成「風殿が、樹殿にスケッチブックを渡して会話させようとの提案ですぞ。」

 

風「声が戻るまでの応急処置。その内治るから、少し我慢ね。」

 

樹は頷く。

 

風「さて、今日の活動だけど・・・部員が私達しか居ないのよね〜。衣装の事話したかったんだけど〜。」

 

友奈「衣装?」

 

タケル「文化祭の演劇の衣装だって。」

 

友奈「あ!そうでした!」

 

風「勇者の活動が一大事だったから、忘れてたでしょ?」

 

友奈「あ、あはははは・・・」

 

風「まぁでも、2人も居ないんじゃ話し合いも出来ないし・・・他の事だと・・・」

 

樹『他の部活の手伝いは?』

 

風「そうそう!剣道部から練習に付き合って欲しいって依頼メールが来てたのよね〜。ってそれ夏凜を指名しようか・・・夏凜居ないから今日は無理。えっと他には・・・そうだ!ホームページの更新は?」

 

アカリ「友奈ちゃん達が入院中の間に更新が止まっていたからね。」

 

友奈「あ!でも・・・」

 

風「どうしたの?」

 

友奈「東郷さんが居ないと更新のやり方が分からないです・・・」

 

風「あぁ、そっか・・・・猫の飼い主になってくれる人はまだ見付かってもないし・・・」

 

樹『できる仕事ないね。』

 

風「だね・・・仕方無い!ダラダラしよう!」

 

友奈「そうですね〜・・・」

 

タケル「じゃあ、今日の活動はお休みだね。」

 

 

 

 

ダラダラ過ごす事になったが、部室が暑くなり始めてる。

 

友奈「急に暑くなりましたね・・・」

 

風「もう夏休み前だしね・・・」

 

アカリ「タケル・・・涼しくなれる方法は無いの・・・?」

 

タケル「無理だよ・・・涼しく出来る眼魂も無いし・・・」

 

樹『とけてドロドロになりそう。』

 

風「全くねぇ・・・」

 

御成「ーーーーーーー。」

 

マコト「御成、何やってるんだ?」

 

御成「涼しくなれるお呪いを唱えています。これで涼しくなれれば・・・」

 

カノン「出来たら凄いね・・・・」

 

風「足りない・・・何かが足りない・・・そうだ!!東郷のお菓子が足りない!!」

 

樹『まず食べものなの!?』

 

風「うっ・・・」

 

友奈(東郷さんのお菓子、今は味分からないんだ・・・早く治らないかな・・・?)

 

 

 

 

 

 

夕方の羽波病院・東郷の病室。

 

東郷「あ、友奈ちゃん!」

 

友奈「お見舞いに来たよ〜!」

 

タケル「東郷。」

 

マコト「来てやったぞ。」

 

カノン「東郷ちゃ〜ん。」

 

東郷「タケルさん、マコトさん、カノンさん。」

 

友奈「あれ?何してるの?」

 

東郷「ちょっと調べ物。」

 

友奈「何何?何を調べてたの?」

 

東郷「大した事じゃないから。」

 

友奈「良いじゃ〜ん。教えてよ〜。」

 

マコト「おい友奈、あんまり責めるな。」

 

東郷「・・・調べてたのは、私達が暮らすこの国の特殊性。及び正しいやり方を神世紀以前からの国家に比較考察させて、現在の五穀思想の源流を大和神話の関連性に求める事の有意義。そして私達が今後担う時代のやり方を・・・」

 

友奈「ごめんなさい、私が悪かったです!頭が追い付かない・・・」

 

タケル「流石歴史に詳しいね。」

 

カノン「私も追い付かない・・・」

 

東郷「それより、来てくれてありがとう。」

 

友奈「私も東郷さんと話したかったし。って言うか、東郷さんが居ないと、学校の楽しさがとおしゃぎしゃんありげんだよ〜。」

 

東郷「随分減っちゃうんだね。」

 

 

 

 

数分後。

 

友奈「そっか、東郷さんは左耳が聞こえないんだね・・・」

 

東郷「うん。」

 

タケル「聴覚障害と一緒だね。」

 

東郷「はい。」

 

友奈「大丈夫!すぐ治るよ!」

 

東郷「そうね。」

 

友奈「目一杯戦ったし。」

 

東郷「体がちょっと悲鳴上げてるのかな?」

 

友奈「そうだね。さてと、そろそろ帰らないと!明日もまた来るね。」

 

東郷「うん。待ってる。」

 

タケル「じゃあ俺も、友奈を連れて帰らないといけないし。」

 

友奈「それじゃあね〜。」

 

東郷「うん。」

 

カノン「東郷さん、お大事にね。」

 

タケルと友奈とマコトとカノンが病室から出た。

 

 

 

 

その後東郷がパソコンを開いて、5人の異常個所を調べた。すぐに何処かに電話する。

 

???『私だ。』

 

東郷「あの、伺いたい事があるのですが。」

 

風『スルーされた・・・んで何?』

 

電話相手は風だった。

 

東郷「満開の後遺症とか、そう言う事について風先輩は何か聞いていますか?」

 

風『満開の後遺症?何それ?』

 

東郷「実は・・・」

 

 

 

 

犬吠埼家。

 

風「ちょっと待って?アカリさん、晩御飯作ってくれる?」

 

アカリ「分かったわ。」

 

 

 

 

料理をアカリに任せて外に出た。

 

風「友奈の味覚が無くなって、東郷は左耳が聴こえない・・・満開を起こした者全員?」

 

東郷『はい。』

 

風「友奈・・・言ってくれたら良かったのに・・・」

 

東郷『友奈ちゃんの性格です。皆に心配掛けないよう、言い出せなかったんだと思います。』

 

風「あの子らしいね・・・」

 

東郷『風先輩は、大赦から何か聞いてないですか?』

 

風「うん、何も・・・」

 

東郷『大赦の方々とか知らなかったんでしょうか?』

 

風「そうだろうね・・・ごめん、こんな事になって。」

 

東郷『風先輩が悪いんじゃありません。それに体の調子だって、きっとすぐに治りますよ。』

 

風「・・・そうだよね。病院の先生もそう言ってたし。」

 

東郷『兎に角、大赦からの返答待ちですね。』

 

風「うん。」

 

東郷『ありがとうございます。それではまた。』

 

風「うん。またね。」

 

通話を切った後、風はスマホを強く握り締めた。

 

風「満開の後遺症って・・・何よそれ・・・」

 

 

 

 

 

 

同じ頃夏凜は、何時もの浜辺で剣舞をしていた。

 

夏凜「ふぅ・・・」

 

仰向けになって休憩する。

 

夏凜「戦い、終わっちゃった・・・私、これからどうすれば・・・」

 

”ピロリン””ピロリン”

 

夏凜「ん?」

 

着信音が鳴った。風からのメッセージだった。

 

風『バーテックスとの戦いの後、体におかしなところない?』

 

夏凜『ないわよ、何かあったの?』

 

風『満開を起こした人は、身体のどこかおかしくなってる』

 

夏凜「それって、私以外の全員・・・?じゃあ、友奈や東郷も・・・私だけ・・・私だけ傷を負ってない・・・これじゃ、一番役に立ってないみたいじゃない!私は、戦う為にここに来たのに・・・・」

 

 

 

 

 

 

後日の病室。

 

友奈「あ、そろそろ帰らないと。」

 

東郷「津の国の、難波の春は、夢なれや、葦の枯葉に、風渡るなり。」

 

友奈「それって?」

 

タケル「西行の歌だね。」

 

東郷「はい。春が来たと思ったら、もう枯葉ばかりになっている。楽しい時の流れは早いって事。」

 

友奈「東郷さんと話していると、時間はあっと言う間だよ?明日もまた来るね。」

 

東郷「うん。」

 

友奈「HTMLの本、貸してくれてありがとう。それじゃあね〜!」

 

タケル「お大事に。」

 

東郷「また明日。」

 

2人が病室から出た後、東郷はパソコンに回復の兆し無しと入力した。

 

 

 

 

 

 

翌日の部室。

 

友奈「えっと・・・H、A、E、D・・・」

 

パソコンの入力に集中する友奈。風と樹は一学期の活動報告を纏めていた。

 

友奈「ふぅ・・・やっぱり調子出ませんね・・・」

 

樹『かりんさん、ずっと来てないですね。』

 

友奈「SNSにも返信が無くて、夏凜ちゃん、授業が終わるとすぐ帰っちゃうし・・・」

 

風「そっか・・・」

 

友奈「私、夏凜ちゃんを探して来ます!タケルさん!マコトさん!」

 

タケル「うん!」

 

マコト「ああ!」

 

3人が夏凜を探しに向かった。

 

 

 

 

まずは夏凜が住んでるマンションへ向かった。インターホンを鳴らしても返事が来ない。

 

友奈「居ないのかなぁ・・・?」

 

タケル「外かもね。」

 

マコト「何処に居るんだ?彼奴。」

 

 

 

 

その後、CRF250Lとマシンフーディーに乗って夏凜を捜索する。

 

友奈「夏凜ちゃんって、普段何処に居るんだろう?」

 

タケル「特訓が欠かせないから、山とかじゃないかな?」

 

 

 

 

神社に着いて、夏凜を捜索する。

 

友奈「夏凜ちゃんが、行きそうな場所・・・」

 

マコト「だったら俺に着いて来い。夏凜が居そうな場所が思い付いた。」

 

友奈「本当?」

 

 

 

 

 

 

夕方の浜辺。夏凜が剣舞をしていた。

 

友奈「夏凜ちゃーーーん!!」

 

やっと夏凜を見付けた。

 

夏凜「友奈?」

 

友奈「うわっ!?」

 

走ってる途中で転んだ。

 

夏凜「ちょ、何やってるのよあんた!?」

 

友奈「痛い・・・夏凜ちゃん、そこは駆け付けて受け止めてよぉ〜。」

 

タケル「無茶でしょそれ。」

 

転んだ友奈を起こす。

 

友奈「タケル、マコトまで。」

 

マコト「やはりここに居たか。」

 

夏凜「何しに来たの?」

 

友奈「部活へのお誘い!最近夏凜ちゃんが部活をサボりまくってるから。」

 

夏凜「・・・・・」

 

友奈「このままじゃ、サボりのバツとして、腕立て1000回とスクワット3000回と腹筋10000回させられるようになるんだけど・・・」

 

夏凜「け、桁可笑しくない!?」

 

マコト「明らかに拷問だな。」

 

友奈「でも、今日部活に来たら全部チャラになりまーす!さぁ、部活に来たくなったよね?」

 

夏凜「ならない。」

 

友奈「部活、来ないの?」

 

夏凜「元々私、部員じゃないし・・・」

 

友奈「そんな事・・・」

 

夏凜「それに、もう行く理由が無いのよ!」

 

友奈「理由って?」

 

タケル「もしかして、戦う理由が無くなったのか?」

 

夏凜「そうよ。私は、戦う為にこの学校に来た。あの部に居たのは、戦う為に他の勇者達と連携を取った方が良いからよ。それ以上の理由なんて、無い・・・大体、風も何考えてるのよ!勇者は、バーテックスを殲滅する為の部なんでしょ!?バーテックスが居なくなったら、そんな部、もう意味無い!!」

 

友奈「違うよ!!」

 

夏凜「え?」

 

友奈「勇者部には、風先輩が居て、樹ちゃんが居て、東郷さんが居て、夏凜ちゃんが居て、そしてタケルさん、マコトさん、アカリさん、御成さん、カノンちゃんが居て、皆で楽しみながら、人に喜んで貰う事をしていく部だよ!バーテックスなんて居なくても、勇者部は勇者部!」

 

夏凜「でも・・・」

 

友奈「戦う為とか関係無い!」

 

夏凜「でも、私・・・戦う為に来たから、もう戦いが終わったから、だからもう、私には価値が無くて・・・あの部に居場所ももう無いって思って・・・」

 

マコト「夏凜、何時までそれに熱心してるんだ?」

 

夏凜「え?」

 

マコト「戦う為に生まれたとか、戦いが終わったからもう自分に居場所が無いとか、そう言うのにまだ取り憑かれているのか?理由が無いなら、また新しい理由を作れば良いだろ?」

 

夏凜「新しい理由なんて・・・・」

 

友奈「勇者部五箇条ひとーつ!」

 

夏凜「えっ!?」

 

友奈「悩んだら相談!」

 

夏凜「え?」

 

友奈「マコトさんの言う通り、戦いが無くなったら居場所が無くなるなんて、そんな事無いんだよ?夏凜ちゃんが居ないと部室は寂しいし、私は夏凜ちゃんが居ると楽しいし、それに私、夏凜ちゃんの事が好きだから!!」

 

夏凜「な・・・!?」

 

告白された夏凜が頬を赤くした。

 

夏凜「た、たく、しょうがないわね!!そこまで言うなら居てあげるわよ!勇者部。」

 

友奈「やったー!じゃあ早速行こう?」

 

夏凜「え?」

 

友奈「っとその前に。」

 

夏凜「な、何?」

 

友奈「ちょっと、買い物をね。」

 

マコト「夏凜。」

 

ヘルメットを夏凜に渡した。

 

マコト「行くぞ。」

 

タケル「行こう?」

 

 

 

 

 

 

その後の勇者部。

 

友奈「結城友奈!帰還しましたー!」

 

風「おかえり友奈。」

 

アカリ「タケルおかえり。」

 

タケル「ただいま。」

 

カノン「おかえりお兄ちゃん。」

 

マコト「ただいま。カノン。」

 

風「お、夏凜も来たのね。」

 

夏凜「ゆ、友奈とタケルやマコトがどうしてもと言うから・・・」

 

マコト「素直じゃないな。」

 

樹『よかったです。』

 

友奈「うん!それと・・・これ、差し入れです!」

 

シュークリームを買って来たのだった。

 

アカリ「シュークリーム!」

 

樹『これ、駅前の有名なお店ですよね!』

 

友奈「樹ちゃん正解!」

 

風「あ、でも、お菓子は、友奈味が分からないんじゃ・・・」

 

友奈「あれ?気付いてたんですか?」

 

風「ごめん友奈・・・樹も・・・私が勇者部の活動に巻き込んだせいで・・・」

 

友奈「こんなのすぐに治りますよ!風先輩気にし過ぎです!」

 

樹『そうだよ!』

 

御成「友奈殿の言う通りですぞ。風殿のせいじゃありません。」

 

友奈「それに、私は自分から望んで勇者部になったんです!って訳で、結城友奈は今後、風先輩からの御免は一切聞きません!」

 

樹『私も!』

 

タケル「俺も風の御免は聞かないよ。」

 

マコト「タケルと同じく。」

 

アカリ「風ちゃん、困ったら私達に相談だよ?」

 

御成「拙僧も風殿を信頼していますぞ。」

 

カノン「風ちゃんが居ると楽しいしね。」

 

風「・・・ありがとう。」

 

友奈「それより早くシュークリーム食べましょ?風先輩が飢えて倒れちゃうと思って買って来たんですから〜!」

 

風「ちょっと!私が24時間お腹を空かせてると思ってない!?」

 

樹『ちがうの?』

 

風「ゲッ!?妹にまで!?」

 

マコト「うどん何杯も食ってるお前が言う事か?」

 

風「マコトさんにまで!?」

 

夏凜「と言いつつ、真っ先にシュークリームに手を伸ばしてるし・・・」

 

風「あ、これはえっと・・・し、静まれ!私の右手!!私の中の獣が暴れ出す!!」

 

樹『獣(女子力)。』

 

風「そう!それ!」

 

夏凜「それで良いの・・・?」

 

タケル「それってただの中二病じゃ・・・」

 

アカリ「でも早く食べましょ?」

 

 

 

 

 

 

夜。夏凜が部屋で大赦にメールを送った。

 

夏凜(私は、戦う為に自分が存在するのだと思ってた・・・戦う為に勇者になって、戦う為にこの学校に来て・・・でも、戦いに関係無く、私がここに居て良いなら・・・)

 

 

 

 

マコト『戦う為に生まれたとか、戦いが終わったからもう自分に居場所が無いとか、そう言うのにまだ取り憑かれているのか?もう理由が無いなら、また新しい理由を作れば良いだろ?』

 

 

 

 

夏凜(マコトが言っていた、新しい理由・・・)

 

するとメールが来た。

 

東郷『私の退院日が決まりました。』

 

友奈『やった!』

 

樹『退院おめでとうございます。』

 

風『お勤めご苦労さん』

 

東郷『風先輩、言葉がおかしいですが・・・退院日は、急ですが、明日だそうです。』

 

 

 

 

 

 

翌日の羽波病院。

 

御成「遂に東郷殿が退院出来ますな〜。」

 

アカリ「思ったよりあっと言う間だったね。」

 

友奈「あっ!」

 

そこに、看護婦と一緒に東郷が来た。

 

友奈「東郷さーん!」

 

東郷「友奈ちゃん!」

 

友奈「あ、私が!」

 

看護婦「はい。」

 

友奈「ありがとうございます!」

 

東郷「ありがとう。友奈ちゃん。」

 

友奈「ううん、ここは私の定位置だよ?」

 

東郷「くすっ。東郷美森!勇者部に帰還しました!」

 

風「ご苦労である!東郷准尉!」

 

東郷「はい!」

 

タケル「何時から准尉になったの?」

 

風「ふふ〜ん。」

 

夏凜「全く、変な奴らね。あんた達って。」

 

マコト「そこが勇者部の良い所だ。」

 

友奈「これで勇者部メンバー、全員復帰だね!」

 

 

 

 

 

 

夕方、全員が屋上へ出た。

 

友奈「風が気持ち良い〜!」

 

東郷「ええ。」

 

タケル「心地良い風〜。」

 

風「ん〜〜!!日が暮れたらやっと涼しくなった〜。」

 

友奈「この街を、私達が守ったんだね。」

 

風「うん。」

 

夏凜「と言っても、普通の人達は私達の戦いなんて何も知らないんだけどね。」

 

風「そうね。でも、皆が居なかったらこの世界は無くなっていた。ここに住む人達は死んでた。」

 

友奈「はい。」

 

タケル「そうだね。」

 

東郷「私、初めての戦いの時、凄く恐かった。恐くて逃げたくて、でも逃げなくて良かった。私、ちゃんと勇者出来たかな?」

 

友奈「出来てたよ。東郷さんは、凄く格好良い勇者だった。」

 

すると夏凜のスマホに着信音が。大赦からの返信だった。内容は、卒業まで讃州中学校居られるとの事。

 

夏凜「・・・・」

 

東郷「夏凜ちゃん嬉しそう。」

 

夏凜「べ、別に喜んでないから!」

 

友奈「何のメールだったの?」

 

夏凜「・・・何でも良いでしょ!?」

 

友奈「え〜?気になる〜。」

 

カノン「夏凜ちゃん楽しそう。」

 

夏凜「な、何言ってるのよ!カノン!」

 

 

 

 

そして風は、大赦からのメールを見ていた。

 

『勇者の身体変調と満開の関連性については調査中です。しかし貴方達の肉体に異常は見つかっておらず、変調は一時的なものと思われます。』

 

満開の後遺症なのか大赦も分からないと言う。

 

 

 

 

友奈「そう言えばさ、もうすぐ夏休みだよ?何しよっか?」

 

夏凜「う、海に行くとか・・・」

 

風「え?何て?」

 

夏凜「な、何でも無いわよ!」

 

友奈「だよね!夏と言えば海!」

 

樹『山でキャンプも。』

 

カノン「キャンプ、良いね〜!」

 

東郷「夏祭りも楽しみね!」

 

タケル(夏祭りかぁ・・・)

 

風「花火もやっとく?やるからには、打ち上げ花火100連発ぐらい!」

 

友奈「全部やれば良いよ!全部やろ?」

 

タケル「火傷しそうだね。」

 

 

 

 

全ての戦いが終わった後、彼らは日常に戻った。戦わなくても、勇者部は続く。時間は無限にある。夏休みが始まった。

 

「END」




         キャスト

    天空寺タケル:西銘駿

     深海マコト:山本涼介

      結城友奈:照井春佳
      東郷美森:三森ずすこ
      犬吠埼風:内山夕実
      犬吠埼樹:黒沢ともよ
      三好夏凜:長妻樹里

     月村アカリ:大沢ひかる
        御成:柳喬之
     深海カノン:工藤美桜

       看護婦:浜崎奈々
   男性キャスター:中村太亮

第七話・合宿!牧歌的な喜び!

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