脳無しのわたしのヒーローアカデミア   作:橋里うら

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DDD三巻がまだ出てないのが悪い


序章

もくもくの宇宙から脱出した私はヒーローになった。

 

 

 

 

 

 

入学日特有の高揚した空気を尻目に机に俯せ、何故こうなったのか思考する。

真新しい机は流石に硬くて、不貞腐れて寝ようとするのには向かなかったけれど、ひんやりとして頭を回すのには丁度良い塩梅だ。

本当は既に答えなんて知れているのだけれど、考えざる負えない程の、所謂頭痛が痛い案件に対する疑問を何度も掘り返してしまう。

 

なんでわたしなんかがヒーロー育成の最難関高校に通っているのだか。

 

 

 

まず、本質的にわたしはヴィランである。

 

これは間違いがない。

ヴィラン向きの個性だとか、顔が悪人面と言うわけでもなく。ただ私の嗜好は人を害する事にあるからである。

というか実際にわたしは何人か殺しているし、それは止む無くだったり、間接的にという意味でもない。

少しでも手応えがあって、私から言わせると美味しい人を見つけたのなら、迷わず殺し合いと洒落込むし、それ未満ならば手軽に終わる。こう、頸髄をペキッと言うような感じで。

 

殺人、と言うかそれまでの過程を嗜好するわたしはヴィランだとしか言いようのない、はずなのだ。

 

だから、こんなところに座っているのがわたしからすれば見当違いも甚だしくて。

元々縁のなかったはずだと言うこともあり、高校生活というもの自体も憂鬱なのだ。わたしが学校に通っていたのは15歳までだし、それから2年間入院していた身としては、学習の面じゃ間違ってはいないのだが、15歳に一人混ざる17歳というのが頂けないというのもある。

病気の都合上、見た目がどう考えても15歳に見えないというのもそれを助長している。

見た目年齢で言えばわたしは20前半と言ったところが妥当なのだ。制服を着ていることですら違和感に見られる。通学途中の、何コイツ制服コスプレしてるんだ?と言う視線はもうごめんなのである。

高校が義務教育じゃないのが恨めしい。

 

それでも、仮にも政府からのお願いなのでこうしてこの場に居るわけなのだけれど。

我慢する事をやめるための病気だったはずなのに、結局はその事で我慢を強いられているのは本末転倒。

 

全ては銀河最強のニートのせいである。くそぉ。

 

 

 

 

 

通称、悪魔憑きと言うのは正式な名称をA異常症と言って、簡単に言えば精神の疾患を肉体に機能を付け加える事で解決しようとする病気である。要するに精神病の一種。

症状の重症具合によってランクがA~Dに分けられて、Dは人間を辞めているのばっかり。その中でも際立っているのは"無し"と症状の起点につけて呼ばれる。

わたしは勿論D判定で"無し"の一人。無いのは脳。つまりはブレインレスって呼ばれていた。能無しに聞こえるから、わたしはこの呼び方が好きじゃないけど。

 

症状は一度受けたものに耐性をつけること。比較、と言っても良いかもしれない。関わった相手より強くなる、と言うのがわたしの病気。

症状の起点は脳であるから、脳目掛けて耐性のない方法で即死させない限り、わたしは死なない上にその耐性を獲得すると言う寸法だ。

破格と言っても良いほどだが、当然のようなデメリットがある。

 

一つ目は、老化。成長と言い換えてもいい。相手よりも強くなるという成長によってわたしの身体は1分単位で昔のわたしとかけ離れていく。だからわたしの容姿は17歳にして20代前半のように見られる。

 

もう一つは比較からわかるように、日常の中にさえいれば、強くなるための要素がないから、普通の人間と大して変わらないはずなのだ。一度でも格上と戦えればその限りではないけれど、それまでは何もないただの人間だった。

いや、それだけならそれよりほんの少し強くなるだけで、倒せないとまではいかなかった。

 

でも散乱銃ぶち込んでくる鬼のような人だったり、毒が効かなくなるからって面白がって実験する人がいるから。

トドメにそれをとある馬鹿の宇宙で百人斬りならぬ四千惑星斬りなんかさせるから。

 

 

 

 

ーーここは何の諍いもない、もくもくの宇宙なのだよ。

 

 

 

 

それはわたしと同じ病気から発生したもので、無関心と拒絶が生み出した、独りぼっちの宇宙。究極の引きこもりのための宇宙。地球の外。

 

 

出口はない。宇宙なのだから当然空気もない。

 

出るには宇宙にある全てを破壊するしかなく、その宇宙は宇宙であるが故に人の認識の範囲ではあるが膨張を続ける。

そんな宇宙に踏み込んでしまったが運の尽き。

 

精神も肉体も、死んでは生き返ってを繰り返して身体が人間の原型も無くした頃、時間にすると2000年掛けて漸く脱出出来たのだ。

そうして、わたしは人二人で観測できるスケールだけの宇宙だとは言え、わたしは宇宙よりも強くなれると証明された。

その宇宙での出来事は部屋の崩壊と共に無かったことになったけれど、地球、もしくは人類を滅ぼす事が可能だと証明したわたしを抑止力は別の場所に飛ばしたのだった。

 

 

それで着いた世界は個性とかいう特殊能力を持つ人間のいる所。わたしはそうして飛ばされて来たというワケ。というかこの世界もきっと地球な事に変わりはないんだろうけど、地球のための抑止力もないんだろう。あったら個性なんてものが出てきた時点で地球に対する危険因子として人類は滅びてるだろうから。まあ、入れる場所があるだけ僥倖。

そうしてなんの脈絡もなく落ちてきたわたしはヒーローに保護されて、危険性故に敵には回せないし牢獄も私を閉じ込めるには強度が足りないので此処にいる。絆されてヒーローになってくれるのなら万々歳だという事だろう。

ついでに言うと、わたしを倒せる可能性があるのが最強のヒーローであるオールマイトだから私の身柄はオールマイト預かりである。そのオールマイトが雄英高校に就任したのだから、付いてきたというだけのこと。

政府はわたしを殺すことの出来る可能性が唯一あるとしたらオールマイトだと思ったのだろうけれど、関わる生命の中に地球が含まれる時点でこの惑星で最強の座はわたしのものだ。

だから本当は従う理由もないのだけれど、このまま暮らそうとするならその方がが戸籍やらの関係で便利だっただけ。

 

本命がこの世界にいないなら、何かしら戻る方法が見つかるまでは暇つぶしに時間をそうして使ってもいいと思ったのかもだ。

 

ハンデとか制約ありとは言え、一番色々と戦えるのはヒーローらしいからね。

 

 

 

 

 

だからと言って机に伏せてるのに話し掛けてくるのやめてもらえます??

 

確かに推薦一位はわたしだけど、そうして囲んで質問責めにしなくてもいいじゃん!

 

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