昨年内に投稿できず申し訳ないです。
なので今回はその分内容詰め込みましたが、3ヶ月かけて書いた上、文字数過去1になったので誤字とかあったら申し訳ないです。
Twitter見つかったので @tsubak12yu34
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最後に、今年もよろしくお願いいたします。
「これがゲーセンですか…」
歩いて数十分、目的地へと到着し、彼女の第一声からは興味や関心というよりも何かに納得したかのような反応が伺えた。
ただ、見た目美少女でコミュニケーション能力も高くていかにも男ウケしそうな彼女がゲーセンに来たことないのは意外である。俺に誘われてほいほいついて来るような性格なので、確実に他の男子だけに限らず女子の友達から誘われて遊びに行くと思うんだがなぁ…。
「どうかしたか?」
「いえ、よく学生が入っていくのを見かけたので」
学生がゲーセンで遊ぶ確率は高いし、特別意識しなくても視界に入るよなぁ。
田舎であるこの街で遊ぼうと思ったらスポーツセンター、ゲームセンター、ショッピングモールくらいの選択肢しかないからな。
あれ?意外と多いな。やや遠出をすれば動物園やアニメショップなどもある…この街意外と栄えてるのか。これは田舎警察に指摘されるかもしれない。前言撤回、それなりの街だと述べておこう。
けれども、スポーツセンターがあるせいで男女で仲睦まじくテニスしたりバドミントンしたりする様を見かけてしまうし、ショッピングモールがあるせいではたまた男女が「この服〇〇に似合うよ〜」、「あーやっぱり似合ってる〜」などと惚気、ボディタッチをしながら洋服屋でショッピングしてる様を見かけてしまうので、二つの意味で何で栄(盛)えてんねんと嫉妬からツッコまざるを得ない。
「まぁ、この街で出かけるところなんてそんなないですしね」
「いや、意外とあるぞ。俺は出かけたくないけど」
「理由をきいても?」
「…休日は暇を持て余したカップルが徘徊してるからな」
「カップルをRPGのモンスターみたいに例えないでください、気持ちはわかりますけども…というか……」
なぜか呆れられたが、出かけると群がるリア充を見つけては精神が病むので、引きこもらせてくれと切に願う。
なお引きこもろうとしたら幼馴染みが連れ出そうとする模様。
自動ドアが開き店内へ入る。
「…煙草の匂い、ゲーセンて喫煙可なんですねぇ」
すんすんと鼻から空気を吸い込んだ後、言葉を発する後輩。
「場所によるな、ここは喫煙可だけど禁煙の…」
「あ、これやりたいです」
「聞けよ」
俺のゲーセンについての補足を聞かず、プレイしたいのであろうクレーンゲームを指差しながら小走りで向かっていく。
「見てください、この丸いフォルム、そしてガラス越しからでもわかるふわふわ感…やりたいです、欲しいです、そして抱きたいです」
…最後付近の台詞だけを聞いたら性的な意味で捉えられそうだな…。いや本人にそんな意図がないことはわかってるけどね、男子高校生だからね、仕方ないね。
「やるといいと思うよ」
「…そこは「俺に任せとけ(キリッ)」と言って、黙ってプレイするもんじゃないんですか。少女漫画でそういうシーンをみました」
「…そういうシーンよくあるよな。だが、そのクレーンゲームの費用は男持ちで、プレゼントとして渡すんだ」
「なるほど、言いたいことはわかりました。俺に任せとけということですね」
うんうんと頷き、こちらに視線を移し目元を緩めてからサムズアップをする。…可愛いな…じゃなくて。
「わかってないな…。俺の金が減るからやりたくないし、ついでにこの前のファミレスの代金返せ」
「はい、いくらでしたっけ」
ポケットから財布を取り出し財布の中から小銭を取り出そうとしてきた。
「千円もしないくらいだったから冗談だったんだが…俺がケチで心が狭いやつみたいになるじゃないか」
「ファミレスの代金は元々返すつもりでしたし気にしないでいいんですけど。それに、この前言いましたよね、男の人にお金を出してもらうのを普通だなんて思ってないって」
そもそもここに誘ったのは俺である(なぜ誘ってしまったのだろうと授業中に悶々と考え込んでいたが)。
誘っておいてプレゼントもないのかとSNSに書き込まれてバズって叩かれる可能性を考慮するならば、取るべき行動は1つだろう。
「このぬいぐるみでいいのか?」
「えっと…冗談半分だったので気にしなくてもいいんですけど」
慌ててぶんぶんと手を左右に振る反応をみせる後輩。
「そもそも誘ったの俺だしな、プレゼントとして取るのも悪くないだろう」
「急なキャラ変は反応に困ります、ついでにその言葉遣いも身体が痒くなるのでやめてください」
辛辣だ…。ただ言葉とは裏腹に彼女の表情は明るく口元も緩んでいた。
その様は初めて会ったときから時たま見てきたもので、ただ妙に眩しく見えたのはきっとゲーセンのライトが強かったせいだ。
「…すまん」
100円玉ではなく500円玉を投入する。600円で6回プレイではなく、500円を一気に投入することで6回できてお得と書いておくことで、確実に稼ごうとするクレーンゲーム界の策略にあっさり嵌ってしまう。
普段ならケチって100円でとれなければ諦めろをモットーにしていたのだが。
そんなことを特に気にせずにいられるのは横にいる彼女の楽しそうな表情に魅入ってしまったから。
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「そろそろ諦めてもいいんですよ…?」
「あと少しだけやらせて」
財布の中の子兵たちは消え去り、残るは野口さん1人という圧倒的不利な戦況に陥っていた。
「なんでムキになってるんですか、お金使いたくなかったんじゃないですか」
プレイ中、隣で期待や嘆きの声を聞き続けたせいか、ぬいぐるみを取ったときの反応がみたいと思ってしまったのだろうか。
「崩してくるからちょっと待っててくれ」
その場に後輩に留まってもらい、両替機のもとへ小走りで向う。
これまで千円札を突っ込むときに味わってきた忸怩たる気分はなく、早くあの場へ戻りたいという考えていた。
チャリチャリと出てきた100円玉を手に取り、後輩のもとへ戻る。
「「あ…」」
ぽすん…と何かが落ちた音が聞こえた。
それが何か考えるよりも早く後輩の腕に抱えられたものを見て何か理解できた。
「いや、まさかとれるなんて思ってなかったんですよ」
「…とれたならよかったよ、うん」
まさか俺が2.5野口を使用した後、両替に行ってる間にこうもあっさりぬいぐるみを取ってしまうとは。初めてでこれなら相当クレーンゲームの才能があるのではないか。
上の上ですね、と、どこぞのオル〇ェノク社長の声が脳内に響いた気がした。
「でも、これは先輩の頑張りがあったからで、えぇと…送りバントみたいな…ゴール前へのセンタリングみたいなものがあったから取れたので…落ち込まないでくださいよ!」
「全然落ち込んでないから。俺はホームランを打つつもりだったのに送りバントだったりシュート決めるつもりだったのにセンタリングだったりなのは気にしてないから」
「めちゃくちゃ気にしてるじゃないですか!…でもあれですね、これが初めての共同作業になるなんて…ケーキ入刀までとっておきたかったんですけど」
「ちょっと待て、誤解を招く発言はやめてくれ」
いきなり何を言い出すんだこの後輩は。思春期の男子高校生はちょっとした言葉で意識してしまうものであり、つまりこの後輩のウエディングドレス姿まで想像してしまうものである。そして離婚届を提出されるとこまで未来が見えた気がした。悲しい。
「…照れました?」
にひひと柔和な笑みを浮かべこちらの様子を伺ってきた。
しかしすぐに顔を背ける。このままだと妙に意識してしまうような気がした。
「じゃあ初めての共同作業記念に写真撮りましょう」
「は?」
気づいたときには後輩に腕を掴まれ、ぬいぐるみを一緒に持たされていた。
「はい、チーズ」
シャッター音は店内のBGMによってかき消されたのか、それとも自分の心臓の音でかき消されたのか、どちらかわからなかった。
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「先輩弱すぎません?」
「俺が弱いんじゃなくてそっちが強すぎるんだ」
その後アーケードゲームにてボロ負けしていた。格闘ゲームは五分五分だったが、このパズルゲームは完敗である。決してさっきの出来事を引っ張ってドキドキしていたわけではなく、単純に実力負けである。悔しい…!悔しい…!圧倒的敗北!
「なんだよ14連鎖って」
ぶよぶよは一般人なら3連鎖できればすげー(小並感)みたいなものなので、それゆえ14連鎖は常人には理解不能であり、廃人と恐れられても文句を言えないのでは。
「昔、母と対戦してたんですけど負け続けてたら煽られまして…それ以降めちゃくちゃやりこみましたもん」
「へぇ…やりこめば上手くなるもんなんだな…」
「あ、なら私が教えますよ14連鎖を!」
後輩の目がいきいきとしていた。俺よりも友だちと一緒にやった方がいいだろうと思うが、その友達ドン引きしそうだしなぁ。
「なら5連鎖くらいできるように教えてくれ」
仕方なく教えを乞おう。今度美紅でも連れて負かしてやりたい。この後輩には勝てる気しないし。確実に勝てる相手との勝負を選ぶこと、これはせこいわけでなく、力量差をしっかりわかってる賢い男だと言って欲しい。
流石だぞ!相手との力量差をばっちり理解しているんだな!
「これをここにおいて、こうです」
画面の場所指示しながらゆっくり教えてもらう。
「あーなるほど」
「意外と飲み込み早いですね」
「同じ色を揃えればいいんだろう」
30分程それなりに教えこまれて何となくどうすればいいかがわかってきた。自分で言うのもなんだが意外と上手いのでは?
「そういうことです、じゃあもう一度やりましょう」
「あぁ…いや待て、金なくなった」
コインを投入しようと財布に手を入れて気づく。
仕方ない、今日はこの辺りでお暇しようじゃないか。時間もちょうど17時40分を過ぎたところで、これから日も沈み暗くなるのでいい頃合いだと思う。
「仕方ないですねぇ…また次回やりましょう。そうだ、家にカセットあるので今度家でしますか?お金もかからないですし」
どのように返事すればいいんだ。この瞬間と試験前日ばかりは1秒をどうにか引き延ばせないかと思うものだ。
ゲームするだけといえど家に一人で誘われる。これについての解を1日考えても導き出せそうにないので、1秒を引き延ばしたところで無意味だと悟った。というか考え込むあたり女子への免疫のなさを改めて痛感してしまった。
「…姉がいるので変なことは起きませんよ?」
「変なことってなんだよ」
「…えっ…ちなことです…って言わせようとしてません?」
お前のことはお見通しだと言わんばかりに、してやったり顔で問い返してきた。
「それはさておき、そろそろ帰るか」
後輩の方へ目配せして、出入口へ向かう。
「ちょっと…答えを聞いてないんですけど」
ぬいぐるみを袋に入れて左手で持ち、鞄を右肩にかけようとしていた状態で立ち上がり、俺の制服の裾を右手で掴むので鞄が反動で俺の腕に当たる。そこそこ入った教科書の重みが微妙にダメージになった。
「あ、すみません」
鞄が当たったことを即座に謝る。そしてもう一度問いかけてくる。
「それで、今度は家でしますか?」
「…迷惑でなければ」
断るという選択肢は先ほど少し考えたときから浮かんでなかったが、はっきりとYESとは応えられず、結果として曖昧な返事になってしまった。
「じゃあ、決まりですね。今週の土日のどちらかでお願いします」
「土日空いてるとは言ってないんだが」
「引きこもる予定だったんじゃないですか?なら大丈夫ですよね」
何かぐいぐい来るな…嫌というわけではないがなぜこんなに押しが強いのか。
「先輩宅に引きこもらずに、私の家に引きこもりましょう」
もともと透き通った綺麗な声の後輩だが、声高らかに話すためか、入ってくる音がゲーセン内とは思えないほど心地よかった。
ドアが開き、外へ出る。
太陽が沈みかけ、周囲は徐々にオレンジ色に染まり、街頭もチカチカとつき出していた。
初めて会ったときは今よりも、もう少し早い時間だったが、あのときと同じくらいの明るさだ。
そして横で別れを告げる彼女の微笑み、声もあのときと変わらないように感じられた。たしかあのときは、「また学校で」と言われた気がする。
「ではまた学校…で会うかは分からないですけど、前日までにはメッセージ送りますので。詳しいことについてはそのときに。…約束忘れないでくださいね」
「あぁ…またな」
今回あのときと違うのは、互いに挨拶が交わされたこと。約束があること。
その2つを実感して少しだけ胸が熱くなった気がした。
踵を返して自宅へ戻ろうと、歩き出す。
するとスマートフォンの振動が伝わってきたのでポケットに手を突っ込み画面を見る。
歩きスマホはよくないので、しっかりと足をその場で止める。
画面確認すると後輩からメッセージ送られていた。
『今日は誘ってくれてありがとうございます。楽しかったです』
楽しんでもらえたなら何よりだ。この時、俺の口角は上がっていたと思う。
メッセージひとつで喜ぶなんて初めてだなと思っていたところで画像が送られてきた。
今日撮った写真だ。
自分の顔、間抜けヅラっぽいな…急に撮られたので仕方ない部分もあるからと理由づけしておく。
それは置いておいて…やはり後輩は可愛い。写真越しでもそうだと改めて思った。
写真映りもよい美少女とか惚れないのが無理じゃないか。