椛ふわっふわですよねきっと。
改めてルールを確認していきたいと思います!
それでは!
太陽はすっかり頭上に昇り
時間帯で言うところのお昼前ってところだろうか。
風はそよそよ吹き、山の上ではあるが、過ごしやすい気候となっている。
椛と文はそれぞれほかの天狗を呼んで来ており
天魔が居る赤い建物(あとから聞いたが、鞍馬館というらしい)
その前の草むらの広場に集まっていた。
海星「天狗もなかなか沢山いるんだな。」
広場についた天狗たちをみながらポツリとそう呟く。
身体の大きさや形、色々な天狗たちがいる。
そこへ自分にに気づいた椛がこちらに飛んでくる。
椛「私の仲間や、文先輩のような鴉天狗や、ほかにも大天狗まで沢山来てしまいましたね…。話が大きくなりすぎというか…。」
たしかに今思い返しても、文と椛は違う種族の天狗であろう。
少なくとも文に獣の耳はついていなかった。
海星「まあ、こーゆーのは大勢でやった方がいいからな。」
最悪でも天魔を説得すればいいのだが、力を見せつけるにはまずみんなに見てもらった方が早い。
それはこの長い人生で学んだ多くのことの一つだ。
椛「なかなかに自信満々なんですね、海星さんは。
怖くないんですか…?」
我が身のように心配そうな顔をして椛はこちらを見つめる。
椛「文先輩は、種族の中でもトップの速度を誇る鴉天狗の中でも更に1番のスピードをもっています…。
鬼ごっこは確かに怪我はしないかもしれないですが、勝ち目を考えると相当策を凝らさなくてはいけないかと…。」
なるほど、種族の中でも得手不得手があるようだな。
鴉天狗はスピードが売りのようだ。
海星「なるほど。なら椛のような狼の天狗はどんな強さがあるんだ?」
何気なく聞いてみる。
椛「あっ…え。いまなんて…?!お、お狼って言ってくれたんですか?!?」
椛は急に取り乱したように聞き返してくる。
海星「ん??どうした?確かに狼だろう?」
そういいながら椛をじっくりとみる。
確かに人型になって、狼っぽさは薄まっているが
太古の昔から幾度となく、
(ましてや、こちらの世界に来て最初に会ったのは狼だったしな…)
オオカミと戦ってきた俺には何ら違和感なく狼と断言できたつもりだが…。
椛「あ、あのそんなに見つめないで…。」
椛は手で顔を隠してしまう。いきなり狼の話題になったので見つめてしまったが近かっただろう。
海星「ああ、すまない。それで?なんでそんなにびっくりするんだ?」
話を元に戻す。
椛「あ、そうなんです…。犬走って名前からよく狼じゃなくて、犬に間違われることが多くて…。
ほんとに種族の名前に負けているのが、コンプレックスだったんです…。」
椛はほんとにしょんぼりした顔で足元の土を下駄でいじいじする。
なるほど、相当昔から悩んでいたんだろう。
元気づけなくてはな。
そう思い、それを素直に伝える。
海星「椛、出会った時から思っていたんだが。」
椛「…!ひゃい!」椛は唐突に切り出されたので驚いたのか、足元からこちらに顔を向ける。
海星「君の勇気ある仕草や、凛とした気品から狼であることは明らかだと思っていたよ。
昔から狼と対峙してきた俺が言うんだから間違いない。
だから、もっと自信を持っていいんだ。
そして優しさもしっかりと兼ね備えている。
君は立派な白狼天狗だよ。」
そういいながら笑顔で椛を撫でる。
見た目以上に椛はふわふわで柔らかい。
椛「はぁあ…海星…さん///」
そういいながら尻尾を嬉しそうにゆったりと振る椛が
すこし犬のように思えたのはこの際黙っておこうと思うのであった。
パシャリ。
海星「カメラの音?」
ふと鳴った、カメラの音に驚く。
現世で聞いた、まずこの時代には存在しない音だったからだ。
文「あややや、カメラをご存知でしたか。
しかし、シャッターチャンスはバッチリいただきましたよ。」
そこには椛に対してシャッター越しに意地悪そうな笑みを浮かべる文が立っていた。
海星「それがこの時代にあることが驚きだ…。」
文「なんだか、ほかの時代を知っている口ぶりですねぇ…。
これは河童に頂いたのですよ。他にも作っているようでしたので気になればまた尋ねてみるのもいいかと。」
なるほど河童か…。
聞きなれた妖怪の名前が出てきて、少し嬉しくなる。
でも皿を乗っけて相撲好きということしか知らなかったが…
そう思いつつも、天狗も鼻は高くないし、あまり記憶は参考にならないことを思い出し考えを変える。
海星「ありがとう、今度尋ねてみるよ。」
文に礼を言う。
文「いえいえ!いい写真を撮らさせてもらいましたからね。」
文は盗撮については清々しくも何も思ってないようだ。
椛「文せんぱぁぃ…やめてください…恥ずかしいです…。」
椛はだらしない顔を撮られて気が気じゃないようだ。
まあ倫理的にもいいとは言えないな。
文「ふっふっふ、これを焼き増しして白狼天狗たちに売って大儲けです…。」
盗撮どころではなく、よからぬ事を考えているようだ。
文「あややや?そろそろ写真が出てくるはずなんですけど…。」
そういいながらカメラの写真が出てくる所をのぞき込む文。
海星「文、盗撮も良くなければ、許可無しにそーゆー事をしちゃダメじゃないか…。」
そういいながら胸ポケットから今撮ったはずの椛と自分の写真を取り出し、チラリと見せる。
椛「え??」
文「あややや?いつの間に…。確かに写真が出てきたところを私は見てませんが…。」
2人はなぜ写真がこちらにあるのか理解できないのか驚く、無理もない。
海星「悪いが、能力を使わさせてもらったよ。
説明してなくて悪いが、文も悪いことをしようとしてたし、お互い様って訳だ。」
少しフェアじゃないが、種明かしはこの後闘うし、まだ出来ないな。
文「なるほど…。海星さんもただの人じゃないってことですね…。
どおりで…。妖怪である、私たちの前でも、ましてや天魔様の前でも。落ち着いていたのですね。
俄然あなたに興味が湧いてきましたよ。取材をもっと詳しくしなきゃですね…。」
少し考え込んだ素振りを見せて、
そういいながら文は舌なめずりしながらこちらを見る。
文の鴉天狗という妖怪の、根底の部分に触れてしまったようだ。
海星「この後の鬼ごっこが楽しみだな。」
こちらもわざと能力をばらした分おあいこだ。
文「ええ、いい闘いが出来るよう願っています。」
お互い遠慮はいらないと、この後の闘いを楽しむそれだけを考え、その場をあとにする。
程なくした頃、広場の中心にて
天魔「さあ!!皆の者!よく集まってくれた!今からこの山全体で鬼ごっこをしてもらう!なぜこうなったかは先程話した通りだ!!」
天魔が声高く周囲の天狗たちに呼びかける。
「天魔様のあの感じ、久しぶりにみるな。」
わくわくしたような天狗たち
「これはどうやって勝敗の結果とか分かるんだい?
みんなで追いかけるわけにはいかないし。」
1人の天狗がそうつぶやく
紫「その心配はありませんわ。私の能力で文と海星をそれぞれ右、左で中継しますわ。」
すーっと空間に切れ目が入り
巨大なプロジェクターの様にスキマが現れる。
天狗たち「「おお~!」」
紫「それでは、ルールを説明しますわ。
逃げる方は、1つお宝を決めて持ち、追いかける方はそれを奪ったら勝ちとしますわ。
ちなみに身体から離して、隠すことはルール違反です。」
なるほど、タッチするだけだと味気ないので
お宝を狙うというわけか、考えたな。
文「わかりました。それでは海星さん、なにをお宝にしますか?」
天狗たちの中で説明を聞いていた文が立ち上がりこちらに向かってくる。
海星「いや、おれがお宝を狙って追いかける方にするよ。君が選ぶといい。」
そう文に返す。
文「はぁ!?海星さん…貴方は一体どんだけ甘く見てるんですか!?
天魔様の次に最速と言われている私を追いかけるだなんて、戦う前から無理だと分かってます!頭を凝らして逃げ回ってください!」
文もさっきからの俺の反応に思うものがあったのか、ついに呆れを越して、怒ったようにこちらに反論してくる。
海星「おれの力を試すためにこの余興があるんだ。大丈夫、スピードには自信があるさ。」
そういいながらストレッチを始める。
こーゆーときは相手の感情を煽ったほうが
話は早く済むのだ。
文「なっ…。わかりました…!椛の前で恥かいても知らないですからね!
私のお宝はこれにします!」
なぜここで椛の名前が出てきたのか分からないが、恥はかきたくないので全力を出すことにする。
文は先程まで取材の時などに使っていた
筆を袖から取り出し見せてくる。
なるほど、大きさも申し分ない。
天魔「それでは、鬼ごっこ。
逃げる方は射命丸文!
追いかける方は東方海星!
お宝は筆ということで!!
双方違いないな?」
天魔が最終確認をしていく。
文「…えぇ。」
海星「ああ。」
文はまだ不満そうだ、まあそうだろう
スピードに自信を持っているようだし、それを甘く見られているように対応されたら誰だって不満に思う。
紫「それでは!あと10分で開始としますわ!
各自準備を!」
スキマを上手く操りながら
広場を取り仕切る。
海星「さて、いっちょやりますかね。」
この山をチラと見ながら、どう攻略するか考えて時間を過ごす海星だった。
ザザー。
風が吹き抜け、木々が揺れる。
妖怪の山の木々は妖しく鬱蒼と茂り、これからの闘いをかき乱そうとしている。
次回戦闘シーンとなります
頑張って書きますよ!
それでは!