いまの海星の服装は現代で言うところの
白いTシャツに黒いパーカー、下はGパンってところです!
それでは!お楽しみに
海星「じゃあこの拘束は、3分後に解けるようにしておくよ。」
そう言って地面を蹴り森の奥へと足早に向かう。
トッ、ヒュン。
文「…。」
それをなにも言わずに横目で見送り、完全に気配が消えたのを確認した後。
文「はぁあぁ…。」
大きく息を吐いてぐったりとする。
文「天狗最速と謳われたこの私が…なんてざまですか。今日はほんと厄日ですよ。」
そう言いながら先程のことを嫌でも思い出してしまう。
文「あややや…。男の人にあんなに優しくされたのは、長い時を生きてますが初めてなんじゃないですかね。それもこんな近くで…。」
浮かない顔だが、ぽけーっと惚けた顔で上の空になる。そんな熱くなった頬を笑うかの様に空に入道雲が流れていく。
そもそも天狗はほかの種族たちと交流はあまりしない閉鎖的な種族である。
その中でも射命丸文は、ほかの天狗たちからも一目置かれているため、進んで近づいてくる男天狗は居なかったし、そもそも文は記者であれど、自身のそういった事に関心が無かったのだ。
文「そもそもこれは椛のための戦い!私がこんなに海星さんに惑わされる必要はないんですよね。」
頭をぶんぶん振りながらも冷静を取り戻そうとするが…。
文「…。」
ふと思考を止めると、思い出すのは優しい声と、まるで彫刻のような綺麗な指が自身の肌をなぞる…。
パキン!!
それを目を覚まさせるように腕と足を絡めとっていた水晶がハジけるように割れる。
文「…はっ…///かぁーーー!この借りは高くつきますよ!!」
そんな強気な捨て台詞を吐いて、文は妖力を放出していく。
文「私の『風を操る程度の能力』の恐ろしさ。とくとご覧に入れましょう!!」
ピュンと軽い身のこなしで、木々の間をスカートを翻しながら飛び回る。
先ほど同様、勝機を見出したような
ニヤリと悪い顔をして。
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side海星
海星「さて、そろそろ割れたか。」
残り時間はあと僅か。
体力の消耗が多かったため先ほどの場所からはあまり動いていない。
大きな木の太い枝に腰掛けて終わりを待つ。
鳥の声や、木の葉の舞い散る音もいつも以上に鮮明に聞こえ、普段どれほど見落としているのかを実感する。
海星「逃げる側に立つと風の使い方が分からないな…。」
先ほどまでは追跡するだけだったが、今度は文の動きを風で感知しなくてはならない。
海星「とりあえず文よりも風下に立とう。」
そうすることで、文が動いた際におこる風を頼りに先読み出来ると踏んだからだ。
文「それはいい考えですね。」
となりに腰掛けて腕を組みうんうんと頷く。
海星「なっ…!?」
パチンと電撃が走ったように跳ね起き、そのまま隣の木に飛び、咄嗟に距離をとる。
存在に全く気づかなかった。
文「そんな怖がらないでくださいよ。おー、ありえないって顔してますね。かわいいですよ。」
淡々と言葉を続ける文。
海星は何が起きているのか全く理解が出来ていなかった。
今言われた通り、有り得ないのだから。
海星はいま吹いている風に当たったものを角で感じ取り。エコーロケーションの用に視界を広げている。
そんな中でその目を掻い潜って隣に座るなんて、いくら天狗と言えど、そんな芸当は出来るはずがないのだ。
海星(とにかくやばい!距離を取らなければ!)
完全に先手を取られてしまった、それに相手の手の内は完全に謎。
こうなれば、終了時間まで逃げ回るしかない。
文「次のセリフは。」
突然、文は声を上げる。
海星・文「「ここにきて、本来の鬼ごっこになるとはな。」」
一言一句、文と自分の声が重なる。
文「でしょう?」
してやったりと、ニヤリと目を細める文。
海星「はっ!」
心理状態も全て読まれ、完全にペースを文に取られた。
既に文は腕を前に構え、何かをするつもりだ!
海星はとっさに今立っている枝を蹴り
森の奥へと飛ぶ。
文はその様子を見ても焦りの表情を見せない。
文「それでは暗闇の中へ、1名様ごあんなーい。」
文は腕を海星の方に伸ばし、パチンと指を鳴らした。
海星「なにっ!?!まさかッ!」
嫌な予想も当たり。
突然、視界が真っ暗になる。
吹いていた風も、身体を動かす際に発生する風さえも消え去る。
何らかの方法で、無風状態を作り出すことによって、視覚を奪う。
筆を俺に取られた時に文は既に反撃の方法を模索し、視界を奪うという戦法を編み出していたのだ…。
海星「文!!君の能力は!!」
風の主導権を完全に奪われてしまった時点で
この角を使って戦うことはもう出来ない。
すぐ感覚器官を視覚に切り替え、目を開けr
ガシィ!!
妖怪のパワーで腰にタックルをされて枝から落ちる。
海星「ぐぅっ…!!」
真っ逆さまに地面に叩きつけられるかと思い身構えたが。
ふわり。
着地の瞬間に地面から風が巻き起こり、ゆっくりと背中が土に触れる。
文「えぇ、私の能力は『風を操る程度の能力』ですよ。海星さん。」
目の前に身体にしがみつく文がいた。
腰の上に乗って抑えられている状況だ。
海星「戦う土俵を間違えたのは俺の方だったか…。」
頼りにしていた風は相手の支配下だったなんてとんだ笑い話だ。
文「さて、終了時間も近づいています。筆を頂きますよ!どこです?」
あと10分くらいで終わりをこの試合は終わりを告げるだろう。
海星「愚問だな。教えられないよ。」
先に筆を渡して追いかける。
正直、それはもう厳しいだろう。勝負を決めるのはここしかない。
文「…。」
一瞬文の動きが止まる。
文「まさか、服の中…ですか…。」
青ざめているのかなんとも言えない表情をする。
海星「先ほどとは威勢が違うがどうした。」
さきほどと攻守が反転しただけなのだが、様子が違うようだ。
文「い、いいでしょう!その勝負!受けて立ちます!」
なんの勝負だ。声が震えているがまあこの際気にしなくていいだろう。
ピキッ。ピキッ…!
ここから出来る限りのことを実行していく。
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side文
自身の動きで発生してしまう風を反対の風力で消し、堂々とバレないまま、海星さんのとなりに腰掛ける。
筆を奪われてるときに確認した視界を奪うという、最終奥義でなんとか追い詰めることに成功したまでは完璧だったのですが。
文(あややや…筆が…筆が…。
また服の中だなんて…。困りましたねぇ…)
探られるのもあんなに恥ずかしかったのに、次は探る側になるとは…。
テンパってしまい謎の宣戦布告をしてしまいましたが。
文「やってやりますよ。」
ずっと思っていたのですが海星さんは今、変わった服を身につけていますね。
和服とは違う、動きやすそうな素材と着こなしです。
下は普通のズボンなのですが
上半身は、肌着のその上になにやら鉄…?銀?でしょうか?ボタンとは違う、交互に鉄が噛み合って前を止めていますね。
ニトリが昔、言っていたチャックと言うやつでしょうか。
と、とにかく探してみます。
まずはチャックがついている服の帽子?からみていくが。もちろん、そんな所には入ってはいない。
見た感じ、下半身にも隠すスペースはない。
時間が惜しい。もう制限時間終わろうとしている。
文「…!ええい!もうなるようになれってやつです!」
そう言って、首元にあるチャックの端に手を伸ばし思いっきり引き下げた。
ジジっ!チィー!!!
海星「危ないな…もう少しゆっくり下げてくれよ。」
もし肉が挟まれてたらと考えると…。
ゾッとする。妖力も神力もあると言えど、怖いものは怖いし、痛いものは痛い。
びっくりして思わず軽く注意してしまったのだが、それに対しての反応がない。
海星「…文?」
ふと文の方を見てみると。
文「…。」
手で目を隠しながら、動かない。
文(…っあぁ、もう言葉にならないです…。一度冷静になるともうだめですね。押し倒してしまいましたが、この逞しい体つきがハッキリと…。腹筋もちらっと見えて、鼻血が出るかと思いました…。)
その時。
スキマ「制限時間残り1分です。」
紫の声が2人の背後から聞こえてくる。
海星「おーい。」
依然として文は固まったままだ。
このまま時間が無くなるのが惜しくないのかと思い声をかける。
文「はっ…!なにを…!?腹筋が、そ、そうだ筆ですね。あ、ありました…。」
訳の分からないことを言いながらパーカーの内ポケットから筆を抜き取り、風を起こし、上昇する。
もう1分以内で終わりか。
何故か文は満身創痍だが、もうこの際それもチャンスだ。もう天に任せるしない!
文「はぁはぁ…。それじゃ私の勝ちですね。もう捕まりまs」
海星「まだだ!」
そう言って水晶を足場にして文に飛びつく!
文「!?…でも甘い!全部風で見えてますよ!」
そう言いながら風を起こし、海星を跳ね除ける。
…どん。パリン!!
嫌な音をたてながら、『海星が割れた。』
文「な、なんですって!?」
海星「風に信頼を置きすぎたな!!」
そう言いながら今度こそ後ろから文に飛びつく!
ギュッ!
文「なんで!!くっ!」
二人とも受け身が取れずに草の生えた地面に倒れ込む。
その衝撃で筆が2人のちょうど前に落ちる。
咄嗟に手を伸ばすが…。
文「はあっ!!」
文が咄嗟に風を起こし筆を巻き上げ上空へと飛ばす。
海星「くっ!!!まだだ!!届け!!」
ピキピキピキピキ!
地面から腕のような水晶を伸ばし空中へと筆を追いかける。
文「お願い!届いて!!!」
ビュォ!という心地いい風の音がおこり
風も筆を追いかける。
風と水晶が抱き合いながら竜巻のように上昇する。
文「抱き合い…ながら…?」
ふと【気づいて】しまった。
筆を見上げる海星の頬が…文の頬にぴったりとくっ付いているのを。
文「あややっ?!!っえ??!!??」(!?!?!!?近い近い近い近い近い!!!)
文「んんん!!!!もう飛んでけえぇぇ!!!」
この瞬間。文の妖力が爆発した。
ホントの竜巻が2人の背後から巻き起こり、2人を弾き飛ばす。
海星「お、おい!!」
咄嗟の攻撃に海星もこれには防ぎきれずに吹き飛ぶ。
文「…ふぅー。ふぅー。」
荒々しい深呼吸でなんとかなにかを耐えている文。
…ペキッ!
そんな快音と共にへし折れる筆。
突如出力が上がった竜巻に巻き込まれたようだ。
文「あぁああ!!!私の筆がぁ!!」
筆にトドメを刺され(刺したのは文だが。)深呼吸も虚しく、ガックリと膝をつく。
海星「あー、あの竜巻でか…。」
どうやら勝敗はつかないようだ。
ガックリと肩を落とす文をどう励まそうか考えていると。
スキマ「勝敗の付け方はこちらで判断させていただきます。
御二方は1度このスキマを通ってこちらに帰ってきてください。」
そう紫がスキマ越しに声をかけてくる。
海星「だ、そうだ。文戻ろうか。」
文「はぃい…。」
明らかにとぼとぼとした足取りの文と海星はスキマを通り、鞍馬館の前の広場へと向かう。
さて!決着ですね!
クールな文が慌ててるのが個人的にすごくよいです。
また何かありましたら感想欄へ!
お読みいただきありがとうございますー!