東方水晶録   作:かいせいクリュウ

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さて、更新です!!
勝利しましたがどうなるでしょうか
それでは!


絶望の連戦

 

 

 

文「聞いてもいいですか?

最後、いつの間に後ろに?」

負けた決定打が見破ることが出来なかったのだろう。文がスキマに向かって歩きながら聞いてくる。

 

海星「簡単に言うと、あらかじめ君の背後に水晶の木を生やしておいた。筆を盗られた後は、水晶の分身をそこに置いて、地面の中を水晶で掘って水晶の木に移動。」

 

文「…そんな大胆なことを…。」

びっくりした顔で、息を呑みながら聴く文

 

 

海星「土の中は風で探知できないし、木をまるごと生やしてしまえば、風を信用して後ろを振り向かなかった君は本物と勘違いしてしまったってわけさ。」

素早く動いた時の風を感知し過ぎていた文にとって、地面からゆっくりと生える木は気付きにくかったと言うことだ。

 

 

 

 

文「もっと自分の目で見るべきでした…。」

唖然とした顔でさらに肩を落とす。

 

 

海星「次に活かせばいいんだよ。そんなことより文は充分強かったよ。みんなも見てて思ったはずだ。」

 

そう文に言いながらスキマをくぐると。

 

 

 

 

パチパチパチパチパチ!パチパチパチ!!

 

広場へと戻ると、天狗達が大きな拍手で迎えてくれた。

文さーん!おつかれさまでした!!

すごかったっす!!!

かっこよかったです〜!!

 

そんな暖かい声が文を包み

 

海星「ほらな?」

にっこり笑いながら文の方をむく。

 

文「えへへ…!清く正しい射命丸文!ただ今戻りました!」

ちょっとは元気も戻ってきたようだ。

 

 

人間のあんちゃんもすごかったぞ!!!

ほんとに天狗と勝負できるなんてビックリしちまったぞ!!!

俺への労いの声も多く受け取れた。

 

 

紫「海星さま。おつかれさまでした。勝敗は決しなかったものの、天狗の皆様にとてもいい印象を付けられたかと。期待以上ですわ。」

紫がタオル代わりの布を渡してくれる。

 

それで泥や汗を拭き取りながら。

 

海星「ありがとう。あぁ、なかなかに遊びというものは勝敗が最後まで分からなくていいな。なかなかに肝が冷えた時もあって、楽しめたよ。」

素直に思ったことをそのまま伝える。

 

紫「それにつきましても、今後のヒントとなりましたわ。人間と妖怪の垣根を無くす戦闘方法。必要なものがだいたい見えてきましたわ。」

なるほど、種族の力の差があってもルールを決めてしまえばお互いに本気で戦えるというわけか。

 

 

 

 

海星「それはよかったよ。

話を戻すが、この戦いの本来の意味でもある天狗との協力は出来そうなのか?」

まあそれを決めるのは天魔なのだが。

 

そう判断し、紫ではなく天魔のほうを見る。

 

天魔は文の前に立ち、労いの言葉をかけていた。

 

ん?

 

ここで何か違和感を感じる。

出会った当初の天魔の雰囲気とは全く別人の様なのだ。笑顔でなおかつハキハキと早口でで天狗の皆に何かを指示している。

 

そして話を聞いている天狗たちの顔が引きつっているのだ。

文でさえも少し困っている。

椛が何か天魔に言おうとしているが…

いつの間にか、手を頭に乗せられて制される。

 

向こうが俺の視線に気づくと。

銀の長い髪を優雅に揺らしながらこっちに歩いて…。

 

天魔「始、のい、る」

 

その刹那。天魔は消えた。

 

海星「なっ!」

紫「…?」

 

この時、恐ろしく世界がゆっくりに見えた。

純白と漆黒の軌跡が目にはっきりと刻み込まれるが、身体が反応できない。

 

紫(っ!!?海星様っ…!!)

紫の瞳にゆっくりと飛び込んできたのは

 

真っ赤な目を見開いて海星の背後に跳ぶ天魔の姿だった…!

 

天魔「…らな。」

 

そう聞き取れない声を出し背後に回った勢いで膝蹴りを繰り出す。

 

ミシミシミシっと脳に響くような嫌な音。

海星「ぐっぁが!?!」

声にならない声を出しそのまま森に吹き飛ぶ。

 

パァン!

一呼吸置いての爆風。

 

紫「なっ!海星様!!」

キッと天魔を睨みつけて反撃のスキマを展開しようとするが…

 

天魔「こ、程…じゃ倒れ、よ。」

と言い残し、森へと突貫する。

 

 

椛「か、海星さーん!!」

椛の決死の叫びも虚しく草原に溶け込んでいく。

 

 

 

 

 

砂煙が上がったあと

 

紫と天狗の皆が、先程のゲームで使用していた右側のスキマを見る。

海星がゆっくりと起き上がるのが見え、一同はひとまずホッとする。

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

バギバキ!!バッパキ!ドン!

木を、枝を背中でへし折りながら吹き飛ばされ、やっと岩にぶつかり止まった。

海星「くっ…。」

アバラが2本折れたか…。追撃に備え、即席だが水晶で繋ぎ合わせる。

あとでゆっくりと治せばいい。

 

海星「しかし、いきなり何なんだ。やはり攻撃の鋭さといい、只者では無かったな。」

出会った時の殺気の量にしては、部下の文と戦わせたりしていたので、能力は戦闘向きではないと思っていたが…。

 

 

 

天魔「や、大× か?」

ふと顔を上げると、天魔がすーっと笑顔でこちらを見ている。

 

海星「さっきっから、聞き取れねーけど、闘いたいってことは理解したよ!!」

不意打ちとはいえ俺のアバラを折ってくる妖怪なんてこの時代に居るとはな。

 

 

端っから霊力を最大だ。

闘いの姿勢を取る。

 

 

ピキピキピキピキ!

フォン…ヒュンヒュンヒュンヒュン

海星の周りに10個の水晶玉が浮かぶ。

 

 

海星「水晶乱舞…!」

はるか昔に使った技だ。

この水晶は自由に動かせるし、動かしていない時には自動で護る盾にもなる。

 

天魔「!」

天魔は少し驚いたように、さらに笑みを浮かべる。

 

 

海星「最近、どーも本気を出せなくて腕が鈍ってたからな…。」

 

いつにもなくドキドキしてしまう。

退屈な日々を変えてくれそうなこの【好敵手】を前にして。

 

 

天魔は動かない。

なるほど、最初の一撃の分こちらからの攻撃を待ってくれているのか。

ならば遠慮なく

 

海星「いくぞ。」

足に力を込める。

 

ボッ!!

力を地面が捉えられる限界の出力で踏み込んだ足は、無駄なく飛ぶ力に変換し加速させる。

 

水晶玉と共に、空中の天魔に突貫。

 

右をそのまま捻りながら正拳突き。

最高のタイミングで最高の力の入り。

 

ドン!!!

 

自分の想像と少し遅れたタイミングで音が聞こえる。

 

 

がはっ!?!

その瞬間鋭い痛みを感じ、現実に戻る。

 

海星「な…に?」

背後に天魔が立つ。

その事実に気づいたタイミングで「バシュッ」と音を立てて右の脇腹から出血。

 

 

したり顔の天魔、指をクイクイっと動かして

「ら、きなよ。」

辛うじて聞き取れた。

 

海星「カウンターか。やるじゃないか」

目で追えなかった…神力でも使ってみるか?

 

ここで自身のスイッチを切り替える。

クン…クン…っと身体が引っ張られる感覚

 

海星の気質が変わっていく。

海星「さらなる身体強化だ。」

 

神力を使用すると、土地の自然からエネルギーを貰ったりすることが出来るようだ。

 

 

 

幸いにしてここは森の中。

いつにも増して力が高まる。

 

ピッ! 足元から雷のような黄色い火花が散り…

 

 

天魔へと一瞬で肉薄する。

天魔「!」

 

先程と同じく右の正拳突きッ!

当たる瞬間に天魔が身体を下に沈み込ませる。

 

なるほど、さっきは上に透かされてから爪でカウンターを喰らったのか。

 

今なら見えるッ!

 

 

ゴッ!と鈍い音。

天魔「ぐっ…。」

 

正拳突きの威力を利用し、回転方向にベクトルを変える。

左足で半回転の踵蹴りだ。

 

 

カウンターで合わせるはずだった右手を咄嗟に出して防いでいるが

天魔は威力を消しきれず後方に飛ぶ。

 

海星「なぁ…防ぎ切ってくれよ?」

そう期待を込めた呼びかけをボソリと呟いた後、近くの枝を蹴りさらに天魔に飛び込む。

 

 

チッっと空気と擦れる音を立てながら最速の突きの連続。下段に向けて撃つ。

更に上段には、浮かぶ水晶玉からの枝のような追撃。

パキパキパキッ!

 

 

天魔は突きを両手で防ぎながらも、後ろの水晶を最小限の動きで交わす。

 

だが、狙いはそこでは無い。

海星「ガードが下がったな?」

ニヤリと笑う海星。

 

ピキッ!!!

天魔の背後の水晶玉から太い枝が一直線に伸びる!!

 

完全な死角からの一撃。

 

天魔(ギョロ。)

 

 

ヒュッ。

 

 

しかし、天魔はその場で一回転。

寸前で躱す。

 

どんな反応速度してやがる。

 

だが!!

 

 

策は深く考えるもの、色んなパターンも見越しての策だ。

 

今の水晶はわざと太くしてある!

 

躱された後の水晶を踏み場にして…。

 

 

 

海星「喰らいな。」

 

 

ゼロ距離から加速した膝蹴り。

開幕の不意打ちのお返しだ。

 

 

ボッ!と速度の限界を超える音をたてながら襲い掛かる。

 

ビュオオ!!

衝撃波が木々を大きく揺らし葉を落とす。

風を切る音をたてながら、天魔は遥か遠くに吹っ飛ぶ。

 

 

 

…?

ここで感じる違和感

それを感じた刹那。

 

ズン。

 

海星「ガハっ!?!」

 

 

 

 

 

【胸を貫かれる】




天魔です、今のところ謎ですがどうなるでしょう。
次回言及します!
読んでいただきありがとうございます。
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