東方水晶録   作:かいせいクリュウ

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2020年あけましておめでとうございます
今年もよろしくお願いします

大変更新が遅れましたことをまずお詫び申し上げます。
スマホを買い換えログインできなくなり大慌ての日々

創作意欲が再び戻ってきた、休止している間もそして感想を頂けたので再び投稿していきたいと思います!
完結まではしっかりと投稿させていただきますので
どうか暖かい目で!それでは!


決着の後に

 

 

 

2人は森を後にし、スキマに入っていく

 

海星「あ、忘れてた」

ハッとした顔で唐突に振り返る。

 

天魔「ど〜した〜?」

スキマに片足を踏み出していた天魔がバランスを崩す。

先程まであんな機敏な動きで戦っていたとは思えないが。

 

海星「いやな、さすがにこのままでは帰れんだろう。」

そう言って周囲を指さす。

 

そこにはお世辞にも素敵な森と言えない荒れ果てた土地が広がっていた。

 

天魔「あ〜、すこしやりすぎたかもしれんの〜。」

あちゃーと言う顔をして頭をぽりぽりと掻く。

2人とも白熱して、周りの地形のことを考えていなかったのだ。

 

海星「まあ問題はないがな。」

ピキピ…ピシッ

そう言ってひとつの水晶を創り出す。

いつの日か出したダイアモンドカットが施された水晶だ。

まあ治すと言ったらなぜかダイアモンドのイメージなのだ。

 

天魔「…?」

何か策があるのだろうと黙って見守る天魔

 

海星「破!」

パキン!という心地よい音が鳴り響いた後。

 

ゴゴゴゴゴゴっと逆再生のように割れた地や砕けた岩が元通りになっていく。

 

天魔「ほ〜…すごいの〜。」

能力の幅の広さに思わず感心する天魔

自分の能力も似たようなもんだろうに。

 

海星「まあな…。ん?」

少しの違和感を感じ、目を細める。

 

 

天魔「ど〜したのだ?」

不思議そうに尋ねる

 

 

 

海星「いや…最後の大技同士のぶつかり合い。辺り一帯が相当破壊されていると思ったのだが…。」

ここで言葉を止め、当たりを注視する。

能力の使用中なので修復部分は一応手に取るように把握出来るのだが…。

 

天魔「たしかに無いな〜。」

天魔を穿いた水晶の塊はあれど、衝撃で抉れた地面などは元からそんなものは存在していないかのように傷がついていないのだ。

 

あのレベルの技のぶつかり合いなど、よく良く考えれば周囲の森を薙ぎ倒しているはずなのだが。

 

海星「まあ、むしろ困ることは無いのだがな。」

どうせ直るものだし、直す手間が省けたようだ。

 

 

天魔「そ〜だな〜。めんどくさいからな〜。

早く戻ろうぞ。」

そう言ってスキマに入る。

 

海星「ああ、そうだな。」

堕落?している天魔に半ば呆れつつ、推測できないこの状況を思考することを一旦やめてスキマに足を再度運ぶ。

 

 

さて、ここからだ。

 

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

にゅん。

 

広場に切れ込みが入り、天狗のみなが固唾を飲んで見守る中

 

海星と天魔が帰ってきた。

 

 

広場は先程、文と対戦した後の拍手喝采とは違い

張り詰めた空気の中静まり返っていた。

それもそのはずだ。

 

俺が勝ったとはいえ。

天魔が独断で火蓋を切った、延長戦

 

この後の取り決めは全て頂点である天魔に委ねられているのだ。

 

紫が俺の隣にくる。

 

 

ごくり。

思わず唾を飲む音が聞こえる。

どの天狗かはわからない、しかし種としてのこの先の未来に皆が注目しているのだ。

 

 

椛「うぅ…。」(どきどき)

椛は居てもたってもいられないと言った面持ちで張り詰めた空気の中、天魔と海星を交互に見る。

文「だ、大丈夫ですよ。海星さんはベストを尽くしましたから。」

そんな椛の隣で励ますように同じようにこちらを見る文。

 

2人はこちらを顔を赤くしながら見てくる。

なぜかあの二人だけ雰囲気が他と違うが…。

 

 

 

 

 

そんな各々が張り詰めた空気の中

天魔が口を開く。

 

天魔「みなのもの〜、戦いを見てそれぞれ感じるものはあったと思う〜。

妾を筆頭する〜天狗はこれから、全面的に〜紫と共に人と妖怪の共生を目指すことにした〜。異論はないな〜?」

 

海星「…。」

紫「…。」

 

なんとも締まらない一族の決断だが…

 

 

 

 

 

天狗たち「「「「ハッ!仰せのままに」」」」

 

膝をおり、拳を地につけ

最大の敬意を持って同意した。

 

 

多分なのだが、このモードの天魔が普段の姿で、もうそれで慣れているのだろう。

 

逆にハキハキしている時に皆が戸惑っていたのが納得が行く。

 

 

紫の不安そうだった顔が晴れやかに変わっていく。

 

海星「紫、それでは一言頼む。」

 

紫「えぇ。」

 

 

そう言って俺に深くお辞儀をした後に、天狗の前へと進む。

 

 

紫「天狗の皆様。私の夢に賛同して頂き、ありがとうございますわ。

妖怪と人。そして神まで。相容れぬ存在とされてきましたが、その幻想すらも幻想へと変えてしまう。そんな場所を皆さんと一緒に創り上げていきたいと思っておりますわ。

そしてその場所では、天狗の皆さんが妖怪の中でも中心となる存在になる。とわたくしは思っております。どうかよろしく。」

 

そう言って軽くお辞儀をした。

 

「「パチパチパチパチパチパチ」」

割れんばかりの拍手

 

 

 

天狗たち「よく言った!!」

 

天狗「よろしく頼むぜ!!」

 

天狗「もう大船に乗ったつもりで任せとけ!」

 

天狗たちもあたたかい言葉をかけてくれる。

 

お互いの顔を立てつつ簡潔に纏まった一言だった。

どちらが権利を握るのか、それを少しずつ刷り込んでいっているような気がして、策士なのか無意識なのか。

どちらにせよ紫はかなりの切れ者だということを再度認識した。

 

 

天魔「感謝する、それでは〜紫も海星も今日はここで祝いついでに宴会でもしよう〜。ゆっくりそれまで休んでくれ〜。」

 

海星「それは嬉しいな、ありがとう。」

 

天魔「せっかく来てくれたんだ、手ぶらで返すわけには行かない、それでは各自かいさ〜ん!」

 

宴会の準備に取り掛かる天狗たちは鞍馬館のほうへ飛んでいった。

 

 

そして広場には数人が残る。

 

 

 

 

紫「海星様。ほんとになんと感謝してよいか…。」

そう言って手を握ってくる。

 

海星「いや、俺はただ力を貸しただけだ。君の努力の結果だよ。」

そう笑顔でいいながら手をぎゅっと握り返してやる。

 

紫「あら…私としたことが思わず…。」

そう言って恥ずかしそうに手を離す。

 

 

海星「今回ばかりは危なかったけどね。」

そう言いながら戦いを振り返る。

 

結果的に望んだ結果になったが。

文に引き分け、天魔に追い詰められているのだ。

これからも。さらなる精進が必要になるだろうな。

 

 

 

 

 

紫「それでも海星様は圧倒的な強さを誇っていました…あの…もし差し支えなければ、貴方のこと色々教えてはくださいませんか?

知らないことが多すぎて…。」

 

紫は踏み込んでは行けない事のように恐る恐る聞いてくる。

強い妖怪は過去のことはあまり語らない性分らしい。誰しも弱い過去があり、そこに自身の弱点があることを知っているからだ。

 

 

 

 

海星「あぁ、そういえばちゃんと俺の過去について話したことは無かったね。いい機会だ。今度ちゃんと教えるよ。」

そう言って笑ってみせると。

 

紫はほっとしたように微笑んだ。

 

 

 

天魔「妾も興味があるのぉ〜。」

そう言って天魔も話に入ってくる。

 

海星「あぁ、天魔とは積もる話もあるだろうからな。宴会の時に話そう。」

そう言って2人は心を躍らせる。

 

 

 

「あ、あれ?わ、わたしは??」

そんな声が聞こえてきたと思い振り返ると

 

 

草原に椛と文がポツンと立っていた。

 




さて、次回椛はどうなるのでしょうか…
早い投稿を目指します!それでは!

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