ドルヲタと悪党とインフィニット・ストラトス   作:ミュラー

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ジオウも中々面白そうなので初投稿です
ついでに小説書くのも初です


ベストマッチ(?)な奴ら

「ーーーーーーッ!!!」

 

全身に激しい痛みを感じながら猿渡一海は目を覚ました。

目を開けてまず映ったのは星空。

身を起こし徐々に引いていく痛みを感じながらまず状況を確認するべく辺りを見渡し

 

「目が覚めたかポテト。」

 

街灯に照らされる髭ヅラの男が傍のベンチに座っているのを見つけた。

一海とは時に敵対し、時に仲間として共に戦った『仮面ライダーローグ』氷室幻徳だ。

 

「ヒゲ……お前何してん……、いやエボルトは!?戦兎たちは……!?」

「俺も分からん。気付いたらお前と同じくそこの地面に転がっていた」

 

そう言いながら幻徳は周囲を見回した。一海もつられて周囲の風景を確認する。どこかの公園のようだ。開けた場所の端に遊具が点在している。少なくとも、一海の記憶の中にある風景ではなかった。

 

「どこだよここは……!パンドラタワーは……アイツらはどうなった……!?」

 

「……少なくとも俺たちがいたあの世界ではないはずだ。俺もお前も、あの世界では死んで消えた筈だからな」

 

その言葉で一海は最期の瞬間を思い返した。

仲間である桐生戦兎に使用を禁じられた武器「ブリザードナックル」を使った変身を行い、その反動によって自分の体は最愛の女性「みーたん」に看取られながら粒子となって消滅したハズ……なのだが

 

「どうなってやがんだ…?まさかここが戦兎の言ってた『新世界』なのか……?しかもヒゲ!お前『俺も』って……」

「……まぁ、そういう事だ。」

 

 

幻徳の言葉に戸惑いながら一海は自分の体を確認した。現実として自分の肉体は存在している。困惑しながら一海は自分の持ち物を確認した。懐にゴツゴツとした感触を覚えそれを取り出す。

 

「スクラッシュドライバー…!それに……」

 

コートやズボンのポケットをまさぐり、中に入っていたものを手に取った。

 

「ロボットゼリー!龍我がくれたドラゴンゼリーも、あとフルボトルに……」

 

『仮面ライダー』として共に戦い続けた道具たち。それが手元に残っていたことを確認し一海は少し安堵して地面に座り込んだ。これで少なくとも身の安全は守れる。そこで指先にも硬い感触を感じ

 

「これもあるのかよ……」

 

その硬いものをみて思い切り顔を顰めた。青い握り拳のような形状のガジェット。使用したのは1度きりだが……あまりいい思い出ではない。『グリスブリザードナックル』、そしてその力を引き出すためのフルボトル『ノースブリザードボトル』が一海の手元に転がっていた。

 

「俺達が持っているのはスクラッシュドライバーだ。またお前がどこからかビルドドライバーを持ち出したりしない限りは消滅する心配もないだろ」

 

ジャケットの懐からスクラッシュドライバーやらネビュラスチームガンやらを取り出しながら飛ばした幻徳の皮肉に「うぐっ」と小さく呻きながら一海は自分の持ち物の確認を終えた。

 

「さて、とりあえずここは何処なのかの確認をしねぇとな」

「東都では無さそうだ。スカイウォールも……パンドラタワーも見えん。」

 

幻徳の言葉に一海は遠くを見渡した。ビル街や住宅街など元いた世界でも特に珍しくない光景だ。ただ日本を3つに分断していた壁『スカイウォール』がどこにも見当たらないことを除けば。あの壁が無い、という事は桐生戦兎と万丈龍我はエボルトを倒し新世界を作り上げたのだろうか。

一海は姿の見えない2人の仲間に思いを馳せる。

自意識過剰でナルシストな、「ラブ&ピース」を胸に何度も悩みながら戦い続けた天才物理学者

その相棒でバカで暑苦しいが仲間の為なら幾らでも体を張る元格闘家のバカ。あの戦いで命を落とした自分と幻徳がここにいて、あの二人が居ないという事は────

 

「あーこんがらがってきた!そもそもここがどこかもわかんねぇし!」

「人が多いところに行けばまだ情報も集まるだろ。それに俺もまだ頭が混乱している 」

 

1度落ち着いて情報を整理する必要がある。二人は立ち上がりながら公園からも見える市街地に向かおうとする、が。

 

「そこの不審者二人!こんな時間にここで何をしている」

 

2人組の婦警さんが公園を出ようとした所で行く手を阻んだ。

 

「い、いやぁ、別に俺たち怪しいモンじゃないっすよ。なぁヒゲ」

「……(コクコク)」

 

嫌な汗をかきながら一海は弁明し、幻徳は必死で首を縦に振る。

 

「近隣の住民から怪しい男2人が公園で騒いでると通報があったぞ。身分証を出してもらおう。」

 

「…………身分、証?」

 

婦警さんの言葉にゆっくりと幻徳の方へ顔を向ける。少なくとも一海はドライバーやボトル以外には何も所持してなかった。現金や、あの肌身離さず持っていた『ドッグタグ』すら。

だが横の髭男はネビュラガスによる暴走状態だったとはいえ一時は首相代理として人々の上に立っていた男だ。

もしかしたら何か持っているかもしれない。いやでもヒゲだしな……仲間になってからの数々の奇行を知っている一海はそんな期待と不安を胸に幻徳の様子を伺うが……

 

「……(フルフル)」

 

幻徳はジャケットの前を開き、中のTシャツに刻まれた「なにもない」の文字を婦警さんに見せつけながら悲しい顔で首を横に振っていた。婦警さんはため息をつくと一海へと近づいていく。

 

「話は署で聞かせて貰うぞ」

「ちょっ……、待って、くっ!逃げるぞヒゲ!!!」

 

婦警さんの伸ばした手を払いのけながら一海は叫んだ。幻徳は頷くと素早く婦警さん2人の間をすり抜け公園の出口から市街地に向かって走り出す。一海も婦警さんがバランスを崩した隙に走り出した。そのスピードは人間のものではなく、見る見る間に婦警さんと二人の間の距離が開いていった。

 

「冗談っじゃねぇ!!身分証も何もねえ状態で捕まったらどうにもならねえじゃねえか!!」

「あぁ……!クソっ……」

 

ネビュラガス─────人体に注入することでその人間を強化するガス。耐性のない人間に注入すれば『スマッシュ』と呼ばれる怪人へと変貌してしまうが、この2人は『仮面ライダー』となる資格を得ると同時にガスへの耐性も獲得していた。とはいえ大きなダメージを負うと体が光の粒子となって消滅する、というリスクもあるのだが────今はそのガスにより強化された身体能力を惜しみなく使い走り続ける。

 

「はぁ…はぁ……何よあのスピード…!人間じゃない!?」

 

「不審者二人が逃走!特徴は黒いライダースジャケットに茶色いモッズコート───────」

 

追ってくる婦警さん達の声を背中で聞きながら2人は猛ダッシュでその場を離れていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「そこの不審者!待ちなさい!!」

 

「待てねぇ!!ヒゲ!そこだ!」

「あぁ!!」

 

街中に入ってから警官の数はさらに増えていた。サイレンを鳴らすパトカー並のスピードで走りながら、追っ手を振り切り車の入れない路地裏に駆け込む。

 

「くそっ!冗談じゃねえ!!」

「ハッ……ハッ……ここまで大事になるとはな……!だが……ポテト、気づいたか?」

 

荒い息を整えながら幻徳は一海に確認するように声をかけた。

「あぁ、なんでか知らねーが婦警ばっかじゃねーか!」

「それもそうだが……それよりも街が綺麗すぎる。俺たちが死んでからそんなに長い時間が経っているとは思えん。少なくともそんな短期間でエボルトがやった破壊活動やスカイウォールの痕跡は消えないだろ。」

 

一海はその言葉を聞きニヤリと笑った。

 

「アイツらは、エボルトを倒して……新世界を作ったって訳だ」

「そう考えるのが妥当……だな。」

 

笑みを浮かべながら一海が突き出した拳に幻徳も自分の拳をぶつける。

戦ったことに後悔はない。だがあの二人に最後は全ての責任をおわせる形になってしまったことに負い目はあった。だが「仲間達」が目的を達してくれたのなら。桐生戦兎が創ろうとした「平和な世界」の礎となれたことを少し誇りに思いながら2人はかつての世界に思いを馳せた。

 

「あーーーーみーたんに会いてーーーー!!!」

 

一海が感傷を誤魔化すように叫んだ。その様子を見て幻徳も笑う。

 

「フッ……俺は…………」

 

桐生戦兎の作った新世界で親父は、内海は元気でやっているのだろうか。

 

自分のための犠牲となり命を落とした2人の恩人の顔を浮かべながら幻徳はせめてもの罪滅ぼしにと新世界での2人の幸せを願うのであった。

 

「!こっちで叫び声がしたわ!」

「急いで応援を要請して!反対方向へ回り込むのよ!!」

 

「……ポテトォ…」

「……ごめんなさい」

 

突然路地裏の入口の方が騒がしくなり、幻徳は一海に非難の視線を送りながら素早く立ち上がる。一海も立ち上がったのを確認しながら幻徳は騒がしくなった方とは逆の方向へと走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

「っとォ!ヒゲ!!」

「あ!?どうした!」

 

しばらく走ったところで一海は自分の少し前を走っていた幻徳を呼び止めた。怪訝そうな顔で幻徳は足を止めて振り返る。

 

「ここに隠れるぞ!」

 

一海は横に立っている校門を指差していた。

 

「……確かにこのまま走り続けるのは得策じゃないしな。この時間なら生徒もいないだろう 」

 

幻徳は頷くと素早く校門を乗り越えた。一海もそれに続く。

 

「取り敢えず人気のなさそうな建物に入って、そこで一旦作戦を練るぞ!」

「……指名手配されて追いかけ回された桐生戦兎の気持ちが今ならよく分かるな……」

 

校庭を走り抜けていく2人。彼らが乗り越えた校門には『IS学園』の表札が掲げられていた。

 

 

 

 

 

 

「お邪魔しま〜す(小声)」

「……それで、どうする。ここから(小声)」

 

思いの外巨大な敷地だった学校の、大きめな倉庫らしき建物に2人は身を潜ませていた。

 

「情報も何も足りてねぇな。一応使えそうなのは……」

 

一海はポケットから1つのボトルを取り出した。シャカシャカと振ってみるがボトル単体では何の現象も起きない。

 

「テレビフルボトル……だが今は使えないな」

 

「あぁ。いくらなんでも騒がしすぎる。くそっ、金も持ってねぇのかヒゲ」

 

一海の問いに幻徳は首を横に振った。

 

「俺も持っているのはドライバーとスチームガン、あとはボトルだけだ。」

「あーくそっ!戦兎のバイクみたいな移動手段がありゃあまた違ったのかもしんねぇけどよ……」

 

桐生戦兎が使用していたバイクに変形するスマホ型ガジェットを思い浮かべながら一海がため息をついた。八方塞がり、というやつである。

 

「……ここも朝までには脱出する必要があるな。学校なら生徒が登校してきてしまう。」

「消しゴムフルボトルがあればな…」

 

一海はかつて自分が使用した「透明になる」能力を持ったフルボトルを思い浮かべた。この状況に最適とも言えるボトルだが生憎と現状手元には存在していない。

 

「俺の手持ちはロック、ローズ、ヘリコプター、テレビ、ロボット、ノースブリザードのボトル、それとドラゴン、ロボットのゼリーだ。何か使えそうなボトルねぇのかヒゲ」

 

「こっちはフェニックス、ダイヤモンド……それにクロコダイルとサメだ。」

 

つまりこの現状を打破できそうなモノはないという訳だ。ヘリコプターもフェニックスも普段の移動はともかく今使用するには派手すぎる。仮面ライダーに変身すれば無理やり追っ手を突破することも可能だが……

2人はこの『仮面ライダー』の力をそんなことに使う気はなかった。あくまでこの力は『ラブ&ピース』のための力。それを怪人でもない一般人に向けて振るうのは2人の信念に反するのだ。

 

「ったく…平和な世界になったってのに俺らは全く平和じゃねーな……」

「あぁ……ッ!ポテト」

 

一海の軽口に相槌を打つ幻徳は突然何かに気づいたかのように舌打ちすると一海の腕をつかみ近くの物陰に引きずり込んだ。

 

「痛っ……何しやがんだヒ……」

「静かにしろ」

 

文句を言う一海を手で制しながら幻徳は物陰から倉庫の入口の方を伺う。やがてパチンという音と共に倉庫の中が明るくなった。

 

「誰かいるのか」

 

倉庫の入口に一人の女性が立っていた。

黒いスーツを身に纏い、その立ち姿は「美しさ」と「力強さ」が同居している。その姿を見て幻徳は息を呑んだ。おそらく、生身で彼女より強い人間はそういないだろう。初対面だというのに幻徳の思考は「ヤバい」という警鐘と「美しい」という賞賛で埋め尽くされていた。

 

冷や汗をかきながら幻徳は一海の方を確認する。彼も同じ感想を抱いたようでその表情は強ばっていた。

 

「話し声が聞こえたような気がしたが……」

 

カツ、カツと靴の音を響かせながら女性は2人が隠れている物陰の方に向かってくる。

 

(ヤバいヤバいヤバいヒゲどうすんだよ!!)

(ぉぉおおおおおちつ落ち着け落ち着け落ち着け!!)

 

アイコンタクトを交わすが、お互い動揺してて何の意味も成さない。

やがて女性は2人が隠れている物陰から少し離れた所で足を止めて周囲を見回すと入口に向かって歩いていった。

2人は安堵のあまり息を吐き、自分たちの姿を隠していたものに手を触れる。

 

──────その瞬間、ソレは光と共に2人の体にまとわりついた。

 

「うおおおおおおおぉ!!?」

「ぉぉぉぉっ!?」

 

2人が出した情けない声と光に反応し、背を向けて歩いていた女性は素早く振り返ると近くに置かれていた大型の剣らしきものを手に取り構える。そして

 

「…………」

「…………」

「…………」

 

驚愕したような表情をみせる女性の前には苦笑いを浮かべながら両手を挙げて降参のポーズをとる、「女性のみにしか扱えない筈のIS」を装着した二人の男の姿があった。

 




劇場版ビルドの牢屋のシーンで映画館で爆笑しそうになりました。
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