ドルヲタと悪党とインフィニット・ストラトス   作:ミュラー

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ネロちゃまいいよね……(唐突)



よろしくお願いします


プライドの咆哮

放課後、第3アリーナ。

ISの訓練用施設であるこの建物は現状、実質中国代表候補生、凰鈴音の貸切状態となっている。

 

たった一人、無音のアリーナでISを纏った状態で佇む鈴。次の瞬間、その姿が消えると同時にアリーナの四隅に設置されたターゲットの1つが砕け散った。影が閃き、対角にあったターゲットが砕ける。さらに3つ目へ向かおうとし─────鈴の鼻先を掠めたレーザーが狙っていたターゲットの中心を正確に撃ち抜いた。

 

「………………」

 

動きを止め、レーザーが飛んできた方───IS《ブルー・ティアーズ》を纏い、ライフルを構えているセシリアを睨みつける鈴。その視線を正面から受け止めながらセシリアは不敵な笑みを浮かべた。

 

「なんの用?邪魔しにきたなら帰ってくれる?」

「邪魔しに来たわけじゃありませんわ。鈴さん、貴女に用がありますの」

 

明らかにイラついたような様子の鈴にセシリアは微笑んだ。そして手に持っていたライフルの銃口を鈴へ向ける。

 

「決闘を申し込みますわ!負けた方は勝った方の言うことを聞く!というルールでどうでしょう!」

「はぁ?」

 

あまりにも唐突なセシリアの提案に、鈴は思わず戸惑ったような声を上げた。

 

 

 

 

 

なぜこんなことになったのか、時間は今日の昼まで遡る。

 

「鈴さんを説得するその役目!このセシリア・オルコットにお任せ下さい!」

 

鈴とセシリアが山田先生にボロ負けした授業の後の昼休み、鈴の体調を心配した一海ら男子3人組がどうやって鈴を説得するかについて作戦会議をしていた所、箒と共にやってきたセシリアが突然こう言い出した。一海と一夏は顔を見合わせ、幻徳は首を傾げる。シャルルはトイレに行っていて不在だ。

 

「オルコット、何か考えでもあるのか?」

「ええ!もちろん!わたくしと鈴さんが決闘をして、勝った方が負けた方に1つ命令をできるというルールにして、わたくしが勝てば一件落着ですわ!」

「えぇ……」

 

その口から飛び出したあまりにもあんまりな作戦内容に男3人組も困惑するしかなかった。自信満々なセシリアの横で箒がはぁとため息をつく。

 

「私も無理があると説得したんだが……聞く耳を持たなくてな」

「無理なんかじゃありません!それに、わたくしだからこそ意味がありますのよ」

「どういうことだ?」

 

尋ねる一海にセシリアは笑みを浮かべた。

 

「同じ代表候補生であるわたくしが、鈴さんとは違うやり方で得た実力を見せつける!そうすれば鈴さんも自分のやり方の間違いに気が付くはずですわ!」

「うーん……無理矢理すぎな気もするけどなぁ…」

 

一夏は苦笑する。一方で幻徳はセシリアの目を真っ直ぐに見つめた。

 

「……自信はあるのか。凰は強敵だ。そのルールでもし負けたらどうしようも無くなるかもしれんぞ」

 

その言葉と、幻徳の目をセシリアは真っ直ぐに見つめ返した。

 

「…………今は、信じてくださいとしか言えませんわ」

 

それを聞いた幻徳は無言でセシリアの背後に回りその背中をポンと叩いた。

 

「……なら俺は信じる、セシリア・オルコットを。俺はお前があの代表決定戦の後、織斑のサポートをしながら自分も特訓していたのを知っている」

「幻徳さん……」

 

幻徳に続くように一海も、一夏も、箒も、セシリアの背中を叩く。

 

「そこまで言うんだ、俺も異論はねぇよ」

「鈴のこと、よろしく頼むぜ!」

「ああ、私もみんなも、お前を信頼しているぞセシリア」

 

「ただいまー……あれ?みんな何してるの?オルコットさんの背中に何かある?」

「お、シャルル。お前も来いよ」

 

セシリアの背中に手を当てながら、一夏がシャルルへ手招きをする。状況が飲み込めないまま、シャルルはとりあえず周りと同じようにセシリアの背中に手を添えた。

 

「お任せ下さい!皆さんの信頼がある限りこのセシリア・オルコット!必ずや勝利してみせます!」

 

セシリアは背中に触れる手の温もりを感じながら胸を張り、高らかに宣言するのであった。

 

 

 

─────そんなこんなで、セシリアは鈴へ決闘をいどむことになったのだが、当然鈴からすれば青天の霹靂、寝耳に水。いきなりの事に困惑するしかない。

 

「なんであたしがアンタと戦わなくちゃならないの。邪魔するなら帰ってよ」

「あら、もしかして負けるのが怖いのですの?」

「……アイツらと仲良く友達ごっこしてるだけのアンタじゃ、アタシの相手にならないっての」

 

セシリアの露骨な挑発に、鈴は声を低くしゆっくりと構えた。その手に光が集まり《双天牙月》が形成される。

セシリアもISのスカート部分に格納された4機のビットを起動させた。

 

「さっきの、負けた方が言うことを聞くって話、忘れんじゃないわよ」

「申し訳ありませんが、以前の貴女ならともかく今の鈴さんに負ける気はこれっぽっちもありませんわ!」

 

ライフルと青龍刀、それぞれの得物を手にアリーナの中央で向かい合う2人。

やがて痺れを切らしたかのようにセシリアがライフルの引き金を引いた。銃声がアリーナに響く。

 

それが開戦の合図となり、2体のISは同時に動きだした。

 

 

 

 

 

 

ピットのリアルタイムモニターで、一海達はその戦いの様子を見守っていた。

全員表情は硬い。今はまだ互角だがたった1発の攻撃で戦況が左右しかねない状況だ。幻徳は腕を組んだまま意識をモニターへ集中させていた。

 

(オルコット……頼んだぞ)

 

レーザーと衝撃砲が飛び交い、《双天牙月》と《インターセプター》がぶつかり合う。画面の中の青とマゼンタのISは踊るようにアリーナ内で交差した。

 

 

 

 

 

 

5分経ち、気づけば勝負は一方的なものになっていた。

《衝撃砲》がセシリアを叩き、《双天牙月》がビットを砕く。

鈴も少なからずダメージを負っているがセシリアの損傷に比べれば微々たるものだ。

 

「はぁぁぁぁぁ!」

 

振るわれた《双天牙月》によってセシリアの近接ブレード《インターセプター》はひしゃげてしまう。すぐさまそれを投げ捨てライフルを向けるも引き金を引く前に《衝撃砲》がセシリアの顔を叩いた。そのまま仰向けに倒れ込むセシリア。

 

「はぁ……はぁ……終わりね」

「いえ……まだです…………!」

 

よろよろと、立ち上がるセシリア。鈴はそれを見て苛立ちを覚えた。

 

「なんで、あたしにそこまで構うのよ!アンタも、一海も、幻徳も、箒も!……一夏も」

「友達だから……ではありませんの?」

 

最早ライフルを握る力も残ってないのか、セシリアは素手のまま構える。

 

「友達だから……自分自身を傷つけるアナタを放っておけないのでは?皆さん……優しいですもの」

 

ふふっと笑うセシリア。鈴は動揺したように言葉を止めた。

 

「何よ、それ……あたしは、あた、し…………」

「鈴さん、今からの攻撃はわたくしが一夏さん達との特訓の中で編み出したものです。────この一撃で、証明してみせますわ」

 

ブルー・ティアーズの拳部分に、生き残っていた二機のビットが接続される。そして、残存していたエネルギーを全て推進力へと回し、セシリアは流星の如く鈴へ殴りかかった。

 

「なっ…………」

 

鈴が呆気に取られる。遠距離型であるブルー・ティアーズでまさか殴りかかってくるなんて!反射的に《双天牙月》を振りかぶりながら、《衝撃砲》を展開する。

その瞬間、セシリアのISのスカート部分から2発のミサイルが発射された。

 

「奥の手は、最後まで取っておくものですわ」

「くっ─────セシリアァァァァァァァァ!!!」

 

ミサイルを衝撃砲で迎撃する。だがこれでセシリアへ対しては衝撃砲を使えなくなった。次の弾を放たれるよりも早く爆煙の中から飛び出したセシリアは鈴へと拳を振り抜いた。

 

「ぐっ……このぉぉぉぉぉぉ!!!」

「はぁぁぁぁぁぁぉぁぁっ!!!」

 

セシリアの拳を受け止めた《双天牙月》に亀裂が入る。気がつけば、ブルー・ティアーズ本体の加速に加え、拳に接続されたビットもスラスターを吹かせていた。鈴の顔に驚愕の色が見える。

 

「鈴さん!これが……!皆さんと共に得た、わたくしの力です!!」

 

砕け散る刃、セシリアの拳はさらに加速し───鈴のISを吹き飛ばした。直後、2人のISが同時に解除される。

 

「はぁ…はぁ……あんた、無茶苦茶やるわね…………」

「ふふっ…わたくし1人ではこんな発想できませんわ」

 

仰向けに倒れる鈴に手を差し伸べるセシリア。鈴は少し迷った様子を見せたあと、その手をつかみ返した。立ち上がり、しばらくのあいだ無言で見つめ合う。

やがて、鈴はぽつりぽつりと語り始めた。

 

「……あたしさ、親が離婚しちゃってさ……それで一夏と同じ中学を転校して自分の国に帰ることになって……もう父さんとはずっと会ってないんだ」

 

微笑みながらセシリアが鈴の背中をトントンと叩く。鈴は心地よさそうに目を細めた。

 

「だから、ISの代表候補生になった時は嬉しかったんだ。一夏にまた会えるし、それにもしかしたら父さんとまた会えるようになるかもしれない」

 

でも、とそこで鈴の表情が曇る。

 

「一夏には負けて、あの変なISには手も足も出なくて……怖くなったんだ。このまま代表候補生を解任されたら、あたしはまた色んなものを失うことになる。そう思ったらいても立ってもいられなくて…………皆と一緒にいて、楽しくて、でもそれじゃあたしは、強くなんかなれないって……」

 

目に涙を浮かべながら自分の思いを語る鈴を、セシリアが抱きしめた。その胸に鈴の顔が埋められる。

 

「おバカですわね……本当に、以前のわたくしとそっくりですわ。自分一人の力で出来ることなんて、たかが知れていますのに…………さて、約束の件ですけど」

「なによ……」

 

胸に顔を埋めたまま、鈴が聞く。セシリアはふふっと楽しそうに笑った。

 

「わたくしと、わたくしたちと。これからも一緒に過ごしましょう。鈴さん」

「ズルいなぁ……セシリア……あたしに拒否権ないじゃん、そんなの…」

 

抱きしめられたまま、鈴の目から涙が溢れ出した。セシリアに抱きついたまま、わあわあと泣き出す。自分の制服が濡れるのも気にせず、セシリアは微笑んだまま鈴を抱きしめた。

 

 

 

 

 

「一件落着だな!」

 

一海はモニターを見ながら満足げに頷いた。これ以上見続けるのは野暮ってもんだ。とモニターに背を向ける。

一夏もうんうんと頷く。幻徳も珍しく満面の笑みを見せていた。

そんな中、モニターを眺めていた箒が眉をひそめながらぼそりと呟く。

 

「なんだ?アレは…………」

 

その箒の様子に全員がモニターに注目した。抱き合うセシリアと鈴、その後方からゆっくりと黒いISが現れる。

その操縦者に気づいた一海がその名を口にした。

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒ……!」

 

 

ガシャン、とその肩に搭載された大型のレールカノン砲が抱き合う2人へ向けられた。その意図に気がついた一海と幻徳は弾かれたように走り出す。一夏とシャルル、箒もそれに続いた。

 

「逃げろ凰!オルコットォーーーーッ!!!」

 

アリーナへ飛び出した幻徳が叫ぶ。驚いた様子でそちらへ顔を向けたセシリアと鈴の2人を、次の瞬間爆炎が呑み込んだ。

 

「テメェ!!何してやがる!!!」

 

怒りに拳を震わせながら、一海がラウラを睨みつける。その表情に全く動じる様子もなく、ラウラは淡々と挑発してみせた。

 

「織斑一夏に、猿渡一海。今ここで私と戦え」

「上等だてめぇ!」

 

叫びながら、一夏はIS「白式」をその身に纏う。一海も仮面ライダー「グリス」へと変身しその腕に装着された《ツインブレイカー》の銃口をラウラへ向けた。

 

 

 

 

「あ、あら?」

「う、うーん……?」

 

炎の中、セシリアはふと自分へのダメージがないことに気がついた。見れば自分と鈴の周囲を赤く、薄い膜のようなものが覆っている。

 

「オルコット!凰!無事か!?」

「セシリア!」

 

幻徳と箒、シャルルが駆け寄ってくると同時に赤い膜の表面が波打ったかと思うと、そのまま霧散してしまった。途端周囲の炎も一緒に掻き消える。セシリアは困惑しながらも、取り敢えず幻徳達の呼びかけに応じた。

 

「わたくしも鈴さんも大丈夫です!……けど、何なんですの今のは……」

 

周囲をキョロキョロと見回すセシリア。だがそこには幻徳たちと自分と鈴、そして離れたところで交戦するラウラと一海、一夏の姿しかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「今のは礼だ。理想通りとは行かないが……望む物は手に入った……それに、次の手も打たせてもらったぜ?」

 

アリーナの外を歩くエボルト。そこへアリーナの中から這うように出てきた赤いスライム状の何かがまとわりつき──いつの間にかその手には青い筒状の小さなものが握られていた。一海たちの「フルボトル」によく似ているが装飾などは全く異なっている。

 

「じゃあな、凰鈴音。『フェーズ2』になったら、また会おうぜぇ?」

 

楽しそうに呟くエボルト。手にしていたボトルを自らの体へ飲み込むと、手にしていた銃から黒煙を放ちその場から掻き消えた。




何やかんやでエボルトもブラックホールまで出したいなぁ
怪人態も出したい
最初はエボルドラゴン抜いてエボルラビットをフェーズ2として出しちまおうかと思ってたんですけどやっぱりドラゴン欲しいから無理矢理出すことにしました。
許して
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