ドルヲタと悪党とインフィニット・ストラトス   作:ミュラー

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仮面ライダーエボル フェーズ0はオリジナルライダーってよりオリジナルISになりますかね
タグ付けした方がええんやろか




よろしくおねがいします


ビーチに集う戦士達

「海だー!」

 

トンネルを抜けたバスの中で女子達が歓声を上げる。その窓の向こう側には陽光を受けて煌めく大海原が広がっていた。

女子達ほどではないが、一海の横の席に座っている一夏も少しそわそわしている。

 

「やっぱ海を見るとテンション上がるよな!」

「そうかぁ?まぁ、そんなもんなのか」

 

窓際の席に座りながら低めのテンションの一海は海を見ても特に無反応だった。外見は若くても中身は29歳。もう海を見てはしゃげるような年齢でもないのだ。

 

「げんげん、海で一緒にビーチバレーしようよ〜」

「望むところだ。手加減はしないぞ」

「ならわたくしも幻徳さんと同じチームで参加しますわ!」

 

前言撤回。普通にはしゃいでいる35歳が一海の後ろの席にいた。思わず呆れたようにため息をつく。

 

「どうしたカシラ。車酔いか?」

「あ、酔い止めあるよ。使う?」

「いや、大丈夫だ。気にすんな」

 

通路を挟んで反対側の席に座っていたラウラとシャルロットの気遣いに感謝しつつも断わり、再び視線を窓の外へ戻す。

海は一海のテンションなどお構い無しにキラキラと光を反射させていた。

 

 

 

 

7月上旬の三日間、IS学園の1年生には校外実習というイベントがある。名目上実習となっているので三日間の内の半分以上はIS関連の授業で潰れるものの、残り半分は自由時間、つまり海で遊べるようになっているのだ。要するに臨海学校である。

ISという兵器に乗る訓練をしている人間とはいえ、中身は10代の少女達。海で遊べると言うだけでそのテンションは実習の一週間前から上がりっぱなしだった。

 

「そろそろ目的地につく。全員席に座り降りる準備を整えろ」

 

そんな浮ついた雰囲気も、バスの先頭座席に座っていた女教師、織斑千冬の一声でビシッと引き締まり、全員その指示に従う。

中身は10代女子でもやはり訓練生は訓練生なのだ。

海沿いの道路を走っていたバスはやがてゆっくりと減速し、目的地である大きな旅館の駐車場へと入っていく。

計4台の大型バスからIS学園の生徒達が降り、旅館の前で整列した。当然ながらかなりの人数である。

 

「それでは、ここが今日から三日間お世話になる花月荘だ。全員、従業員の仕事を増やさないように注意しろ」

「「よろしくおねがいしまーす」」

 

旅館から出てきた着物姿の女将さんに全員で挨拶する。女将さんは目の前に整列する生徒達を見てうふふと上品に笑った。

 

「はい、こちらこそ。今年の1年生も元気があってよろしいですね」

「それでは各自、荷物を持って自分の部屋へ向かえ。今日一日は自由行動だ。ハメを外しすぎないように」

 

はーい、と返事をして生徒達はそれぞれ従業員に案内されながら旅館の中へ入っていく。部屋についての連絡を受けた覚えのない一海達男3人と千冬、そして女将さんだけがその場に残された。

 

「そちらがもしかして噂の?」

 

一海達を見た女将さんが千冬に尋ねる。

 

「ええ、今年は男子がいるせいで浴場分けが難しくなってしまって申し訳ありません」

「いえいえ、そんな。それにいい子達じゃありませんか。皆しっかりしてそうで」

「そう見えるだけですよ。お前達、挨拶をしろ」

 

そう言って千冬はいちばん近くにいた一夏の頭を無理やり下げさせる。一海と幻徳もそれに倣って頭を下げた。

 

「お、織斑一夏です。よろしくおねがいします」

「猿渡一海です」

「氷室幻徳です」

「うふふ、ご丁寧にどうも。改めましてこの旅館の女将の清洲景子です」

 

先程のように上品に笑いながらお辞儀をする女将さん。その気品のある立ち振る舞いと、普段接することの無い年上の美人に一海達は少し緊張した様子をみせた。

 

「それじゃあ皆さんのお部屋は別館の方に用意してありますので、こちらへどうぞ。お着替えの場所も別館にありますのでお部屋の後で案内します」

「うっす」

「はーい」

 

一海たちは自分たちの荷物を持って別館へ向かう女将さんの後を追う。

……ふと、後ろを見た一海は自分たち同様、荷物を持って歩いている千冬に声をかけた。

 

「あれ?織斑先生も別館の方なんすか?山田先生は女子達と同じ方行きましたけど」

「お前らは私と同室だ」

 

帰ってきた言葉に、一海の足が止まる。幻徳も、一夏も、驚愕で目を見開き千冬へと視線を向けた。女将さんも不思議そうな顔をしながらつられて足を止める。

 

「なんて顔をしている。お前達だけの部屋にしたら夜中に押しかける女子が出るだろう」

「あー……」

 

否定はできない。というか最近よく布団に潜り込んでくる眼帯を付けた少女の顔を思い浮かべて一海は思わず納得してしまった。4人は再び歩き出す。だが幻徳だけは食い下がるように千冬へ疑問をなげかけた。

 

「しかし、織斑はともかく俺たちも先生と同室というのは不味いのでは?」

「なんだ?私が同室では不満か?」

「いえ、その……男女が同じ部屋で寝たりするのはどうかと」

「ふん、残念だが私はお前らみたいなガキなど相手にしない。お前らが私に劣情を抱くならともかくな」

「ハハッ、まさか」

 

バシン!と、幻徳の頭が引っ叩かれた。理不尽すぎる。前を歩く女将さんはそのやり取りを見ながら仲がいいわねぇ、と微笑んだ。

 

 

 

 

「何してんだ?一夏、箒」

 

他の生徒たちのように浜辺ではしゃぐ気分にもならず、かと言って千冬がいる部屋の中でくつろぐ気にもならず旅館の中をぶらついていた一海は、中庭に面する通路で呆けたような顔で並んで立っている一夏と箒に声をかけた。ちなみに幻徳はとっくに海へ遊びに行ってしまっている。

一海に気がついた一夏が中庭の中を指差す。その指先へ視線を向けた一海は、中庭の白砂に生えているウサギの耳を見て首をかしげた。

 

「なんだこりゃ」

「あー、えーっとだな、これは……」

 

一夏は隣の箒をちらりと見る。箒はため息をつくと無言でどこかへ行ってしまった。

しまった、というような顔で一夏は一海を見る。

 

「どうしたんだ?アイツ」

「ま、まあ色々あるんだよ。家族のこととか」

 

この目の前に生えているウサギ耳が家族となんか関係あるのか?当然の疑問を浮かべながら一海は目の前に生えているそれを掴んで引っこ抜く。

 

「なんだこりゃ?」

「ウサギ耳の……カチューシャ?」

 

一夏が想像していた物とは違ったらしい、作り物のそれを見た一海はそれを一夏へ向けた。

 

「イタズラか?俺てっきり束さんかと……」

 

一夏の言葉は、何かが飛行する音によって遮られる。その音は次第に大きくなっていき─────────

 

2人の目の前に、謎の飛行物体が突き刺さった。

 

「に、にんじん?」

 

にんじんだ。それもリアルなものではなく、イラストチックな物を巨大化させたようなもの。中庭に突き刺さったそれはパカリと真っ二つに割れ、内側から一人の女性と二人の男が這い出してくる。

 

「あっはっはっは……やっぱり定員オーバーだったね!」

「笑い事じゃありませんよ……」

「目が……回る……」

 

「「あ」」

 

一海と一夏は同時に同じ声をあげた。一海は二人の男を見て。一夏は一人の女性を見て。

 

「!猿渡一海……!」

「くっ……」

 

一海に気がついた二人の男、鷲尾兄弟はよろめきながら立ち上がりネビュラスチームガンを取り出す。

睨み合う3人の男、その間に謎の女性─────篠ノ之束が割り込んだ。

 

「ストップ!ストップ!ふーちゃんもらいちゃんも、そっちの猿渡一海もストップ!戦いに来たんじゃないんだよ!」

「……すみません」

「…………」

 

束の言葉に渋々と言った様子で身を引く鷲尾兄弟を、一海は笑いを堪えながら眺めた。

 

(ふーちゃん……らいちゃん……)

「何笑ってやがる」

 

一海の肩が震えていることに気がついた雷がムッとしたような顔で身を乗り出す。だが横に立つ風がそれを腕で制した。

 

「取り敢えず久しぶりだねいっくん!」

「お、お久しぶりです束さん」

 

一夏が持っていたウサミミカチューシャを受け取り、自分の頭に装着する束。童話のような青と白のワンピースも相まって一人不思議の国のアリスの完成である。ヒゲに負けず劣らずのファッションセンスだな、と一海は思った。いや、まだ見ていられる格好なぶんこっちの方がましか。

 

「ところでいっくんー、箒ちゃんは?さっきまで一緒だったと思うんだけど」

「ほ、箒ですか?えーと……」

「まあ私ならすぐ見つけられるけどね!なんたってこの箒ちゃん探索機があるから!」

 

先程装着した束のウサミミカチューシャの耳がピコピコと動き、ある方向を指し示す。じゃあねー!と手をブンブンと振りながら走り去っていく束。風と雷もその背中を追って走っていってしまった。

 

「……誰だありゃ。一応この実習って機密やらなんやらで部外者は立ち入り禁止じゃねえのか?」

「部外者っていうか……あの人一応、ISの産みの親だからな……」

「え?じゃあ、あの女が篠ノ之束?ん?篠ノ之…………」

「箒の姉さんだよ」

「ああ、そういや前にそんな話聞いたな。へぇ……」

 

一海は先程の箒の態度を思い出す。身内が世界中で知られる危険人物ともなれば普通の家族のように仲良く、とは行かないのだろう。

腑に落ちたような顔をしている一海の横で一夏が小さく伸びをした。

「んじゃ、俺は海でも行ってくるかな。一海は?」

「いや、俺は海なんて気分じゃ─────」

「見つけたぞカシラ」

 

背中に少女の声がかけられる。振り返った一海はゲッと声を漏らした。いつもの制服姿のラウラが浮き輪を腕に提げ立っている。

 

「遅いから探したぞ、さあ浜辺へ行こう」

「俺は行かねえぞ、違う奴と遊べよ……」

「いいや、来てもらう。私の水着姿を見せなくてはならないからな」

 

逃げようとした一海は、その行動を読んでいたかのように先に跳躍したラウラに襟を掴まれ、そのまま引き摺られる。

 

「やーめーろー!俺は初めて一緒に海で遊ぶ女の子はみーたんって心に決めてんだよ!」

「ふっ……言っていただろう、カシラ。私の思いを全て受け止めてみせると」

 

騒ぎながら去っていく2人を苦笑しながら見送った一夏は、自分も着替えるために別館の男子更衣室へ向かって歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっほー!ちーちゃん」

「……はぁ、山田先生。少し席を外します」

 

教員達が会議や業務に使用していた旅館の部屋の襖が突然開く。そこから顔を出した束を見た千冬は大きなため息をつくと、隣で資料を整頓していた山田先生に声をかけて席を立った。

戸惑いながらも頷いた山田先生に見送られて千冬と束は部屋を出ていく。

 

「……なぜお前が居るんだ、束。ここは関係者以外立ち入り禁止だろう」

「んっふっふー、関係者っていうなら私がこの学園の1番の関係者でしょ!なんたってISの開発者だからね!」

「…………はぁ」

 

廊下を歩きながら、射抜くような視線にも全く動じず楽しそうに笑う束に再び千冬の口から大きなため息が漏れる。

 

「何の用だ。まさかただ遊びに来たわけではあるまい」

「えー?ちーちゃんの顔を見に来ただけいたたたたた!ちーちゃん!ギブ!ギブ!」

 

千冬のヘッドロックを受けた束は自身の首に食い込む腕をパシパシと叩いた。

 

「まあ、多分しばらくISの開発からは離れるけどね!色々とやらなくちゃいけないことがあるから!」

「なんだと……?」

 

その言葉に、千冬は眉を顰める。その時、束を締め上げるその腕を何者かが掴みあげた。

 

「束さんを離せ」

 

人間のものでは無い力で千冬の腕が締めあげられる。無表情な男、鷲尾風が千冬へ鋭い目を向けながらその手首を掴んでいた。

千冬はその声に聞き覚えがある。

 

「貴様は……あの歯車の怪人!」

「…………リモコンブロス、です」

 

訂正するように言った風は千冬の腕から手を離し、束を庇うようにその前に立つ。千冬は舌打ちした。

 

「どういうことだ束。何故お前がそいつと行動を共にしている」

「どういうことって……ふーちゃんは私のボディーガードだよ?」

「ふ、ふーちゃん?」

 

束の言葉に面食らった様子で千冬は風へ視線を向ける。風は気まずそうにサッと顔を逸らした。

 

「そいつらは……あのエボルトの仲間だろう、お前も、あの宇宙人に協力しているのか?」

「まっさかー!」

 

風から再び束に視線を戻し、その目を鋭くさせる千冬に束は笑いながら声を低くする。

 

「逆だよちーちゃん。私はね、アイツをぶっ殺してやりたくて仕方が無いんだよ。ふーちゃんも、らいちゃんもね。」

 

その、いつも無駄に明るい友人が不意に放った殺気に似た雰囲気に千冬は思わず後ずさった。

 

「ふーちゃんと、らいちゃんにアイツと同行してもらったのも単にデータ取りのため。ちーちゃん達を妨害したのもね。悔しいけどアイツの戦闘能力は高いよ、今世界中で最新ってことになってる第三世代のISを全部揃えても、多分勝つのは難しいんじゃないかな」

 

束の言葉に、千冬の背中を冷や汗が流れる。ISでは勝てないと「ISを最も良く知る人物」が断言する存在。そんなもの、人類に同行できる存在では無いだろう。

だが、目の前に立つ天才は悲観しているような様子はない。

 

「……なにか、対策はあるのか」

「もちろん!」

 

千冬の問いに、再び明るくなった束は得意げに携帯端末を取り出し空中に何かの映像を投影した。

そこに写っているのは一夏のIS、白式ともう一体。赤い、まるで鎧武者のようなIS。そして黒い、長方形と円を組み合わせたような形状の機会にハンドルが着いた謎のガジェット。

 

「第三世代で勝てないなら、第四世代型(もっと強い機体)を作っちゃえばいいんだよ」

「なんだと……?」

 

千冬は困惑した。第四世代──────そんなものを既に完成させたというのか、この天才は。今現在、世界各国では第三世代型のISの開発競争の真っ最中である。それだというのに。

まるで世界を嘲笑うかのような才能の化身。千冬は目の前に立つ親友に、ほんの少しの恐怖を覚えた。

 

「一夏の白式は……確かお前が完成させたものだったな。初めからこの状況を見越していたのか?」

「いや全然?いっくんの白式も、箒ちゃんの赤椿────あ、こっちの赤いISね。どっちも元々は別の計画のために作ったものなんだよねー。まあ、こうなっちゃった以上その計画も後回しだけど」

 

サラリと言う束。千冬は2体のISと共に映し出されたガジェットを指差した。

 

「これは、なんだ?これもISなのか?」

「よくぞ聞いてくれました!これは───────」

 

投影された映像が切り替わり、人型の何かが映し出される。

赤と、青の2色の装甲を纏う戦士。その人型の姿の横には装甲と同色の赤と青の小型のボトルの写真がある。その姿を見た千冬は自分の生徒である猿渡一海と氷室幻徳が所有する「ライダーシステム」を思い出した。

 

「『仮面ライダー ビルド』、それに変身するための「ビルドドライバー」。ふーちゃんたちが使ってる《ブロス》と、エボルトから得た《仮面ライダー》のデータを解析して再現した……こことは違う世界の技術で創られた発明だよ」

「仮面ライダー……猿渡達と同じ物か」

「そうだよ!でも猿渡一海達が使ってる《スクラッシュ》に比べてこっちは拡張性と汎用性に優れてる感じだよ。この技術が広まれば、きっとISを発表した時よりも騒ぎになるだろうねえ…………」

 

説明を終えた束の手元に、光の粒子が集まり銀色のスーツケースが出現する。束はそれを開け、中身を見せながら千冬へと差し出した。そこには先程見せられたドライバーと、赤と青のボトルが。

 

「ねぇちーちゃん。白騎士事件(あの時)みたいに、もう一度一緒に世界を変えてみようよ」

 

困惑する千冬へ、天災(てんさい)はニッコリと笑いかけた。




魔法少女ビーストさんジオウ出演おめでとうございます
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