ドルヲタと悪党とインフィニット・ストラトス   作:ミュラー

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何故篠ノ之束がフルボトルを所持していたのか、私にもわからん(糞博士)
真面目な話、割とノリだけ書いてたのでそこら辺全く考慮してませんでした
天才なのでエボルトが持ってた現物から成分含めて作れそうなものは複製したとかそんな感じでお願いします

基本的にISキャラが仮面ライダーに変身することは無いです。
ただしエボルト憑依状態は除く

よろしくお願いします


スノーラビットは空を舞う

「……ん?」

 

白い砂浜で、少女に見とれていた一夏はふと自分の手の中にある何かが熱を放っていることに気がついた。

手を開くとそこには淡い光を放つ赤い小さなボトルが。

これが何なのかは分からないが、見覚えはある。一海や幻徳が戦闘時に腰のベルトに差し替えて使用している道具だ。

 

「なんで俺が持ってるんだ……?って熱っ!?」

 

ボトルが強い光を放ち、同時に熱も持っていられない程に上昇する。

一夏は思わず手の上のボトルを足元の砂浜へと落としてしまった。

砂浜に突き刺さったボトルから赤い光が溢れ出し、一夏の目の前を覆い尽くす。

 

『………………織斑、一夏』

「………………へ?」

 

光が一瞬で赤から緑へと切り替わり、同時に人の形をつくった。その人型の光から名前を呼ばれ、一夏は間の抜けた声を出してしまう。

 

「だ、誰なんだ?俺に光ってる知り合いなんていない」

『我が名はベルナージュ。この世界の火星を治めていた王妃にして、戦いを見届ける者』

「か、火星!?ってことは、宇宙人?……地球以外の生命体なんて、聞いたことがないぞ」

『何をそんなに驚く。……お前達は既に出逢っているはずだ。お前達の星の外で生まれた生命、あの破壊の化身に』

 

ベルナージュと名乗る光の言葉に一夏は学年別トーナメントで交戦したあの『仮面ライダー』の姿を思い浮かべる。

 

「確か……エボル?………あれが宇宙人なのか……?確かに人間とは思えないけど……ってあれ?確か一海と氷室はアイツのこと知ってるって……じゃあアイツらも宇宙人なのか!?」

 

一夏は思わず緑の光に詰め寄る。光の、人の頭にあたる部分が横に振られた。

 

『違う。彼らは人間だ。ただし、お前達が生きるこの世界とは違う世界から来た存在だがな』

「ち、違う世界?ちょっと待ってくれよ……何がなんやら……」

 

ベルナージュの言葉に、一夏の頭がこんがらがった。宇宙人、火星の王妃、異世界人。普段生活している中であまり関わることの無いワードの連続に理解力が追いつかない。

 

『……簡単にまとめよう。私がエボルトに対抗する為に、彼らをこの世界に呼んだのだ。元の世界で、エボルトと戦った経験のある彼らをな』

「アンタが?それにエボルトに対抗する為にって…………」

 

困惑しながらも、取り敢えず頭の中で話を整理する。

ベルナージュの話が本当なら、あの一海と幻徳の代表候補生すら寄せ付けない強さも納得がいく。

そこで、ふと以前医務室のベッドで聞いた幻徳の言葉を思い出した。

 

『お前が消えたあと皆がどれ程悲しんだか分かっているのか』

 

 

 

「……なぁ、えっと……ベルナージュだったか。アンタ、エボルトと戦ってた一海達をこの世界に呼んだって話だったよな?それじゃあ、戦う奴がいなくなった元の世界は……」

『…………隠すこともあるまい。私がこの世界へと呼び寄せた5人の戦士……彼らは元の世界で皆、エボルトとの戦いの中で既に死亡した者達だ』

 

淡々と紡がれる言葉に一夏は衝撃を受ける。

なんとなく察しての質問ではあったが、簡単に受け入れることができる答えではなかった。

あの見かけによらず陽気な男と、頼りがいのある兄貴肌の男を思い浮かべる。

 

「…………あいつら」

 

そんな物を抱えながら、彼らは笑っていたのか。

そんな過去を背負いながら、彼らはいつも他人の心配をしていたのか。

 

「……………………………………」

 

言葉が出てこない。だが、一夏の中には言葉にできない怒りが渦を巻いていた。彼らへ向けられたものではない。自分自身への怒りだということだけは分かる。

そんな一夏の様子を見て、ベルナージュはゆっくりと腕を伸ばす。

 

『……織斑一夏。私は既にエボルトによって殺された身だ。直接お前達に手を貸すことは不可能だが─────』

 

ベルナージュは語りながら、掌を自身の後方で踊る少女へ向ける。

そこから放たれた光が、少女を包み込んだ。

 

「おい!!何を………」

『お前の想いは理解出来る。自分の弱さへの怒り、守りたいものを守れない絶望…………私が、お前のチカラの後押しをしよう』

 

身を乗り出した一夏は光に包まれた少女の姿が少し変化するのを見て唖然とした。光は少女の体に染み込むように消えていく。

同時に、ベルナージュの姿からは逆に光が失われ始めていた。

 

『与えたチカラの使い方は、お前のISが教えてくれるハズだ。…………戦え、織斑一夏。お前の、お前が秘めた力が、エボルトへ対する希望になるだろう』

「ちょっと待ってくれ……!まだ聞きたいことが沢山ある……」

『最後に一つだけ、私が呼んだ戦士達は飽くまで助力。この世界の運命を変えることが出来るのは、この世界で生まれた存在だ。忘れるな織斑一夏…………………………………………』

 

一夏は慌ててベルナージュへ駆け寄ろうとする。だがその光の体は指先が触れた瞬間、一夏の目の前で霧散した。砂の上に落ちた赤いボトルが小さな音を立てる。

呆気に取られつつ、落ちたボトルを拾い上げる一夏の前で、砂浜がサクサクと音を立てる。気づけば、少女が一夏の目の前に立って微笑んでいた。

その2つの瞳が、一夏の顔を覗き込む。

 

「あなたは、このチカラを何に使うの?なんで、チカラを求めるの?」

「え?………うーん………………」

 

突然の問いかけに一夏は腕を組んで首を捻る。正直頭はパンク寸前だ。

ベルナージュが語った事実を整理するのに精一杯だったが、それでも何とか答えを絞り出す。

 

「皆を守るため……かな。うん。そんな感じだ」

「守る?」

「そう。エボルトもそうだし、今の世の中って男女格差だとかテロリストだとか、色々大変なんだよ。そういうヤツらから、大切な人達を守れるようになりたい……それが力が欲しい理由かな」

 

千冬姉にそんなこと言ったら「お前なんかに守られる程弱くない」とか言うだろうけどな。と付け足して笑う。

少女はキョトンとした顔をして、再び微笑んだ。

 

「じゃあ、行かないとね」

 

白い掌が差し出される。一夏はそれを握り返した。

 

「ああ。行かないとな」

 

直後、視界が白で塗りつぶされる。何も見えない中で、一夏は掌に感じていた温もりが全身を包み込むのを感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「行くぜ……白式!」

 

白式の左足に追加されたスプリング状の装飾が光を放つ。直後、その純白のISは箒と福音の目の前から姿を消していた。

 

「なっ…………速い!?」

 

箒は目を見開く。その加速は「瞬間加速(イグニッション・ブースト)」とは比べ物にならない。ISのハイパーセンサーですら殆ど捕えられない、瞬間移動といっていい程の速度だった。

福音も見失ったように周囲を見回している。

 

「こっちだ!」

 

福音の背中が背後に出現した一夏が振るった雪片の刃で切り裂かれる。

迎撃の為に生やされた光の翼が刃に当たって霧散した。

福音が悲鳴のような声をあげる。

 

「キィィィォアァァァァァァァァァァッ!!!」

「気をつけろ一夏!!第二形態移行(セカンド・シフト)の影響でそいつの武装は初戦とは比べ物にならない程強化されている!!」

「分かった!ありがとな箒!!」

 

箒へ礼を言う一夏から距離をとり、翼を生み出し直す福音の頭上で赤いエネルギーが渦を巻く。

次の瞬間、太いビームのような光の奔流が一夏へ向かって殺到した。

 

「《雪羅》!」

 

一夏が鋭く叫ぶと同時に左腕に装備されていた篭手が展開し、零落白夜と同じ光で構成されたシールドを作り出す。

福音が放った攻撃はそのシールドに触れた瞬間、霧散して消滅する。

 

IS「白式」第二形態の新装備《雪羅》。簡単に言えばこれは『状況に応じて形状を変化させることができる《零落白夜》』である。

 

シールドで奔流を打ち消しながら福音へ向かっていく。福音が後退しようとするのを見て一夏は再び左足のスプリング────《雪兎》を起動させた。

こちらの装備は機動力補助のためのもの。エネルギー消費が多いのが難点だが、「瞬間加速」以上の爆発的な加速を連発することが可能だ。

その能力によって一瞬で福音の目の前まで到達した一夏は左腕をシールドから《雪羅》をエネルギーの爪へと変化させ、それを福音の胸部装甲へと突き立てる。

 

「うおおおおおおおおおおおおっ!!!」

 

一夏は背中の大型スラスターを全開にし、腕をさらに福音へと食い込ませた。

銀色の体に亀裂が走り、その奥から赤い光が漏れ始める。

長く続いていた戦いに、とうとう決着の時が訪れようとしていた。

 

 

 

 

 

 

「おい、ヒゲ……」

「あぁ、気づいてる」

 

気を失っている少女達の身体を抱えながら、一海と幻徳は海面から上空を舞う白いISの姿を眺めていた。

その姿はドライバーからボトルとゼリーを引き抜いたことで元の人間の姿に戻っている。

 

「一夏……だよな。だけどあの能力は……」

「まるで桐生戦兎のラビットタンクだな」

 

幻徳は険しい顔をする。その時、一夏とは別、まだ上空に残っていた箒の纏うISが赤い閃光を放った。

一海は慌てた様子でそちらを見る。

 

「今度はなんだ!?箒か!」

「…………悪い現象では無さそうだ」

 

2人の視線の先、福音の血のような色の光とは違う柔らかな赤色の光に包まれた箒が一夏を追うように飛び出した。

 

 

 

 

 

 

「うぉぉおおおおおおおおお!!!」

 

左腕を福音へと突きこみ、右腕で構えた雪片で福音から放たれる反撃を防御していく。

傍から見れば一夏が優勢、だが本人の胸中は焦りで包まれていた。

 

(エネルギー残量20%!このまま押し切れるか!?)

 

元より燃費の悪さの原因だった《零落白夜》の消費量が、2倍。さらに《雪兎》による加速の消費もあり、白式の燃費は今や最悪と言っていいレベルにまで悪化していた。

福音に突き刺さるクローの光が徐々に失われていく。舌打ちした一夏は福音から左腕を引き抜き、その体を蹴って1度後退した。

 

「くそっ…………あと少しだってのに!!」

「一夏ーーーーーーーーっ!!」

 

背後から聞こえてくる声に、一夏はギョッとして振り向く。

赤い光を纏う箒が一夏へ向かって手を伸ばしていた。

 

「受け取れ!!」

「箒!?」

 

咄嗟に伸ばされた手を握り返す。その瞬間、一夏は繋がれた手を介して熱い何かが自分の体へ流れ込んでくるのを感じた。

同時に、光を失いつつあった雪片の刀身が再び強い光を放つ。

 

「エネルギーが……回復した!?」

「説明はあとだ!!行くぞ、一夏!!今度こそ終わりにする!!」

「お、おう!」

 

充填されたエネルギーを左足の《雪兎》へと送り、腰を低くする。雪片を収納し、左足に溜まったエネルギーを爆発させる。

直後、一夏の視界が歪み────福音の姿が一瞬で迫ってきた。

 

「これで─────────トドメだァァァァァァァァァっ!!!」

 

 

《雪兎》による爆発的な加速の勢いのまま、右足を前へと突き出す。福音の腹部へとその爪先が突き刺さり、銀色の体がくの字に折れ曲がった。そのまま押し込むように福音の体ごと一夏は飛んでいく。

 

「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!」

 

福音の身体へ蹴りを入れながら、再度《雪兎》で加速する。

白と銀の2つの光が海面を切り裂くように飛んでいく。

 

「キィィィァァァァァァァァァァァァオオオ!!!!」

 

福音の背中から、無数の巨大な翼が同時に生えた。それが羽ばたくと同時に一夏は足先に強い抵抗を感じる。

 

「まだだ……!!」

 

両腕を振り上げ、その手の中に再度《雪片弐型》を呼び出す。光と共に形成されたその刀を、一夏は福音へ向かって振り下ろした。

銀色の首筋に白刃が食い込むと同時に、その刀身と傷口から白い光が溢れ出す。同時に福音の背を覆うように出現した無数の翼が全て同時に消滅した。

 

「ィィィィィ……………………ンンンン」

 

それが最後の抵抗だったのか、福音の全身の各所から放たれていた赤い光が弱まり始める。

それを見て、一夏は吠えた。

 

「ォォォォォォォオォォォォッ!!!」

 

海面を切り裂きながら走る白い流星は海岸の岩場まで到達する。銀色の天使は音速を超える速度で巨大な岩へと叩きつけられ、とうとう全ての機能を完全に停止させた。

 

「ぜぇっ…………ぜぇっ………………」

 

白式を解除し、荒い息を整える一夏の前で岩へめり込んだ銀色の機体は光の粒子になって消失し、ISスーツを身にまとった金髪の女性が糸の切れたマリオネットのように崩れ落ちる。

 

「おっとっと、危ない危ない」

 

その顔が周囲の岩に打ち付けられる前に一夏が身体を支えた。

だが体から力が抜けてしまい、女性を支えたまま尻もちをついてしまう。

 

「……………………はぁー……」

 

ふと顔を上げると、水平線の向こうが白くなり始めていた。もうじき夜明けらしい。

膝に女性の頭を乗せたまま、海を眺める一夏。そこへ、男の声が掛けられた。

 

「福音を撃破したか、織斑一夏」

 

慌てて立ち上がろうとして、女性を寝かせていることに気づいて首だけを周囲へ向ける。

近くの岩の陰に、スーツ姿の男が立っていた。一夏へ背を向けており、顔は見えない。

 

「……まずは彼女を救ってくれた事に感謝を。大きな怪我もないようだ、きっとイーリスも喜ぶだろう。……いや、もしかしたら自分が仇を討てなかったことを悔しがるか」

「イーリス?……もしかしてアンタ、この人の知り合いなのか?」

「そんなところだ」

 

男は懐から何かを取り出し、一夏へと放り投げる。綺麗な放物線を描きながら小さな物が一夏の元へと飛んできた。

慌てて手を差し出すも尻もちを着いた状態ではキャッチすることが出来ず、それらは掌にあたると地面に落ちてカラカラと乾いた音を立てる。

 

「これは礼だ。きっと君の役に立つ時が来る」

 

そこには1本のボトル、目を覚ました時に手の中に握らされていた物とは色が違うものの、形状は殆ど同じものだ。

困惑しながら一夏は体の近くに転がったそれらを拾い上げ、マジマジと眺める。

 

「これ……一海たちが使ってる奴と同じやつだ。……なんでアンタが…………?」

「……今はまだ名乗らなくていいだろう。だが私はキミの敵ではない。これだけは約束しよう」

 

それだけ言うと男は顔だけを一夏の方へと向けた。眼鏡を指で押し上げながら、一夏の目を見つめる。

 

「………………ひとつ警告しておく。織斑一夏。敵はエボルトだけでは無い。亡国機業には気をつけろ」

「亡国機業?」

 

なんだそれ、と聞こうと手元のボトルから男ヘ視線を向ける。だが一夏の目の前から男の姿は煙のように消え失せていた。

 

「あ、あれ?どこいった?っていうか知り合いなら置いてくなよ……」

 

キョロキョロと周囲を見回す一夏。その耳に箒の声が届く。

 

「一夏ーーーーーーーー!!」

「あっ、箒!ここだーーーーーーー!!」

 

手を振って叫びながら居場所を伝える。ISのハイパーセンサーならすぐに見つかるはずだ。

箒はふわりと一夏が座っている岩場の近くに降り立つと、ISを解除して走り寄ってきた。

 

「─────死ねっ!!」

「うおおっ!?」

 

殺気を感じ、咄嗟に頭を下げる。先程まで一夏の頭があった場所を風を切り裂きながら何かが通過した。

恐る恐る顔を上げると躱された事に舌打ちしながら再びハイキックの姿勢をとる箒の姿が。

 

「待て待て待て!今俺動けないんだが!」

「言い訳ならあの世でしろ!不埒者め」

「不埒者って……この人が倒れたところを助けただけだろ!」

「問答無……………………へ?」

 

蹴りを放とうとした箒の体がぐらつき、一夏へ向かって倒れ込む。

一夏は慌てて腕を伸ばしてその体を抱きとめた。

 

「す……すまない」

「いや、大丈夫だ……」

「…………………………………………」

 

膝を名前も知らない福音の操縦者の女性の枕代わりにし、腕で箒の体重を支える。

戦闘の直後ということもあり一夏の体は割と限界だった。

プルプルと箒の体を支える腕を震わせながら、声をかける。

 

「……あの、箒さん?できれば早くどいて欲しいんですが」

「なっ……!私の体が重いという意味か!?」

「いや、違う!俺も身体が限界なんだよ!!」

 

怒る箒の顔を見ながら、一夏はどこか安心感を覚えていた。

あの、福音と戦う前の余裕のない様子はない。いつもの幼なじみの姿に安堵の息を漏らす。

箒は少し慌てて立ち上がると、ジロリと一夏を睨んだ。

 

「何をため息などついている」

「違ぇよ。……そういや、皆は無事なのか?」

「ああ。学園の部隊に救助された。ISの損傷はひどいが、みんな大きな怪我もなく、無事だ」

「そうか…………良かった」

「ああ。………………ん」

 

箒が手を差し伸べる。一夏は一瞬意図を理解できずその掌を眺めていたが、直ぐに気づくと慌てて掴んだ。

気を失った女性の体ごと、その体が引き起こされる。

箒と、女性を背中に背負う一夏はそのまま岩場を歩き始めた。

 

「………………ありがとう、一夏」

「ん?なんだ箒。何か言ったか?」

 

波の音のせいでよく聞き取れず、一夏は横を歩く箒へ尋ねる。しかし箒はそっぽを向いてしまっていた。

 

「……………………ありがとう、そしてすまなかった。……助けに来てくれた時のお前は……その、か、かっ、かっこよかったぞ…………」

 

顔をそむけたまま、箒が言う。今度こそ聞こえたその内容に一夏も照れを隠すように顔を逸らした。

二人ともそっぽを向きながら、同じ歩調で歩いていく。

朝焼けのせいか、恥ずかしさのせいか。二人とも顔は真っ赤になっていた。

 

 

 

 

「福音の撃破作戦に成功、よくやった────と言いたいところだが、規則違反は違反。学園に戻ったら反省文と特別トレーニングだ。覚悟しておけ」

「「「はい…………」」」

 

大広間で並んで正座させられている一海たちはげんなりとした顔をしていた。帰還してすぐに呼び出され、そのまま説教タイムに突入。確かに規則を破ったのはその通りだが、もう少し温情とかないのだろうか。

 

「…………だが、よくやった。全員、よく無事で帰ってきたな」

 

ふと、千冬は柔らかな表情を見せた。そして、それを隠すように背中を向けてしまう。

 

「うふふふ、織斑先生、ずっと皆さんの心配をしてたんですよ」

「山田先生」

 

ニコニコしていた山田先生が千冬の顔を見てヒッと小さな悲鳴をあげる。一海たちへは背中を向けているのでその表情は計り知れないが、きっと鬼の形相をしているのだろう。

 

「……説教はこれくらいにしておくか。各自診察を受けたあと休息しろ。以上、解散。山田先生はこれから私と浜辺に行こうか」

「えっ!?いや、私水着忘れちゃいまして〜」

「安心しろ。組手だからジャージで十分だ」

 

涙目になる山田先生を放っておき、一行はぞろぞろと大広間から退出した。

女子達はそのまま診察をしに医務室として使われている部屋へと向かっていく。

廊下に出て、部屋へ戻ろうとしたところで一夏はあ!と声を上げる。

 

「なんだ!?」

「どうした」

「いや、なんか大切なことを忘れてるような……一海と氷室に関することだったような…………」

 

突然の声に慌てた一海たちは一夏の様子に首を傾げた。

 

「俺らのこと?」

「ああ。うーん……なんだったけな」

 

悩む一夏に幻徳が声をかける。

 

「まあ疲れてるんだろう。話は一旦休んでからにしよう」

「ああ、そうだな。取り敢えず風呂でも行ってくるかな」

 

そんな会話を交わし、2人と別れ男湯へ向かう一夏。

のれんをくぐり、脱衣所で服を脱いだ際にポケットに入っていた1本のボトルの存在を思い出す。

 

「……あ、そうだ。これを聞こうとしてたんだっけ」

 

透き通った素材でできたカラフルなボトルを1つ指でつまんでマジマジと見つめる。

あの眼鏡の男から預かった物。一海たちに聞けば何か分かるのだろうか?

独り言をいいながら、しかしその内容に何故か強い違和感を感じつつ、ボトルを置き体を洗うために腕に装着されたISの待機状態であるガントレットを外す。

 

「───────え?なんだこれ」

 

白いガントレットの下、一夏の腕には見覚えのない金色のブレスレットが着けられていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ベルナージュの口調ってこんなんだったっけ

あとサイボーグおじさん本格登場はしばらく先になると思います
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