ドルヲタと悪党とインフィニット・ストラトス   作:ミュラー

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書き溜めしてた分が尽きたので次はもう少し期間あくかもしれないです
よろしくお願いします


暗躍するコブラ

「むーん……」

 

金属とケーブルで埋め尽くされた奇妙な部屋で、まるで童話の登場人物のような青いワンピースと白いエプロン そしてウサギ耳のカチューシャを頭につけたこれまた奇妙な服装の部屋の主「篠ノ之 束」は何らかの作業に没頭していた。

ちきり、ちきりと音を立てながら指先を動かし続ける。数分ほどその作業を続けた後、束はつまらなそうに「終わっちゃった」と呟いた。

そこにあったのは精密に創られた「ISのプラモデル」。本物をそのまま縮小化したかのようなその模型を束は軽く指で小突く。とたんにパーツ同士の結合が外れ超極小のISはただの破片の山になってしまった。

 

「暇、暇ぁ〜」

 

自分一人しかいない部屋で不満そうな声を上げる。

その声に返事をする者など当然居ない。筈であった。

 

「よォ。退屈そうじゃねぇか篠ノ之 束」

「!?」

 

壮年の男の声が部屋に響く。

返ってくるはずのない返答が返ってきたことに驚愕し、束は立ち上がると周囲を見回した。

そして、自分の後方の壁にもたれかかっている人影に気がつく。

 

「お前、誰?それに何そのIS。そんなもの作った覚えないんだけどなぁ」

「俺か?俺は……そうだな、ブラッドスタークとでも呼んでくれ。」

 

赤い、まるで宇宙服をスマートにしたような形状のスーツの各所に存在するコブラのような意匠に、バイザーに覆われた頭部。ISの生みの親であり、世界最先端の技術の持ち主である束でもこんな形状のISは見たことがなかった。ブラッドスタークを名乗ったそれは両手を広げて危害を加える気は無いことをアピールする。

それに対し束は敵意を剥き出しにして尋ねた。

 

「おかしいなぁ。いっくん以外の男がISに乗れるわけないんだけど……それより何でここが分かったのさ」

「いやぁ……大変だったぜ?何しろ世界中を虱潰しに調べる羽目になったんだからなァ」

 

演技かかった仕草で肩を竦めてみせるとスタークはどこからか小さい何かを取り出してカシャカシャ音を立てて振ってみせた。

その小さいモノに見覚えがあった束は小さく呟く。

 

「フルボトル……」

「ほォ……流石は天才開発者だ。既にコイツを知っていたとはなァ」

 

数日前、IS学園で確認された正体不明の2人目と3人目の男性適合者。身元不明、さらに細胞におかしな点が無いのにも関わらず明らかに人間離れした身体能力。そして彼らが所持していたという謎の技術「ライダーシステム」。それらは基本的に他人に関心を持たない束の興味を引くには十分すぎるほど魅力的だった。自らIS学園のサーバーをハッキングしてデータを盗み出す程に。

──────だが、世界最高の天才である篠ノ之束でもあのライダーシステムを解析するのは不可能だったのだ。あの変身能力、フルボトルの成分は兎も角──ネビュラガス。そもそもこの地球上に存在しないはずの物質を前に束は困惑することしか出来なかったのだ。

これを創り上げたという顔も見た事がない「桐生戦兎」に束は激しい嫉妬と生まれて初めての敗北感を味わっていた。

ここ数日間、暇を持て余していたように見えたのも「やることが無い」というより「何もやる気にならない」というのが正解だ。

だが、目の前に現れた存在に束は笑みを浮かべる。コイツは、明らかにそれらの技術について何か知っているような様子だった。コイツから情報を引き出すことが出来れば、篠ノ之束(天災)桐生戦兎(天才)を越えることが出来る。

自分の中の枯れかけていた気力が再び燃え上がるのを束は感じていた。

 

「それで、お前の望みは何なのさ」

 

束の問いにスタークは待ってましたとばかりに身を乗り出しある物を差し出した。

赤い、ハンドルが着いた長方形のもの。形状こそ違うもののあのスクラッシュドライバーと似たような印象を受けた。

スタークは束が受け取ったそれを指で指し示す。

 

「こいつはエボルドライバー。俺の持ち物だが諸事情あって壊れちまってなァ。……アンタにはこいつを修復してもらいたい。もちろん必要な情報とかはこちらから提供する」

「ふぅん……でもそれだけじゃあ私にメリットがないね。」

 

束の返事にスタークはクックッと喉を鳴らしながら肩を揺らした。笑っているのか、バイザーに覆われたその頭部からは感情を読み取るのは不可能だ。

 

「アンタは了承するしかないんだよ。篠ノ之束。妹が殺されるのは嫌だろう?」

 

スタークのその脅迫に、束の全身から殺気が膨れ上がった。

 

「…………あのさぁ私がそんな事を許すと思う?」

「分かってないのはお前だ。世界中のどこの国も見つけることが出来ていなかったこの場所を見つけてみせた俺が、その程度のことを出来ないと思うかァ?」

 

束は表情を不快そうに歪まながら殺気を抑えた。その様子を見てスタークは再び肩を揺らす。

 

「安心しろ。さっきはあぁ言ったがそのドライバーの修復が終わるまでは俺も暇でね。それまで俺がお前の仕事を手伝ってやろうじゃないか」

「手伝う?」

「あぁ、何でもいいぜぇ。暗殺だろうと、工作だろうとやってやるよ。そいつが俺からお前へ払う『対価』だ。」

 

その提案に束は暫し思案する。……やがて顔を上げるとスタークの顔を睨みつけた。

 

「いいよ。その交換条件乗った。……でもお前の正体についてまだ聞いてないんだけど。」

「正体ィ?……あぁ、なるほどなァ。」

 

スタークは己の頭部に触れ、そのまま引っこ抜いた。

そこにあったのは肉の断面ではなく、空洞。引っこ抜かれた頭部の中にも脳や脊髄といった内部は存在していなかった。

 

「俺は宇宙人ってやつだ。この姿は肉体を変化させているだけでISじゃない。ご希望ならお前の好きな人間の姿になってやってもいいぜ?」

「……いらない」

 

流石に人類最高峰の頭脳の持ち主と言えども理解が追いつかないのか、束は疲れたように椅子に座りこんだ。

 

「それじゃあこれからよろしく頼むぜぇ篠ノ之先生。早速情報交換といこうじゃないか」

 

スタークは頭を元の位置に戻しながら床に転がっていたガラクタの山の上に腰を下ろす。

束は不愉快そうな態度を隠そうともせず乱暴にテーブルの上のPCを自分の手元へと引き寄せた。

 

 

 

 

 

星を狩るバケモノと人の形をした天災

 

史上最悪の協力関係となった2つの存在。人をおちょくるような態度を取るブラッドスタークと他人に対して関心を示さない篠ノ之束

 

一見全く合わなそうなこの2人だがその思惑は完全に一致していた。

 

 

 

 

「コイツは利用するだけ利用して、殺す。」

 

 




エボルトは平成ライダーキャラの中でもトップクラスに好きですね。
こんな化け物も数年くらいしたらお祭り作品で乱戦の中画面の端っこでボコボコにされたりするんでしょうか
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