戦姫絶唱シンフォギアEX   作:冬月雪乃

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そしてなかなか戦えない円ちゃん。


九話 十三拘束

「ーー櫻井女史。先送りにしていた女史の研究兼エクスカリバーの強化をしましょう」

 

乱雑に扉を開き、驚いた顔でこちらを見る櫻井女史の顔すら見ずに提案する。

 

「エクスカリバーの解析は終わっているのでしょう?」

「ど、どうしたのよ急に」

「問答をしている暇はありません。風鳴先輩の不在を埋めるためには時間が惜しい」

 

詰め寄れば、諦めたような表情をした女史はモニターにエクスカリバーの解析画像を表示する。

 

「以前の実験から得た結果で、エクスカリバーのロックを十三個だけだけど任意に解除出来ることが判明したわ。その鍵となるのは所有者の肉声と、特定の言葉の音声入力ね」

「その言葉とは……?」

「それは、使う時になったら分かるわよ。で、そのロックを解除すると何が起こるか、だけれども」

 

画面を切り替える。

十三分割されたグラフだ。

一から十三までタイトルがつけられており、数字が大きくなるほど表示されているグラフの数字も大きくなっている。

 

「主な機能はフォニックゲインの増幅幅の上昇。あとは一時的な貯蔵ね。ロックを解除すればするほど上昇幅は上がるし、貯蔵量も増える事は見れば分かると思うわ」

「はい。これは、凄まじいですね……」

「正直、十三もの拘束を全て解除するとなると、宇宙くらいでしか放出は出来ないんじゃないかしら。それでも星を砕くには至らないでしょうけど」

 

さらに次に。

それは、

 

「反動係数の試算ですか」

「えぇ。シンフォギアの限定条件下での決戦仕様ーーエクスドライブに匹敵する程のフォニックゲインをたった一片の聖遺物がただの機能として制御するなんて無理な事をすれば、当然その所有者には反動が訪れる」

 

理屈はわかる。

伊達に家でも二課でも最近研究漬けなわけではないのだ。

 

「三つも解除すれば適合率の低い装者が放つ絶唱級。そこからは加速度的に反動の衝撃は跳ね上がるでしょうね。今の適合率や戦い方、円ちゃんの地力などを総合すれば、ロックの解除は二つまでが許可出来る範囲よ」

「……」

「そうね、十三のロック全てを解除できるならそれこそエクスドライブモードじゃなければとてもじゃないけれど扱いきれない程のフォニックゲインの渦に巻かれて死ぬでしょう。最悪、四つでも円ちゃんは爆散する危険性があるわ」

「爆散!?」

 

えぇ、と櫻井女史。

画面をさらに変え、

 

「そもそも円ちゃんのエクスカリバーはただのカケラ。完全状態のエクスカリバーであれば十三どころかその倍ですら片手間に制御出来たでしょうけど、完全とは程遠いカケラでは意図的にフォニックゲインの暴走を巻き起こすだけの機構でしかないの」

「つまり、その荒れ狂う暴走した力の渦の制御を間違えれば」

「即、死よ。これを使うなんていうのは自殺志願のやり方でしかないの。それでもこのーープロジェクト『ラウンドオーダー』を使うというの?」

 

気遣うような女史の視線。

しかし、その問いの答えはすでに決まっていた。

 

「えぇ。必要ならば」

「……決意は固いのね。ホント、若いって羨ましいわ。

さて、私はまずこの十三のロックに統括機構を付け、《十三拘束(シールサーティ)》と名前を付けたわ」

「十三拘束……」

「ロックを解除するには十三拘束にアクセスするように作ったのよ。で、この十三拘束にアンロックを申請し、承認されれば解除される。その際の音声キーは《円卓議会承認解除(シールサーティディシジョンスタート)》よ。アクセスすれば、歌と同じくアンロックに必要な項目が胸に浮かんでくるから、その項目を読み上げて《申請提出(リクエストアンシーリング)》と言えば承認が開始される作りになってるわ」

「偉く気合い入ってませんか」

「知ってるかしら? 技術者って割と遊びの部分に本気になるのよ」

 

そんなとこに本気いらない。

時間かかるし。

……ん? 時間がかかる?

 

「まさか櫻井女史。もしかしてですが、戦場でそんな悠長に読み上げる時間が無いことを理解しつつ、『だからこそ』こんな手間かけさせてます?」

「あら正解。だって円ちゃんこうでもしないとあっさり限界超えるでしょう」

 

ぐうの音も出ない程図星だった。

この後何回か抗議したが、櫻井女史は聞く耳を持ってくれはしなかったし、なんなら文言を増やすとまで言われたので諦めた。

この分では解除出来るアンロックは一個が限界だろうか。

一先ずの強化を得られただけ良しとしよう。

諦めて聖遺物研究の助手の仕事に戻ることにした。

 

#

 

十三拘束の本実装には時間がかかるとのことで、本日の私は立花さんの特訓を見に来ました。

場所は風鳴邸。本家の家ではなく、司令官が一人で住む家だ。

 

「……うーんなんだこれ」

 

そこには思わず唸ってしまう光景が広がっていた。

サンドバッグ。うん、ステゴロ主体の立花さんだもんね。分かる。

木とかで懸垂とか腹筋鍛える。うん、分かる。

司令官の抽象的でよく分からないアドバイスと、とりあえずやってやれちゃう立花さん。分からない。

映画見て見様見真似で拳法をマスターしちゃう立花さんと司令官。分からない。どうして。

あっ、サンドバッグが爆砕した。

 

「ふ、俺が教えることはもう無いだろう。あとは自分で鍛え、精進するだけだ!」

「はいッ!」

 

これ立花さんに痴漢しようものなら鉄山靠からの発勁、玉天崩で全身を強く打ってnice boat.してしまうのでは無いだろうか。

意図せずして圧倒的な『生身での』戦闘能力を手に入れた立花さんに、これからはなるべく逆らわないようにしようと心に決めた私だった。

……いや、もちろん立花さんがそんなことするような人だとはカケラも思ってはいないのだけど。

 

と、いうかだ。

映画見てご飯食べて寝るだけでここまで強くなった司令官って実は生まれながらのバグ?

もうむしろ完全聖遺物渡して装者にしたほうが良くない? 戦鬼絶唱司令官。始まりません。

シンフォギアが強化されても生身は年相応の女の子でしかない自分としては、この先もずっと守ったり守られたりするのであろう小日向さんをちょっと羨ましく感じる。

覚悟とやること、貫き通してでも叶えたい願いを決めた立花さんは、イケメンだ。

ただやってることはもうなんか、TATIBANAって感じで現実味が無さ過ぎるが。

 




剣も槍もサークルメンバーも出したんだから平行世界の方も出さないとならない気がしたんだ許して。
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