戦姫絶唱シンフォギアEX   作:冬月雪乃

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ストックが切れてきた……せめて一期は一気に書き上げてしまいたい……(激ウマギャグ)


十話 デュランダル移送大作戦☆ズドンもあるよ!

どうやらネフシュタンの鎧の装者が狙うのは二課地下にあるデュランダルらしいというのがお偉いさんの見解らしい。

風鳴先輩が負けたのみならず欠いている今、防衛能力に疑問を感じられているという表れでもあるのだろう。

櫻井女史の乗る車に立花さんと共に乗り込む。

最近白衣をもらった(実験に付き合ってるとめちゃくちゃ汚れる為)ので、傍目には博士と助手と助手の友達みたいな組み合わせに見えるだろう。

……周りを取り囲む黒塗りの車が無ければ。

 

「後方、安全確認しました」

「前方よーし、ってね」

「あっ、横大丈夫です!」

 

車内は護送作戦だというのに緩い雰囲気が蔓延し、なんなら音楽まで掛かっている。

 

「立花さん。万一の時は私をアテにしないでくださいね」

 

私の唐突な戦力外自己宣告に立花さんはびっくりしたように振り返る。

 

「私のギア、火力と範囲が広すぎて周囲の被害が半端ではないんです。かといって範囲を絞れば一体一体しか攻撃出来ないので、すごく極端なんですよ」

 

魔術もこうも移動していてはうまく使えない。

強引に発動することは出来るが、所詮は不正起動。本来の力の三割も出せれば良い方だろう。

 

「な、なるほど……頑張ります!」

「あ、もちろんやるだけはやりますし、逃げるなら囮もこなしますから安心してください。戦わない訳ではないので」

「ふふ」

 

櫻井女史が笑う。

その笑いはなんだ、もしかして『なんか殊勝な事言ってる』的な笑いか。

 

「ま、この調子なら問題ないわね」

「櫻井女史それフラグ」

 

次の瞬間、運転席側を走っていた黒塗りの車がノイズに貫かれて爆散。

さらに道路が崩れ助手席側の車が落ち、それを追うようにノイズが貫いて爆砕。

なんとか回避した我々の前方の車も下から吹き上げる水によって宙を舞い、後方を走っていた車を巻き込んで鉄くずとなった。

 

「……フラグ回収早……」

 

思わず呟くが、櫻井女史の舌噛むから黙ってなさいという声に従って荒々しい女史の運転に耐える。

よ、酔う……。

立花さんをちらりと見れば平気そうな顔で、それはもう手慣れた感が見られる安定した座りと警戒を見せている。

うそん。私の同級生人間卒業し始めてる件。

 

「薬品工場にいくわよ!」

「エクスカリバー役立たずのお知らせぇ!」

 

そして薬品工場に入った瞬間。

下から衝撃が走り、車は宙を舞い、天井から逆しまに落下。

全員シートベルトをしていたから良かったが、してしなかったら死んでいたか、大怪我だったことは間違いない。守って良かった道交法。

 

「ヨォ」

「彼女が噂の謎の装者ですか。ーーなんというか、ヤンキーって感じですね」

 

返事はモノクロのエネルギーボールだった。

 

喪失に伸ばした手(Victory Excurbar tron)ーーッ!」

 

急いでギアを纏い、まだ固定されてもいないアームドギアで打ち返す。

 

「ピッチャー返し……!」

 

ヤンキー少女は危なげなく両肩から伸びる明るい紫の鞭を振るい、攻撃を仕掛けてくる。

 

「立花さん! 女史を連れて逃げてください!」

「で、でも!」

「大丈夫です! 奥の手もありますし! 櫻井了子の助手を信じてください!」

「う……分かった! 絶対後で会おうね!」

「それフラグなんですけどね……!」

「させるか、よっと!」

 

少女が振るう銀の杖。

それから緑の光が瞬くと、そこにはノイズが数十程現れる。

なぎ払おうにも位置が悪いし、それ以前に少女の絶妙な動きでの攻撃に釘付けになっている現状、手出しが出来ない。

 

「くっ……」

「ーーハァッ!!」

 

気合い一閃。

ギアを纏った立花さんがノイズを瞬く間に滅却。

さらに一呼吸おかずに少女に突っ込んでいく。

 

「っ、先と立場が逆ですが……! 櫻井女史! デュランダルを持って逃げますよ!」

 

しかし、ここで誤算が発生する。

護衛の片割れであるところのデュランダルそのものがケースを吹っ飛ばして立花さんに向かって突っ込んでいく。

 

「デュランダルが覚醒……!?」

 

櫻井女史の驚愕の声を背後に、デュランダルは交戦する二人の間に。

ネフシュタンの少女が奪おうと手を伸ばすが、それより早く立花さんが柄を握った。

刹那。

世界がデュランダル覚醒の咆哮に悲鳴をあげるかのように暴風が吹き上げた。

巻き上げる砂塵。

風に遊ばれる瓦礫や炭が視界を奪う。

 

「ーーーーーーーーーッ!!!」

 

バイザーがあるから目を隠さずに済み、だからこそ即座に反応が出来た。

煙幕の如く立ち込めるそれらを吹き飛ばすように内側からの膨大なエネルギーが発生。

あっという間に視界がクリアになり、ハッとして櫻井女史を振り向けば、

 

「……バリア……?」

 

髪留めもメガネも吹き飛ばされ、しかし余裕の笑みで私の向こう、立花さんの方向を見据える姿がある。

前方に掲げた掌からは六角形の板が繋がったようなエネルギーバリアが展開されており、その鋭い瞳はやや黄金かかったようにも見える。

 

「じょ、女史……?」

「助手か。無事でなによりだが、今はそう余裕は無いな」

 

普段より力強く口調。低く、しかし耳当たりのいい女性は果てしなく揺るがない、強い意思を感じさせる。

かつて、一度だけ聞いたことがある。

トラブルですっかり頭から抜けていたが、

 

「がっ!?」

 

惚けていたら視界外から強烈なのをもらった。

それは白と紫の物体で、柔らかなものを手のひらに感じる。

 

「っテェ……なんてぱわ……ぁ?」

 

それは少女で、私は彼女の大きく実った『良いもの』を手のひらに包んでいた。

鷲掴みにしたような形のそれをつい凝視し、反射的に五指を丸め、広げ、丸める。

 

「ーー豊満……!」

「戦さ場で何してやがる変態が!!」

 

瞬間。

制裁のように空から黄金色の鉄槌が振り下ろされた。

 


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