ムーには、元々ラジオ局があった。しかし出力が弱く、当時はまだ試験的な運用にとどまっていたのだ。
ムー マイカルラジオ局
「部長、この新聞見てください!」
現在、マイカルでは新聞が流行っていた。地元のマイカル工業新聞が日本の機械を使うようになり、情報を素早く、広範囲に伝えられるようになったのだ。
「どうしたんだ?そんなに騒いで」
「ここ見てくださいよ!」
「『日本の個人ラジオ、ムーに上陸!マイカル駅に民間のラジオ局誕生』ってどういうことだ?日本は個人でラジオ局が作れるのか!?」
「いや、わかんないですよ!昨日届いた新聞に書いてあったんです!」
わらわらとラジオ局の職員が集まってくる。
「なんだ」
「なんかあったか?」
数十分後、ラジオ局会議室
「では、今から会議を始める。議題は日本の個人ラジオについてだ」
「私が報告します。今回、今日の朝刊にて問題の記事が掲載されていました」
記事を開き、机に置く。
「『日本の個人ラジオ、ムーに上陸!マイカル駅に民間のラジオ局誕生!
先日からムーと日本の間の交流が爆発的に増えている。さまざまな店が我が国へと進出してきているが、ついに個人のラジオ放送を持ち込むものが現れた。日本では珍しいができないことではないと言う。今後、ムーでメディアがどのような発展を見せるか注視していきたい』ということですね」
「日本では個人でラジオ局の開設ができるというのか」
「金持ちだけじゃないのか?」
「いや、それなら企業がやればいい話だ」
ラジオ局の幹部がそれぞれに意見をあげる。一方局長は沈黙を守り、腕を組んでなにかを考えている。
「あのー、局長、そろそろ納めてもらえないかと」
「ん?あぁ、すまん。記事について考えていた」
「今の段階で記事について考える事なんてありますか?」
「ウム、日本から来た個人ラジオということだが、一体どんな機材をムーに持ち込んだのかということだ」
「我々のような感じではないでしょうか?」
局長はその答えを聞いてため息が出た。
「我々のようなものでは個人でできないだろう?おそらくもっと小さいもののはずだ」
「なるほど...」
マイカルラジオ局の方針としては、ひとまず個人のラジオ局についての情報を集めていくということで決まった。
そのために、まずは記事を書いたマイカル工業新聞に訪ねてみることにした。
マイカル工業新聞 本社
「お久しぶりです、フィルク殿」
「こちらこそ突然申し訳ありません、トコル殿」
「いえいえ、こちらこそ返事が遅れてしまいまして申し訳ありませんでした」
マイカルラジオ局のフィルクは、会議から三日後にマイカル工業新聞本社に来ていた。
「ところで今日はどのようなご用件でしょうか?」
「実は先日の記事にここマイカルに日本の個人ラジオ局が開設されるというものがありましたので、詳細をお聞きしたいと思いまして」
「あぁ、あの記事ですか!あれはそんなに気にする必要はないと思いますよ?」
「え?」
ティルダは不思議そうな顔でトコルの顔を見る。なぜ気にする必要がないのか?
「実はあの日本人のラジオ局というのは、ミニFMと呼ばれるものらしく、狭い範囲しか放送できないそうです。せいぜい催しなどでしか使えないようですよ」
「そうなのですか?」
フィルクはホッとした。マイカルラジオ局はどうやら安泰のようだ。
「ただ、先はわからないようです」
「え」
「これは記事にはしないでくれとのことだったのですが、実は日本ではクラウドファンディングというものがあるそうで、そこでさらに規模の大きな放送を行うために資金を集めているそうです」
...クラウドファンディングってなんだ?
「申し訳ありませんが、クラウドファンディングとは一体なんなのですか?」
「私にもよくわかりませんでしたが、一般人が事業に対して資金を提供するというものだとか」
「株式とは違うのですか?」
「さぁ?」
その後は特にこれといった情報はなく、フィルクはマイカル工業新聞の本社を辞したのだった。
成功ばっかり書いてきましたが、ラジオ局はちょっと毛色が違う話になりそうです。