冬、雪がしんしんと降るなか、神社やお寺には大勢の人が集まっている。それはたとえ世界を越えたとしても変わる事はなく、毎年のことであった。
ただ、異世界に来てから変わったこともあった。
日本国東京 増上寺 23:00
増上寺では、大勢の人が年越しをすごそうと集まっていた。そのなかにはちらほらと外国の人の姿も見える。もちろん、異世界の外国人だ。基本的には第三文明圏からの観光客のようだ。
そのうち何人かが、境内を歩いていく。ひときわ姿勢がよく綺麗な女性が寒そうに手を擦り合わせている。隣には日本人と思われる体格の良い男性の姿もあり、どうやら異世界カップルだろうか。
その後ろにげんなりした顔の獣人の女性もいる。大使館の要員かもしれない。
「うぅ、寒いですね...」
「申し訳ありません。日本は今冬ですからね。初詣だけにしましょうか?」
「い、いえ!ぜひ除夜の鐘も突いてみたいです!」
異世界カップルのような大内田とイーネは、除夜の鐘を突こうと、増上寺に来ていた。増上寺は鐘を突くために事前に券が必要であるため、大内田が3人分確保していたのだ。
「そういえば大内田様、なぜ日本では除夜の鐘を突くのでしょうか?」
「除夜の鐘は、一般的には煩悩を払うためにというのが知られています」
「煩悩、ですか」
「はい、元々仏教という日本でも大きな宗教での用語ですね。人の心の乱れや汚れのことだと言われています」
「なるほど、一年の終わりにその煩悩を払って新しい一年を迎えようということですね!」
「そのとおりです。さすがですね」
「いえいえ...あれ。それならなぜ人数制限があるのです?みんなが突けば良いのでは?」
「ああ、それは煩悩の数が108と決まっているからですね。」
「煩悩の数が決まっているのですか?」
「そうです。詳しくはないのですが、確か全部で18の煩悩があり、それには2つの種類があり、前世、今世、来世の分をあわせて108ということです」
除夜の鐘について話しつつ、境内を歩く。しばらく歩くと明るい炎が見えてきた。
「大内田様、あれは何を燃やしているのですか?」
「あれは今年のお札やお守りを燃やしているんですよ。来年になったら新しいお札やお守りを買うんです」
一通り参拝したあとは、鐘を突くための列に並ぶ。
「い、いよいよですね。緊張してきました」
「大丈夫ですよ。私たちはお寺の人の指示にしたがって鐘をつくだけですから」
「は、はい!」
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「大内田様!うまくできました!」
「はい、うまくできましたね」
イーネ、大内田、ミーリはいったん在日クワ・トイネ大使館の近くにあるミーリの日本での家にいた。イーネは日本では大使館の手配したホテルに泊まっている(個人的に来ていても貴族令嬢なので)し、大内田としては若い貴族の女性を部屋にいれるなんてできるはずがなかったからである。
結果として、ミーリは一人で暮らすには広いくらいの2LDKを大使館から与えられている。
「では朝まで休んでから初詣にいきましょうか。明治神宮に行こうと思っているのですが、イーネさんとミーリさんはどうでしょう?」
「わたしは問題ありません!」
「隊長は元気ですね...ちょっと寒いですけど大丈夫です」
3人はその後も世間話で盛り上がり、結局眠りについたのは3時ごろであった。
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雪がしんしんと降り積もる。日本が異世界に来たとしても、変わらない景色だ。大晦日の夜、人々はきたる新たな1年が良いものになるように願って、それぞれがそれぞれの過ごし方で年越しを迎える。
遠くで、途絶えることなく鐘の音が聞こえていた。その鐘の音はまるで新しい年の訪れを知らせているようだった。
今年最後の投稿となります。最後はちょっとしんみりした感じを出してみようと書いてみました!明日も投稿できればします。初詣です
それでは皆さん良いお年を!来年もよろしくお願いします!