こんな不定期投稿な作品を読んでくれる人がいるのはとても嬉しいです。ありがとうございます。
日本の企業が様々な国へと進出していくなか、第三文明圏やムーでは次々に日本企業によって高層ビルができつつあった。しかし、材料である鉄やコンクリートの量には限りがある。特に、建築用のものは特殊な合金が多く、生産量も限りがあった。
「え、マジ?」
「はい。1年先まで一杯とのことです」
「···すぐに本部に連絡を。ボルトが確保できなきゃ工事が進められない!」
「わかりました!」
ボルト。あまりピンとこない人がほとんどだろう。建築でそんなにボルトを使うのか?と。
超高層ビルは、だいたい鉄骨を使って建てられる。その鉄骨を繋ぐのに溶接やボルトを使う。しかし、日本でこのボルトを製造しているのは両手で数えられるほどしかない。生産量は合計で一万トン程度で、現在の需要に全く足りていない。
「ボルトが発注できないと工事が始められないな···ちょっと工程表持ってきてくれ」
「どうぞ。着工が遅れるとなると、関係者、特に入居する企業に説明をする必要がありますね。入居を急いでいるみたいですし」
「そりゃそうだろうな。ムー、特にマイカルは今一番勢いのある市場のひとつだ。マイカル証券取引所に八菱UFJ銀行のマイカル支店もできたしな」
八菱UFJ銀行だけではない。三大メガバンクはすでに支店開設の計画を進めつつある。他の地方銀行なども、複数が支店を開設したり、計画をたてている。
つまり、それだけ建物が次々に建設されつつあるということだ。まだ100m級のものはないものの、80m級は建設中である。
ただし、そこで絡んでくるのがボルト不足である。明らかに足りない。ゼネコンなどが建てているものは、ある程度安定して供給を受けていられるが、その他の中小では太刀打ちしようがないのだ。
「そういえば、政府がボルト業者に安定供給を要請したらしいですけど、どうなんですかね」
「いや、無理だろ。休みなしって聞くぞそもそも原材料も高くなってるみたいだし···」
「外国から輸入するのは無理ですしね···」
「もとの世界なら中国やら韓国なんかから輸入してくれば良いだけだが、こっちじゃ使えるボルトは作れないからな。鉄骨も生産を抑えてるみたいだし···」
ボルトがなければ鉄骨なぞあっても邪魔なだけである。そこら辺に積んでおくわけにもいかないので、需要は減る。
そもそも、この一連の問題は、建築の需要が一気に押し寄せたことにある。
簡単にいってしまえば、人手不足である。鉄筋コンクリートで建てる予定だったものが、コンクリート関連の職人が手配できないため、鉄骨に切り替えている。そうなるとボルトが必要だ。
機械は作れば良いが、職人は簡単には育てられない。
経済発展が進むなか、少しずつ問題が起きつつあった。
はい。今回はボルト不足に焦点を当てました。実はちょっと前にニュースになってましたよねこれ。東京オリンピック需要でボルトが不足って感じで。山は越したみたいですけど、こっちに世界だとなかなか洒落にならないんじゃないでしょうか?