日本国召喚 マイカルの日常   作:KAIZU

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お久しぶりです。前回からまたかなりあいてしまいました。しかも短めです。すみません。


鉄道の再興

 

 日本との交流が始まる前、ムーでは自動車はまだかなり高価なものであり、長距離の移動は列車が圧倒的多数を占めていた。

 

 しかし、日本が来てその流れが大きく変わった。モータリゼーションが急速に進んだのである。富裕層はもちろん、中間層もこぞって日本の自動車を買い求め、列車の利用客は大きく減ってしまった。

 

 

 ムー国立鉄道会社 本部小会議室

 

「この四半期は乗客が減りっぱなしです。この流れを変えないと赤字からの脱却は難しいですぞ」

「しかし、自動車の方が自分のいきたいところへ直接行くことができるからな。どうしようもない」

「結局、一番の問題は利用客が減っていること。ならば増やす努力をするしかあるまい」

「「「うーむ...」」」

 

 今日もまた、あまり話が進まずに時間が過ぎていく。

 

 

 ムー国立鉄道会社取締役のルーメン・キブレは、休日にとある路線に乗っていた。わざわざ一番高い一等車に乗る気はなく、二等車でゆったり座っていた。妻と子供は家で過ごすという。まあ、妻が何かを察して送り出してくれたようなものだったが。

 ムー国立鉄道会社の本部があるオタハイトから目的地であるマイカルまでは、そこそこ距離があり、基本的にはずっと海岸線近くを通る。この時期のムー東海岸は気象が穏やかで波も荒くない。風光明媚な景観である。

 

「やあ、すみません。お隣は空いてますか?」

 

 誰かが声をかけてきたようだ。だが知り合いの声ではない。誰だろうか。

 

「はい。どうぞ」

「では、失礼」

 

 そこにいたのは、髪がきれいに白くなっている高齢な人だった。まあ、私ももうそろそろ老人と言われる年齢だ。親近感を覚えた。服がムーの様式とは違っているので、おそらく日本人だろう。

 ムーの鉄道を日本人も使うようになったんだなと少し気分がよくなった。そこでふと思い付いた。この日本人にムーの列車の感想を聞いてみようと。ムー人ばかり気にしていたが、新しい視点がほしい。

 

「失礼ですが、日本の方ですか?」

「ええ、そうです。ムーには初めて来ましたが、自然豊かでいいですね。日本はもうあまり残っていませんからね」

「はは、そう言ってもらえると何だかむず痒いですね」

「そういえば、あなたはどこに行くのですか?」

「いえ。なんとなく乗ったんですよ。仕事に少し行き詰まってしまって」

「なるほど、それは私もありますよ。こうして一人になりたくなるのです」

「どこの国でも一緒ですね」

「そうですね」

 

 お互いの国にことをまだよく知らなかったこともあり、会話が弾んでしまい、結局ご老人が降りるまで列車のことを聞くことができなかった。

 

「私はそろそろ降りる駅ですね。とても有意義な時間を過ごせました」

「いえいえ、私こそ日本の方に会ったのは初めてなので良い経験になりました」

「では、またどこかで会えることを願って」

「あ、あの!この列車はどうでしたか!」

 

 ご老人は少し考え、ポケットから一枚の小さな紙を取り出した。

 

「ご用の際はこちらに連絡を。あなたとは良い仕事が出来そうだ」

 

 そう言い残し、列車からおりていった。

 

 私は客席に再び座り、ご老人から渡された小さな紙を見てみると、水戸海鋭治とかいてあった。誰なのだろうか。いや、誰でも良い。この出会いは私にとって良いものになる。そんな気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ある日のムー経済新聞朝刊の記事

 

日本の鉄道デザイナー、水戸海鋭治氏のデザインした特急列車「Trevit」が本日からムー国立鉄道会社にて運行開始。式典にはルーメン・キブレ会長も現れ、大きな話題を読んだ。二人は数年前から知り合っておりーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




たぶん補足あった方がいいと思うので一応。
最後に列車の感想を聞いて名刺を渡したのは、「自分なら改善案を提示できる」と考えているからです。しかし、直接言うのは失礼ですから、名刺を渡した、というわけです。
そしてルーメン取締役は最初は意味がわからなかったですが、他の人に聞いて水戸海氏の考えが理解でき、日本へ依頼をしたというわけです。
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